不思議な生き物「テドゥウ」の話・・・≪【童話】≫・・・ -6ページ目

不思議な生き物「テドゥウ」の話・・・≪【童話】≫・・・

ときどき童話をUPするので、読みに来てね。
よろしくぅー

1. 遠泳1kmに挑戦


しんちゃんは必死でした。

やめればよかった。

つい手を挙げてしまった。

あぁーあ。手を挙げなければよかった。

でも,後悔しても始まりません。


さっき500mの岬を通過したところです。
なんとか次の岬まで泳ぐか応援ボートが来るまで頑張らないと,溺れてしまいます。



小学5年生のしんちゃんは遠泳に挑戦中です。





しんちゃんの学校では,4年生以上が臨海学校に行く事になっています。

その2日目は,


恒例の遠泳大会です。
みんなそれぞれ自分で距離を選んで泳ぎます。


遠泳と言っても,
50m,100m,300m,500m,1km
とあります。


さらに泳ぎに自信のない子は50mで浮き輪やヘルパーをつけて泳ぎます。


しんちゃん

学校のプールでのテストでは1級です。


ですから,300m以上全部に挑戦できます。


しんちゃんは,自信がありました。


学校のプールでは,2km連続で泳いだこともあったからです。

また,一ヶ月ほど前も,お父さんたちの友達家族たちで海に泳ぎに行った時も,中学生の友達に交じって1km以上も泳いで全然平気だったからです。


もっともそのときは,横に6人の大人が一緒に泳いでくれていたし,お父さんも近くで泳ぎながら励ましてくれていたのです。


今朝の健康チェックの後,コース選びで1kmの時に元気よく「はい」と手を挙げたのです。



不思議な生き物「テドゥウ」の話・・・≪【童話】≫・・・-遠泳大会1



たっちゃんけんちゃんも手を挙げていたからでした。


でも,1kmコースに挑戦する20人のほとんどが6年生です。


5年生はしんちゃんけんちゃんたっちゃんの3人だけです。


2. がんばるしんちゃん


先生の乗ったボートが3そう,

浮き輪をたくさん積んで巡回してくれています。



辛そうなしんちゃんを見て,



「大丈夫か。しん。まだ泳げるか。あと300mだぞ」

「まだ,がんばれるか」

と先生たちが聞いてくれました。



しんちゃんは,


「はい」

と,元気に応えましたが,



もう,浮き輪が欲しくて欲しくてたまらなかったのです。

でも,いじがあったので断って元気に泳いでいる姿を見せたのです。


先生たちも,元気そうなしんちゃんを見て,



他の子のところへ行ってしまいました。



平泳ぎが疲れてきたので,背泳ぎにかえました。






海なので,波があるから,ずっと背泳ぎするのは難しいのです。
だから,ときどき背泳ぎにしていました。


真上には,真っ青な空に白い雲がぽっかりとひとつ浮かんでいます。




そのほかには何も見えません。


ときどき,先生の


「あと280mだ」

とか

「浮き輪の欲しいものは合図しろ」

とか

「もうすぐ岸だ。がんばれ」



「力を抜いてゆっくりしなやかに泳げ」


とメガホンで励ます声が


遠くから聞こえてきます。


でも,もう,疲れ果てていました。


だから,

雲を見ながら,

イカ泳ぎをしながらゆっくり

進むともなく休んでいました。


波に揺られていると少しは疲れが取れていきます。


不思議な生き物「テドゥウ」の話・・・≪【童話】≫・・・-遠泳大会2


この様子を海の底から見ている者がいました。



3. 雲に化けて


テドゥウです。


魚と一緒に海の中を泳いで遊んでいると,子どもが苦しんでいるのを頭の角で感じてしんちゃんのそばまでやって来たのです。


テドゥウは海の中から飛び出すと,雲に化けて魚の形になりました。
そして,腕をニョキッと出して筋肉を作りました。


ちょうど背泳ぎで空を見ていたしんちゃんは,魚の形の雲が筋肉隆々の腕で泳いでいるのを見て,

「よし、もう少し」


と,しんちゃんも気合を入れますが,体中の筋肉が“もうだめだ”と言ってるみたいに力が入りません。


でも,雲の魚に負けてはいられません。

最後の力を振り絞って泳ぎました。


「あと50mだ」

「もう少しだ」

先生の声も大きくなりました。
もうだめだ。


『もう,だめだ』


と,しんちゃんは思いました。

そして,

先生から浮き輪をもらおうと


立ち泳ぎをした時。


「あれ!足がつく」

しんちゃんの足に砂の感触がありました。首すれすれの深さでしたが,もう遠浅の海岸だったのです。


