私の反応が聞こえているはずなのに、
わざと知らんぷりして話を続ける彼。
しかも相変わらず、わたしのなかを
筆でなぞるような動きをしたままで。
〜〜〜
私はさっきセックス中に不機嫌になった。
もとはといえば、彼が“いかに自分がモテたか”の話を
始めたからだ。
普通であれば、男の方が“ごめんね”とか
“いったん休憩しようか”とか言うシチュエーションだ。
もっと幼い相手であれば、力任せのセックスをして
その場を押し切るとか。
でも彼は違った。
なにを思ったか、彼は、以前付き合っていた女性を
どんな風に抱いたか、どんな反応をされたか、などを
話し始めた。
それも、わざと私の耳元に口を寄せて、
私を煽るように官能的な雰囲気で話す。
そんな意味不明な行動に対して、
理性では拒否反応を示したいのに、
なぜか身体が喘ぎ声を堪える事ができなかった。
彼は面白がって、私が嫉妬するような話を
いやらしい話し方で続けた。
そうしながら、かたくいきりたっている部分で、
わざと浅い所だけをそおっとなぞるのだ。
そのうち私は、彼が話している、
前に彼が付き合っていた女性になって
彼に抱かれているような気分になってきた。
彼とのセックスではいつも没頭してしまい、
軽い催眠にかかったような気がする。
そして、あまり細かいことを覚えていられなくなる。
理性の部分が本当に眠ってしまうようになるのだ。
それに、彼とは身体だけの関係なんだと
つねづね自分に言い聞かせている。
だからなのか、不思議と嫌悪感もなく
それどころかむしろ新しい体験を楽しむ気持ちの
芽生えを自覚しながら、
彼がいやらしい口調で話す
彼が付き合っていた女性になりきったようになり
ますます深く感じてしまった。
彼は、液体で満たされた空間のおくまではつかず、
もっとついてほしいという衝動が起きる手前で
素早く引き抜く動作をしてしまう。
そうかと思うと、また途中までいれてくる。
“あっ!あっ!ああっ…!”と、
切ないあえぎ声を、彼の耳元に向けて発するが、
彼は話をやめない。
本当に好きな相手だったら、こんな風に抱かれるのは
耐えられないと思う。
でも、身体だけの関係なんだと
割り切ることで、ある意味“純粋に”
気持ち良い感覚だけを
追求する方向に振り切った。
以前にも感じたことがある、
芸事に集中しすぎて眠くなるような、
ゾーンに入るような感じになった。
こういうやり方も彼の性癖なのかもしれない。
こういうことに繋がりそうなことを
そういえば以前にも少しされた。
それに、このしばらく後にも、
もっとエスカレートしたことをされて
おまけになぜか盛大にいってしまった。
それを見た彼は、
“こんな変態な姿を見ても引かないでくれて嬉しい”と
甘えながら喜んでいた。
〜〜〜
だいぶ後になって、彼とチャットしている時に
全く別の話題から手塚治虫の漫画の話になった。
その中で、こういうプレイとイメージが重なる
シーンの話になった。(性的な内容ではないけれど)
彼がその話しを持ちだして来た時、
すぐにピンとくる漫画があった。
「ちょっと待って、それってこのシーンのこと?」
本棚からその漫画を引っ張り出して
写真で撮って彼に送ると
「そうそう!これ!」との返事がきた。
「tefeさん、どうしてこの写真を持ってるの?
僕、この漫画すごく好きなんだよ」
「奇遇なんですが、私も好きで、
大判サイズで持っていて、今でも本棚に全巻並べてるんです。写真はいま撮りました。」
「そんな偶然あるんだね!tefeさんとは
シンクロすることが多くて、いつも驚かされます。」
「それはこっちのセリフですよ。なんか、本当に
姉と弟みたいな気になってきました。同じ家で同じようなものに興味を持つ環境で育ったっけ?って。」
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