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伊藤修二 「黄昏シンドバッド」

 ・・・仙台市在住。東北大学経済学部卒業 放送作家(日本脚本家連盟会員)  詩集「ひとり荒野」 小説集「明日。」 「セクシードラゴンの夏」などを出版。アマゾンの「伊藤修二」から購入できます。寄せられたコメントは公開していません。フォロワーも求めていません。

マヨネーズの値段が上がった。バターもマーガリンも輸入牛肉もハンバーガーやラーメン、牛タン定食などの外食料金も上がった。

 

らしい。

 

しかし、わたしには関係ない。

それらをほとんど利用していないからである。

 

特に外食。これまでもあまりその機会がなかったが、コロナ禍に入ってからは外食の機会はゼロである。

スーパーの総菜は生まれてこの方、買ったことがないし、コンビニは各種料金支払いなどで利用しているが、弁当などは買ったことがない。40年前、釣りに行った際に海近くのコンビニでエサ用の魚肉ソーセージを一本買っただけである。

 

そして、牛肉もバターも買うのは年末のたったの一度だけ。マヨネーズは年間に400グラム2本だけしか消費しない。マヨネーズを使うのはチキンナゲットを作る時ぐらいで、他の料理にはほとんど使わない。  

 

わがままを通させてもらい、毎日、三度の食事を作っているのはわたしだから間違いない。

 

梅干しはもちろん、イカやアジ、ホッケ、サンマなどの干物、味噌、自家製南蛮で作るかんずり、同じく一味唐辛子、塩辛、燻蒸しないハム、そして自分で言うのも何だけど、得意のがんもどきなども自分で作っている。揚げたてのがんもどきに生姜をおろして醤油を軽くたらし、ふうふうしながら食べる。作っている時も食べる時も実に幸せな時間である。

 

熟成二年目に入ったかんずり

 

若い頃は牛タンも自分でさばいた。牛タンのかたまりをスライスしたあと3日間血抜きしてから塩か味噌で味付けして食べた。街の牛タン屋では厚さがせいぜい5ミリ程度だが、それを2センチの厚切りにして食べる。自分でさばいた特権である。しかも店の半分の費用しかかからなかった。しかし、老いた今は手数のかかる牛タンをさばく元気はない。牛タンのかたまりもべらぼうに高くなったせいもある。

高くなったものは食わない。物価高を乗り切るひとつの方法である。

 

ラーメンも昔は鶏ガラで自家製スープを作っていた。今は、楽して市販のスープを自分で加工してから使うこともある。例えば、3人分のラーメンを作るとする。市販のスープは一人前だけにして、かつお節と昆布ダシとチキンコンソメ、酒かす、焼きにんにくと焼きネギ、焼き塩、醤油などで味を整える。麺は盛岡の兼平製麺の生中華麺を使う。安くておいしい。

自炊は、なるべくなら自炊するという軽いスタンス。そうでないと疲れるし続かない。

 

昔は、ラーメン店にもよく食べに行ったが、自分で作るラーメンより旨いと思ったラーメンは、横浜駅前の屋台と仙台の志のぶという店のラーメンだけ。その志のぶも今年の春に閉店してしまった。

 

長々と書いたが、要するに簡単な自炊技術を身につければ、食費はそれほどかからないということ。

 

例えば、スーパーで売っている「おから炒り」。一人分でだいたい350円前後で売られているが、

350円あれば、10人前以上のおから炒りが作れる。

きんぴらゴボウも白菜キムチも野菜のミックス漬けもみんなそう。

自分で作れば安くでき、添加物なしの調味料で自分の好みの味に仕上げることができる。

 

寿司も自分で握ったほうが安上がりだ。特売で安くなっている生マグロのサクを買って来て、昆布締めにして旨みを出してから握る。イカは皮を取ってさばいてから、身を横に半分にスライスして薄造りにしたものを握る。サバは三枚におろした後、小骨を抜き取ってからしばらく塩にまぶして臭みを取り、昆布を入れた米酢で締める。それを冷凍庫に半日入れて置けばアニキサス中毒の心配もなくなる。シメ鯖の寿司はへたなマグロより美味しい。こうして自分で握る寿司は、寿司屋の5分の1の費用で食べられる。

 