よかった。


しんちゃんはうれしくて空を見上げました。



あのお魚の雲にお礼を言おうと思ったのです。





すると,雲は,なんだか笑っているようなリスの顔をしていました。






「ふう。終わった」


「やっと着いた」


「おっ。しんちゃん泳ぎ切ったね」



 まわりの泳ぎ切った子どもたちがそれぞれ喜びの声をあげていました。



そのはるか空の上でテドゥウは子どもたちの嬉しそうな声を聞きながらニコニコしていました。



おしまい


カットはポックルさんです。


5.長い名前


急に長い名前と言われて,先生は必死に思い出しました。


「えっ。えーと。カラスノエンドウ。八文字だね。えーと。シロバナヒガンバナ」


「ちがうよ」


五月晴(さつきば)れの運動場では子どもたちが元気に遊んでいます。
遠くの川の土手を通ってきたさわやかな五月の風が窓から流れ込んで来ました。
先生は,土手(どて)の風景を思い出しながら,そこで黄色い花を一面に咲かせている草を思い出しました。


「じゃあ。セイタカアワダチソウ。十文字だ。これかな」
ちょっと自信があったのですが,


「ちがうよ。リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ。だよ。長いでしょ。二十一文字あるんだよ」


のぶゆき君らしくニコニコしながら言いました。


「ふうん。で,どんな植物なの」


「えーとね。アマモっていう海藻(かいそう)で藻(も)の仲間だよ」


不思議な生き物「テドゥウ」の話・・・≪【童話】≫・・・-水やり2

「すごいねぇ。のぶゆき君は植物博士だね。のぶゆき君は本当にお花が好きなんだね」


すると、のぶゆき君は、植物のことならなんでも任せて。という顔をしました。

そして、ニコニコ笑いながらお日さまいっぱいの運動場へと走っていきました。


ずっと気になっていたテドゥウも、先生といっしょに聞いていて、とても感心するとともに、とてもすがすがしい気分でまた空の散歩に出かけました。

おしまい。


カットはポックルさんです。

4.思いやる心



中間休みに、先生のぶゆき君に聞きました。


「のぶゆき君。朝会の時、どうして振(ふ)り返ってばかりいたの」


「ぼく、お休みの前の日、けんちゃんとたっちゃんに手伝(てつだ)ってもらって、教室の植木鉢(うえきばち)とプランターを運動場の柵(さく)の横に置いて帰ったの。先生も知ってるでしょう」


「いや、知らなかった。どうして置いたの」


のぶゆき君は、"あれ"という顔をしましたが、


「休み中に水やりをしたかったから、でも、昨日水をあげ忘れたから心配(しんぱい)になって見ていたの。どうして先生は知らないの。忘れたの」


「いや、初めて聞いたよ。でも、かしこいね。お花もきっと喜んでいるよ」


「だって、ぼく、四日間もごはん食べなかったらとってもつらいもの。だからお水をあげたの」


先生は、のぶゆき君のやさしい気持ちに心を打たれました。

空で聞いていたテドゥウも、ふたたび心を打たれました。


すると,のぶゆき君が、


「ね。先生。日本で一番長い名前の植物って知ってる」

と、急に明るい声で先生に言いました。






5.長い名前につづく

3.気になる後ろ


次の日の朝。


運動場の横の道路に子どもが3人います。

のぶゆき君たっちゃんけんちゃんです。

それぞれの手には水の入ったバケツやジョウロを持っています。

三人は鉄製のさくの間から,仲良く水をあげていました。


でも、その次の日もまた次の日も、のぶゆき君一人でした。


さらに、その次の日は、だぁれも水やりに来ませんでした。


休み明けに、運動場で朝会がありました。


一年生から六年生までが運動場に整列して、校長先生の話や児童会や委員会からの連絡を静かに聞いています。
一人、しきりに後ろを振り返る子がいます。

のぶゆき君です。

どうしたのでしょう。

普段は誰よりもきちんと聞くのぶゆき君の落ち着きがないのです。
先生が近くまで行くとちゃんとするのですが、しばらくするとまた振り返っています。


何か訳があると思った先生は,注意するのをやめました。


4.思いやる心に続く

2.のぶゆき君の考え


その時です。

春風に乗って空を散歩(さんぽ)していたテドゥウの角(つの)のぶゆき君の悲しい心が響(ひび)きました。
さっそく姿を消したまま教室に入ってのぶゆき君の気持ちを読み取りました。


