メンデルスゾーン「最初のワルプルギスの夜」 | 翡翠の千夜千曲

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Mendelssohn: Die erste Walpurgisnacht ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Andrés Orozco-Estrada

Felix Mendelssohn Bartholdy: 

Die erste Walpurgisnacht ∙ 

(Auftritt) 00:00 ∙ 

Ouvertüre 00:22 ∙ 

  I. »Es lacht der Mai« – »Die Flamme lodre durch den Rauch« 09:06 ∙ 

 II. »Könnt ihr so verwegen handeln?« 13:12

 III. »Wer Opfer heut' zu bringen scheut« 15:36 ∙ 

IV. »Verteilt euch hier« 17:48 ∙ 

V. »Diese dumpfen Pfaffenchristen« – »Kommet mit Zacken und mit Gabeln« 19:30 ∙ VI. »Kommt mit Zacken und mit Gabeln« 22:00 ∙ 

VII. »So weit gebracht« 25:50 ∙ 

VIII. »Hilf, ach hilf mir, Kriegsgeselle« 30:34 ∙ 

IX. »Die Flamme reinigt sich vom Rauch« 31:32∙ 

 

hr-Sinfonieorchester (Frankfurt Radio Symphony Orchestra) ∙ 

Sonja Leutwyler, Alt ∙ 

Maximilian Schmitt, Tenor ∙ 

Adrian Eröd, Bariton ∙ 

Markus Volpert, Bass ∙ 

MDR Rundfunkchor ∙ 

Andrés Orozco-Estrada, Dirigent ∙ 

Rheingau Musik Festival 2014 ∙ 

Kloster Eberbach, 22. August 2014 ∙

 

 

 口の悪い批評家やワグナーなどは、メンデルスゾーンは「真夏の夜の夢序曲」ですべてを出し切ったとか、ユダヤ人の音楽性の低さなどについて辛辣な批評をしています。勿論、根拠のない説が多いのですが、若書きだったとは言え16歳にして「弦楽八重奏曲 変ホ長調 Op.20」や序曲「夏の夜の夢」ホ長調 作品21, MWV P 3を書き上げたことは奇跡ですし、晩年の作品に比較すると幾つかを除いて、煌めきや勢いが違って聞こえることも事実です。

 メンデルスゾーンは幼い年代から優れた作品を生み出してはいましたが、リチャード・タラスキンは次のような見解を示しています。

 彼は早熟な幼年期の様式を脱することはついになかった。(中略)彼は保守的なスタイルにとどまり続け(中略)「革命的な」新しさを提示して注目を集める必要性を感じていなかった。彼はキャリアを通じて、かつての音楽に誠意をみせることをよしとしていたのである。かつての音楽とは、彼の時代には既に終わったものと考えられていた古典派形式のことである。彼のロマン主義は既に最初期の頃より明らかであり、非常に因習的、客観的基質の音楽的「描写」となって現れていた(ただし、優雅な装飾を施されてはいたが)。

 そういう意味では、1821年にゲーテと出会えたことは誠に有意義なことでした。メンデルスゾーンはその後も何度かゲーテに招かれて会っています。ゲーテの詩の多くに曲をつけていますが、その詩に霊感を受けて作曲された作品は、序曲「静かな海と楽しい航海 Op.27」とカンタータ「最初のワルプルギスの夜 Op.60」などがあります。

 ゲーテは1799年に書いた詩を基に、カール・フリードリヒ・ツェルターに作曲を依頼しています。詩の内容は、5月の森の中で祭儀を行うドルイド(ケルト人社会の祭祀を司る司祭)が、キリスト教の聖職者に邪魔をされないために人々に悪魔の扮装をさせ、キリスト教徒は狼男やドラゴン女たちを見て震え上がるといった内容になっています。

 ツェルターはこれを引き受けましたが、何が障害になっていたのか、作曲することのないまま放置されていました。ツェルターの門弟だったメンデルスゾーンはこの曲の作曲をすることを許可してもらえるように手紙をワイマールのゲーテに対して書きましたが、このことに対してゲーテは快く了解しています。

 メンデルスゾーンはカンタータを6曲くらい作曲しています。そのうち2曲が作品として成立し作品番号がついています。1曲がこのカンタータ、もう1曲が「芸術家たちに」作品68です。このカンタータの初稿は1830年10月で、1832年に全曲が完成しました。初演は1833年1月10日で、ベルリンで行われれましたが、ゲーテ本人は1832年に没していたので曲を聞くことはできませんでした。その後、作品は一部を改訂されています。

 

<楽曲の構成>

序曲と9曲から構成され、更に序曲は2つの部分からなる。演奏時間は約33分。

序曲(1.悪天候 2.春への移行)
第1曲 5月はほほえむ
第2曲 あなた方はいとも大胆に振舞えますか
第3曲 今日、いけにえを捧げるのを畏れる者は
第4曲 男たちよ、ここに散らばれ!
第5曲 この愚かなキリスト教の僧たちを
第6曲 見張りたちの合唱
第7曲 万物の神を夜に密やかに崇めるのに相応しく
第8曲 助けてくれ、助けてくれ、戦友よ!
第9曲 煙は炎によって清められるごとく

 21・22歳頃の作品ですが詩の内容は、テキストが掲載してあるサイトにリンクしていますので、翻訳機能を使ってご覧ください。

 

※ 以前の記事

① メンデルスゾーン「ピアノ協奏曲」第1番

② メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」

③ メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」ロマン派の音楽⑥

④ フルートの出番です217 メンデルスゾーン 真夏の夜の夢より「スケルツォ」

 

Mendelssohn メンデルスゾーン / 真夏の夜の夢、最初のワルプルギスの夜 アーノンクール & ヨーロッパ室内管弦楽団 【CD】