Carl Friedrich ABEL, Allegro in D minor WKO 208 (Sławomir Zubrzycki, Viola Organista)
Carl Friedrich Abel: Allegro in D Minor WKO 208; Shirley Edith Hunt, viola da gamba
The Allegro in D Minor by Carl Friedrich Abel, WKO 208, performed by Shirley Edith Hunt on the viola da gamba. The work is drawn from an Abel's manuscript of twenty-seven pieces. The original viola da gamba in this video was made by Johann Christian Hoffmann in Leipzig, circa 1720.
今日は音楽のカレンダー的に面白い日になっています。
○ 1808年12月22日 ベートーヴェンの交響曲第5番・第6番がウィーンで初演。
○ 1894年12月22日 ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』が初演。
○ 1723年12月22日 カール・フリードリヒ・アーベル、作曲家誕生
○ 1853年12月22日 テレサ・カレーニョ、ピアニスト、作曲家誕生
○ 1858年12月22日 ジャコモ・プッチーニ、作曲家誕生
○ 1900年12月22日 アラン・ブッシュ、作曲家誕生
たったそれだけの理由で、今日はアーベルを取り上げます。アーベルはヴィオラ・ダ・ガンバの名手として知られていますが、その作品Allegro WKO 208をレオナルド・ダ・ヴィンチが設計したヴィオラ・オルガニスタで演奏した珍しい動画を紹介します。ヴィオラ・ダ・ガンバと言う名前は「脚のヴィオラ」と言う意味で、楽器を脚で支えて演奏することからそう呼ばれています。これに対して「ヴィオラ・ダ・ブラッチョ(腕のヴィオラ)」と呼ばれたのがヴァイオリン属です。この場合の「ヴィオラ」は擦弦楽器の総称です。ヴィオラ・ダ・ガンバはヴァイオリン属よりも歴史がやや古く、見た目がヴァイオリン属に似ていますが、18世紀後半にいったん完全に廃れてしまいました。いわゆるピリオド楽器で、ヴァイオリン属の原型の楽器と思われていますが、両者は異なる系統にあります。ちなみにヴィオラ・ダ・ガンバの弦は7本です。
そのヴィオラ・ダ・ガンバをチェンバロのようにして、足踏みのローラーで弦を擦ると言った仕組みになっているのがヴィオラ・オルガニスタです。この映像になるコンサートは、2014年のコペルニクス音楽祭で行われました。演奏者のスワヴォミル・ズブジツキが制作した美しい楽器で、ヴィオラ・オルガニスタでスワヴォミル・ズブジツキが自身が演奏しているものです。
実際のヴィオラ・ダ・ガンバを演奏しているのは、シャーリー・エディス・ハントです。演奏の勢いの違いがはっきりしています。オルガニスタの方が小回りが利かないのかもしれません。それはともかく、ルネッサンスの時代にダ・ヴィンチが考え実存した楽器を再現してみせたこの取り組みはそれなりに評価が与えられるものと思います。
ところで、もう一つ確認すべきことがあります。画像にはCarl Friedrich ABEL, Allegro in D minor WKO 208と書いてありますが、この当時にはテンポや強弱などが書かれていない楽譜が多く存在します。日本の民謡ほど大雑把ではないにしても、演奏の上の指定は余りなかったので後の演奏家が書き込んだり、伝統的に引き継がれた演奏法であったりします。なので、本人による完璧な奏法の指定とは考える必要はありません。
※ 以前の記事
○ アーベル「ビィオラ・ダ・ガンバとバスのための6つのソナタ」
※ 演奏会のご案内⑩ バスーン・ヴァイオリン・ヴィオラ協奏曲 他
IMSLPの画像
Bach* & Abel*, Lucile Boulanger – Solo
Label: | Alpha Classics – none |
---|
Johann Sebastian Bach | Suite In D Major |
1 | – | Preludio for keyboard, BWV 846/846 | |
2 | – | Allemande for cello, BWV 1012 | |
3 | – | Courante for cello, BWV 1009 | |
4 | – | Sarabande for cello, BWV 1012 | |
5 | – | Gavottes for cello, BWV 1012 | |
6 | – | Gigue after Abel‘s Allegro in A, WKO 212 | |
Carl Friedrich Abel | Solos In D Minor | ||
7 | – | Adagio, WKO 209 | |
8 | – | [Andante], WKO 206 | |
9 | – | Allegro, WKO 207 | |
Johann Sebastian Bach | Solos In G Minor | ||
10 | – | Prælude for lute, BWV 999 | |
11 | – | Bourée Angloise for flute, BWV 1013 | |
Carl Friedrich Abel | Solos In D Minor | ||
12 | – | [Arpeggio], WKO 205 | |
13 | – | [Moderato], WKO 208 | |
Carl Friedrich Abel | Solos In D Major | ||
14 | – | Allegro, WKO 186 | |
15 | – | Fuga, WKO 196 | |
16 | – | [Adagio], WKO 187 | |
17 | – | Tempo di Minuet, WKO 200 | |
18 | – | Vivace, WKO 190 | |
Johann Sebastian Bach | Sonata In A Minor | ||
19 | – | Grave for keyboard or violin, BWV 964/1003 | |
20 | – | Fuga for lute or violin, BWV 1000/1001 | |
21 | – | Siciliana for violin, BWV 1001 | |
22 | – | Allegro for violin, BWV 1003 |