4.神通力
その時です。
その男の子はからになったおかしの袋をむぞうさに,ポイッと道ばたに捨すてたのです。
その袋は風にとばされて道ばたのみぞに落ちました。
あらあら,この袋はどうなるのでしょう。
テドゥウは,未来の事が見える神通力を使って袋がどうなるのか見てみました。
しばらくみぞにつかっていた袋は,また,風にのって道の上に落ちました。
そこへ子犬がやってきて袋の中に残っているクッキーの食べかすを食べようとくわえました。
が,一度水につかっているものですから,クッキーはべったりと袋にくっついています。
この袋はビニールでできているので,そうかんたんにはやぶれません。
何回もかみついているうちに袋がさけました。
でも,クッキーには少しビニールがくっついています。
子犬はかまわず飲みこんでしまいました。
それから何年かたってその犬はビニールの毒で死んでしまいました。
犬の家族も飼い主も悲しみました。
まだ9才になったばかりです。
残された犬の子どもはまだ2才くらいです。
この犬は,16才まで生きる寿命があったのです。
もし,君のお父さんが80才まで生きられるのに40才で亡くなったらとても悲しいですよね。
お父さんを失った子犬の2才というと人間では小学生くらいです。
テドゥウは,ビニール袋をあやまって食べてしまったこの子犬の一生がとてもかわいそうになりました。
5.車輪に
その原因が男の子の捨てたおかしの袋なのです。
テドゥウはその男の子に拾わせようと思いました。
テドゥウは姿を消してそのおかしの袋を拾い,まるで風に飛ばされているかのようにひらひらさせながら男の子の目の前にポトンと落としました。
男の子に気づいて欲しかったのです。
そこへ中学生くらいのお姉さんの乗った自転車が走ってきてうっかり袋をひいてしまいました。
袋は自転車の車輪にからみつきパシャパシャと音をたてました。
「あらあら」
6.おじいさんに化けて
お姉さんは,困ったような顔をして自転車から降りると,おかしの袋を外し自分の紙袋に入れてそのまま立ち去って行きました。
男の子は中学生のお姉さんの行動を,ただぽかんと見ていました。
でも,テドゥウはここがチャンスとばかりに,おじいさんに姿を変えて,男の子の後ろから,
「感心な娘さんだね。誰かが捨てたおかしの袋を黙って持って行ったね」
と,声をかけました。
すると,男の子は,気まずそうな顔をして
「あの袋,ぼくが捨ててしまったの」
「おやおや。でも,正直なことはいいことだよ」
「そう,正直で賢くていい子だね」
「こんどからはちゃんとゴミ箱に捨てるよ」
おじいさんに化けたテドゥウがほめると,男の子は嬉しそうな顔をして帰って行きました。
テドゥウは,男の子の心が育っていくのを見て安心したようにすみかへと帰って行きました。
おしまい
カットはポックルさんです
