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 明日は公立豊岡病院組合立病院合同医学会です.そこでこの4月から診療を開始したTECCMCの紹介をさせていただくことになりました.そこで4月~9月のデータをまとめてみました.

TECCMC受診患者数:10888人
救急車搬入件数:2080件
TECCMC入院患者数:637人

手術:10~15件/月
血管造影(TAE):13件
緊急内視鏡:適宜やっています(データが拾えませんでした)

PCPS:3症例
CHDF:15症例,延べ施行日数75日
PMX-DHP:7症例

ヘリのデータは先日お示ししております.ご参照ください.

 APACHE II,TRISS Psから算出された予測生存率よりも良い実生存率が出ています.また予測生存率50%以下の症例もきちんと救命出来ていました.実際の数字はまたどこかで書きます.

 さて,スライド作らないと.

本日のドクターヘリ(小林,三浦先生,清水看護師)
1件目 施設間搬送(痙攣重責発作)
 初期対応を終え,引き続きの加療目的にかかりつけの病院へ施設間搬送です.まだ抗痙攣薬を持続投与しており,陸送だと2時間以上かかるためヘリ搬送とします.片道30分弱.痙攣発作も生じず,良い状態で引き継ぎを行えました.本日の写真は引き継ぎ場所のヘリポートです.
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 本日はうれしいことがありました.TECCMCに3名の日本救急医学会救急科専門医が誕生しました.倉橋先生,番匠谷先生,松井先生おめでとうございます.HPも書き換えています.9名の医局員のうち7名が専門医となりました.岡本先生,三浦先生は来年が試験です.今からプレッシャーを与えちゃいましょう.でも全員合格で良かったぁ・・・

本日のドクターヘリ(小林,山邊先生,濱看護師)
1件目 胸痛
 冬型に気圧配置で天候不良.台風も近づいています.離陸しましたが雲が低く視程が悪い状況.「天候不良にてキャンセル・・・」 本当に申し訳ありません.

 すっかり体感温度は冬です.この前までフライトスーツに塩が吹くくらいの暑さだったのに.四季を楽しめる地域,但馬です.はやく天候回復してくれ~!
 500件目の患者さんが初療に搬入され,ヘリ運航終了直後に3件目の搬送を担当した救急隊に出動指令です.「心肺停止事案.」 特定行為の指示出しもその後の受入もTECCMCとなります.であれば,フライト終了後の小生と福本看護師が救急車に同乗して現場に向かいましょう.救急車のドクターカー的運用で,現場出動です.やはり医師,看護師が救急隊とともに現場に出向く意義は非常に大きいです.久しぶりに救急車(ドクターカー的運用の)で現場に行きました.ヘリとカー,似て非なるもの.病院前救急診療は奥が深いです.
 今度のドクターカー運用を含め,この地域に応じた救急医療体制を構築したいと思っております.

 本日もお疲れ様でした.
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 今日はドクターヘリが大活躍です.