それとめんつゆ。そばつゆの他に、煮物、茶碗蒸しなど様々な料理にめんつゆを使うおかしな料理番組が多いが、添加物だらけの製品が多いからよく調べてから使ったほうがいい。金を使ってそんなものを買わなくても、丁寧に、昆布とかつお節、煮干しなどでダシを取って保存して置けば、何にでも使える。

金より手間をかけたほうが、料理は美味しくなる。

 

料理の基本を教えてくれたのは、辻調の畑耕一郎さんと分とく山の野崎洋光さんだ。

およそ20年前、畑さんは上沼恵美子のおしゃべりクッキングに出演していた。彼はすばらしかった。いつも、メモを手にして番組を視ていた。40歳で会社を辞めてからのわたしのライフスタイルとこの番組がちょうど合っていた。午前中に依頼のあった放送台本やCMコピーなどを書いて、11時頃から昼ご飯を作り出し、その昼ご飯を食べてから、テレビニュースとおしゃべりクッキングを視て、それから買い物に出て、帰って来たらキッチンドリンクしながら晩ごはんを作る。食べたら寝床に入り、本を読みながら眠くなったらそのまま寝るというのがわたしの基本的な一日のライフスタイルだった。30年前から、今で言うリモートワークをしていたことになる。

 

分とく山の野崎さんもすばらしい調理師である。タケノコのあく取りは大根おろしで。カツオのたたきは皮目に火を通した後に水には取らないなど、目からうろこの調理の基本を教えてもらった。今はユーチューブで学ばせてもらっている。寿司は家で握って食べたほうがいいと言うのが彼の持論。100%同感である。本マグロの大トロを単に握るだけの寿司屋は寿司屋ではない。もう何十年も前の話になるが、やたら元気のいい寿司職人が注文を受けると「大トロ、入ります」とか言って思わず、手に息を吹きかけてから握り始めた光景が今でも忘れられない。バックヤードでやるのはかまわないが、目の前でされると興ざめする。この寿司屋はテレビでおいしい寿司屋として紹介されたらしいが、あの後は行っていない。

 

さて、昼食後にパチンコ店に立ち寄り、かなりの資金を調達してから買い物をするという日もあった。

「どうでもいい話、パチンコ大学編」にも書いたが、

わたしは、伝説の釘師の大場さんにパチンコ必勝法を教わっていたから、デジタルになってもほとんど負けたことがなかった。

宇宙戦艦ヤマトの30回連チャンの後に流れるスローバラードを聞いたことがある人はそういないだろう。

その時、わたしは、10人以上の場内観衆の視線を背中に感じながらパチンコを打ち続けていた。

まさに、大場さんのおかげである。

今でも、パチンコは負けない自信があるが、コロナ禍で長い間、やっていない。これからもやらないだろう。

最近のパチンコがギャンブル性の強いものになって来たからだ。昔のパチンコには勝っても負けても愉しいという牧歌性があった。大衆の娯楽が依存性の高いカジノ化しつつある。日本の社会にカジノ、iRは要らない。

 

 

脱線した。物価高の話だった。

外食やスーパーの惣菜なんかやめて、食事は自分で作ろう。

料理ほど楽しいものはない。

市販のカレールーを使わないカレーライスほどおいしいものはない。

 

なんのことはない。

エスビーのカレー粉の大缶を買って、それに自家製の一味唐辛子と好みの香辛料を足すだけでいいのだ。

おススメは、フェネグリークとシナモン、海苔の佃煮とインスタントコーヒー、酸味を入れるために自家製の梅干しなど、みんな一般家庭にあるものばかり。後は、鶏肉にしても豚肉にしても、使う前に軽い塩とコショウ、日本酒、小さじ一杯のパスティスを入れた袋に3日ほど漬けておくことぐらい。牛タンは好きだが、油脂分が多い牛肉は嫌いなのでカレーには使わない。スープのベースはもちろん昆布だし。カレーを作る12時間前に昆布を水に入れておけばいいだけの簡単な仕込みだ。このカレーを食べたらきっと世界観が変わる。添加物に慣れ切った舌でも、少しは蘇ることだろう。

エスビーのカレー粉の大缶はオススメ。ひと缶1500円前後するがお得だ。困った時のカレー粉。チャーハン、天ぷら、野菜炒めと、カレー粉に頼ることが多々ある。スープづくりに失敗した時のラーメンに入れてもいい。

 

