今時の、菊半切判以上の、国産枚葉印刷機は、こりゃほぼ、もれなく、
倍胴型式ってのが採用されてますよね。つまり、圧胴と中間胴が倍胴。
版胴やブラン胴に対して、倍の直径に成ってます。・・・もっと言うなら、
圧胴に、A面と、B面の、2面が有って、版胴等の倍の直径に成って
いますから、これを、倍径圧胴、略して「倍胴」と言ってるワケです。
(輪転機では、ブラン胴が倍胴に成るのですが、それとは違います)
この倍胴型式に対して、版胴やブラン胴と、同じ直径の圧胴を持った
印刷機を「単胴型式」と言って区別しています。私自身は、倍胴型式の
使い手ですから、単胴の印刷機は、出来れば使いたくないですわ~。
圧胴の直径が倍に成るって事はね・・・。圧胴って、印刷用紙が巻き
付いて、印刷して行く所じゃないですか。細い単胴に巻き付いて印刷
して行くか、倍の直径の、太い胴で印刷して行くかを考えた場合にね、
こりゃ平面に近い方が、網点の再現性とか見当精度が良いってのは
簡単に想像が出来るかと思います。
だから、倍胴の方がイイって話に成るのですが、この他にも、紙を搬送
する際の、咬え替え回数が減るなんて言うマニアックな部分に関しても
倍胴の方が有利なんです。咬え替え回数が減る=渡し胴の数が減る
って事ですから、メンテや補修等にも有利ですよね。
この倍胴型式にも、「くの字配列」、「逆くの字配列」って言うのが有ります。
印刷機を操作側から見た場合、版胴、ブラン胴、圧胴の位置関係ってさぁ、
その中心位置が、上から下へ一直線ではないじゃないですか。印刷機を
印刷状態にするには、「胴入れ」って言う動作が必要に成りますよね。
普通は、各胴が離れていて、それぞれ空転してるんですが、印刷を開始
する時には、胴入れをしなくては成りません。この胴入れって、どの胴が
動いてるのか?って言うと、ブラン胴が動いて、版胴と圧胴に接触して、
圧力(印圧)を掛けるような構造に成っています。ですから、全ての胴が
一直線上に並んでたら、ブラン胴が動いても、何とも成りませんわね。
簡単に言えば、ブラン胴が、版胴や圧胴より、左側に出っ張ってる恰好を、
ひらがなの 「く」 の字、に成ってるって事で、「くの字配列」って言います。
これとは逆に、ブラン胴が右側に出張ってれば、「く」 の字の逆って事で、
「逆くの字配列」って言うワケなんですわ。
昔はね、「くの字配列が良い!」とか、「逆くの字が絶対だッ!」なんて言う
論争も有ったんですが、両方共使ってみれば、すぐに分かります。これは、
明らかに「逆くの字」の方が使い易い。今時は、ほとんど、逆くの字配列の
印刷機ばかりに成りましたから、その点からも明白ですよね。
マニアックな話に成ってしまいましたが次回は、この逆くの字配列の
特徴と、注意点についての、お話を紹介させて頂きます~。