トライアルの競技法


この章では鳥猟犬競技の実際的なやり方について述べる。
トライアル場は注意深く選択され、トライアルが行われる場所は、はっきり提示されなければならない。
 役員はトライアルが行われる場所への道標となる旗等を立ててトライアルマンや観衆が迷わずにトライアル場へ到着出来る様にしなければならない。
 トライアルに使用する馬も必要数だけ用意されて居なければならない。馬の数は少なすぎても多過ぎても色々と困った事が起きるので、必要数の正確な見積りを予めして置き、必要なだけは供給出来る、完全な準備が必要である。鞍や手綱の用意も勿論必要である。
役員は審査員や記録係が充分自分達の職務を果せる様優秀な馬を用意しなければならない。
若し犬のために自動車があれば、全ての競技犬をそこへ抽選された組毎に入れなければならないし、若し車が無い場合は抽選された組通りに犬が競技出来る様に誰かが見守って居なければならない。
 トラックや、犬の為の車があれば、犬を定められた場所に定められた時間に連れて行く事が出来、各々の飼い主が時間通りに犬を連れて来ないで遅刻したりする様な事は防げるだろう。
 ハンドラーは進行係から競技のコースは知らされて居る。進行係はトライアルの最初から終り迄、トライアル関係者の世話を積極的に行う。進行係は土地を良く知って居り、トライアル場の隅々迄分り獲物の状態を完全に知って居る事が必要である。
 定められたコースをトライアルの一行に示し、案内するのも彼の役目である。食事時には馬を食事に連れて行き、又観衆が競技を行って居る犬に近付き過ぎない様注意するのも彼の仕事である。トライアルの進行係の中でもニューヨークのロイセイント・クレア・ジョンソンはトライアルの一行を案内する人達の手本とされて居る。
 ハンドラーは犬に口笛や声や合図によって定められた地域を指示し命令する。
 審査員は、馬に乗って犬の動作を観察し、犬の示す能力を研究し、総ての犬がする働きをも分析し乍ら犬のあとを追う、競技が終るとハンドラーは犬を捕まえて、自動車に戻す、そして進行係は次のコースの出発点に導く、次の一組が呼び出され、この様にして全ての出走犬が競技を行う迄続けられる。審査員は協議し、決定が下されると書記に手渡され公表される。
 どの犬もハンドラーに導かれ、又審査員に観察され乍ら定められた時間に決められたコースを走る。
 全部の犬が各々の競技が終ると、最初のシリーズが終った事になる。審査員はそこで勝利者を決定するかもしれないし、或は第二シリーズに走るための犬の名を示す。
二度目のシリーズの長さは規則に定められて居る事もあるし、又は審査員の判断にまかされる。
 例えば、審査員の満足のゆく迄10分間でも2時間でも、或はそれ以上の時間を要する事もある。
 最後に審査員が決定を下すと各々の勝利の順位が紙に書かれ、それがクラブの役員(普通、書記)に手渡され発表される。


※審査の要点


 「トライアルの審査員は作られるものでなく生れるものである。」とはトライアル愛好の数多くの熟練者の言う言葉である。審査員と言う難しい職務を立派にやりとげるには特別な才能の持ち合せが必要な事は言う迄もない。
 優秀なセターやポインターへの深い愛情を持つ事は審査員として必要な事である。
 有能な審査員は優秀な猟犬の性能を見分ける事が出来る。然し、その様に見分けられたものは、示される猟犬の能力の証明や定義にはならない。優秀な猟犬としての能力を正確に記録する事は大変難しい事である。豊富な実際的経験を積む事によってのみ、ポインターやセターの行動の素晴らしい特質を適確に分析する事が出来る。若し我々が同じ見解で物事を見るのなら、トライアルの出来映えの限定された基準を明確に述べる事は易しい事であるが、我々の見解は色々であるし、又行動の一つ一つを全く同じ様に説明する事は出来ないので、何にしても実際の経験が必要となる。
 審査員は度々色々な変った状態に置かれるので、常に首尾一貫した結論に達する様にしなければならない。
 この章では猟犬が判定される時のいくらかの要点について述べよう。
 出走犬はスピード、レンジ、動作態度、活気、聡明さ等のグランド・ワーク及び獲物へのポイント、バックのスタイル、訓練者への従順さ、その他バード・センスと呼ばれる色々な能力を含む行動能力を審査される。
 トライアルは普通の狩猟とは大分違っている。経験の少ない犬だと、馬に乗った人の群の中では、うろたえたり、訓練された事を忘れたりする。従って余り厳しく命令を与えずに適当な寛容さを犬に与えた方が良い。我々が鳥猟犬に望む事はトライアルに必要な能力と自主性を猟犬が所有して居る事である。今迄にも理想的な鳥猟犬の定義や解説が多くの狩猟家達によって示されて来て居る。
 その中でも故、パーシイ・R・ホルトン博士が発表したものは、多分現代のセターやポインターとしての望ましい能力、トライアル犬としての必要な定義を述べたものとして、最も一般に良く知られたものの一つであろう。
 ボルトン博士はコンチネンタル・クラブの会長として長い間尽し、トライアルの基盤を築いた人である。彼のオールエイジ犬やダービー犬の定義は有益な意見として用いられて来ている。


※P・R・ボルトン博士が作った定義


狩をする時の犬の働きは次の三つに分けられる。


i グラウンド・ワーク   

(a) 聡明さ
(b) スピード
(c) レンジ
(d) スタミナ


ii バード・ワーク   

(a) 正確に速く猟鳥の居場所をつきとめる
(b) ポイント
(c) スタンチネス
(d) スタイル


iii トレーニング(訓練)

(a) コースに対する狩り込み      .
(b) レスボンディング(連絡)
(c) ステディネス(堅固性)


※オール・エイジ犬(成犬部門)


 オール・エイジ犬は完全な訓練を受けた犬である。これ等の猟犬は競技の始めに猟鳥の居そうな隠れ場所を選び、早くその場所へ行かなければならない。隠れ場を素早く捜索し、若しゲームが見出だされない時は更にコースを捜し続ける。獲物を見つけた時は正確な距離迄近付き、ポイントしなければならない。ハンドラーが来て鳥を飛翔さす迄、犬は忠実にポイントを続けて居なければならない。又銃声がして再び命令を受ける迄は静止して居なければならない。
一頭の犬がポイントしたならば、今一頭の犬はバッキングをしなければならない。
獲物が居ない、又は居そうもない場所を捜すのは好ましくない。猟場を何回も繰り返して行ったり来たりしてはいけない。また、ハンドラーの向う方向と逆に戻って来てはいけない(カットバック・カットイン)、ハンドラーの声や口笛や合図が届かない程遠くを探し回ってはいけない。
走る速さは遅過ぎてもいけないし、競技が終わらない内に疲れてしまう程速過ぎても、又、獲物を見過ごす程速過ぎてもいけない。
猟場に近寄り過ぎてもいけないし、又、あまり遠くから獲物のありかを示してもいけない。
一度嗅ぎつけた猟鳥をそのままにして置いてしまったり、所在を示さないで通り過ぎたりしてはいけない。
 獲物の居ない所でポイントしてはいけない。組となった今一頭の犬の跡ばかり追って居るのはいけない。


オール・エイジ犬は次の行動が必要である。

1 スピード、レンジ、スタミナに素晴らしさを示す事
2 コースに沿って狩る事
3 獲物のボディセント(体臭)によって捜し出す事
4 素早く、正確に所在をつきとめ、ポイントする事
5 ポイントは堅実な事
6 バッキング能のある事
7 着実である事


また、オール・エイジ犬は次の行為はしてはならない。


1 ハンドルの手に負えない様な事
2 邪魔になってしまう事
3 それて走ったり(逸走)する事
4 カットバックする事
5 空ポイント
6 足臭で捜索する事
7 ブリンキング(ゲームを着臭し乍ら放置する事)
8 相手犬の跡ばかりを追う事(トレイル)


※ダービー(若犬部門)


 ダービーは訓練されて居ない犬なので、限られた体験や訓練と、猟鳥を見出しポイントする能力を現わす様に要求される。競技を始めた時、ハンドラーから少し離れ、コースの反対方向でなければ何の方向から捜し始めても良い。猟鳥の隠れ場を素早く捜し当てなければならないが、足臭と体臭を使用しても良い。
若し獲物が見出せない場合は、コースを捜し続けなければならない。猟鳥が飛翔した時や発砲した時、退いたりしてはいけない。コースと反対の方向へ戻ってはいけない。組となったもう一頭の犬の跡を追ってはいけない。

ダービーは次の行動をしなければならない。

1 ダービー犬として幾らかのバードセンス、スピード、レンジ、スタミナを示さなければならない。
2 コースに沿って狩る。
3 素早く適確に獲物の居場所を捜しポイントする。
4 スタンチであるべきである。
5 バッキング(バック・ポイント)を行える事


ダービー犬は次の行為をしてはならない。


1 手に負えなくなる事  、
2 ロスト(失踪)
3 邪魔になる事
4 アンプロダクティブ・ポイント(空ポイント)
5 獲物をつきとめないで他に走り去る事
6 バード・シャイ(ゲームを怖れる事)
7 ガン・シャイ(銃声を怖れる)
8 トレーリング(相手の跡を追う )


また、ダービー犬は次の行動があっても構わない。


1 必ずしも臭いを嗅ぎ分けなくても良い事もある
2 時々足臭で狩をしても良い
3 着実でなくても良い事もある


 ボルトン博士の立派な定義は、規則や精密な基準を作ろうとして書かれたものではなく、寧ろトライアル犬の出来具合を審査する時の手本として書かれたものである。
彼が示した望ましい能力や或は望ましくないものは経験を積んだ審査員や全くの初心者迄、トライアルマンの指標となるであろう。言葉は簡潔で、これ以上の説明は不必要であるが、ただ、パピーを審査する時は生れつきの能力だけを考慮に入れなければならない。
 ミシガンのアーノルド ボートル氏は優秀犬としての相応しい能力を形作った狩猟家として有名な人であるが、彼が形作った望ましい素質の要約は次の如くである。


※パピー(幼犬部門)に必要とされる素質


1. 狩をする本能
2. 良く効く鼻
3. ポイント能
4. 聡明さ
5. 体格の良さ
6. 気力の強さ
7. 目と耳の良くきく事
8. 従順な気質
9. 勇気
10.体構やスタイルが立派な事


 以上の素質を全部持って居ないパピーは第一級の働きをする様に訓練するのは難しい。
これ等の10の素質は飼育や訓練により、より一層良いものとなり、成長して以下に述べる様なものを持つ様になるであろう。


1. ハンドラーの為に猟鳥を見付けようとする強い要求を持つ。
2. 獲物が居る事を嗅ぎ分ける鼻、獲物を正確にすばやく見つける。
3. 空ポイントをしないで確実にポイントする。
4. 猟場では聡明な働きをし、獲物を効果的に捜し求める
5. 活気がある。
6. 速く、一生懸命捜索し自主性を持って居る事
7. 命令をすばやく見聞きする事
8. 快く命令に服し、すばやく獲物を持って来る事
9. 獲物に対し大胆で、密な隠れ場やその他の障害にひるまず進んで獲物を捜す
10.身のこなしや、臭いを嗅ぎ分ける時の動作は優雅である。