今、作ると美味しいもの。

秋鮭の季節だから、軽く塩を振った秋鮭のブロックを蒸してから骨を抜き、フライパンで軽く炒り、火を止めてから、ほぐした辛子明太子と和えて食べる。これは旨い。日本酒のアテには最高である。ホカホカの白飯に乗せて食べてもいい。はらこ飯の10倍は旨い。

 

40歳でテレビ局を辞めてからずっと個人事業主だったから他人よりもらう年金は少ない。でも、自炊が多いから、あまり食費はかからない。円安による物価高もほとんど気にならない。ずっと前から外貨投資しているから、むしろ今の円安は少しだけ歓迎である。でも、アメリカの住宅価格が下がり始めているので、FRBも過度な利上げはしなくなるだろう。

 

外食を抑え、自炊を増やせば、

物価高は乗り越えられる。

挑戦してみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スーパーで売っているマグロの血合い

 

マグロの血合いにはビタミンEや鉄分はもちろん、

タウリンや強力な抗酸化作用があるセレノネインも

豊富に含まれている。

どす黒く食欲をそそるような色ではないが、人間と同じ。

多少、見かけが悪いほうが味わい深いものがある。

きれいな赤を保つために

発色剤に漬けこまれる高級マグロとは対極にある優れた食材である。

 

少し、調理に手間がかかるが、食べ出したら止まらない。

写真の血合いは198円。298円の時もあるがその時は買わない。

 

調理方法はいろいろあると思うが、

わたしの自由な調理法を書く。

 

まず、

① 買って来た血合いを流水でよく洗い、表面の汚れを落とす。

② 一口大にカットしてからボールに入れてまた軽く水洗いする。

  セレノネインは血の部分に多く含まれているので、あくまで軽く。

③ 水を切ったら、

  醬油、てんさい糖、日本酒、みりん、塩、胡椒、摺りショウガなどの調味液に

  2時間ほど漬けこむ。好みで一味や青なんばんを加える。

④ ③をボールにあげてよく水を切る。

⑤ 鉄製の中華鍋かフライパンに素材が半分が隠れる程度の油を張る。

  強火で1分、弱火にして5分、最後にまた強火で1分、素揚げする。

  一度に揚げないで、油の温度が下がらない程度の量にする。

  最初の強火は、表面を固めるため。その後の弱火は中まで火を通すため。

  最後の強火はもちろん油抜きのため。

 

  完成。完成しても見た目はあまり良くないが・・。

  冷蔵庫で4日持つ。冷凍しても味は変わらない。 

  

365日、家族の賄いを作って来た。

総菜は買ったことがない。コンビニの弁当も食べたことがない。

最近はパンも自分で焼いているが、中心は米飯。

ごはんほどおいしいものはない。

塩むすび、味噌むすび。最高である。

この血合いの素揚げはおにぎりの具にもなる。

 

前にも投稿したが、自炊すれば物価高も怖くない。

価格が安い食材を手間をかけておいしく作る。

「血合いの素揚げ」などはその典型である。

 

今、加工食品の弊害が問題になっているが、

食材そのものが変わって来ている。

例えば、食肉。

本来、草食動物の牛に穀物やビール酵母、肉由来の飼料を与えて

「さしの入った牛肉」が牛肉の主流となってしまった。

 

柔らかい牛肉のどこが旨いのだろう。

草原の草を食んで育った牛の武骨な肉が懐かしい。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

    ファイト 


  親たちからは
  いい学校へ行けとあおられ
  三者面談で
  勉強しなかったおまえが悪いと
  教師に冷たく言われても
  一番苦しいのは
  いつも若者の君たちだった

  睡眠を減らし
  神経をすり減らし
  わめきたい気持ちを押し殺し
  若者の君たちの心と身体は
  もうボロボロだ

  漢字ひとつ知らなくとも
  長い人生には
  あまり関係ないかもしれない
  偏差値の高い学校が
  君を鍛えてくれるとは限らない

  しかし
  どんなに悩んでも
  どんなに転んでも
  まだ諦めないことは
  決して無意味なことではない

  これから、前へ前へと進むにつれ
  立ち向かうものが増えて来るだろう

  世の中の矛盾や
  大人たちの裏切り
  好きな人との別れなど
  受験や就活などとはまるで違う
  もっと大きな壁だ

  でも
  まだ諦めない

  どんな痛みにも耐えて生きていける
  君たちの勇気がある限り
         諦めてはいけない

  ファイト・・・

 

   kindle出版「ひとり荒野」より
 

   群れない

 

