Plutonium:冥王の門
学術用語で元素を示す-iumではなく、ラテン語で建物や場所を示す-iumです。
従って、「冥界の神プルートーの神殿」の様なニュアンスになります。
(同じ様な使い方の例:「文芸の女神ムーサたちの神殿」Museium(美術館・博物館))
この神殿にある「冥王の門」の仕組みを、研究者チームが解明した、というお話です。
「Animals Dropped Dead Inside Roman 'Gate to Hell.' Scientists Just Figured Out Why」(TIME)
「古代ローマの「地獄の門」、動物が死ぬ謎を解明」(CNN Japan)
「Rätsel um todbringendes Tor zur Unterwelt gelöst」(20min.ch)
「Geheimnis um antikes "Tor zur Hölle" entschlüsselt」(derStandard.at)
調査の対象は、世界遺産になっているヒエラポリス-パムッカレの都市のほぼ中心地
にあるアポロン神殿の付近にある、「冥王の門」Ploutonion at Hierapolis
(ラテン語でPlutonium)です。
Plutonium (Ömerulusoy/Wikimedia Commons) (Google Map)
西側の白い領域は鍾乳洞などでも見られる石灰華段丘(Pamukkale)で、その東側に
ヒエラポリス(Hierapolis)という2世紀頃のローマ帝国の都市の遺跡があります。
Pamukkale (綿の宮殿) (Wolfgangbeyer /Wikimedia Commons)
勘の良い人ならもうお気付きでしょうが、ここは「炭酸水素塩泉」の温泉でして、
ローマ帝国時代には温泉保養地となっていたところで、浴場(Thermae Romae)が
複数残っています。上の写真をよく見ると、湯気が見えています。
Hierapolis gate (北地区への城門) (Ömerulusoy / Wikimedia Commons)
南北に細長い都市の中心地のアポロン神殿の近くに、この「冥王の門」があります。
聖職者が動物を連れて行くと、聖職者だけが生き残り、動物はことごとく死んでしまう、
というもので、それにはちゃんと「理由が存在した」ことを裏付ける調査だった様です。
Plutonium 入り口の高さ (Ömerulusoy / Wikimedia Commons)
Plutonium interior 内部 (Ömerulusoy / Wikimedia Commons)
そして、この入り口の高さと、そこからは下向きであることがヒントになります。
ここでもういちど、ここは「炭酸水素塩泉」の温泉です。地表に亀裂があれば、
高濃度の二酸化炭素(CO2)が放出される個所があっても不思議ではありません。
ここでは、夜間から早朝にかけて地表が冷やされ、高濃度の二酸化炭素(CO2)が
地表付近や地下に沈滞します。昼間には地表が暖められ、それが放散されます。
ですから、深夜から早朝にかけての時間帯なら、背の高い人間は生き残り、
背の低い動物はすぐに二酸化炭素中毒になる、という可能性があります。
と言う訳で、場所や高さを変えてガス分析を行い、所見を加えて今回の発表に
至った様です。今回の場合は、入り口では4-53%、内部では91%、3%で症状が出て、
7%で危険領域ですから、一度入ったら生きては帰れない、まさに「冥王の門」です。
(他の火山ガスと違って無色無臭ですから、気が付きにくく、現代でも厄介です。)
「八甲田山[はっこうださん] Hakkodasan【常時観測火山】」(気象庁)
「八甲田雪中行軍遭難事件」で有名ですが、火山ガスでの死亡事例も多い山です。
(雑) -ium について
元素名にも同様の名前が付けられているので、翻訳を間違いやすいこともあります。
92 U Uranium (ウラニウム)は、天王星(Uranus)から付けられています。
93 Np Neputunium (ネプツニウム)は、海王星(Neptune)から付けられています。
94 Pu Plutonium (プルトニウム)は、冥王星(Pluto)から付けられています。
建物や場所の意味で使われているものも、気が付けば結構あります。
Collegium (大学)、Aquarium (水族館)、Sanatarium (療養所)、Stadium (競技場)、
Colosseum (円形闘技場)、ローマ帝国時代からの、ラテン語起源のものが多いです。
と言う訳で、遺跡などでは、「~の神殿」という使い方をされている場合があるのです。
(おまけ)
Lilium (Lilly) 百合の花、Elfen Liedの主題曲、歌詞にKyrieが含まれているため、
教会も含めて世界各国で歌われています。 # MOKAさんのブログ MOKA☆VOX
(R15) Elfen Lied DVD Lilium CD (Amazon) Elfen Lied DVD Trailer HD (YouTube)
Elfen Lied - Lilium cover by Grissini Project (YouTube) フランス
Lilium Elfen Lied-エルフェンリート (YouTube) ウクライナ * for 3.11 Fukushima
Lilium - Elfen lied (Cathedral organ) (YouTube) スペイン
LILIUM 【オルガン伴奏・混声合唱版】 (YouTube) 日本
* ウクライナにはチェルノブイリがあるための様です。当時その様に謳っていました。
(以上)
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