 トライアルマンの興味を誘い、賞讃を得るものは、犬自身がする所の身のこなしの良さや、正確に獲物を示し、捜し持って来る様な捜索の際の犬の智脳である。然し何か指示された時、指示通りに動かなかったりしたら最早鳥猟犬としての優秀な部類に入らない。優秀な働きや出来映えは聡明さや訓練を受ける素質を持ち、猟鳥を見出す能力を持って居る犬のみに可能な事である。
 優秀(或は高級)と言う言葉を使う時は、普通の犬がゆっくりと好条件の時のみ出来る事を、素早く正確に成し遂げる素質や才能を持つ事を意味するのである。
 優秀な猟犬と言われるのに相応した犬は、素早く的確に、コース内の隠れ場に行き、一羽の鳥でも同じ様に素晴らしい働きをしなくてはならない。



※競技コースについて


(1) トライアルの地域を考える場合、先ず、第一に考慮すべき事は、計画的に一様のコースを選定する事である。

(2) 30分の競技について、コースの長さは普通1~1,5マイルから2マイル位になる様に、その土地の面積に応じて平均されて居るべきで犬が獲物を捜し出せる範囲でなければならない。


(3) コースの地図を作る際は、馬を利用する事と2頭の猟犬を使用する事が必要である。この様にすれば、鳥はどのコースでも得られる事が確実だし、距離や時間が出発点から最後までフルに使う事が出来る。

(4) コースは出来るだけ直線にすべきで、少なくとも困難な曲折とか角がない様にすべきである。
曲折がある場所ではハンドラーが犬に拍車をかけたりするに充分な時間と場所が必要である。


(5) ハンドラーが犬に方向を指示出来る様に、コースに旗を立って置くのは賢明である。これは特に山と山とに挟まれた谷間(山峡)等の場合にあてはまる事である。

(6) 朝のコースが出発点から誘導され犬を含んだトライアル参加者が午後になって後もどりする様な場所では、昨日の朝犬達が高い出会い数を示した近くの場所で昼食を与えるのが良い。
クラブの者が昼食を取る際、地方の教会の婦人会と連絡をとる事も出来る。


(7) 今は多くの有名なワンコース・トライアルがあるが、英国セタークラブがメットフォードで行った行事が、今迄で最も著明なものであり、他のクラブも又これと同様の面積のコースを採用して居る様である。
ワンコーストライアルの利点は、全ての犬が同じ地域を走る事になるので、その捜鳥能力は正確に同じ状態に見なして良いと思われる点である。

(8) 多くの人々の意見では、このワンコース・トライアルに対する人気の主な理由は、ゲームに好都合な場所を集めたり、観覧席に居て犬のランニングを見たりする事が出来ると言う事である。従って私の考えでは、犬に充分な試練を与えるのみでなく、猟鳥の居場所が観客に良く見える所に位置されて居る様工夫しなければいけない。この様な観客の為の席は小山の頂上等に位置され、肉体的ユネルギーを全然費やさないで、スリルのあるレースが眺められる様にすべきである。


(9) コースに放し飼いにされた猟鳥の供給、又は鳥の居場所はトライアルを続けるのに充分な程度に考慮しなければならない。
 ワンコーストライアルを援助して居る幾つかのクラブでは計画を練るのに必要な地形上の地図を持って居るし、多様なコースをもつトライアルを維持して居るクラブは完全な地域の地図を持って居る。

(10) 良いトライアル・コースを確保して居るクラブでは、その土地の借地契約を手に入れて居るし、必要ならば猟鳥を補給して居る。これは、その土地の猟鳥の繁殖を援助したり、貯えたりして行われるが、同様に鳥や動物の飼育に必要な植物を植えたりする事により行われて居る。    


(11)家の近くにトライアル場を作る事も非常に良い事である。若し適当な場所がある場合、公共心のある、又スポーツへの理解のある鳥猟犬愛好家なら、その地域にトライアルの為の立派な競技場を作るのに一役買うべきである。また、観客達もこの戸外の陽気な雰囲気を健康なリクレーションとして楽しむべき事である。


※競技場の発達


 トライアルを行うのに申し分無い土地の問題が戦後注目をあびて来て居る。
 ワンコースの行事を後援する団体は最適な状態でトライアルの目的を達せられる様役に立つ土地の発展に力を尽して来て居る。又その様な土地の長期間の借用権を持つか、又は所有権を持つ様努力して居る。
 (英国セター協会)英セター協会の様に協会自身のトライアル場を所有して居るものもある。
 アメリカのアマチュア・トライアル・クラブは150以上のトライアル協会の主軸であるが、その協会の会員クラブのみでなく、全てのトライアル団体や、又自然の状態で獲物を保護し、トライアルを行うのに役立つ様な土地を確立するアメリカ猟物保護局の活動に対して最大級の援助を与えて居る。

 ニュージャージー州のマウント・ホーリーのハロルド・ロングドルフ博士は猟鳥を殖やし、トライアルの目的に役立つ隠れ場を作る仕事の先頭に立った人である。

 ミズリー州のガラテインのクラークダイナアブル氏はアマチュア協会の理事であるが、永久のトライアル場を設立する様に熱心な努力を続けて居る。

 我々はU.S.Fishや野生動物事業の創設者で野生生物協会の会長イラ ガブリエルスン博士にトライアル場の発展に関する事を書いて貰ったが、彼の言おうとして居る事は興味深く又価値がある。
「このスポーツに関係する人なら獲物が十分あり、色々なコースに分布して居る事がどのトライアルをも成功させる為の根本条件である事を知って居る。そして全体の土地に同じ様に猟鳥を分布させ供給しなければならない。

トライアル場を設立する為に、後援団体は猟鳥が好む様な状況を作る様あらゆる方法をとり、最大量の猟島を保てる様努力しなければならない。
ウズラ猟犬が走る場所は本質的には耕作地を使用するので、ウズラを充分に分布させると共に普通の飼育の点も考えなければならない。


トライアル場を改良する全ての計画の基盤は土地保護事業協会の規則の中に見出す事が出来る。
土地保護協会は農業と調和する野生生物の生存を認めて居る。或る地域が「野生生物の地域」と指定され、これ等の地域は主要な収穫と共に野生生物の産出に最も適したものであると考えられて居る。
土地保護協会の規則に含まれては無いが、慣習とされるものの一つに耕作地がトライアルに使用され、その結果作物の収穫が無かった場合、新しく作物を植えるために必要なものを農家は受けるべきである。
保護地外のトライアル場でも基本的な仕事として土地を保護するために特別な事がなされるべきである。
既に住みついて居る鳥の群に対しても改良対策が必要である。十分な食べものを与え適切な隠れ場や、自然の敵から逃れる様な状態にして置かなければならない。
特に新しい鳥の群に対しては、自然の敵から逃げる為に薮に覆われた渓谷や木の生い繁って居る小川等や周囲に密林が多くあり又、クワ、野生スモモ等の食べ物のある土地を用意しなくてはならない。松類の茂みは冬の隠れ場として役立つ。又黒イチゴ、キイチゴ、野生のバラも自然の食物となり隠れ場となる。
春・夏・秋にはウズラの食物は雑草の種とか、昆虫、野生の実等沢山あるが、初春や冬には人工的な飼養が必要である。

必要な土地や食糧が提供され供給されれば、ウズラは保護され、又他の土地からやって来て自然に繁殖し改良された環境の中でどんどん増えていく冬の塒となる場所の改良はトライアル場に於けるキジの数を増すのに大変重要な事である。冬の塒として低い木々が密に生えた沼地が最適である。
冬の厳しい寒さの時期(厳寒期)にはキジは塒の近くに居る様であるから、その近くに食べもの畑や、冬には食糧を与える場所を用意しなければならない。
キジの為には、安全な巣を提供する様あらゆる努力がなされなければならないが、キジは干し草や小さい穀物畑を巣として好むので、多くの巣は作物の収穫の時穀物と一緒に取り去られ、壊されてしまう。干し草のうねや穀物畑の辺の方を残して置く事は巣を保護するのに有益である。

若いキジの群れは普通成長する迄は孵化した場所に留まって居るものである。
トライアル場が何の季節にも役立つ隠れ場や十分な食糧を与えるのに十分な状態になった時猟鳥を最大限の数に増やす為に繁殖用のキジが放される。
孵化してから12~16週目の鳥はこの目的に最も適して居る。
初秋に放されたものは普通最も成功率が高い。
又約10羽位宛小さな群に上手に分布する様に放さなければならない。これ等の若い鳥は土地の状態が適して居るならばトライアル用として充分役立つ事が出来る。

一度捕獲されてから放されたキジは、他の高地のウズラや種類の違う猟鳥程土地になじまないので、成長したキジを競技のために猟場に放す事もあるが、これは鳥の選択さえ上手くゆけば大体成功する。
今一つの問題として土地を改良し満足出来る様な競技場を作る為の費用の点がある。
トライアルに使用する為に借りた土地の代金は耕作者や地主に払い、絶対に借金をしてはいけない。
猟鳥の為の土地を改良するのに根本的に必要なものの90%が土地保護協会によって擁護され、近代農耕法の中に含まれて居る事を考えると、残りの比較的少ない部分であるウズラやキジの様な高地猟鳥が繁殖出来る様な土地にする為に、トライアル団体が団体自身の費用でしなければならない。

※審査と審査員


 トライアル組織の役員が何時も直面する重要問題は審査員を選ぶ事である。立派な審査員はトライアルを成功させる基本的な要素である。
 実際的には審査員の選択には制限がある。その一つは経済的な問題で、遠くから審査員となる人を呼べない事である。酌量すべき事情や経済的理由のある時は別として、審査員は競技を後援するクラブと関係を持たない人がなるべきである。習慣からクラブ役員が審査員になる場合があるが、多くのクラブは、そのクラブの会員外から選ぶ。
 最も良い方法は住んでいる場所に関係なく、経験を積んだ能力のある狩猟家を審査員に選ぶ事である。
 今一つの問題は日程の問題である。他の仕事のために決められた日に審査員としての仕事を出来ない時がある。
 クラブ役員はアメリカン・フィールド・パブリッシング・クラブに要求すると、経験ある審査員と名前と住所の名簿を得る事が出来る。
 普通審査員は2名か3名である。多くの役員は前以て審査員になる人に、もう一人又は二人の審査員となる人の名前を知らせるのを習慣にして居る。
 審査員となる人がもし何かの理由で、もう一人の人と一緒に審査の仕事が出来ない場合は、前以て断る事が出来、その場合は又別な人を選べば良い。審査員としての職務を果すには色々危険な事がある。
 クラブ役員以外から審査員を選ぶのは審査に起こりがちな誤りを取除くためでもある。
  若し審査員が飼い主や訓練者の知り合いだと、2頭の犬の能力や素質を明確に述べるのは難しい事だし、又は友情が判定に影響するのを怖れて却って極端に逆の態度をとって審査を下すかもしれない。
 審査員の職務は必要に応じて犬の出来映えの真価を見極め、トライアルに於ける勝利犬を決定する事である。経験豊かな審査員なら決定を下すのに間違いを起こす事はないであろうが、注意すべき点は、犬の以前の動きに影響されない様にする事である。



