トライアルの為の最小限の要求


アメリカのアマチュア・フィールド・トライアル・クラブに採用されたもの。
次の条件に従がわないで優勝した場合、その優勝は無効となる。


1. クラブの名前、トライアルの行われる場所、書記の名前と住所をトライアルの行われる日より少くとも、7日前迄にアメリカン・フィールドに通知する事。
又どの競技種目も完全に記し、参加者名簿と一緒に競技組合わせ、抽選より少なくとも6日前迄にアメリカン・フィールドに通知する事。

2. 認められた種目は次の如くである。
a). バビーステイク
各年の1月1日~6月30日迄に行われる競技では、その年の1月1日~6月30日迄に生れた犬、或は前年の1月1日以降生れた犬のために行われ、各年の7月1日~12月31日迄に行われる競技では、その年の7月1日~12月31日迄に生れた犬、或は前年の7月1日以降生れた犬のために行われる。
b). ダービーステーク
各年の7月1日~12月31日迄に行われるダービー競技は、その期間に生れた犬、又はその前年1月1日以後生れた犬の為のもので、1月1日~6月30日迄の競技は、その期間に生れた犬、又はその年の2年前の1月1日以降生れた犬の為のものである。
トライアルでは鳥猟犬の誕生日は普通1月1日とされる。
c). オールエイジ・ステイク:全ての年齢の犬の為のもの。
d). ォープン・ステイク :犬や訓練者に対する何の制限もないもの。
e). アマチュア・ステイク
全ての訓練者がアメリカのアマチュア・フィールド・トライアル.クラブの付則に定義される様にアマチュァでなければならないもの。
f). チャンピオンシップ・ウィナー・ステイク
勝利はアメリカのアマチュア・フィールド・トライアル.クラブによって認められたアマチュアの選抜試合にのみ記録される。又、アメリカン.フィールド・パブリッシングカンパニーとフィールド・ドッグ・スタット・ブックによって認められた公開試合の時のみ記録される。

3. パピー・ステイク以外の全種目の長さは最低限度30分である。パピー・ステイクの競技の長さは最低15分である。

4. ある種目を行うと通知した日の前後迄に、その種目の抽選を行わなければならない。

5. 抽選が行われた後では、犬を交代させる事は出来ない。

6. 全ての組の犬は審査員が前以て承認したもの以外は全部抽選通りに出走する。

7. 抽選が終った後には、新規の参加希望はうけ入れられない。

8. 1組の犬は、その犬が同じ種目のものであろうと、なかろうと関係なく、同時にコースを競走する。

9. 獲物は籠に入れたり、ビッコを曳いたり、ハサミで翼を切られたりして居ない、飛行を妨げられて居ない、認められた猟鳥を追いかける。

10.発情中の牝犬はトライアルのワンコースを走る事は許されないが、審査員の意見で、他の参加者に対して公平である事が保証される条件の時のみ、複式コースに出場する事が許される。
 以上の要求に従わない競技の勝利は記録されないし、又、若し記録されたとしても、それは無効となる。
 コースは十分な鳥の隠れ場と、犬が捜すのに役立つ目標があると良い。鳥猟場は、鳥が隠れるのに十分な場所と共に犬があまり傷つかないで獲物を捜せる位の広さが必要である。隠れ場所や目標は変化がある方が良い、鳥猟場の広さは最低5エーカー(20.000㎡約20反)である。
 一般に良く知られて居る通り、アメリカン・フィールドとフィールドドッグ・スタットブックは全て認められたトライアル種目を記録し、その結果の永久記録を保管して居る。
 或るクラブがそのクラブの行うトライアルを承認して貰いたいのなら、競技が承認された最小限の要求に従って居る事が必要である。これ等の規則は1946年1月1日に効力を生じ、以後広く受け入れられて居る。
 それ以前多くのクラブは大体似た様な方法でトライアルを行なって居たが、未だ特別な規則は無かった。
 幾つかのクラブが狭い鳥猟場で略式の競技を行なったり、一つの組として、すでに定まって居る犬を変えたり、新しい参加者を加えたりし、その他色々不秩序な点が多くなったので模範となる規則の発表が必要となった。
 永い間トライアルは習慣や経験、伝承のもとで栄えて来たこれ等の習慣が最早全てのクラブで認められなくなった時、或る団体は彼等自身の独得な規則を表明したが、これ等の時代にたえて来た経験が必要だという事が明白になった。と言うのもトライアルは多くの人々に楽しみを与えるだけでなく、より良い鳥猟犬の飼育に貢献し続けて来て居る事でも明らかである。


