印刷技術 特色作り | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

普通の印刷屋さんに、どうしても付いて来てしまうのが「特色」ってヤツ

ですよね。特色のインキ作りをしなきゃイカンし、ローラー洗浄しなきゃ

イカンし、手間ばっかり掛かって、本当に儲からん仕事ですわ~。

 

今時は、CCM装置なんて言う、コンピュータ調色装置を導入しておられる

印刷工場さんも多いのですが、私が見たところ、普及率は30%以下かな?

と言う感じです。と言う事は、大半の印刷現場では、自分でインキを練って

作っているか、または、インキ屋さんにお願いして作っているか、ですよね。

 

この、自分で練るって言う世界も、私の時代とでは随分、様変わりしたように

思います。今時は特色の見本帳の、配合表を見て、ハカリで測ってインキを

配合するってのが、主流のやり方ですよね。私らの時代はねぇ、まずそんな

高性能なハカリが有りませんでしたわ~。

 

インキ(中間色)もね、色によって、インキメーカーが違うってのが当り前でね、

・・・この辺りは、古い職人さんのコダワリが強くてですねぇ、金赤は絶対に、

あのメーカーの物でなくてはダメ!とか、紺藍は、このメーカー以外は許さん!

なんて具合で、DICさんの配合表を参考にしたとしても、中間色のインキが

DICさん以外の物ばかりなので、配合表通りの配合をしても色が出ません。

 

「特色は頭の中で作れッ!」なんて言われて、配合表など一切、見る事は無く

自分の頭の中で考えて配合をするクセが、付いてしまっていました。これねぇ

ある程度、技量が上がってウマく作れるように成れば良いのですが、ヘタクソ

な内は本当に大変です。500g も作れば充分なインキがね、どんどん増えて

行ってしまって、気付けば2kg も有ったり、実は、その前に 1kg コソッリと捨て

てしまっていたり。 まぁ、時間とインキがメチャメチャ、無駄ですわね~(笑)。

 

それと、特色作りの中で、一番難しいのが、そのインキを紙に付けて叩いて

延ばして、色の出来具合を確認するって言うワザですよね。これがヘタクソ

だと、いつまで経っても、まともな特色が作れないですよね。でもね、これが

難しいのは当たり前なんですよ。印刷した時のインキの膜厚は1μでしょう。

叩いて延ばして、自分の指先で1μの被膜を作るなんて本当に神業ですよ。

 

こんな神業、さんざん練習しなきゃ出来ないですよね。でも、どうやって練習

するのか?・・・私の場合は、先輩が刷ってる特色のベタ部分を手本にして、

それと全く同じ色で延ばせるように、必死に成って、その感覚を覚えました。

 

しかしです!一番困るのが例えば、色上質紙へ特色で刷る場合の配合です。

黄色の色上へ、仕上がりが緑色に成るように、特色を作れ!なんて、本当に

イヤですよね。これも、CCM装置が有れば、自動で計算してくれるようですが、

そんな便利な装置を持っていない所では、本当に大変なんです。

 

上質紙ってね、指先で延ばそうとしても、延びないじゃないですか~。普通の

白い上質紙なら、コート紙で延ばした色から換算するのも、まぁ楽なんですが、

色上質紙はアカンですわ~。まぁこんなもんかな?と思って作ったインキで、

その色上質で 1度刷ってみないと分からんですもんね~。   あッ!これも、

展色機なんてのを持ってればイイんですが、それも無いのが普通ですわね。

 

そこで、私が先輩から教わった秘技!・・・いや、秘技ってほどの物じゃないん

ですけど、やらんよりはマシかな?ってくらいの技です(笑)。まずね、不要に

成ったブランケットを、平らな机の上とかに置きます。そのブランケットの上に、

作っている特色インキを少々乗せて、それをインキヘラで平らに、薄く延ばし

ます。その平らに薄く延ばしたインキの上に、これから刷る色上質紙を貼り

付けて、色上質紙の上から、擦る。

 

ブランケット上での、インキの延ばし方に少々、コツが必要なんですが、これ、

普通に印刷するように、ブランから紙へと転写出来ますので、ケッコウ使える

ワザなんですよ。色上質紙に限らず、ファンシーペーパー系でも有効に使える

かと思いますので、ヒマな時にでも、やってみて下さい (^^)v 。