※勝利犬の選択

 審査員として第一級クラスの能力のある人は、決して一時的な判定は下さない。彼らの豊富な実際的な経験と、審査員として望ましい気質と、鋭い感覚を持つばかりでなく、ほんの一瞬の間の犬の出来具合を細かく記憶して居る。
最初の種目の出来映えの良さによって起きる誤りについて、審査員への警告として良く次の様な事が言われる。
「最初の組で素晴らしい犬が居た事で夢中になってはいけない、トライアルは最後の犬が走り終る迄は終りでない」
又、同様の注意が後の方の組にもなされる。
「最後の印象が重んじられるのは心理的事実である。後の方の種目で、1頭の犬又は一組の犬が素晴らしい動きをすると、前の組の犬の出来が薄れてしまう」
この様な忠告が審査員にとり必要だと思われたので良く言われる事である。ところが、本当に初めや終の方の組が有利であるかどうか疑わしいので80の代表的な種目を試みに分析してみた。
 例えば1つの種目に24頭の出場犬が居たとすると12組の組合せの内、最初の四つの組を”始めの組”5つ目から8つ目の組を”中間の組”後の残りの組を”終りの組”と名付けた。


 80種目の分析の結果、優勝犬は次の通りである。


始めの組    25
中間の組    24
終りの組     31


良いレースをした犬と組んだ犬は点が辛くつけられ、前の犬(良いレースをした犬)は最終判定に於て、大目に見られ勝ちだと言う意見もある。分析して見ると如何であろうか?
 意見とは反対に、アマチュアオールエイジ種目の勝利犬129頭を調べてみると、その内34頭は同じ組の犬である。
大体勝利犬の25%が同じ組の犬である。19種目の勝利犬を分析して見ると次の通りである。
            第一位  第二位   第三位  勝利者合計
始めの組  …………  6      7      5     18
中間の組  …………  6      5      9     20
終りの組   …………  7      7      5     19


以上の数字から、審査員は始めの種目から終わり迄、どの競技犬の出来映えも注意深く観察し、記録して居る様に思える。従って最早、始めの方で走ろうと、終りの方であろうと判定に影響を与える事は出来ない筈である。
 費用の点で、審査員としての報酬は支払われるかどうかと言う問題がある。必要な出費以外に審査員の為に報酬を望む者は極く稀である。 
 審査員が、その責任を果す場合、審査員は世の批判に身をさらす事になる。多くのトライアルマンの中には審査員の決定に異議を申し立てる事を、彼らの特技の一つだと思って居る人も居る。それらは決して犬の技能の正しい判断でもなければ、建設的な意見でもないが、輝かしくない慣習と言う事で、ある一部は我慢して聞かなければならない。
 多くの愛好者が犬の働きを同時に、同じ様な見方で見、出来映えを同じ様に評価する事は出来ない。これらの見方からの種々の意見は、トライアルの要素でもあり、又魅力ある兢技の特色でもある。
 真の鳥猟犬の愛好家や熱心家なら審査員の決定に異議を申立てる様な批評家には弁護はしないだろう。審査員や彼等の決定は何時でも威厳と受けるに足りる礼儀とを持って受け入れられるべきである。



※審査員が乗る為に相応しい馬


 トライアル行事の中で問題を起こしそうなものの一つに兢技を追う馬の質がある。参観者の為の馬を提供するのは、クラブの役員の義務であるが、審査をする人の為に良い馬を提供するのは、その兢妓会を後援するクラブにとって最も重要な事である。
 競技中、全てを見ようと注意し全力を尽す審査員の職務を果すために、審査員は正しく馬に乗って居なければならない。制御するのに沢山の注意の要る馬だと犬を完全に見守る事が出来なくなる。彼の仕事は馬を見守る事ではなく、犬の出来映えを見守る事である。審査員は馬に乗って上手に犬を追う事が出来なければならない。
 責任を果す為には、馬は足のしっかりした敏速な歩行で、賢明な、手綱に従うものでなければならない。
 若しクラブが審査員から良い結果を得ようと望むならば、クラブは適切な馬が用意されたか否かを調べるべきである。
 望ましくない馬は蹴る癖のある馬で、これは犬にとっても危険である。その他銃声を恐れる馬、興奮する馬は望ましくない、又蹄鉄は打ち直して置く必要がある。この様に、トライアルが始まる前に審査員の為に、手許に適切な馬を用意する事をはっきり決めなければならない。



※良く知られて居る狩猟鳥について


 北アメリカの高地の猟鳥は広く、長い間狩猟家に楽しみを提供して来た。これ等の多くはトライアルに使用され、犬が捜す獲物として当てられて居る。ウズラ、ライチョウ、エリマキライチョウ等の様に国産のものや、移植に成功した外国産のキジやバンガリアン、ヤマウズラも長く知られて居る猟鳥である。
 実際にトライアルでは色々な種類の猟鳥が使用され、渡り鳥やヤマシギ、ホロホロ鳥等も幾つかのトライアルで使用された。
 然し、最小限の要求では承認された猟鳥を指定して居る。


○ボブ・ホワイト(コリン・ウズラ)

 ウズラは競技用の能力を持ち、敏速に飛翔し、賢く、犬の捜索力や嗅覚能をテストするのに充分であり、犬にとっては扱い難い鳥である。
 騒げば騒ぐ程近くに寄ってくる性質はトライアルにとって最も望ましい鳥である。又住家から余り遠くに行かないので、その住家の近くの何処かに見出す事が出来る。彼等がその臭いを如何にして隠すかは未だはっきりと立証されて居らない。
 ウズラは広く分布し、耕地に好んで住んで居る。害虫を掘り出して食べたりする。
 ウズラの羽の色は天候や季節によって変わる。又秋や冬には群れをなして居る。
 フロリダの種類としては、学名コリヌス・バージニアヌス・フロリダーヌス、或はコリヌス・バージニアヌスが居り、テキサス、メキシコの種類としてコリヌス・バージニアヌス・テキサスヌスがある。
 何れの猟鳥も異なった性質を持っていて、狩猟家に愛されて居る。


○ライチョウ(プレイリーチキン:グラヴス)

大草原や牧場に居るライチョウは初秋に良く見かける事が出来る。この鳥は秋に使用されるが、冬に近付くにつれて野性味や飛行が妨げられる。
 ライチョウは神秘的で森林の知識人と言われる程で、この鳥の愛好者は、こんなに変化に富み、興奮やスリルを与えるものは他にはないと信じている。この猟鳥は密林、ハンノキ、西洋ニワトコの茂み、牧草地や山の尾根等に分布している。
 主な協議会はミシガン・ペンシルバニア、ニューイングランド州で行われて居る。ライチョウのトライアルは見もので、犬は良い鼻と突進力と決断力を要求される。
 ヤマシギもライチョウの茂みに見付ける事が出来る。


○キジ(フェザント)

イギリス、中国やモンゴリアのキジはアメリカでの繁殖に成功し、国内産の猟鳥が減って来た所では狩猟家に重宝がられて居る。キジは人里近く住み、都会でも多く見出される様である。現在では・この国の多くの場所で見る事が出来る。
 キジの隠れ場はウズラやライチョウの隠れ場より大きく、うつそうとした茂みに居る。又湿地帯の低地や刈り株、雑草の生えて居るうね等にも居る。


○ハンガリアン・パートリッチ(ヤマウズラ、イワシャコの類)

外国産のヤマウズラはもっと広く分布し、牧場や短い刈り株等を好んで居る。用心深いこの鳥は秋には群鳥としての隠れ場が無いので群としてつかまえる事は難しい。
 トライアルの為として、この鳥を使用するのは春が一番良い。


○カリフォルニア・バリークエル (ウズラ)

 鋭敏な競技用の素質を持ったこのウズラは1940年代書記に、カルフォルニア クエル チャンピオンシップが組織された時に広く知られ渉った。
 カリフォルニアのウズラには4つの種類があり、これ等は殆ど同じで、只分布して居る場所が違うだけである。
即ちカルフォルニア ヤマウズラ、カリフォルニア砂漠ウズラ、カリフォルニア ウズラ、そしてカリフォルニア渓谷ウズラである。
 優秀な猟犬なら適切な訓練と十分な経験を積めば、全ての種類の鳥に使用する事が出来る様になる。それでも、ウズラ用の猟犬の訓練方法はライチョウ用猟犬の方法とは違う。この違いとは、鳥の居る場所や隠れ場を捜す方法である。ウズラは色々な種類の隠れ場に居るので、猟犬は時に応じて、その隠れ場に適した働きをし、猟場のコースをくまなく捜さなければならない。
 ライチョウ猟犬は茂みの中で左右に動き、訓練者の前を隅から隅まで歩き回らなくてはならない。何時でも早さと決断力と智能と鋭く嗅ぎ分ける力が猟犬にとって必要な能力である。
 チュッカー パートリッヂもトライアル用として用いられる。


※競技の抽選


 クラブがトライアルを行う前には多くの準備が必要であるが、抽選もその一つである。色々な種目の出走犬の抽選は普通トライアルが始まる前の夕方に行われる。トライアルの日程は予め定められ、行事の通告が新聞に掲載されて居る。
 或るクラブでは出場犬のしめ切日を定めて、その日を過ぎると参加を認めないクラブもあるが、罰金を取って、締切日以後抽選日の前迄は参加を認める団体もある。多くのクラブでは抽選の時まで参加犬を締め切らないのが普通である。
 抽選はトライアル本部が置かれてある町のホテルか公立の場所で行われる。
 トライアル開催日の前日の夕方に、一度に全ての種目の抽選が行われる事が多い、時には各々の種目毎にその前日の夕方に、それぞれ抽選する方が良い場合がある。
 書記が参加犬名簿を全部読み上げると、参加犬の名は、一頭まで紙に書かれる。その時は犬の訓練者名も一緒に書いた方が良い。これは同じ人によって訓練された2頭の犬が一緒に戦うよう抽選された時、直ぐ分かるからである。これ等の名前を書いた紙は帽子等に入れられ、直接その種目に利害関係の無い人が紙を引く。引かれた紙は別の人に渡され、その人は皆に聞える様な大きな声で読み上げる。
 この様にして一組となって戦う犬が抽選される。
 時には同一の所有者、又は訓練者の2頭の犬が一緒に走る様に抽選される事がある。その時は2頭の犬の内、2頭目の犬を止めて、次にクジ引きされた犬が最初の1頭と組になる。
 出場犬の数が偶数なら良いが、奇数の場合、1頭の犬が組にならないで残される。その犬は組む相手のない犬と言われる。審査員はその犬1頭で走らすか、又はその犬と一緒に走らす犬を選ぶ。
 発情中の牝犬はその旨紙片に書かれるのが常である。
 若し普通の抽選方法をとって、後1頭の牝犬と組になった時は良いが、牡犬が相手として選ばれた場合は、他の牝犬が相手として選ばれるまで、クジ引きをやり直さなければならない。
 抽選が全部終るとクラブ役員が次の日の最初の一組が競技する正確な時と場所を知らせる。
 如何にして出発点に行くかが指示され、又交通や馬、支払うべき馬の借り料等についても知らされる。
 抽選結果を関係者や参加者に便利の様にロビーやホテル、又本部の掲示板に示すのも良い方法である。又抽選が終ると、それを直ぐ印刷にまわし、登録された名前、性、生れた日、所有者名等を適切に示した表を作り、次の日の集会に配る為用意するクラブもある。
 以上は代表的な抽選方法である。抽選の規則を固守する事は大切な事である。
 最小限の要求に従い、且つ資格ある役員が認める時だけ、この抽選方法は変更する事が許される。