本日のドクターヘリ(小林,幸部先生,藤巻看護師)
1,2件目 トラック同士の事故
 朝のカンファレンスの途中に要請が入ります.小生,幸部先生はカンファレンスルームからダッシュ.JA822H・ドクターヘリはいつも通りに飛び立ちます.「トラック同士の正面衝突事故.傷病者複数.詳細は不明.」 いつも通りの救急覚知同時要請.ヘリは数分で現場上空に到着します.上空から事故現場確認(写真左上).「こりゃひどい.」 峠道なのでランデブーポイントで支援車を待っていては遅くなります.上空から直近の着陸ポイントを探すと,あります!消防の方に安全を確認してもらい慎重に着陸(写真右上),現場から150mくらいのところです.ヘルメット装着,革手袋装着,資器材を持って3人で現場までダッシュです.救急隊現着5分後に医療チームが到着.最速の医療介入です.救急隊に情報を聞きます.「傷病者は3名.1名が閉じ込めで救助中.ショック状態.1名は救助済みで現在全脊柱固定を行うところ.1名は歩行可能」 閉じ込めの救助にはまだまだ時間がかかりそう.小生が担当します.救出済みの患者さんは幸部先生が担当し外傷初期診療開始.もう1名の歩行可能な患者さんは救急隊に任せます.救急隊が3隊到着.消防力から考えると,患者搬送が可能な状況になっています.
 「幸部先生,まずその患者さんをヘリでTECCMCへ搬送.そのままヘリをこちらにかえしてピストンで閉じ込め患者さんの搬送を行います!幸部先生は1人でヘリ搬送を担当してください.救急隊は歩行可能なその患者さんを陸送でTECCMCへ搬送してください!!」 現場が動きます.幸部先生と1人目の患者さんはストレッチャーでヘリへ.2人目の歩行可能な患者さんは救急車に乗り込みます.そして小生はトラックの助手席側から体をいれて患者観察.意識はありますが脈が触れない,冷汗あり.ショック状態です.藤巻看護師は加圧バック付きの輸液を用意してくれてます.上半身だけ車内にいれてルート確保.野外で虚脱した血管を探すのは難しい.輸液を全開投与しながら救助を待ちます.救助隊,救急隊も懸命に作業を行います.「もうすぐ出せます!」その時,頭上にドクターヘリが帰ってきました(写真左下).救助完了!!ヘリから幸部先生も現場に戻ってきます.外傷初期診療の続き.顔面外傷,胸部外傷,両大腿骨骨折,右下腿解放骨折,左下腿でグロービング損傷・・・輸液1500mL入ってなんとか脈が触れ始めます.「全脊柱固定が終わったらヘリ搬送!」 ストレッチャーをヘリの臨時着陸場まで全員で押します(写真右下).救いたいという思いが伝わってきます.ヘリ収容.あとはTECCMCで待つ仲間に託します.
 
3件目 施設間搬送(2件目の患者さん)
 初療にて輸液,輸血などでなんとか患者さんの状態が安定しました.しかし,眼外傷もありそう.患者さんは大阪在住と判明.眼外傷を含めた多発外傷に対応可能は居住地の大学病院へヘリ搬送です.飛行時間約25分.屋上へリポートに着陸.お世話になっている先生方が暖かく出迎えてくれました.
 迅速な受け入れと手術対応をありがとうございました.

4件目 呼吸不全,ショック
 3件目からの帰投途中に要請です.ランデブーポイント到着まではまだまだかかります.そこで救急隊は現場からTECCMCへ車を走らせながらヘリ到着を待つことを決断します.現場からTECCMCまで1時間15分ほどかかる地域.要請から20分後,救急車は隣の消防本部が管轄するランデブーポイントでドッキングと決めます.隣の消防本部から支援車が来てくれます.本当にこの地域は消防同士の連携もスムーズです.ありがとうございます.山間の駐車場にヘリは着陸,患者さんを診察します.確かにギリギリの状態でがんばっておられます.速やかにヘリへ乗せかえTECCMCへ搬送とします.
 医療機関と消防,消防同士,垣根のない連携があってこその救急医療体制です.いつもありがとうございます.

5件目 脳梗塞疑い
 4件目の搬入後,小生は番匠谷先生と緊急手術を行うためにヘリを降ります.するとヘリ要請です.幸部先生,藤巻看護師が出動します.「呂律が回らない.右麻痺あり.」 脳梗塞が疑われます.脳梗塞は発症から血栓溶解療法までの時間が後遺症を決めます.ランデブーポイントに着陸,救急車を待ちます.ほどなく救急車到着.車内で診察開始.CPSS 2項目陽性,発症時間は? 脳梗塞,血栓溶解療法の適応を考え,一番近い救命救急センターへヘリ搬送です.