 

  ずっとテレビの仕事をして来た
    ドキュメンタリーも
    若者向けの深夜番組も
    音楽番組も
    そこにいたのは
    権力とはほど遠い
    市井の普通の人々であった
    
    思えば
    ぼくの人生は
    その人たちと一緒に紡ぐ
    ものがたりへの旅だったかもしれない
    
    若者向け深夜番組の
    エンドロールに
    「きょうのあなたが

    すべてではない」と
    メッセージを入れたら
    東北大学の学生から
    「死ぬのをやめました」という
    長文の手紙が来た
    彼の人生も
    悩み多きものだったらしい
    
    この生きる決意の手紙には
    ぼく自身
    今も励まされ続けている

    いじめられて平気な人はいない
    リストラされて平気な人はいない
    ずっと育んできた愛を失って
    平気な人はいない
    平気でないのに
    平気なふりをするから
    どこかが壊れて来る
    一生懸命に苦しんで、苦しんで
    あとは、そっと笑うしかないのだ
  
    「群れない」と標題に書いた
    確かに、
    群れないとできない仕事も

    たくさんある
    テレビの番組づくりもそうである

    しかし
    群れることに慣れきった人たちに
    いい仕事ができないことも事実である

    人づきあいが苦手だけど
    常にいい音を

    拾ってくれていた音声マン
    子供をおんぶしながら

    夜遅くまで働いていた
    シングルマザーのスタイリスト
    時間を見つけては
    ロケバスの清掃をしていた

    寡黙なドライバー


    テレビ番組とは
    群れない精神を持つ人たちの
    葛藤の積み重ねの上に

    できあがるものである

    だからどうだろう
    あなたが今
    半ば、強制的に群れから

    除外されたとしても
    それはチャンスと考えたらどうだろう
    
    群れないことは
    寂しいことではない
    群れないことは
    悲しいことではない
    群れから離れないと
    あなた自身の生き方さえ

    試されないのだ

    そして
    いつか、きっと
    あなたが心から信頼する人との
    出会いがあるだろう
    その時こそ
    あなたは群れるのだ


    ぼくは
    島倉千代子の歌が好きだ
    人生いろいろ
    男もいろいろ
    女だっていろいろ

    孤独を怖れず
    正直に生きている
    あなたの人生もまた
    素晴らしい

 

 kindleペーパーブック 

「ひとり荒野」より



 

白松が最中が好きである。

特に、ごま餡の最中は世界に誇れる美味しさである。

仙台の名産品はいろいろあるが、

おそらく、白松が最中を超える名産品はないと断言できる。

 

幼い頃から、白松が最中を食べて来た。

仙台に住む叔父がよく土産に持参したからだ。

当時から、ごま餡が大好きだった。

 

小学校の遠足で仙台市郊外にある白松が最中の工場に見学に行った。

工場でさんざんごちそうになったあげく、

「お父さんやお母さんにもどうぞ」と

3種類の最中セットが全員に配られた。

その時も、ごま餡だけはそっと抜き取ってから家族に渡した。

 

あんことしろ餡は、

他のメーカーでも似たような味は出せるかもしれない。

しかし、白松が最中のごま餡は絶対に作れない。

 

実は、

10年以上前に、仙台の制作会社を通して、

わたしに、白松が最中のテレビCMコピーのオファーがあった。

 

テレビ番組の台本以外にも、

多数のテレビCMも書いていたことは投稿してある。

コピーライターとしての最大の悩みは、

あまり勧められない商品のコピーを書かざるを得ない時にある。

試食用にといただいた青森県の添加物だらけの漬物。

ギャラか良心か。

結局、一度受けた仕事は断れないという理由で、

ずっとため息をつきながら、そのCMコピーを書いたこともある。

 

しかし、

この白松が最中とアイリスオーヤマの園芸用品だけは別であった。

コピーの書きがいがあるというか、

どちらも優れた商品だから、複雑な心の葛藤もなくすんなりとコピーが書けた。

 

勘違いしないで欲しい。

CMコピーを書いたから、白松が最中を絶賛しているわけではない。

仙台に来たらぜひ、食べて欲しいから書いている。

やたら情報が氾濫して、

どうでもいいものまでが仙台の名産品として紹介されている。

それではいけない。

紛れもない名産品である白松が最中を

お土産とかではなく、まず自分の舌の感動のために食べて欲しい。

 