※土地の必要性


(1) 鳥猟犬のトライアルに適した場所とは、先ず、犬が走るのに都合が良くなければならない、望ましい土地の選定はトライアルの際、先ず、第一番に考えなければならない事である。


(2) では、どの様な状態のものが良いトライアル地域かと云うと、中々、一口では表せない。
 これはベテランの愛好家なら直ぐ分かる事である。従ってその選択は資格のあるスポーツマンにまかせるのが良い。若しクラブのメンバーの中に経験者が居ないのなら、能力のある審査員、或いは土地から土地へと馬を乗り回して居るハンドラー等の意見を聞くのが賢明なやり方である。

(3) 選定されるべき土地は次の見地から試みて見るべきである。
A. 狩猟鳥(ゲーム)         

B. 適当な鳥の隠れ場があるか否か(オブジェクト)
C. 土壌の性質、土地の特色
D・ 土地の使用権及びその用地を永久に使用する事の将来の見込
E. 本部と連絡がつき易いか否か
F. その地方の利益の問題

 先ず、猟鳥は一番大切な事である。必要とされる猟鳥はウズラ、ライチョウ、キジ、エリマキライチョウ(北米)、又はハンガリア ライチョウ等で、好ましい結果が得られるならば、これ等の猟鳥を十分に補給しなければならない。トライアルの場合、猟鳥は数少ないよりも、物凄く豊富な方が良い。


(4) 猟鳥の隠れ場に関しては、ボブホワイトの場合ならば、望ましい隠れ場は薮や垣根や森の様な所で、猟犬が勇敢に恐れ気もなく獲物を探し求められる様な所が良い。エリマキライチョウは耕地や平たい切り株等を隠れ場として好む。キジは沼地の草原とか湿地帯等を好むと云われるが、実際には、トウモロコシ等の刈り入れが終って、高く積み重ねられて居る所や、藪の茂みとか森等に見掛けられる。
 理想的なキジ場とは気候の状態とか、一日の内の時間等によって色々と隠れ場が変化するものである。
 エリマキライチョウは、シダの生える沼地などで見受けられる。 選定される地域は、この様な事を考慮に入れて良い競技が出来る様にあるべきである。

(5) 土壌の性質や、土地の特色等は或る程度、猟場の隠れ場の状態と重複する。土壌は乗馬に適するものでなければならない。若し底が沼地とか、深い堀等であったなら、一度雨が降れば使いものにならない。その様な場所は春のトライアルの場合は避けなくてはならない。
夏や秋は適当なトライアル場は幾らでも得るかも知れないが、この時季に使用した土地を湿っぽい春に使用するのは極力避けなければならない。又気温が高く乾燥したコースは理想的な猟犬を作りあげるのに良くない。


(6) 土地の問題であるが、規模の大きい長く続いて来たクラブの経験によれば、トライアルの為の土地を手に入れる最も上手なやり方は、地方勢力のある人を仲に立てて農民や市民と交渉して貰う事なのである。その様にすれば双方にうまい解決法が見出されるであろう。

(7) 地主の権利は常に尊重されなければならない。例え、その土地がトライアルの為に使用する認可を受けたとしても同じ事が言える。参加者や観衆は、作物を踏み捻ったり、塀を抜いたり、壊したり馬で乗り回したりしない様注意を払うべきである。
 若したまたま損害を与えた場合は、直ちに土地の所有者の言い分を満足させてあげなければならない。土地の貸借に関して農民への報酬等も話し合いで解決すべきである。


(8) 今日では良い道路があらゆる所に網羅して居るので、トライアルの場所と本部(言い換えれば関係者の宿泊して居るホテル)との連絡は大変便利になって居る。
数年前迄はトライアルの場所まで行くには馬で10~12マイルも走らなければならなかったが、近代的な自動車と立派な道路のお陰で目的地迄行くにはほんの2~3分もあれば足る様になった。

(9) 地方の利害関係はトライアルを成功に終らせるのに重要な事である。クラブの役員は農民への善意を示すと共に、市民の強い支持を得られる様努力すべきである。これ等の人々にトライアルの成さんとする目的を説明する事も地方の人々の支持を得るのに良い。
 若し本部を置いてある町が商工会議所を持つ位大きいものである場合は、そのセクレタリー(書記)がクラブの為に一役買って呉れるだろう。

トライアルの為の最小限の要求


アメリカのアマチュア・フィールド・トライアル・クラブに採用されたもの。
次の条件に従がわないで優勝した場合、その優勝は無効となる。


1. クラブの名前、トライアルの行われる場所、書記の名前と住所をトライアルの行われる日より少くとも、7日前迄にアメリカン・フィールドに通知する事。
又どの競技種目も完全に記し、参加者名簿と一緒に競技組合わせ、抽選より少なくとも6日前迄にアメリカン・フィールドに通知する事。

2. 認められた種目は次の如くである。
a). バビーステイク
各年の1月1日~6月30日迄に行われる競技では、その年の1月1日~6月30日迄に生れた犬、或は前年の1月1日以降生れた犬のために行われ、各年の7月1日~12月31日迄に行われる競技では、その年の7月1日~12月31日迄に生れた犬、或は前年の7月1日以降生れた犬のために行われる。
b). ダービーステーク
各年の7月1日~12月31日迄に行われるダービー競技は、その期間に生れた犬、又はその前年1月1日以後生れた犬の為のもので、1月1日~6月30日迄の競技は、その期間に生れた犬、又はその年の2年前の1月1日以降生れた犬の為のものである。
トライアルでは鳥猟犬の誕生日は普通1月1日とされる。
c). オールエイジ・ステイク:全ての年齢の犬の為のもの。
d). ォープン・ステイク :犬や訓練者に対する何の制限もないもの。
e). アマチュア・ステイク
全ての訓練者がアメリカのアマチュア・フィールド・トライアル.クラブの付則に定義される様にアマチュァでなければならないもの。
f). チャンピオンシップ・ウィナー・ステイク
勝利はアメリカのアマチュア・フィールド・トライアル.クラブによって認められたアマチュアの選抜試合にのみ記録される。又、アメリカン.フィールド・パブリッシングカンパニーとフィールド・ドッグ・スタット・ブックによって認められた公開試合の時のみ記録される。

3. パピー・ステイク以外の全種目の長さは最低限度30分である。パピー・ステイクの競技の長さは最低15分である。

4. ある種目を行うと通知した日の前後迄に、その種目の抽選を行わなければならない。

5. 抽選が行われた後では、犬を交代させる事は出来ない。

6. 全ての組の犬は審査員が前以て承認したもの以外は全部抽選通りに出走する。

7. 抽選が終った後には、新規の参加希望はうけ入れられない。

8. 1組の犬は、その犬が同じ種目のものであろうと、なかろうと関係なく、同時にコースを競走する。

9. 獲物は籠に入れたり、ビッコを曳いたり、ハサミで翼を切られたりして居ない、飛行を妨げられて居ない、認められた猟鳥を追いかける。

10.発情中の牝犬はトライアルのワンコースを走る事は許されないが、審査員の意見で、他の参加者に対して公平である事が保証される条件の時のみ、複式コースに出場する事が許される。
 以上の要求に従わない競技の勝利は記録されないし、又、若し記録されたとしても、それは無効となる。
 コースは十分な鳥の隠れ場と、犬が捜すのに役立つ目標があると良い。鳥猟場は、鳥が隠れるのに十分な場所と共に犬があまり傷つかないで獲物を捜せる位の広さが必要である。隠れ場所や目標は変化がある方が良い、鳥猟場の広さは最低5エーカー(20.000㎡約20反)である。
 一般に良く知られて居る通り、アメリカン・フィールドとフィールドドッグ・スタットブックは全て認められたトライアル種目を記録し、その結果の永久記録を保管して居る。
 或るクラブがそのクラブの行うトライアルを承認して貰いたいのなら、競技が承認された最小限の要求に従って居る事が必要である。これ等の規則は1946年1月1日に効力を生じ、以後広く受け入れられて居る。
 それ以前多くのクラブは大体似た様な方法でトライアルを行なって居たが、未だ特別な規則は無かった。
 幾つかのクラブが狭い鳥猟場で略式の競技を行なったり、一つの組として、すでに定まって居る犬を変えたり、新しい参加者を加えたりし、その他色々不秩序な点が多くなったので模範となる規則の発表が必要となった。
 永い間トライアルは習慣や経験、伝承のもとで栄えて来たこれ等の習慣が最早全てのクラブで認められなくなった時、或る団体は彼等自身の独得な規則を表明したが、これ等の時代にたえて来た経験が必要だという事が明白になった。と言うのもトライアルは多くの人々に楽しみを与えるだけでなく、より良い鳥猟犬の飼育に貢献し続けて来て居る事でも明らかである。


※トライアルの規則


(1) トライアルと言うものを規制して居る、あの最良の規則は1日で出来たものではない、規則は伝承され、それが数を増し、如いては慎重な審議のもとに変更され今日に至って居るものである。

(2) 現在のトライアルの規則は完全であり、且つ現在の状態に適したものである。アメリカに於ける猟野競技会を援助して居る組織の多くは、会合を開く事によって素晴らしい規則を作り出して居る。最も望ましい規則とは明確で、理解し易く、且つ完全なものである。これ等の規則を作るには、先ず、理想的な猟犬を研究しなければならない。
鳥を捜す為に早く猟野を走り、教えこまれる試練に適応する様な理想的な猟犬は競技会系の犬か、実猟系の犬に限られるかも知れない。

(3) 会の運営は、その組織の運営者に委任されるであろう。彼等は規則に照らして与えられた全ての事柄を解決して呉れる筈である。規則の判断は審査員がやってくれるだろう、審査員の選定は運営者が定め認定され次第直ちに公表される。