 本日もヘリは西へ東へ縦横無尽に大活躍でした.お疲れさまでした.
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 夜間,家族の目の前で心肺停止になられた患者さんが,家族の適切な胸骨圧迫,心肺蘇生により蘇生,救急隊搬送中に意識回復され搬入されました.喘息発作からの心肺停止.後遺症なく軽快されそうです.新たな心肺蘇生のガイドラインが発表されました.しかしいつの日もbystander CPR,早期からの胸骨圧迫に勝るものなしです.

本日のドクターヘリ(小林,番匠谷先生,福本看護師)
 天候不良にて今日も但馬空港から出られません・・・冬型の気圧配置,雨模様と最悪の気象条件です.患者さんの発生がないことを祈りました.午後,何とか離陸可能な気象条件になりヘリポートにJA822H・ドクターヘリが帰ってきました.今日は視程が厳しく,フライト不可能か・・・と思っていた矢先です.

1件目 意識障害
 救急覚知同時要請です.直行でも15分近くかかる地域,救急隊現着にも病院搬送にも時間を要する地域からです.「泡を吹いて,呼びかけに反応なし.」 ドクターヘリは慎重に飛行プランを決め離陸します.雲の隙間を見つけ,安全に飛行を続けます.何とか迂回すれば飛べそうです.とその時,「救急隊現着時意識回復.救急隊のみの対応で可能にてキャンセル.」の連絡です.一同安堵し帰投です.
 早期医療介入を念頭においたヘリ要請,結果がキャンセルでも誰も何も気にしません.医師を早期に引っ張り出すことの方がはるかに重要なのです.

2件目 施設間搬送(頭部外傷)
 墜落による頭部外傷患者さんの施設間搬送です.機長は行けると判断します.小生の医局の大先輩からの紹介です.JA822Hは離陸後,円山川に沿って海上に出て海岸線を飛行します.とその時運行管理室から無線です.「他事案要請あり.事故発生場所は○○.機械に首を巻き込まれ意識朦朧.」 次事案は救急覚知同時要請です.ランデブーポイントは本事案とTECCMCを結ぶ経路上にあります.患者さんの状況,救急隊の現場対応時間を考慮すると医師の現場投入が最善と考えます.本事案の患者さんはすでに医療介入済みで安定.であればランデブーポイントで新たな診療を加える必要はなし.速やかにヘリに乗せ替え離陸すれば5分以内で対応可能.そこから次事案のランデブーポイントまでは約10分.次事案のランデブーポイントは現場直近.そこに番匠谷先生と福本看護師をおろしヘリは本事案の患者さんを小生と共にTECCMCへそのまま搬送.次事案は現場対応しつつ救急車に医師,看護師同乗でTECCMCへ向かうプランとします.フライトドクター2名体制ならではの運用方法です.運行管理室,消防の調整も完璧です.さあ,日没も間近です.急ぎましょう!
 本事案の患者さんをランデブーポイントで予定通りに速やかに載せ替え,小生は大先輩から申し送りを受けます.「やあ,小林君!飛んできてくれたんだ.」 何年経っても先輩,後輩の関係は変わりません.このつながりは患者さんにとっても大切なものなのです.なぜなら医者同士の信頼関係が速やかな医療連携につながるからです.この地域ではTECCMCまで陸送すると40分以上かかります.その間,この地域には救急車1台と同乗する医師1名が往復1時間半以上も不在になります.それを防ぐ意味でもTECCMCへのヘリ施設間搬送は大切かつ重要な任務と考えています.