その白松が最中のテレビCMだが、

10年以上経った今も、放送され続けている。

 

CMが公開されている

白松が最中のホームページを貼り付けておきます。

白松がモナカCM - Bing video

 

なお、

極私的に、

宮城県で一番おいしいと思う笹かまぼこは、

石巻の「粟野の笹かまぼこ」である。

東日本大震災で大きな被害を受けたが、

ようやく立ち上がり、昔ながらの味を取り戻した。

 

まもなく、3・11である。

 

 

 

 

 
 

 

 

わたしは40歳でテレビ局をやめて

個人事業主として放送作家の道へ進んだ。

束縛されるのが嫌だという理由でやめたのだから、

成功するとか収入アップなど考えたこともなかった。

「まあ、なんとかなるだろう」という不確実な気分だけであった。

 

以下は、今だから思うことである。

わたしの場合は、テレビ局をやめてからのほうが収入が膨らんだが、

それは、結果的にそうなっただけで、

風まかせに、オファーがあった仕事を淡々とこなしただけだった。

 

テレビ番組の放送台本だけでなく、CMコピーも随分と書いたし、

学校や企業の広報ビデオの台本も数えきれないほど書いた。

結局、

テレビ局のいいディレクターとプロデューサーに恵まれたことが幸いした。

 

今、政府も盛んに転職、独立を勧めるようになった。

その場合の動機付けにキャリアアップを挙げている。

転職、独立を考えている人たちも増えていると聞く。

しかし、キャリアアップって何だろうと思う。

今は、弁護士や公認会計士という高等なキャリアを積んだ人でも

なかなか食っていけない時代になりつつある。

 

公認会計士の学校を経営していた親しい友人がいたが、

彼も、公認会計士という資格に必ずしも夢や希望を託してはいなかった。

彼をかつての東証一部上場企業のオーナー経営者として成功に導いたのは

類まれなコミュニケーション能力である。

 

コミュニケーション能力という

とても曖昧模糊としたキャリアを身につけるには

最低10年の歳月がかかるだろう。

 

ビジネススクールでコミュニケーション学は学べても

それだけで、コミュニケーション能力を身につけることはできない。

コミュニケーションの土台となるのは豊富な人生経験だからである。

 

司法試験、公認会計士、英会話、ファイナンシャルプランナー

行政書士、簿記等々のキャリア組は人数が多すぎて、

優位性がすっかり薄れてしまっている。

だから、キャリアアップだけで

転職、独立を考えてはいけないと思う。

たいがいは失敗する。

 

今、通用するキャリアとしたらプログラミングとヒンドゥー語だろう。

特に、ヒンドゥー語。

まもなく世界のマーケットは中国からインドに移る。

来月から新社会人になる若者の君たちも、

数年後の転職をめざすならヒンドゥー語のキャリアは大きな武器になる。

 

それと、

確かなのは、「運」だけかもしれない。

人に誇れるキャリアがなくても、

運が道を拓いてくれる時がある。

 

東北で長期間、放送作家として生計を立てていたのは、

わたしを含めて二人しかいなかった。

一人は、わたしよりはるかに優秀な放送作家だったが、

わたしが仕事を始めてまもなく、別の職種に転じてしまった。

 

その理由はわからないが、

彼が主戦場としていたテレビ局のギャラが安すぎたからかもしれない。

一度だけ、そのテレビ局の仕事を請け負ったが、

あまりのギャラの低さに心臓が止まりそうだった。

事前にギャラ交渉しなかった自分が悪いと諦めたが、

以後、そのテレビ局からのオファーは丁重に断り続けた。

 

わたしは、「運」が良かった。

わたしが仕事をさせてもらっていたテレビ局はいつも

くだんのテレビ局の数倍のギャラを提示してくれた。

東北6県、およそ15社あまりのテレビ局すべてである。

 

週に、5本のレギュラー番組を抱え、

その合間にテレビCMのコピーを書いていたこともある。

キャリアではなく、

すべて、「運」に恵まれたおかげであった。

 

だから、

これから、転職、独立を考えている人たちは、

80%の失敗を覚悟して、

「運」に自分の未来を託すしかないと思う。

 

そのほうが、実は成功する。

失敗の予測から始めたほうがいい。

 

