今日はドクターヘリが大活躍です.
本日のドクターヘリ(小林,幸部先生,藤巻看護師)
1,2件目 トラック同士の事故
朝のカンファレンスの途中に要請が入ります.小生,幸部先生はカンファレンスルームからダッシュ.JA822H・ドクターヘリはいつも通りに飛び立ちます.「トラック同士の正面衝突事故.傷病者複数.詳細は不明.」 いつも通りの救急覚知同時要請.ヘリは数分で現場上空に到着します.上空から事故現場確認(写真左上).「こりゃひどい.」 峠道なのでランデブーポイントで支援車を待っていては遅くなります.上空から直近の着陸ポイントを探すと,あります!消防の方に安全を確認してもらい慎重に着陸(写真右上),現場から150mくらいのところです.ヘルメット装着,革手袋装着,資器材を持って3人で現場までダッシュです.救急隊現着5分後に医療チームが到着.最速の医療介入です.救急隊に情報を聞きます.「傷病者は3名.1名が閉じ込めで救助中.ショック状態.1名は救助済みで現在全脊柱固定を行うところ.1名は歩行可能」 閉じ込めの救助にはまだまだ時間がかかりそう.小生が担当します.救出済みの患者さんは幸部先生が担当し外傷初期診療開始.もう1名の歩行可能な患者さんは救急隊に任せます.救急隊が3隊到着.消防力から考えると,患者搬送が可能な状況になっています.
「幸部先生,まずその患者さんをヘリでTECCMCへ搬送.そのままヘリをこちらにかえしてピストンで閉じ込め患者さんの搬送を行います!幸部先生は1人でヘリ搬送を担当してください.救急隊は歩行可能なその患者さんを陸送でTECCMCへ搬送してください!!」 現場が動きます.幸部先生と1人目の患者さんはストレッチャーでヘリへ.2人目の歩行可能な患者さんは救急車に乗り込みます.そして小生はトラックの助手席側から体をいれて患者観察.意識はありますが脈が触れない,冷汗あり.ショック状態です.藤巻看護師は加圧バック付きの輸液を用意してくれてます.上半身だけ車内にいれてルート確保.野外で虚脱した血管を探すのは難しい.輸液を全開投与しながら救助を待ちます.救助隊,救急隊も懸命に作業を行います.「もうすぐ出せます!」その時,頭上にドクターヘリが帰ってきました(写真左下).救助完了!!ヘリから幸部先生も現場に戻ってきます.外傷初期診療の続き.顔面外傷,胸部外傷,両大腿骨骨折,右下腿解放骨折,左下腿でグロービング損傷・・・輸液1500mL入ってなんとか脈が触れ始めます.「全脊柱固定が終わったらヘリ搬送!」 ストレッチャーをヘリの臨時着陸場まで全員で押します(写真右下).救いたいという思いが伝わってきます.ヘリ収容.あとはTECCMCで待つ仲間に託します.
3件目 施設間搬送(2件目の患者さん)
初療にて輸液,輸血などでなんとか患者さんの状態が安定しました.しかし,眼外傷もありそう.患者さんは大阪在住と判明.眼外傷を含めた多発外傷に対応可能は居住地の大学病院へヘリ搬送です.飛行時間約25分.屋上へリポートに着陸.お世話になっている先生方が暖かく出迎えてくれました.
迅速な受け入れと手術対応をありがとうございました.
4件目 呼吸不全,ショック
3件目からの帰投途中に要請です.ランデブーポイント到着まではまだまだかかります.そこで救急隊は現場からTECCMCへ車を走らせながらヘリ到着を待つことを決断します.現場からTECCMCまで1時間15分ほどかかる地域.要請から20分後,救急車は隣の消防本部が管轄するランデブーポイントでドッキングと決めます.隣の消防本部から支援車が来てくれます.本当にこの地域は消防同士の連携もスムーズです.ありがとうございます.山間の駐車場にヘリは着陸,患者さんを診察します.確かにギリギリの状態でがんばっておられます.速やかにヘリへ乗せかえTECCMCへ搬送とします.
医療機関と消防,消防同士,垣根のない連携があってこその救急医療体制です.いつもありがとうございます.
5件目 脳梗塞疑い
4件目の搬入後,小生は番匠谷先生と緊急手術を行うためにヘリを降ります.するとヘリ要請です.幸部先生,藤巻看護師が出動します.「呂律が回らない.右麻痺あり.」 脳梗塞が疑われます.脳梗塞は発症から血栓溶解療法までの時間が後遺症を決めます.ランデブーポイントに着陸,救急車を待ちます.ほどなく救急車到着.車内で診察開始.CPSS 2項目陽性,発症時間は? 脳梗塞,血栓溶解療法の適応を考え,一番近い救命救急センターへヘリ搬送です.
本日もヘリは西へ東へ縦横無尽に大活躍でした.お疲れさまでした.