3件目 外傷性窒息
 2件目のランデブーポイントを離陸,消防と無線でコンタクトをとります.やはり現場投入のようです.日没と天候が崩れていく中ランデブーポイントへ急ぎます.10分弱の飛行でランデブーポイント上空.ランデブーポイントは現場の工場駐車場です.慎重に着陸,番匠谷先生,福本看護師をおろしヘリは離陸,TECCMCへ向かいます.番匠谷先生の現場1人デビューです.ランデブーポイントに降り立った2人は事故現場までダッシュ.ちょうど患者さんが運び出され,救急車に収容されるところです.外傷初期診療開始.気道は開通していますが,ひどい不穏状態.頸部に縊頸痕があります.機械に襟首が巻き込まれたようです.おそらくは外傷性窒息後の低酸素脳症.番匠谷先生は脳の安静をはかるため鎮静をかけます.そして引き続きの外傷初期診療.さあ,TECCMCへ向かってください!
 2件目の患者さんを初療に搬入.ヘリは日没時間が目の前にて3件目のピストン搬送は断念.小生は初療室で3件目の患者さんと番匠谷先生,福本看護師の帰りを待つことにします.患者さんが搬入されれば鎮静をしっかりして気管挿管,脳代謝モニタリングのもと脳保護療法を行いましょう!

 本日で当ドクターヘリは500フライトとなりました.飛行開始から半年強,無事事故もなく1つの節目を迎えました.これも住民の皆様をはじめ,関係される皆様のお陰です.500という数字は単なる通過点に過ぎません.これからも今まで以上にドクターヘリを現場に引っ張り出してください.ドクターヘリはこの地域のいち医療システムなのです.よろしくお願い申し上げます.
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 本日は早朝にドクターヘリ運航開始半年の報告を兼ねた記者発表を行いました.毎日新聞さんのネット版記事を掲載させていただきました.ご参照ください.
 消防の皆様をはじめとした関係者の方々に支えられ無事半年が過ぎました.まだまだ手探りな部分も多く,今後も多くの方々のご指導,ご支援が必要であります.どうぞよろしくお願い申し上げます.

本日のドクターヘリ(小林,松井先生,森田看護師)
 朝は但馬空港視界不良にて給油にも飛べない状態が続きました.幸い要請もなく,出動は結局0件でした.

 初療も昨日とは打って変わって平穏な時間が流れていました.このまま小生と番匠谷先生は夜勤に突入です.平和な夜でありますように・・・
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 小生は学会2日目.午前中に座長をさせていただき,午後からは帰路につきます.なかなか勉強になった学会でした.羽田空港から伊丹空港,伊丹空港から但馬空港の経路.伊丹空港で「但馬空港,天候不良につき条件付フライトです.天候不良につき但馬空港に着陸出来ない場合は伊丹空港に引き返します.」あらら,ドクターヘリは飛べたのかな?そんなことを心配しながら36人乗りSAAB340B・プロペラ機に乗り込みます.上空は厚い雲.何とか天候ももち,無事但馬空港に着陸です.ところが・・・但馬空港に夜間駐機しているはずのJA822H・ドクターヘリがいません!天候不良にて但馬空港まで飛べなかったようです.これは出動もままならなかったのでは,そんなことを考えながらセンターに向かいます.センターに着き救命医局に入ると,抜け殻のような岡先生が・・・「今日は異常でした・・・ヘリも初療も・・・」 以下,フライトドクター岡先生の証言に基づき再現します(その2に続く).



 その2に続く前にお知らせです.今月の「Prehospital Care」という雑誌に小生の書いた但馬救命救急センターの紹介が掲載されています(写真).お時間のある方はご覧ください.

 ではその2へ・・・
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その2です.

本日のドクターヘリ(岡先生,三浦先生,林看護師)
1件目 意識障害
 朝の回診後,一斉PHSが鳴ります.救急覚知同時要請です.「急に倒れて意識なし.」現場直近の農道に着陸して現場にダッシュ!(写真左) 救急車に搬入と同時に現場到着.車内で診療を開始し8分で機内収容.そのままTECCMC搬送です.
 急性大動脈解離.厳しい状態でした.