成功より失敗。

なんか勇気づけられる気分にはならないだろうか。

 

最後に一言。

「何もしないより何かをして破れたほうがいい」。

 

 

 

 

 

 

 

 


納豆ほど、おいしい食品はない。しかも、安価で身体にもいい。人それぞれに食べ方もあるだろうが、納豆についてくる納豆のタレだけは使わないほうがいい。良心的な納豆屋さんは、そうではないかもしれないがタンパク質加水分解物や果糖ぶどう糖液糖などほとんどが添加物だらけのタレである。せっかく身体にいい納豆を身体に害のあるタレで食べるのは納豆に失礼である。

 

どうでもいいことだが、

わたしは、納豆のタレは焼き塩単独や、すりおろしショウガやネギと醤油を合わせて作っている。

特に焼き塩かあるいは塩と組み合わせた納豆はほかほかのご飯に乗せて食べれば本来の納豆の味を楽しむことがきる。

 

生タマゴは食べない主義なので、温泉タマゴを作って納豆に入れて食べることもある。

しかし、今は無理。

全国的なニワトリの大量殺処分のおかげで、鶏卵が不足し、鶏卵業者は、しかたなく本来引退させるべきニワトリにもタマゴを産まさせ続けている。

料理好きな人は、ここ一か月、タマゴが大きくなり殻が薄くなったのを実感しているだろう。いわゆるおばあちゃんニワトリが産んだタマゴだから、味も落ちる。

 

例によって、脱線する。

25年ほど前に、花兄園という会社のビデオを作製したことがある。

添加物だらけ、農薬だらけの飼料が中心だった日本の鶏卵業界に逆らい、アメリカのカーギル社から無添加の飼料を船ごと買い付けていた会社だ。しかも横浜港でなく、港湾作業の管理費が安い鹿島港に荷を下ろすことで経費を抑え、

その分、鶏卵農家への売値を下げていた。

この花兄園のおかげで、経営難に陥った多くの鶏卵農家が救われた。

今は、代替わりしただろうが、良質な経営は続いていると思う。

タマゴの味は、与えている飼料で変わる。

花兄園傘下の鶏卵農家のタマゴを食べれば即、わかる。

 

 

タマゴから納豆に戻る。

仙台市には、宮城野納豆と言うすばらしい納豆屋さんがある。

ここも取材して15分ほどの番組を作ったことがある。

当時の納豆工場は大正ロマンの香りがする瀟洒な佇まいで、

納豆販売よりも、納豆菌の全国販売が中心だった。

今はわからないが、当時は全国の納豆屋さんの4割が宮城野納豆の納豆菌を使っていたと聞いた。

 

今も、宮城野納豆では納豆だけでなく、納豆菌も市販している。

ネットでも販売しているから、手作り納豆に興味がある人はどうぞ。

ただ、ガス代、電気代高騰の折、コトコト時間をかけて煮豆を作るには勇気が要るだろう。

しかし、子どもと一緒に作った手作り納豆の味わいは、子どもにとって一生忘れられない味になるだろう。

 

ちなみに、

宮城野納豆で販売している納豆にはタレがない。

さすがは、老舗の納豆屋さんである。

納豆本来の味を味わうには、添加物だらけのタレは邪道なのである。

 

また、つまらないことを書いた。

 

きょうの昼は、納豆パスタにした。

柔らかめのパスタに、手作りの昆布とカツオのダシに刻んだ納豆を和え、その上に焼き海苔をちぎって乗せただけの簡単な昼飯。

海苔は、石巻の内海求商店の海苔。

これがまた、旨い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      人間

  つらくなったら
  自分の丸裸を鏡で見たらいい

  なぜかあるオッパイ


  なぜかあるオチンチン
  人間とは、笑える動物である

 

    kindle出版「ひとり荒野」



 

   何かが        

 



  きょうのあなたが
  すべてではない
    
  まだ何かがある
  爆発物のような激しい何かがある

  きょうのあなたが
  すべてではない
  もう少し自分を信じてみる

    kindleペーパーブック 「ひとり荒野」より

 


   戦争
    


  美しい言葉が
  あなたを戦争に駆り立てる

  誰も殺したくないのに
  自分も死にたくないのに
  平和のために
  国のために
  家族のために・・・
  美しい言葉は美しすぎて
  いとも簡単にいのちを奪う

    kindle出版「ひとり荒野」より