(4) 参加する犬は全て名前・品種・年齢・色・特色・そして若し登録されて居るなら、その登録番号を記されなければならないし、又その持ち主やハンドラーの住所氏名等も同時に記入されなければならない。

(5) 犬や競技に関して、不正な事をした人は誰でもこの組織のトライアルで戦う事は出来ない。

(6) 犬は抽選で引き出され、順番に番号を付けられる。最初の部が走り終えた所で、審査員はもう一度見たい犬を報告する。

(7) 同じ持主による2頭の犬が出場した場合、先づ2頭の犬が一緒に走らせられる。そして二番目になった方が次に出場する犬と場所を変える事になる。

(8) 組み合って行う競技の場合、相手が無くて一頭残された犬は、一頭で走らせるか或は審査員の承認を得て選抜された犬と一緒に走らされる。(バイドッグ)

(9) 犬が故障した時、所有主は自分の犬に手を加えてはならない。他の人をその犬を取扱うのに代理させる。
ハンドラーは自分が最良と思う方法で犬を導かなければならない。馬に乗る事も、歩く事も許されるし、声・笛・手を用いる事も許されるかも知れないが、不必要な雑音を入れる事は許されない。

(10) 総てのハンドラーはルールに規定されて居るものであれば、審査員の要求する如何なる事にも服従しなければならない。その様な要請が無視された場合、審査員は、そのハンドラー及び犬を棄権させる権利がある。

(11) 審査員、リポーター、そしてその犬の所有者以外は如何なる人もハンドラーに同伴する事は許されない、所有者は審査員に同伴出来るし、リポーターは犬の走行について記録しなければならないからである。然し、審査員の許可無くしてハンドラーに如何なる助力をも与える事は許されない。

(12) 競技の進行中審査員の業務を妨害したりする者は直ちに退去を命ずる事が出来る。


※相手犬が無い場合の処置


 色々なクラブでは、その個々のクラブの規則、或は一般的な競技法則によって、この種の犬の処置権を審査員に一任して居る。
後者(一般的競技法則)では、この様な場合、その犬は審査員により選ばれた犬と走るか、或は自分だけで走る事となって居る。



※トライアル・クラブの団結


 トライアル・クラブの平均会員数を述べるのは不可能であり、ポインターやセターのトライアルに熱中して居る狩猟家が何人居るか合計を出すのも不可能である。然し、この国の多くの場所で、多くの人々がトライアルに関心を持ち、楽しみを得て居るのは確かである。
 如何にトライアルが熱心に受け入れられ、広まって居るかは過去20年間のトライアルの年平均が15、845頭の犬によって1,102種目行われた事を以てしても分かるであろう。
 クラブが大きくても小さくても、重要なのは会員の鳥猟犬競技に示す関心のあり方である。
 クラブの役員が当面する問題は、新会員にトライアルの根本の概念と一緒に猟野競技を実地に知らせる事である。最も良い方法は勿論、実際に経験する事である。新会員が競技参加犬の出来栄えを熱心に観察し、研究するなら、勝利を得た犬の才能を見出す事が出来、次には真のトライアル犬を作り出すのは何かと言う事が分るであろう。
 団体は多くの獲物と共に、自分達の土地で行われる興味深いトライアルを後援しなければならない。
 近隣地域の他のトライアル・クラブの競技に会員が出席し、それを後援する事を役員は奨励した方が良い。これは新会員や熟練者が優良鳥猟犬の出来ばえを原則的に訓練するのに良い経験となる。
 役員達が、新会員に鳥猟犬の訓練やセターやポインターについて書いてある良い本を読む様にする事である。
 アメリカン・フィールドを定期的に読む事によって競技を行う狩猟家の名前や、多くの競技犬の能力や、アマチュア・トライアルの優勝犬の行動を直ぐ知る様になる。
 アメリカン・フィールドは75年の間殆んどの競技会系の犬やトライアルに尽して来た。そしてトライアルの興味を十分認めさせるに足る唯一の刊行物である。
 アメリカン・フィールドを定まって読む狩猟家はトライアルの愛好者となり、クラブの熱心なそして価値ある会員となるであろう。        


※プログラム(出犬表)の綱成


 クラブは専門的訓練者にも、アマチュア訓練者にも魅力あるプログラムを作る様に努力する。プログラムを作る時一番最初に考える事は長たらしい、厄介な計画を立てない様にする事と、他のクラブがトライアルを行った直後に自分達のクラブのトライアルを行わない様にする事である。
 我々はこの章で別に模範的なプログラムを作ろうと言うのではない、トライアル種目として認められた色々な種目について語ろうと言うのが我々の目的である。
 クラブがトライアル計画を練る時は、最小限の要求を確認し良く調べる事が必要である。
 鳥猟犬トライアルの種目は沢山のクラスに分けられるが、主な区分としては、パピー、ダービー、オールエイジに分けられる。これは年令別的な分け方である。
 又専門訓練者の馬のものや、アマチュア訓練者の為の競技もあるアマチュアと言うのは、普通、訓練者にのみ使われる身分である。犬の以前の勝利記録がどうあろうとも、その犬が確かにアマチュア訓練者の指導を受けたものであれば、アマチュア競技の出場資格を持って居る。
 1946年1月1日以前には、パピー、ダービー、オールエイジの三つの分け方より、もっと細かく分けたものがあった。
 例えば、ジュニア・パピー・ステイクとか、スイーニア(年上の)・パピー・ステイク等の分け方もあった。
 ジュニアの方は、行事が春に行われる場合は前年の7月以降生れたものの為で、スイーニアの方は前年の1月1日以降生れたものの為である。
 オープン・オールエイジ・ステイクはその犬の以前の勝利記録と関係なく、全ての年令のポインティング・ドッグの為のものである。この競技には別に制限と言うものはない。
 アマチュア種目は年令には制限は無いが、出場犬はアマチュアによって訓練されたものでなくてはならない。簡単に言えば、アマチュァとは鳥猟犬を訓練したり、指導したり改良したりする事で報酬を、直接的にも間接的にも得ない人の事である。       ‥
 メンバーズ・アマチュア・ステイクでは飼主や訓練者が、その団体の会員であるのみでなく、アマチュアである事が必要である。
 ガンドッグ・ステイクも承認された競技種目である。出場者は所謂シューティング・ドッグの線に沿って審査されて居る。
 他の種目として、チャンピオン・シップやウィナー・ステイクを挙げる事が出来る。このステイクに出場するためには・普通の場合は、出場犬はトライアルで認められた種目、即ちダービーやオールエイジ種目で前以て三位までに入賞する事を必要とされる。
 以前に公認されたトライアルで入賞した事の無い犬の為にはノービス・ステイク(新人種目)がある。
 又、子供達、婦人達や一対の種目もあるが(これ等はカバードッグ種目と言われるが)、新人種目は最低限の要求に従って居ないという理由で、競技結果は記録されないが、面白い種目として注目される。


※重要な諸事項


(1) 一般にパピーの出走時間は20分位のものであるが、その時により気候や状況に応じて15分位に短縮される事もある。

(2) ダービーの出走はチャンピオン戦を除いては、普通30分位である。これは現在の賞金付ダービーに要求される最低の時間である。

(3) 嘗ては賞金付オールエイジの多くは、第1回の競技が30分位のものだったが、最近はもつと長いレースになりつつある。
   ナショナル・チャンピオン・シップはその特異性を見て、オールエイジ競技を30~60分迄延ばす事を要請した、いくつかのクラブは一試合45分位で、賞金付オールエイジ競技を実施している。
    又他にも1時間半~1時間15分位のものもある。
   ナショナル・チャンピオン・シップは第1回目の勝利を飾るには、少なくとも1時間なくてはならない。

(4) 時間的制限がクラブの規則に規定されて無い場合、審査員は審査を下す前に、逸走(それて走る)した犬がコースに戻る様に出来る為20   分間の余裕を与える事が出来る。

(5) クラブがそのメンバーやトライアル支持者に魅力ある賞金付トライアルを準備出来る事は必要な事である。
   運営者は参加者とか訪問者達のホテルの準備とか、競技に出場する犬や、馬を利用する人々の為の馬の収容等々の諸事項を考慮しなければならない。

(6) 公のプログラムの発表はアメリカン・フィールドを通じてなされるべきである。トライアルの日程が決定次第、宣伝委員会の議長や秘書はクラ   ブの名前や日程が、大会開催日に掲載出来る様アメリカン・フィールドの編集者に通告しなければならない。

(7) トライアル開催要綱用紙が用意され、前以てトライアルの日程が印刷されるべきである。
   これ等の要綱用紙は全ての詳細、即ち会を援助するスポンサー名、トライアルの開催される場所、出発時刻、何処に本部事務所を置くか、又抽選の場所と時間等が述べられるべきである。
   又、賞金、タイトル、諸経費等も充分に記述されるべきである。又それには審査員の住所氏名やクラブの書紀や又特別な人々を掲載すべ   きである。
    出場する犬についても、その名前、FDSB登録番号、品種、性別、出産日、毛色、両親、その所有主とハンドラーの住所氏名等も詳細に   記入しなければならない。

(8) ナショナル チャンピオンシップは懸賞金として、ここ数年来$1,500ドルを費やし、その上、犬の所有者にもトロフィーを送ったりした。トライアルの歴史の中で最も大きい賞金の額は、イリノイ州のバーノン山でのアメリカン・フィールド・クエル・ヒュチュリティー(1946年)で、その時には、$6,000ドルと云う高額であった。

(9) 市販ドッグフード会社ではトライアル・クラブ用のトライアル要綱用紙を備えつけて居る所もある。

(10)鳥猟犬トライアルを完全なものにするには、全て詳細を熱心で、然も熟慮するクラブ員などにあおぐのが良い。このトライアルを成功させるには大部分審査員の能力のある無しにかかって居ると言っても過言ではない。従って有能な審査員が必要な訳である。

トライアル・クラブ
 

一般に認められて居るトライアル・クラブとは、セターやポインターの為の猟野競技会の振興というはっきりとした目的の為に団結した狩猟家の団体である。
 組織を完備されたものにする為に先ず役員の選挙が行われる。
会長は実行力があり、しっかりして、組織作りの天才の様に会員を一つの纏まりとして結束させる様な人でなければならない。
 然し、クラブの主要因は書記である。この二つの任務が十分に行われれば、そのクラブは成功の道を辿る事が出来るだろう。他の役を軽んじたり、常務の任務をわすれる訳ではないが、仕事の主力は会長と書記にかかるので、これ等の役員は注意深く考えてから推薦しなければならない。
会長の仕事は書記の仕事程やっかいではないので有能な書記の選挙が如何に大切なものかは強調されなければならない。
 立派な書記はトライアル・クラブの中枢であり、将来そのクラブの成長と進歩との大きな要因である。
 役人が選ばれ就任すると、会合の主な仕事が定められる。トライアルの日程を組み、用地選定をし委員会を指定する。一つのクラブがトライアルを行う日を定めると、別の役員がアメリカン・フィールドの開催日欄を調べて、その定められた日が他の団体によって前以て選ばれて居ないかを確かめる。もしその日がふさがって居る様なら、新しい団体は他の日に定めれば良い。
この様にすれば確立されたトライアル団体の権利や特権を重んじる、良い習慣が出来るだろう。
 トライアル・シーズンの週末には、ある地域で全てのクラブがトライアルを行うのに充分な日数が無いので或いは争いが起きるかも知れない。然しあらゆる努力がこの争いを避ける為に払わなければならない。所謂サーキット(巡回協議会)が近年出来て、トライアル・シーズンに先立って、全ての団体の代表者が集まり協議をし、どの団体の主張をも考慮してスケジュールを組む様になった。そして新しい団体でも、自分達の望む日にトライアルを行う事が出来る様になった。