※トライアルの規則


(1) トライアルと言うものを規制して居る、あの最良の規則は1日で出来たものではない、規則は伝承され、それが数を増し、如いては慎重な審議のもとに変更され今日に至って居るものである。

(2) 現在のトライアルの規則は完全であり、且つ現在の状態に適したものである。アメリカに於ける猟野競技会を援助して居る組織の多くは、会合を開く事によって素晴らしい規則を作り出して居る。最も望ましい規則とは明確で、理解し易く、且つ完全なものである。これ等の規則を作るには、先ず、理想的な猟犬を研究しなければならない。
鳥を捜す為に早く猟野を走り、教えこまれる試練に適応する様な理想的な猟犬は競技会系の犬か、実猟系の犬に限られるかも知れない。

(3) 会の運営は、その組織の運営者に委任されるであろう。彼等は規則に照らして与えられた全ての事柄を解決して呉れる筈である。規則の判断は審査員がやってくれるだろう、審査員の選定は運営者が定め認定され次第直ちに公表される。

(4) 参加する犬は全て名前・品種・年齢・色・特色・そして若し登録されて居るなら、その登録番号を記されなければならないし、又その持ち主やハンドラーの住所氏名等も同時に記入されなければならない。

(5) 犬や競技に関して、不正な事をした人は誰でもこの組織のトライアルで戦う事は出来ない。

(6) 犬は抽選で引き出され、順番に番号を付けられる。最初の部が走り終えた所で、審査員はもう一度見たい犬を報告する。

(7) 同じ持主による2頭の犬が出場した場合、先づ2頭の犬が一緒に走らせられる。そして二番目になった方が次に出場する犬と場所を変える事になる。

(8) 組み合って行う競技の場合、相手が無くて一頭残された犬は、一頭で走らせるか或は審査員の承認を得て選抜された犬と一緒に走らされる。(バイドッグ)

(9) 犬が故障した時、所有主は自分の犬に手を加えてはならない。他の人をその犬を取扱うのに代理させる。
ハンドラーは自分が最良と思う方法で犬を導かなければならない。馬に乗る事も、歩く事も許されるし、声・笛・手を用いる事も許されるかも知れないが、不必要な雑音を入れる事は許されない。

(10) 総てのハンドラーはルールに規定されて居るものであれば、審査員の要求する如何なる事にも服従しなければならない。その様な要請が無視された場合、審査員は、そのハンドラー及び犬を棄権させる権利がある。

(11) 審査員、リポーター、そしてその犬の所有者以外は如何なる人もハンドラーに同伴する事は許されない、所有者は審査員に同伴出来るし、リポーターは犬の走行について記録しなければならないからである。然し、審査員の許可無くしてハンドラーに如何なる助力をも与える事は許されない。

(12) 競技の進行中審査員の業務を妨害したりする者は直ちに退去を命ずる事が出来る。


※相手犬が無い場合の処置


 色々なクラブでは、その個々のクラブの規則、或は一般的な競技法則によって、この種の犬の処置権を審査員に一任して居る。
後者(一般的競技法則)では、この様な場合、その犬は審査員により選ばれた犬と走るか、或は自分だけで走る事となって居る。