2件目 目撃あり心肺停止
 1件目の初療搬入直後に要請です.急いでヘリにストレッチャーを戻し離陸.現場まで15分程度かかりそうです.「目撃ありの心肺停止.」 何とかしたい,そう思いながら飛行します.すると幸いなことに現場に医師がおられ,心肺蘇生を施されているとのこと.救急隊現着後,そのまま病院搬送されることになりキャンセルとなりました.
 早期医療介入を考えた適切な要請でした.現場におられたDr.,ありがとうございます.

3件目 痙攣重積
 2件目からの帰投中に要請です.そのまま反転,出動です.要請から13分で患者さんと接触,救急隊現着してから3分後です.医療介入までの時間短縮は何分の一になるのでしょうか!医療チームは診療を開始.意識障害あり,低血糖なし.病歴,既往から症候性癲癇が鑑別にあがります.幸い消防が第一選定で直近病院への搬入受諾をとってくれてました.ヘリで搬送,安定した状態で引き継ぎます.
 適切なヘリ要請は早期医療介入と搬送時間の短縮を実現するのです.当地域のJターン応需率は非常に高く,消防のみならず医療機関の協力体制も非常にありがたいです.

 文字数の関係で「その3」へ続きます.もう少しお付き合いください.
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その3です.これで本日分終了.

4件目 墜落
 3件目から帰投.但馬空港に給油へ向かう途中に要請です.ヘリは反転,TECCMCヘリポートでクルーを乗せ現場に向かいます.「はしごからの墜落.」 雨の日に滑るのに・・・8分でランデブーポイント着陸,救急車を待ちます.救急車到着.岡先生,三浦先生の師弟コンビで外傷初療開始.ABC安定ですが頭部,胸部外傷のようです.診療開始してから11分後にはヘリはランデブーポイントを離陸,TECCMCへ向かいます.救急覚知からヘリ要請までも早ければ,現場滞在時間も早い.病院前救急診療が根付き始めた地域です.
 搬入後,現場の診断通りの損傷が判明しました.

5件目 交通外傷 閉じ込め事案 傷病者2名
 4件目の初療搬入直後に要請です.クルーは急いでヘリに戻り準備,離陸します.「乗用車同士の衝突事故.傷病者1名車内閉じ込め.」 上空から事故現場を確認,直近の休耕田に着陸可能と機長は判断します.消防の安全確保を確認し,着陸(写真右).岡先生,三浦先生,林看護師は資機材を持って現場までダッシュ!患者さんはまだ車内に閉じ込められています.ヘルメット着用,長袖,皮手袋着用の岡先生が安全を確認した後に車内で外傷初期診療を開始.初期輸液を開始後再び救出活動です.患者さんを安定化させながらの救出.現場での医療,消防の良き連携は患者さんの救命,後遺症軽減につながります.救出中の患者さんを岡先生が担当している間に,相手方のもう一人の患者さんを三浦先生が診察.幸いこちらの方は致死的外傷はなさそうです.TECCMCの初療状況を考えると,搬送時間は少しだけ長くなりますが隣県の救命救急センターへ救急隊だけで搬送とします.医療介入が始まり30分,1人目の患者さんが救出.ABCは安定したままです.両下腿に変形あり.全脊柱固定の後,TECCMCへヘリ搬送とします.
 搬入後,整形外科の先生方により緊急手術が行われ,術後は当科で入院,外傷後の全身管理です.

6件目 意識障害
 5件目搬入後,但馬空港に給油へ飛び立った直後の要請.救急覚知同時要請です.ヘリはそのままヘリポートに着陸し医療クルーを乗せ再離陸,ランデブーポイントへ向かいます.「急に倒れて意識なし.」 天候不良によりランデブーポイントを変更,多少の時間を要しましたがドクターヘリに慣れている消防本部の対応は臨機応変,即時対応です.ランデブーポイントへ着陸,クルーは支援車で現場へ.現場からの初期治療を開始します.患者さんは心肺停止状態.救急隊と協力しながら対応します.救急車をランデブーポイントへ走らせながらの治療です.心拍再開.クルー患者接触から機内収容まで8分.現場投入しながらもこの現場滞在時間は早い!さすが師弟コンビ.機内での急変を考慮しオートパルスも装着,離陸です.このオートパルスの装着が正解,飛行中に再び心肺停止.すかさずオートパルス開始.そのまま初療搬入です.
 搬入後に判明したのは本日2症例目の大動脈解離.心嚢ドレナージなどで蘇生を試みましたが,厳しい状況は変わりません・・・