明日から四日間もお休みです。

四日間も水をあげないのはかわいそうと思って、運動場の柵(さく)の横まで運ぼうとしていたのです。

そして、休み中に毎日外の道から水を上げようと考えていたのでした。

でも、きつく言われたので、それが言えず泣(な)き出しそうになっていたのでした。


そこで、テドゥウは、先生に化けて教室に入ってきました。

三人ともびっくりましたが、先生に化けたテドゥウは、


「のぶゆき君どうしたの」
とやさしく聞きました。


のぶゆき君は、安心して、教室の花をみんな運動場の柵の横に持っていくことを話しました。


「なんだ。そうだったのか」
「のぶゆき君。早くそう言えばいいのに」
「じゃ。ぼくたちも手伝うよ」


「それはいいことだね。けんちゃんもたっちゃんも やさしいね」
先生テドゥウ
がほめると,


三人は、教室にある鉢植(はちう)えのチューリップとプランターの三色すみれを仲良く運動場まで運びました。




3.気になる後ろにつづく

1.チューリップどろぼう

のぶゆき君は花が大好きです。


ですからクラスの生き物係りになり、毎朝 水をあげています。

放課後、チューリップの鉢を持って教室を出ようとしました。


すると、けんちゃんたっちゃんが、
「のぶ。チューリップを持って帰るのか」
「だめだよ。このチューリップはクラスの物だぞ」
「そうだ。持って帰るなんてひきょうだ。どろぼうだ」
「どろぼう。どろぼう」


不思議な生き物「テドゥウ」の話・・・≪【童話】≫・・・-水やり1


のぶゆき君
は、この二人が苦手なので、きつく言われて泣き出しそうになりました。

2.のぶゆき君の考えに続く



カットはポックルさんです。

なんとか 5月のGWには間に合わせます・・・


って。もう,ポックルさんから 絵をもらっているので 微調整のみです。


何日か前(4/16)に書きましたが,


タイトルは「水やり」


1.チューリップどろぼう

2.のぶゆき君の考え

3.気になる後ろ

4.思いやる心

5.長い名前
の小見出しをつけました。


チューリップを教室から持ち出そうとした のぶゆき君。

友達から,「どろぼう」と言われてシュンとしてしまいます。

でも,のぶゆき君には考えがありました。

のぶゆき君は,花が大好きなので花の気持ちがわかるようです。


登場人物

   のぶゆき君

   けんちゃん

   たっちゃん

   先生

   テドゥウ

場面

   第一場面 教  室 のぶゆき君・けんちゃん・たっちゃん・テドゥウ

   第二場面 運動場 のぶゆき君・けんちゃん・たっちゃん・(テドゥウ)

   第三場面 運動場 先生・のぶゆき君

   第四場面 教  室 先生・のぶゆき君・(テドゥウ)