※トライアル・クラブの団結


 トライアル・クラブの平均会員数を述べるのは不可能であり、ポインターやセターのトライアルに熱中して居る狩猟家が何人居るか合計を出すのも不可能である。然し、この国の多くの場所で、多くの人々がトライアルに関心を持ち、楽しみを得て居るのは確かである。
 如何にトライアルが熱心に受け入れられ、広まって居るかは過去20年間のトライアルの年平均が15、845頭の犬によって1,102種目行われた事を以てしても分かるであろう。
 クラブが大きくても小さくても、重要なのは会員の鳥猟犬競技に示す関心のあり方である。
 クラブの役員が当面する問題は、新会員にトライアルの根本の概念と一緒に猟野競技を実地に知らせる事である。最も良い方法は勿論、実際に経験する事である。新会員が競技参加犬の出来栄えを熱心に観察し、研究するなら、勝利を得た犬の才能を見出す事が出来、次には真のトライアル犬を作り出すのは何かと言う事が分るであろう。
 団体は多くの獲物と共に、自分達の土地で行われる興味深いトライアルを後援しなければならない。
 近隣地域の他のトライアル・クラブの競技に会員が出席し、それを後援する事を役員は奨励した方が良い。これは新会員や熟練者が優良鳥猟犬の出来ばえを原則的に訓練するのに良い経験となる。
 役員達が、新会員に鳥猟犬の訓練やセターやポインターについて書いてある良い本を読む様にする事である。
 アメリカン・フィールドを定期的に読む事によって競技を行う狩猟家の名前や、多くの競技犬の能力や、アマチュア・トライアルの優勝犬の行動を直ぐ知る様になる。
 アメリカン・フィールドは75年の間殆んどの競技会系の犬やトライアルに尽して来た。そしてトライアルの興味を十分認めさせるに足る唯一の刊行物である。
 アメリカン・フィールドを定まって読む狩猟家はトライアルの愛好者となり、クラブの熱心なそして価値ある会員となるであろう。        


※プログラム(出犬表)の綱成


 クラブは専門的訓練者にも、アマチュア訓練者にも魅力あるプログラムを作る様に努力する。プログラムを作る時一番最初に考える事は長たらしい、厄介な計画を立てない様にする事と、他のクラブがトライアルを行った直後に自分達のクラブのトライアルを行わない様にする事である。
 我々はこの章で別に模範的なプログラムを作ろうと言うのではない、トライアル種目として認められた色々な種目について語ろうと言うのが我々の目的である。
 クラブがトライアル計画を練る時は、最小限の要求を確認し良く調べる事が必要である。
 鳥猟犬トライアルの種目は沢山のクラスに分けられるが、主な区分としては、パピー、ダービー、オールエイジに分けられる。これは年令別的な分け方である。
 又専門訓練者の馬のものや、アマチュア訓練者の為の競技もあるアマチュアと言うのは、普通、訓練者にのみ使われる身分である。犬の以前の勝利記録がどうあろうとも、その犬が確かにアマチュア訓練者の指導を受けたものであれば、アマチュア競技の出場資格を持って居る。
 1946年1月1日以前には、パピー、ダービー、オールエイジの三つの分け方より、もっと細かく分けたものがあった。
 例えば、ジュニア・パピー・ステイクとか、スイーニア(年上の)・パピー・ステイク等の分け方もあった。
 ジュニアの方は、行事が春に行われる場合は前年の7月以降生れたものの為で、スイーニアの方は前年の1月1日以降生れたものの為である。
 オープン・オールエイジ・ステイクはその犬の以前の勝利記録と関係なく、全ての年令のポインティング・ドッグの為のものである。この競技には別に制限と言うものはない。
 アマチュア種目は年令には制限は無いが、出場犬はアマチュアによって訓練されたものでなくてはならない。簡単に言えば、アマチュァとは鳥猟犬を訓練したり、指導したり改良したりする事で報酬を、直接的にも間接的にも得ない人の事である。       ‥
 メンバーズ・アマチュア・ステイクでは飼主や訓練者が、その団体の会員であるのみでなく、アマチュアである事が必要である。
 ガンドッグ・ステイクも承認された競技種目である。出場者は所謂シューティング・ドッグの線に沿って審査されて居る。
 他の種目として、チャンピオン・シップやウィナー・ステイクを挙げる事が出来る。このステイクに出場するためには・普通の場合は、出場犬はトライアルで認められた種目、即ちダービーやオールエイジ種目で前以て三位までに入賞する事を必要とされる。
 以前に公認されたトライアルで入賞した事の無い犬の為にはノービス・ステイク(新人種目)がある。
 又、子供達、婦人達や一対の種目もあるが(これ等はカバードッグ種目と言われるが)、新人種目は最低限の要求に従って居ないという理由で、競技結果は記録されないが、面白い種目として注目される。