 そして,7件目の要請が入りましたがこの時点で天候不良,但馬空港がクローズ.給油に行けず燃料なしのためキャンセルとなってしまいました.申し訳ありません.やはり格納庫と給油施設は必須であることを痛感しました.来春の完成が早まることを切望しています.

 JA822H・ドクターヘリは但馬空港に入れず,当院ヘリポートに夜間駐機となりました.夜間照明に照らされるドクターヘリは昼間とはまたひと味違います.ちなみに夜間駐機中はカメラで夜間監視が行われております.

 本日は久しぶりの6件出動.しかも連続対応で誰一人お昼ご飯を食べられない状態だったようです.しかも初療も大繁盛.救命救急センターだけで10名の入院がありました.他科入院を含めると何人入院されたのでしょうか.

 こんな日もあるのですね.皆様,本当にお疲れ様でした.
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 本日は学会1日目です.教育講演,教育セミナー,ランチョンセミナーで勉強し,今後の臨床研究の方向を思案します.午後1番で座長.各ご施設で創意工夫された治療がなされています.参考にしましょう.最終セッションまでしっかりと聞きました.TECCMC診療開始前後での予後比較,治療の妥当性など検討すべきことが浮き彫りになりました.医師だけでなく,看護,コメディカルのレベルアップも必要です.

 明日も座長をさせていただきます.今宵も部屋にこもって予習とお仕事ですね.今日は岡先生,番匠谷先生で緊急手術を行ってもらいました.なかなか示唆に富んだ症例だったようです.お疲れ様.

本日のドクターヘリ(幸部先生,番匠谷先生,林田看護師 記録より転記と番匠谷先生の証言より)
1件目 交通外傷
 乗用車の事故で閉じ込め事案.今まで要請はあれど,なかなかドッキングまで至らなかった地域からです.しかし今回は違います.救出に時間を要し,ドクターヘリによる早期医療介入が実現しました.患者さんにとって有益な救急医療を提供するためにはどうするか?このことを常に考えている消防本部は,いつか必ず重症の患者さんを救い上げることが出来るのです.ランデブーポイントに向かう途中に適当な空き地があります.そこにヘリを下ろせば最短の医療介入です.安全を確認,確保しJA822Hは着地.幸部先生,番匠谷先生,林田看護師は空き地の入り口までダッシュ!救急車の侵入に備えます.ところが,入り口の鍵が開きません!周囲は柵に囲まれています!!患者さんはすぐそこにいるのに.「柵を乗り越えて救急車に乗り込みます!それっ!!」 柵越えの名手・番匠谷先生(以前のブログ参照)と山登りの名手・幸部先生は軽やかに柵を乗り越え,救急車内へ.車内で走りながら外傷初期診療開始.どうやら致死的外傷が隠れていそう.幸部先生,番匠谷先生は一番近い救命救急センターを選定します.救急車侵入可能なランデブーポイントへ移動しつつ,ヘリも同時に移動.患者さんを速やかに乗せかえ離陸します.ランデブーポイントから10分弱.搬送先のヘリポートに到着し引き継ぎます.
 後にいただいたお返事では,開放骨折,血管損傷などがあったそうです.早期医療介入と搬送時間の短縮が患者さんの予後を決めました.

 朝方の天候がすっきりしません.但馬空港から出られない事態も起きております.要請に応えられず,ご迷惑をおかけすることがあるかは思いますが,どうぞ宜しくお願い申し上げます.