※運営委員会


 一番最初の委員会は新しい組織の規約を草案する為に召集される。
新しい団体は普通成功した団体によって公表された文書や規定を模倣する。
新しい組織の次の仕事は、この委員会が会員によって受け入れられ賛成される規約や内規を作る事である。
 トライアルが好結果を生み、順調に運営される事を望むならば、どの委員会も各々の目的を果し、準備を完全にしなければならない、たった1つても怠ると他の熱心な努力も効果をなさなくなってしまう。
殆どのクラブで全ての細目を実際に世話をするのは一人か二人、即ち書記であるが、ここでは実際にトライアルの準備に携わる幾っかの委員会について述べよう。
 重要なものの一つに宣伝委員会がある。この団体の会員の仕事はトライアルの期日がはっきり決められた時に始まる。これ等の日程は出来るだけ早く、遅くとも行事が行われる7日前までにアメリカン・フィールドに知らされなければならない。そして、その期日が開催日欄に載せられる。
 興味深い記事はアメリカン・フィールドだけでなく、地方の新聞にも載せられる。この様な宣伝は、今日「大宣伝」と呼ばれるかも知れないが、効果的なものである。
 トライアル場の為の委員会は、完全なトライアルの為の基盤を作り上げる。と云うのは、最適な土地はトライアルにとって大変重要だからである。如何に組織が固く、宣伝委員が有能であっても、不適当な土地ではどうする事も出来ない。
 経験豊かな狩猟家が、この委員として働かなければならないが、新しい組織の会員の中にその様な人が居ない場合は、委員長がトライアルに適した土地を選び、良いコースを計画する様委任される。大切な事は地主の好意と親交を獲得し、彼の土地でトライアルが行われる様承認を得、更に所有権を尊重する事である。先づその土地に鳥が居なくては何もならない。獲物が無くてはトライアルの意義を証明する事は出来ない。
 又、トライアル・クラブは参加者の為の宿泊所を用意しなければならない。ホテルや馬や犬の為の設備をしなければならない。犬が競技を行って居ない時間を如何に相応しいプログラムを組むかと云うのが接待委員に課せられた務めである。
 色々な事を取扱う為に定められた委員会は沢山あり、それぞれ色々に名付けられるかも知れないが、(或いは多くの職務が限られた人に課せられるかも知れないが)要は順調に運営される組織を持ち、ギャラリーや関係者を怒らす様な不手際や不便が無い様に、設備を完全なものにする事である。
 トライアルは国家の支配下にない唯一のスポーツである。勿論、アメリカン・フィールドは承認されたトライアル組織であるが、どんなしっかりした政治団体でも、このスポーツの経営に影響を及ぼす事は出来ない。そして各々のクラブは、それぞれの組織の役員が正しいと思う方法で、又それぞれの判断に従って業務を管理する事が出来る。
然し、プログラムをアメリカのアマチュア・フィールド・トライアル・クラブによって公表された基準に合わせる事は根本的に必要な事である。
どのクラブもアマチュア・フィールド・トライアル・クラブを十分支援する様に努力を続けている。
 スポーツとしてのトライアルは、他のスポーツと多少違う所がある。財政面を取り上げてみても、収入源としての入場料が無い、又、どの倶楽部に属そうと、トライアルの審査員であろうと、有給の役員は居ない、唯一の収入源は会員の払う入会金と会費のみでアル。


※規約と付則

 規約や付則に当てはまる各箇条は各々のクラブの要求によるものである。次の条項は代表的なトライアル・クラブの規約と付則を初心者に示す為に単なるサンプルとして公表されたものに過ぎない。
 これ等はそれぞれの団体が必要と認めた場合、附け加えられ又は改良されるべきである。


規約第一条  名称及び目的


第一項
 この組織はポインター及びセターの改良を目的として設立された。この目的の為に特に犬の能力を競い、試みるトライアルを行う。他の目的は狩猟家間の友情を深め、犬や銃の使用法に洗練し、猟鳥の保護、繁殖に関心を増す事にある。


第二条  役員
第一項
 この団体の役員は会長一名、三名以下の副会長、書記一名、会計一名、五名の理事である。
これ等の人達は理事会を構成する。
これ等の役員は、この団体の毎年の会合の選挙によって定められ、役員は次の選挙で新しい役員が選ばれる迄一年間その職務を勤める。


第二項
 団体の経営、管理は前述の理事会に帰属する。


第三項
 理事会の三人の会員が会長と一緒に総ての職務に関する報告書を作るグループとなる。
第四項
 団体の会長が理事会の議長となり、書記が理事会の書記となる。
第五項
 役員は誰でも何時でも職務に違反した場合は、理事会により解任され、欠員は選挙される。


第三条  会員
第一項
 会員は入会金と毎年の会費を支払う事。
第二項
 会員希望者はこの団体の二人の会員により推薦される。希望者は会員となる為の申込書と一緒に入会金と一年の会費を支払う。
第三項
 会員希望者の為の投票は理事会の定期会合でのみ行われ、3分の2の多数決により希望者は会員になれる。
第四項
 会費を支払わない会員は投票権を失う。
第五項
 会費支払いの通知は、一年の会費が支払われる日より前にどの会員にも郵送される。
定期の通知を受け取ってから60日以内に送金をしなかった時は会員の資格及び権利を失う。
第六項
 この団体の会員の権利は会員でなくなると同時に喪失する。
第七項
 理事会は全委員の3分の2の投票を以て、この団体の福利及び性格を危くする、どんな会員をもやめさせる事が出来る。


第四条  除籍及び辞職
                                           \
第一項
 会員は第三条第七項の定める所によって徐名される。
第二項
 除名された会員は、申請次第理事会の3分の2の投票で再び会員になる事が出来る。
第三項
 辞表は書面にして、書記に送らなければならない。


第五条  会合
第一項
 1年1回のこの団体の会合は1年1回のトライアルの行われる場所でトライアル開始の前の日に開かれる。(若しも一つの団体が1年1回の会合に準じる会合を開こうと思うなら、その会合の席上で定めなければならない)
第二項
 団体の特別な会合は何時でも会長によって召集する事が出来る。又団体の5名の会員の成文要求によって召集する事が出来る。
第三項
 この団体の6名の会員が、この会合の議事録を作成する。


第六条  修正
第一項
 この規約は定期の又は臨時の会合に出席した会員の3分の2の賛成投票のあった時のみ修正出来る。この様な会合が開かれる前少なくとも10日前迄に郵送で、この予告が会員になされなければならない。


付則
第一条  議事次第
 団体の定期会合の議事次第は、その団体の性格により違って来るが、大体以下の如くである。
1. 役員の点呼
2. 前の会合の議事録の報告
3. 書記の報告の朗読
4. 会計報告
5. 報告及び通知
6. 提案及び修正案
7. 審議未了事項
8. 新規事項
9. 役員、理事の選挙
10.散会


第二条  役員の職務
第一項 会長(会長が欠席の場合は、一名の副会長)がこの団体の全ての会合や理事会の議長となる。そして特別会合を召集する権利を持つ。
第二項 書記は全ての会合及び理事会の完全な記録や、この団体が命じた全ての事柄の記録を保管する。
又この団体の通信を管理し、会員名簿を住所録と共に保管する。
第三項 会計係は団体に属する金を集めて領収する。そして理事会の認める銀行に、この団体の名義でそれらの金を預ける、更に団体の帳簿を付け、定期理事会で報告する。
会計書は何時でも理事会の点検に応じられる様にしなくてはならない。


第三条 理事会の職務
第一項
 理事会は規約第二条第一項の定める所に従って構成される。
第二項
 理事会は団体の業務の報告を年1回の会合に委ねる。
第三項
 理事会はこれ等の各条に認められた権利に従うて規則を作る。


犬の血統書登録の歴史


 今日のアメリカの猟犬は他の国と比較出来ない位素晴らしいが、これは偶然こうなった訳ではなく、注意深い飼育によって可能になったものである。注意深い飼育の成功は登録犬の正確な記録の保管に依る所が多い。
 アメリカでの犬の正確な登録を保管しようという事が1876年3月11日に発表された。
そして、その時シカゴフィールド(今日のアメリカンフィールド)が狩猟に使用された全ての犬の無料登録を始めた。
 1876年8月26日シカゴフィールドはナショナル・アメリカン・ケンネル・クラブ・レジスターの為の登録を無料で印刷し始めた。
ナショナル・アメリカン・ケンネル・クラブの第一巻は1879年に発行された。第二巻は1885年にアメリカン・フィールドの創設者ドクター・ニコラス・ロウによって発行された。
 1879年から1885年の間ジュームス・テーラー少佐(アメリカン・フィールドのトライアルの編集者)の指導下にあったアメリカン・ケンネル・クラブは広く人気を博した。そしてドクター・ロウはAKCに記録を寄贈する事に決めた。
この様に今日のアメリカン・ケンネル・クラブの構成はドクター.ロウによって完成され、編集された記録に基づいて居る。
 ナショナル・アメリカン・ケンネル・クラブは完全な登録を完成する手助けとなったので、クラブそのものの方針や目的を考察してみよう。
1 優良犬の飼育、品評会や競技会を振興し奨励し且改良する事
2 純血種の登録の為に、犬の登録簿や血統台帳を発行する事
3 競技会や品評会を管理する為に規則や条例を採用する事、地方のクラブや協会間の活動を協定し、活動の統一化を振興する、この様に   品評会や競技会に全国的な規格をもうける。


○1900年フィールド・ドック・スタットブックが成立
今日アメリカン・ケンネル・クラブ(AKC)とFDSBはアメリカの全ての種類の犬の登録の指導をし、犬の登録のたった一つの承認された事務局として-一般に思われて居る。
AKCSB(アメリカン・ケンネル・クラブ・スタット・ブック)は非常に多くの犬の登録をして居るが、特に品評会系の犬や愛玩用の犬の登録が多い。
FDSB(フィールド・ドッグ・スタット・ブック)は競技用犬の種属、主にトライアル犬を専門に研究し登録は一年で合計2万頭を越えて居る。
 FDSBの第一巻は1901年に発行され競技用犬の愛好者に興味を与えたが、その本が直ぐにそんなに多くの人達の人気を得たと言う事は、スポーツ仲間や競技用の純血種犬への関心と同じ様に信頼出来る組織を必要として居る事が分る。
FDSBは確実な血統書、登録や、トライアルの成功材料を示す源として一般に認められて居る。
血統台帳は正確で且つ完全なデーダーを必要とする。正確な記録を作ったり、保存する為に沢山の注意が払われている。            


