"Flight" George Benjamin, Sébastian Jacot, Prof. Jacques Zoon
George Benjamin - Flight (1979)Flutist : Michael Cox
名前だけは知っている作曲家の一人ですが、作品はほとんど知りませんでした。例えばこの作品を聴くと、当初「ははあ、トータルセリエルかなあ」とか「着古したシャツの様な懐かしくはあるが、珍しくもない毎度おなじみの現代的音楽」と思うも、細かい動きになると、「なる程、それで飛行というタイトルか」と一応納得はする。19歳の学生の作品であり、無理はないとも言えます。
サー・ジョージ・ベンジャミン(George Benjamin, 1960年1月31日 - )は、英国の作曲家で指揮者でピアニスト、そして大学教授です。藤倉大氏の師であり、武満徹作曲賞の審査員を務めたこともある方です。
1960年、ロンドン生まれで、早熟の神童として知られていたそうです。1970年代後半にパリ音楽院に留学、オリヴィエ・メシアンの愛弟子として評判になります。後にピエール・ブーレーズに認められ、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)と協力体制を築き上げました。優秀なピアニストでもあります。
「予告無き時 Sudden Time 」や「3つのインヴェンション Three Inventions 」などの管弦楽曲のほか、アンサンブルと電子楽器のための「アンターラ Antara 」などの作品が有名です。 帰国後にケンブリッジ大学キングス・カレッジで音楽を専攻し、アレクサンダー・ゲールに師事。わずか20代にして、驚くほどの成熟ぶりと自信あふれる表現力によって名を知られるようになります。
現在はロンドンに住んで定期的にロンドン・シンフォニエッタを指揮している。王立音楽大学で教壇に立つかたわら、現在はキングス・カレッジ・ロンドンでも教鞭を執っています。日本にも度々来日して自作の上演に立ち会うかたわら、都内の大学でワークショップを開いています。
2017年にはナイトの称号を授与され、2015年にはフランスの芸術文化勲章コマンドゥール、2019年にはヴェネツィア・ビエンナーレの金獅子賞を受章しています。
Benjamin, George FLIGHT
<解説>
ジョージ・ベンジャミンは1960年、ロンドン生まれの英国の作曲家、ピアニスト、指揮者。早熟の才で知られ、1976年からパリ音楽院にて作曲をオリヴィエ・メシアンに、ピアノをイヴォンヌ・ロリオに師事。メシアンからは、その才能を高く評価されました。帰国後は、ケンブリッジ大学キングス・カレッジで、アレクサンダー・ゲールの下で研鑽を続け、在学中の1980年、BBCプロムスでオーケストラ曲 “Ringed by the Flat Horizon” が演奏され注目を集めました。1992〜94年、イヴォンヌ・ロリオと共に、彼女の夫、メシアンの最後の作品「四重奏と管弦楽のためのコンセール」の完成も手伝っています。1979年に作曲されたフルート・ソロのための「フライト」は、まだ学生時代の作です。スイス・アルプスの峰々を舞い上がったり急降下したりする鳥たちの光景から着想を得た作品。緻密に構成され、吟味された繊細な音の並びから、師メシアンの「クロウタドリ(黒つぐみ)」が思い出されます。「鳥」にまつわるフルートの名曲はたくさんありますが、この作品も大事な1曲と言えましょう。(解説/三上明子)
George Benjamin: Into the Little Hill; Dream of the Song; Flight
Various Artists