想像しながらお待ちください。

そして,是非お読みくださいますようお願いします。

何としても5月2日までには…

てどぅう

4.神通力


その時です。
その男の子はからになったおかしの袋をむぞうさに,ポイッと道ばたに捨すてたのです。

その袋は風にとばされて道ばたのみぞに落ちました。

あらあら,この袋はどうなるのでしょう。

テドゥウは,未来の事が見える神通力を使って袋がどうなるのか見てみました。


しばらくみぞにつかっていた袋は,また,風にのって道の上に落ちました。


そこへ子犬がやってきて袋の中に残っているクッキーの食べかすを食べようとくわえました。

が,一度水につかっているものですから,クッキーはべったりと袋にくっついています。

この袋はビニールでできているので,そうかんたんにはやぶれません。

何回もかみついているうちに袋がさけました。

でも,クッキーには少しビニールがくっついています。

子犬はかまわず飲みこんでしまいました。

それから何年かたってその犬はビニールの毒で死んでしまいました。

犬の家族も飼い主も悲しみました。

まだ9才になったばかりです。

残された犬の子どもはまだ2才くらいです。

この犬は,16才まで生きる寿命があったのです。

もし,君のお父さんが80才まで生きられるのに40才で亡くなったらとても悲しいですよね。

お父さんを失った子犬の2才というと人間では小学生くらいです。


テドゥウは,ビニール袋をあやまって食べてしまったこの子犬の一生がとてもかわいそうになりました。


5.車輪に



その原因が男の子の捨てたおかしの袋なのです。

テドゥウはその男の子に拾わせようと思いました。


テドゥウは姿を消してそのおかしの袋を拾い,まるで風に飛ばされているかのようにひらひらさせながら男の子の目の前にポトンと落としました。

男の子に気づいて欲しかったのです。


そこへ中学生くらいのお姉さんの乗った自転車が走ってきてうっかり袋をひいてしまいました。


不思議な生き物「テドゥウ」の話・・・≪【童話】≫・・・-おかしの袋車輪


袋は自転車の車輪にからみつきパシャパシャと音をたてました。


「あらあら」




6.おじいさんに化けて


お姉さんは,困ったような顔をして自転車から降りると,おかしの袋を外し自分の紙袋に入れてそのまま立ち去って行きました。


男の子は中学生のお姉さんの行動を,ただぽかんと見ていました。


でも,テドゥウはここがチャンスとばかりに,おじいさんに姿を変えて,男の子の後ろから,


「感心な娘さんだね。誰かが捨てたおかしの袋を黙って持って行ったね」
と,声をかけました。


すると,男の子は,気まずそうな顔をして
「あの袋,ぼくが捨ててしまったの」


「おやおや。でも,正直なことはいいことだよ」


「そう,正直で賢くていい子だね」



「こんどからはちゃんとゴミ箱に捨てるよ」


おじいさんに化けたテドゥウがほめると,男の子は嬉しそうな顔をして帰って行きました。



テドゥウは,男の子の心が育っていくのを見て安心したようにすみかへと帰って行きました。


おしまい


カットはポックルさんです

1.さいころ広場


とある町からさほど遠くない茶がめ山という山の中腹です。


細いけもの道をたどっていくと小さな滝があります。

それはちょうど学校の机ほどの大きさです。

まわりはツバキやナンテンの木々がいっぱいあり,シダやつゆ草が生い茂っていて滝をかくしています。

空には小鳥たちがいっぱいいてさえずっています。

お陽さまの光もあまりとどきません。

もう少し山を登ると,少しひらけたところがあって,町のようすを見ることができます。

人々はここを『さいころ広場』と呼んでいました。赤土の間からサイコロのような岩がつき出ているからです。


昼間は,川のせせらぎと小鳥の鳴き声で滝の音もはっきり聞こえないものですから,こんなに町の近くにありながらあまり人に知られていないのです。



2.700年のねむり


ここに,「テドゥウ」というかわいい妖怪がすんでいました。

妖怪といっても恐い化け物ではありません。

ある日,犬の散歩に来た男の子にその姿を見られた時,ちょうどあくびをしていたのです。

テドゥウがあくびをすると口は自分の体より大きく開くものですから,その男の子があわてて帰って,ちょうど道で出会った友達に「お化けが出た。きっと妖怪や」と言ったためです。

不思議な生き物「テドゥウ」の話・・・≪【童話】≫・・・-おかしの袋01

テドゥウ自身は妖怪というより妖精と言ってほしいのですが・・・


というのも,あくびをしていないテドゥウは手足が少し長いリスのような生き物でしたから。

この山で目覚めてこの山で暮らしているテドゥウが人に見つかったのはこの時が初めてでした。

それは,普段は体を消していて,しゃべる声は水の流れる音とほとんど一緒ですから人に見つからなかったのです。


テドゥウは長い間眠っていました。

人間の世界で言うと約700年にもなります。

だから,うっかり姿をかくすのを忘れて,とても大きなあくびをしたのです。
人間に見つかったテドゥウはだれかがつかまえに来るかもしれないと思い,2,3日じっとしていました。


3.おっぽを広げて


でも,久しぶりに目がさめたものですから外の世界を見てみたくなりました。

テドゥウは,まず山の頂上に行ってみました。とても晴れたよい天気で,さわやかな夏の風が気持ちよくそよいでいました。
テドゥウはおばねを広げました。リスの体ですがおっぽだけは鳥の羽のようなものがついていて,いっぱいに広げ背中にひっ付けて空を飛ぶことができるのです。
どんどん高くのぼって行きました。