何故犬は血統書登録されなければならないのか、という初心者の質問に対する答えとして、FDSB登録は次のような回答をしている。
(a) 飼育を認承する
(b) 二重になって居ない特殊の種属を指定する
(c) 適切な事項の永久の記録を保証する
(d) 個々の犬の望ましい点を増進する
(e) 繁殖目的の為の、犬の価値を高める
(f) 勝利記録の完全な編集を可能にする

(g) 血統書の証明を可能にする

 証明された血統書はFDSBによって取りつけられ、登録犬の血統を示す。正確な血統書は純血犬の繁殖飼育を成功させる基となるので、飼育者にとっては重要なデータである。
FDSBは色々な犬の登録や、犬の血統書に加えて一胎仔の登録や、又所有権利の譲渡の登録をも含んで居る。一胎仔犬登録とは血統台帳にのって居る種犬と母犬との交配を意味し、出産の時、仔犬の数と性別、繁殖者の住所氏名が示される。
一胎仔犬登録が何故好ましいかと言うと、一頭の仔犬の登録に必要な事柄の記録を確立し、どの仔犬の登録をも簡単にするからである。
 登録された犬の所有権が譲渡され、飼い主が変ると、裏書きされた証明書がFDSBに届けられ、所有権が変った事が記録される。登録形式や証明書、飼育承認表等の申請書のコピーがこの本に載って居る。
 どんな申請書でも提出されると、全ての必要な報告がなされて居るか、その報告が正しいものかを見てチェックされ、その申請書が規則に従ったものでない時、送り主に帰され、申請書が全ての項目に渉り正しければ、その犬は登録される。そして登録がなされた事がアメリカン・フィールドに発表される。

○FDSBの組織が如何に完全であるかは、次の事柄で証明される。

(1) 申請書は番号順に保存されて居る
(2) 申請書は品種別にアルファベット順に整理されて居る。
(3) 飼い主カードには犬の登録をした全ての人の住所氏名が記入されている。
(4) FDSBを毎年製本する。

○フィールド・トライアルの記録は、血統書登録とは別に保管・整理されている。

FDSBには、全部で62万5千以上の多くの犬が登録され、2百万の純血犬の記録が整理されて居る。そして繁殖者や飼育者はその記録の確実性を認めている。
 1874年初めてのトライアルが行われて以来、アメリカでのトライアルの発達が最も古いスポーツマン雑誌アメリカン・フィールドの発達と平行して居る事は注目すべき事である。
 FDSB登録の設立に伴って、血統犬や猟野競技会への興味が起こり、第一次世界大戦時代にはより高まり、第二次大戦時代にはトライアルへの興味は空前のものとなった。
そしてトライアルの人気はアメリカから更にカナダにも広まった。
 今日初期の三倍以上の競技種目が毎年定められ、過去25年間に積極的に競技に参加し、トライアルに興味を持つ狩猟家の数は百倍にも達したが、これはアマチュアトライアルの人気の高まりによる所が多い。
 トライアルはスポーツマンシップと野生動物の保護を提唱する。トライアルの最大の収獲の一つは狩猟家が獲物の保護の大切さに気付いた事である。そしてトライアルへの興味の高まりは保護や擁護の必要性が広く認められて来て居る事を示している。
 この競技の教理は獲物の擁護と保存である。そしてこの教理は一時的なものではなく、今日ある獲物の擁護を奨励する組織の多くは、40年以上も続いて居るものである。


簡単な歴史的描写


 1866年5月1日、イギリスのスタッフォード近くの美しい町キャンノック・ケイスに多くの熱心なスポーツマンたちが集まった。その人達は、野外銃猟、野外での娯楽、そして鳥猟犬を好んだ。彼等は此処で自分達のポインターやセターをお互いに比べ合って、その犬の真の才能を明らかにする為に会合を開いたのである。
 しかし、これがイギリスで行われた最初のトライアルではない。
1865年、既にこの試験的な行事我でサウスヒルで行われた、イズリントン・ショーに関連して行われている。
これ等の最初のトライアルの正確な記事は今まで発表された事は無いが、最初の冒険的な行事は鳥猟犬の飼い主達にかなりの話題を与えたのであった。

1866年にスタットフォードで行われた事は、事実上一般の人々が知って居る第2番目の鳥猟犬トライアルではあるが、現にそこから素晴らしいスポーツが育ち、広まって来た出発点と見なされて居る。
トライアルは多少露骨で礼儀を欠くスポーツではあったが、その背景には正しい精神と言うべきものがあった。其処に集った人達は鳥猟犬スポーツの領域に不正の無いゲームの設置を定めた。
然しその時代には血統に関する公の本が無かった。
English Fieldの古い記録帳に戻り、1866年6月28日の発行誌の記事を回想すると、トライアルと言う新しい試みに1筋の光明が投げかけられた事が解る。その時代の優れたイギリスの権威者により述べられた見解を引用してみよう。

「真のスポーツマンなら、馬・犬・猟銃・或いは釣の愛好者にしろ、一番良いものを持つ事を誇とし、その一番良いものを持って居る事を確める為に、如何なる苦労も嫌わないであろう。
議論を戦わす事よりも、先ず、自分でやって見る事の方が効果がある。
議論を戦わす事は良い事ではあるが、経験する事がより勝っているのだ!と言う事が分かった。読者にとって有益な方法は、何時までも話し合って居るよりも試みる事によって、一つの問題を解決する方法である。

 スポーツは本来競馬や狩猟の様に、本質的には競争によって定められ、使用する動物の相互の価値に対する話し合いをする機会は比較的少ない。狩猟に用いられる犬や銃そのものの品種や、製作者や用具の各々の基準を定める為の競技会は今まであまり行われていなかった。

我々は純血ポインターやセターの飼育者達の要求や権利を定める手助けを出来る限りして来た。
然し、現在では犬や銃の愛好家は全くどうして良いか解らない時期に来て居る。そして、それ等の人達の指標とも言える、二つの公やけのトライアルが実現しそうになって居る。
一つは我々が特別に管理して居る鳥猟犬トライアルであり、今1つはW・ブレイルス・フォード氏の管理するトライアルである。

 ブレイルス・フォード氏のプログラムは1866年5月1日~2日の火・水曜日に4つのレースを組みました。
セターや同数のポインターの為の4つの種目は、やがてグレイハウンド犬の競技の基準としても定められるであろう。

W・Lort氏はThe Prior Idstone,やその他の出版物で猟犬の血統書を主唱して来たが、犬の祖先(血統)や、野外での能力があるかないか、を確かにする方法が無いなら、その様な記録は余り価値がないであろう。
また、血統書は競技年次目録と一緒になくては純血種のブリーダーの役に立たなかったであろう。
これ等の理由で公のトライアルが行われない内は、猟犬用の血統書に注意をはらう事は無かったが、ブレイルス・フォード氏によって、非常に限られた範囲ではあるが、トライアルの試みがなされたので、私達はW.Lort氏の主唱をも援助する事になるであろう。」


*1 出犬資格は6ケ月から5才迄の全ての年令であって、第一位は、ロード・リッチフィールド氏のマディック(2才牝)に、第二位はガーランド氏のマジック(年齢不詳)、第三位はロードバーゼット氏のルーカン(5才)が獲得した。

*2 これはポインターの催しと同様に全ての年令の犬が出犬出来た。


こうして、鳥猟犬の為のトライアルに関する高尚な考えや、賞賛されるべき目標が確定した。
その時代の人々のこの様な動機は、ある利己的なスポーツマンによって度々誤解されては来たが、何と言っても、その時代の人々は我々の模範とすべきである。トライアルは露骨で礼儀を欠くものを持ち乍ら存続し、今日では前よりも華やかなものになって来た。

初期の指示犬の行事は記録として長く保存され、将来の鳥猟犬の愛好家によって尊ばれる事だろう。
今一度1866年5月1日の行事を振り返ってみよう。
トライアルの父とも呼ばれたW.Brailsfordは自分の計画を確信し、その彼の自信が、他の人達を勇気づけた。
審査員はVIscount Combermere,J.H.Hodgson,T.Taylorであった。幹事はLord Alexander Paget,ThoLnaSStatter氏等であった。

 これ等の人達は初期のポインターやセターの競技会の後援者であり、又それ等の飼育者でもあった。
最初の種目はポインター種のためのAnglesea StakeSとして知られて居る。 
*1
次はセターのBeaudesert Stakesであった。 *2’
それからチェイス、ステイクスセターの為のPaget Stakesが行われた。
始め得点は、歩き方とレンジ20点、協調性20点、狩り方15点、獲物を見つける能力15点、バッキング10点で合計100点の得点に分けられたが、この得点制度は次第に変更され、改良された。
犬が標準に達しなかった時、得点に対して減点法も取り入れるべきだと主張する人もいた。
例えば、バッキングが完全に出来れば10点になるが、これに失敗した場合は10点を失い、その上更に失点として10点が加算され、結局20点の失点となる訳である。又これ以外の減点も考えられた。
一頭の犬が、もう1頭の犬に勝ち、負けた方の犬が失格すると言う勝抜き法は新考案で、徹底的に試みられたが、結局、欠点がある事が分かり、これに代って抽出法式(スポーティング方式)が今行われている。



 アメリカのアウトドア・ライフを楽しむ一つの方法は〝フィールド・トライアル′”と云うスポーツです。他の多くの競技ほど古い歴史はないですが、それでも素晴らしい競技会系の犬や実猟犬のアメリカのファンによって、常に人気を博しています。
自然、または、人為的に作り出された狩猟条件の基に、フィールド・トライアルは幾つかに分類されています。


(a) 指示犬のトライアル(Pointing Dog Trial)

1.英ポインター

2.英セター(多く白毛で黒か赤の斑点がある)
 ・アイリッシュ・セター(くり毛)
 ・ゴールドン・セター(黒に黄茶色の斑点がある)
 など、鼻先を向けて獲物の所在を知らせるので名付けられたという犬種です。


(b) ビーグル犬のトライアル(Beagle Trials)
   快活な・鳴声のさえた小さな猟犬で、ウサギ狩競技に使用する。


(c) レトリーバー犬のトライアル(Retriever Trials)
   レトリーバーとして知られて居るもので、普通のレトリーバーの目的は獲物の、落下をマークして、命令により直ちに落下地点に行き、獲物を見付けて直ぐ持って帰って来る事であり、陸上、水上のテストが行われる。


(d) スパニエル犬のトライアル(Spaniel Trial)
  スパニエル種として一般に認められて居るもので、主にスプリンガーやコッカー・スパニエルが用いられる。これ等の犬は定められた猟場内の土地で獲物を見出し、命令によってのみ獲物を捜し、持って来る様に要求される。陸上の仕事に適する様訓練されたスパニエル犬は水にも速やかに飛び込む