※重要な諸事項


(1) 一般にパピーの出走時間は20分位のものであるが、その時により気候や状況に応じて15分位に短縮される事もある。

(2) ダービーの出走はチャンピオン戦を除いては、普通30分位である。これは現在の賞金付ダービーに要求される最低の時間である。

(3) 嘗ては賞金付オールエイジの多くは、第1回の競技が30分位のものだったが、最近はもつと長いレースになりつつある。
   ナショナル・チャンピオン・シップはその特異性を見て、オールエイジ競技を30~60分迄延ばす事を要請した、いくつかのクラブは一試合45分位で、賞金付オールエイジ競技を実施している。
    又他にも1時間半~1時間15分位のものもある。
   ナショナル・チャンピオン・シップは第1回目の勝利を飾るには、少なくとも1時間なくてはならない。

(4) 時間的制限がクラブの規則に規定されて無い場合、審査員は審査を下す前に、逸走(それて走る)した犬がコースに戻る様に出来る為20   分間の余裕を与える事が出来る。

(5) クラブがそのメンバーやトライアル支持者に魅力ある賞金付トライアルを準備出来る事は必要な事である。
   運営者は参加者とか訪問者達のホテルの準備とか、競技に出場する犬や、馬を利用する人々の為の馬の収容等々の諸事項を考慮しなければならない。

(6) 公のプログラムの発表はアメリカン・フィールドを通じてなされるべきである。トライアルの日程が決定次第、宣伝委員会の議長や秘書はクラ   ブの名前や日程が、大会開催日に掲載出来る様アメリカン・フィールドの編集者に通告しなければならない。

(7) トライアル開催要綱用紙が用意され、前以てトライアルの日程が印刷されるべきである。
   これ等の要綱用紙は全ての詳細、即ち会を援助するスポンサー名、トライアルの開催される場所、出発時刻、何処に本部事務所を置くか、又抽選の場所と時間等が述べられるべきである。
   又、賞金、タイトル、諸経費等も充分に記述されるべきである。又それには審査員の住所氏名やクラブの書紀や又特別な人々を掲載すべ   きである。
    出場する犬についても、その名前、FDSB登録番号、品種、性別、出産日、毛色、両親、その所有主とハンドラーの住所氏名等も詳細に   記入しなければならない。

(8) ナショナル チャンピオンシップは懸賞金として、ここ数年来$1,500ドルを費やし、その上、犬の所有者にもトロフィーを送ったりした。トライアルの歴史の中で最も大きい賞金の額は、イリノイ州のバーノン山でのアメリカン・フィールド・クエル・ヒュチュリティー(1946年)で、その時には、$6,000ドルと云う高額であった。

(9) 市販ドッグフード会社ではトライアル・クラブ用のトライアル要綱用紙を備えつけて居る所もある。

(10)鳥猟犬トライアルを完全なものにするには、全て詳細を熱心で、然も熟慮するクラブ員などにあおぐのが良い。このトライアルを成功させるには大部分審査員の能力のある無しにかかって居ると言っても過言ではない。従って有能な審査員が必要な訳である。