もう,お陽さまにとどきそうです。



不思議な生き物「テドゥウ」の話・・・≪【童話】≫・・・-空飛ぶテドウウ


ふと,下を見ると町もテドゥウのすんでいる山も小さくなっています。
「今日は晴れていて気持ちいいなぁ」
テドゥウは遠くの山の緑とすぐ近くの青く澄んだ川の流れをながめながらつぶやきました。
ふと下に目をやったテドゥウは小学校二年生くらいの男の子を見つけました。

そこは,山と家の間の少し広いじゃり道で,家と道の間のみぞには山からの水がさらさら流れています。

その男の子はおかしを食べながら歩いています。

クッキーです。

テドゥウは一つほしいな。と,思いました。


つづく


カットはポックルさんです

1.石ケン


「ぼく,おふろ入るのいやだぁー」
「さあ,おばあちゃんといっしょに入りましょ。今日は頭を洗わないからね」
「いやだ。いやだー」

おやおや,小学校低学年くらいの男の子がだだをこねています。


「しんちゃん。今日はいっぱい遊んでどろだらけでしょ。おばあちゃんが待ってるわよ。入りなさい」

お母さんからも言われましたが,しんちゃんいやだ。いやだと言って,とうとうお風呂に入らないで寝てしまいました。


これを見ていた者がいました。

テドゥウです。
テドゥウとは,リスに似た生き物で、子どもが困ったり悲しんだりすると角で感じ取り、近くに現れて何とか解決しようとする生き物です。姿を消したり空を飛んだり、いろんなものに化けたりもします。


海に沈むきれいな夕陽を見ているとどこからか「いやだ。いやだ」と男の子の叫ぶ声が聞こえたのでなんだろうと姿を消して様子をうかがいに来たのです。
男の子がおふろ嫌いなのを見た
テドゥウは,こっそりと小さな石ケンの姿にかえてしんちゃんのふとんにもぐりこみました。

そして,


不思議な生き物「テドゥウ」の話・・・≪【童話】≫・・・-おふろ1

「おい。しんちゃん。起きろ」
しんちゃんの鼻をつまみました。
しんちゃんがびっくりして目を覚ますと,そこには手と足がはえた小さな石ケンが立っています。
「おい。しんちゃん。おまえは今日もおふろに入らないで寝たな。こらしめてやる」
小さな石ケンがしゃべりました。よく見ると,石ケンに目や口がついています。

お化けだ


2.戦い



お化け。


と思ったのですが,

あまりに小さいので,しんちゃん石ケンをやっつけてやろうと思いました。


「石ケンの化け物め。やっつけてやる」


と言って,石ケンをつかみました。

すると,

指と指の間から



 するり 




と抜けてしんちゃんの頭の上に飛び乗りました。


「やぁい。しんちゃん。つかまえられるものならつかまえてみろ」


石ケンに化けたテドゥウが,しんちゃんの頭の上から言いました。


「くそ。えい」


しんちゃんは,もう一度つかまえましたが,また 


 つるり 



と逃げます。
ふとんの上をちょこちょこ走りまわる石ケンを,

今度は足で,エイッとふんづけました。


すると足の指の間から,



 するり 




と逃げます。

もう一度ふんづけると違う指の間から



 つるり 



と逃げます。
手や足の指の間,わきの下など



 するり  つるり



と逃げ回ります。
しんちゃんは疲れてきて座り込んでしまいました。



ハアハア息を切らしながら,石ケンが通った指の間が気持ちいいことに気づきました。


「どうだ。しんちゃん。石ケンが通ったところは気持ちいいだろ。おふろに入るともっと気持ちいいぞ」


しんちゃんは,石ケンが通らなかった指の間が気持ち悪くなってきました。
しんちゃんは急に部屋を飛び出しました。


そして,おばあさんに,

不思議な生き物「テドゥウ」の話・・・≪【童話】≫・・・-おふろ2

「おふろに入ろう。ね。おばあちゃん。いっしょに入って」


と言いました。

おばあさんは,さっき一人で入ったばかりでしたが,喜んでいっしょに入ってくれました。



おふろの中から,きゃっきゃ きゃっきゃ としんちゃんの楽しそうな声が聞こえてきます。
テドゥウは,その声を聞くと安心したように山へと帰って行きました。



おしまい


カットはポックルさんです。