(e) 獣猟犬トライアル(Hound Trials)
  異なった種類の色々な猟犬が居る。キツネ狩用の猟犬の競技会はほんの一瞬の出来事の様に終ってしまう。アライグマ狩猟用(Coon Hound)の猟犬の競技は近年次第に流行して来て居る。また、バセット・トライアル(足の短い猟犬)もある。
  

トライアルについて語る時、普通のスポーツマンなら鳥猟犬のそれを考えるであろう。それ程ポインティング・ドッグの競技会が人気があるのは疑いない。


 只今挙げたフィールド・トライアルより、もっと多くのトライアルが毎年行われ、沢山のクラブがこの様な行事の後援をし、毎年多くの犬の競技会が行われて来て居る。沢山のブリーダー、飼育者や訓練者等は皆このトライアルの目的に携わっています。


ポインティング・ドッグのトライアルは狩猟犬の中で、特に重要な意味を持つので、この本は主にその点を取扱う事にします。この本は数年前に出版された(The Field Trial Primer)「フィールド・トライアルの起源」に発表されたものを、更に具体的に形付けたものである。もう既に絶版になってしまったが、その本の資料は今日まで育まれ、広く知れ渡っている事は確かであるのです。

 “The Field Trial Primer”の序文の中で、故フランク・M・ヤング氏(Frank M. Young)をいたみ、アメリカン・フィールドの著者は次のように言っています。

「鳥猟犬の競技に精通した愛好家達は、経験のあるスポーツマンなら、この娯楽の本質を良く知って居ると思うだろう。多分どの戸外スポーツマンもポインターやセターのトライアルの基礎を知って居る。そして多くの古くからのファンは、この難しい掴み所のない娯楽について、色々と初歩的な解説を考えるかも知れないが、何はともあれ過去20年の間の鳥猟犬の競技は素晴らしい成長を遂げて来ている。」              。
その急激な人気の上昇は非常に広範囲に渉っているので、今日300以上ものスポーツマンの団体がトライアル行事を管理して、アメリカン・フィールドにより承認され、FDSBの永久書類に記録されて居る。

今日では。およそ400位のトライアルが毎年行われていますが、その必然の結果として、熱心な方達のお陰で、トライアルマンの階層は徐々に増加して来ています。
過去を通じて見ても、初心者の人々からの要求によってトライアル・クラブに関する問題、また、土地の必要性の問題、又後援者とか懸賞金等に関する完全且つ正確な報告等が公にされていますし、また、猟犬の素質が評価される事を含む、この雄大な競技に関する総ての知識や教訓が詳述されて来ています。これらの要求を満たし、且つ、ベテランのトライアルマンにも興味深く読んで貰う為に、この本を提供致します。


各章は説明的な形で書かれ、初心着が質問しそうな問いに対する答がなされる様にしてある。Primerに書かれて人気を博した事から、資料の総てが最新式に改訂され、それがこの本の中に含まれている。と云うのも、トライアルは静的でない動的な活気のあるスポーツであるからです。
 

犬の猟犬としての素質を決定する現行のフィールド・トライアル、そしてセターとポインターのトライアルの専門的な特徴を説明する前に、このスポーツの歴史的な背景を簡単に記しておこう。 



先ず、最初にアメリカン・フィールドの発行者Stewart Walpole氏から与えられた、非常に貴重な意見や援助に対し、心から感謝致します。




【フィールド系 英セターのルーツを探る】 石橋徳次郎


今回はワルデマン・マー氏の著書【ポインタース&セッタース】の中より、『エドワード・ラヴェラック氏』『パーセル・リュウエリン氏』『ウィリアム・ハンフリー氏』について要約し、ご紹介致します。
今日、日本の鳥猟犬の中でフィールド系英セッターの愛好家は年を追って増加しております。こうした英セッターの研究をする事は、興味深い事だと思います。
英セッターは、日本の猟野において優れたバード・センスを持っているのみならず、薮入りも良く、また斜面を狩るのに登山力も抜群であり、卓越した鳥猟犬であると思います。
私の友人でありましたジョン・ナッシュ氏より『ポインタース&セッタース』の本を贈られ、英国の鳥猟犬の権威者でありましたワルデマン・マー氏の紹介を受けたのも、懐かしい思い出であります。


ES1
【エドワード・ラヴェラック氏】
十九世紀の初頭に幾つかの犬舎がそれぞれに工夫を凝らして、英セッターの改良繁殖を試みていました。これらの犬舎で特定のタイプを固定する形体の繁殖を試みる仕事は、想像し難いものでした。
1800年にラヴェック氏は生まれ、英セッターの改良・繁殖については英国シュロップシャー州のアッシュでラヴェック氏によって為されたと記されています。
彼は25歳の時にセッターの改良の仕事に着手し、独占的に改良を成し遂げました。ラヴェック氏が最初に入手したポントとモールという犬は、ハリソン氏から得られたものであります。記録によると、これらの犬は白黒の斑点のある犬でありました。
ラヴェック氏は、熱心なスポーツマンであり、最初の25年間は確かに彼の系統的な犬が実益犬として評価されていました。しかし、彼の晩年はショーに適する犬の繁殖に力を注ぎました。おそらく彼は、彼の後輩であるリュウエリン氏と猟野において競争するのを諦めたのではなかろうかと思われます。
ラヴェック氏は、50年間の改良・繁殖を通じて異種改良は全くしなかったと主張しています。
彼の繁殖したブルーベルトンのセッターから1頭のリヴァー&ホワイトが生まれました。しかし、彼はモールの祖先にあたるキャッスル・エドモンドの系統にリヴァー&ホワイトのセッターがいたと説明しています。
今日のセッターを見ているとリヴァー&ホワイトのセッターが現れるのも決して不思議ではないと思われます。とにかくラヴェック氏は、彼のセッターの繁殖にあたり大変、閉鎖的であったようです。
ラヴェック氏の初期の作出犬は、フィールドにおいても品評会においても成功を収めました。しかし、ラヴェック氏によって繁殖された犬たちは形・姿は改良されていましたが、頑固で嗅覚力に問題のある犬になっていました。ラヴェック氏のセッターのフィールドにおける性能は次第に衰えてきましたので、彼は品評会に重点を絞って繁殖を続けました。
彼の繁殖したラヴェック系セッターは、今日のショー系セッターのように誇張されたセッターではありませんでしたが、大変美しくエレガントなセッターであったと記されています。これらのセッターの体型は、優れていて優雅に動く事ができました。
当時、大変優れたセッターとして認められていましたトーマス・ステッドマン氏のマイシッド犬舎の犬を基礎犬としています。
ラヴェック系のイングリッシュ・セッターは、ガンドッグといよりもむしろショードッグとして、彼らの血統のセッターの改良を試みたとされています。
しかし、ラヴェック・セッターはスポーツマンの決まり文句とされ、固定化された事を意味しています。
それはリュウエリン氏によって改良されたセッターの基礎犬がラヴェック系セッターによるものであり、モンク・オブ・ファーネス、サー・アリスター、ナン・オブ・キッペン、フレッド・オブ・オウヴァウィンのような偉大な種犬が、彼らの血統の中にラヴェラック系セッターの血を大量に持っていたからであります。
ラヴェラック氏は77歳でこの世を去ったと記されています。


『全猟誌 98年5月号』より抜粋


ES4


『フィールド系 英セターのルーツを探る』 石橋徳次郎


【パーセル・リュウエリン氏】
パーセル・リュウエリン氏は、英国シュールズベリー近くのノーリントンに住み、犬の繁殖をしていました。
リュウエリン氏はイングリッシュ・セッターを繁殖する前にゴードン・セッターやアイリッシュ・セッターを繁殖していました。彼はジェフソン氏によって繁殖されたリリーIや、マクドーナ氏によって繁殖されたCH・プランセントのような有名なアイリッシュ・セッターを所有していました。彼はプランセントを高価な値でアメリカ人に売却しました。
そしてその後、彼はラヴェラック氏のセッターがベストの状態まで改良された時に、イングリッシュ・セッターをラヴェラック氏より購入し、繁殖を始めました。リュウエリン氏はコーベット・デューク氏が繁殖したトーマス・スタッター氏のロウブから生まれたダンとデュークの番(つがい)を購入したと記録されています。この犬がラヴェラック系セッターであったと思われます。そしてこの繁殖から素晴らしい犬達が生まれました。
ロウブはポール・ハッケット氏が所有していたレイクの娘だったと記録されています。このセッターは最も古い系統であり、トーマス・スタッター氏はジュディーから生まれたレイクにより偉大なチャンピオン・レンジャーを繁殖しました。また、ロウブとレンジャーは立派な系統の基礎犬となりました。
リュウエリン氏は国の内外でイングリッシュ・セッターの改良・繁殖により大成功を収め、それに応じて大規模な繁殖を行いました。
彼は一時的に容姿に注意を払って、品評会とフィールドでの競技に適合するような犬を繁殖しましたが、しかし、ラヴェラック氏と対抗する事をやめ、徹底してトライアル犬の繁殖のみに専念しました。
1884年にリュウエリン氏は英国バーミンガムのショーにおいて、12頭以上の犬を紹介しました。これらのセッターの中には、カウンティス・ベア、カウンティス・ウィンダム、ダッシング・ボンドウやカウンティス・モールのような偉大なトライアル犬がいました。これらの殆どの犬はアメリカに売られたと記されています。
当時、リュウエリン氏の血統によるカウント・ノーブルは名声を上げていました。しかし、リュウエリン氏のセッターは体型、骨格、性能などにおいてバラツキがあり、後に著名なアメリカの権威者であるホッチワルト氏がこれに批判していると記されています。
その後、リュウエリン氏は、2つの異なる系統を繁殖する事に執念を燃やしていました。その1つの系統は『ボンドウ系』であり、もう1つは『ウィンダム系』でありました。ボンドウ系の犬たちは、ラヴェラック系の血の濃いもので、カウント・ベアーから生まれたブルー・プリンスとダッシング・ボンドウにより作出されたと言われています。
また、ウィンダム系のセッターたちは、デュークとロウブの交配から出たダンによって作出されたとされており、カウント・ウィンダムは純粋のラヴェラック系セッターであったとも言われています。
アメリカとカナダにおいては、フィールド系セッターの殆どがリュウエリン・セッターであると言われておりましたが、アメリカ人であるロウエ博士が1884年に『アメリカン・フィールド』誌上において、これに反論したとも記されています。
しかし、ニコルソン氏によって繁殖されたモンク・オブ・ハーネスという犬が素晴らしいリュウエリン系セッターで、そのモンクから今日のガンドッグのセッターが生まれたと言われています。
パーセル・リュウエリン氏は、1925年に74歳でこの世を去り、彼の後継者はウィリアム・ハンフリー氏であったと記されています。


『全猟誌 98年5月号』より抜粋