漫画アプリで読めるところまで追い付いたので、感想と紹介。

というか続き気になり過ぎて、10冊くらい買っちゃいました。

僕はめちゃくちゃ几帳面だから本来は飛び飛びで漫画を買うことは本来しないタイプなので、勢いで全巻買っちゃいたい気持ちですが、今はケチなので我慢しています。

 

 

 

 

 読み始めたきっかけ

読み応えがあって面白いという人の感想を聞き、読み始めました。

というかちょうど今期から、アニメ化したみたいですね。

原作では最序盤のとんぼはクソガキ風な描かれ方をされていましたが、アニメ1話を観た感じ、かなりかわいい系にブラッシュアップされているように感じました。

初期はツリ目気味だったはずなのに、目が真ん丸になってた。

 

 

 

 紹介とあらすじ

掲載媒体は週刊ゴルフダイジェスト。

原作:かわさき健、作画:古沢優。

 

一言で言えば、ゴルフ大好きなおじさん向けの漫画です。メイン読者層は、普段あまり漫画を読まない人向けなのではないでしょうか。

絵柄も今風とは言い難いのですが、話のうまさ、わかりやすさ、理論、そして内容に僕はすっかり引き込まれていきました。

 

日本最後の秘境と呼ばれる鹿児島県トカラ列島に移り住んだ元プロゴルファーの五十嵐は、とんでもないゴルフの才能を秘めた天真爛漫な少女のとんぼと出会う。この出会いをきっかけに、二人の運命は大きく変わっていく。

 

 

なんというか、現代版のプロゴルファー猿のような印象を受けます。3鉄一本でプレーしてるし、モロパロディか。

現代版って言っても、令和じゃなくて平成初期の漫画って感じですが。

 

 

 

 62話分無料キャンペーン実施中(~5/3)

僕は普段、マンガBANG!というアプリで読み進めていたのですが、なんとちょうど、アニメ化記念でゼブラックという漫画アプリで62話分無料キャンペーンが始まりました。

 

 

正直、ここからが面白くなるところと言いたいところですが、せっかくなので読み返したところ、序盤もめちゃくちゃ面白いです。というか僕自身が読み進めてとんぼや周りの登場人物を好きになったことで改めて序盤も面白いと感じるようになりました。

 

 

 

 キャラクター

主人公のとんぼ、イガイガを始め、ともかくキャラクターが良いです。

とんぼは一言で言うと、おじさんの理想が詰まった天才少女です。天真爛漫で、可愛くて、礼儀正しくて、汚れを知らず、非凡な発想力があり、それを実現できる才能がある。

それもそのはず、この漫画の原作者は57歳、作画は63歳とアラ還です。

とんぼのことをたまらなく好きになってしまった私も、ついにおじさんに片足どころか両足を突っ込んでしまったのかもしれません。

最大の特徴は、自由自在に球を曲げることができること。非現実的なようで、行き過ぎた能力バトルになっているわけではないところが、この漫画の面白さの一つです。

天才的な才能を持ちながらも、島を出たこともなく、勝負というものを知らないとんぼが、どう成長し、どういった決断をしていくのか。きっと読めば誰もがとんぼのことを好きになり、とんぼのことを自分の子のように愛おしくなるはずです。

 

無料公開範囲の中でも、56話の『最後の夏休み』と、62話『じじいと孫』というエピソードはベッタベタながら最高なので、ぜひ読んでほしいところです。作文…。

 

あと、とんぼは世間知らずだけど頭悪いわけじゃないのが好き。こういうキャラって頭悪く描きたくなりそうだけど。

島の子どもは授業が先生とほぼマンツーマンだから成績がいいっていうことを知って納得した。

 

 

そしてもう一人の主人公のイガイガ(五十嵐)。

元プロゴルファーにして、ゴルフの世界で生きることを挫折してしまった人間味溢れる、これまたおじさんに刺さるおじさんです。

セリフばかりの理屈くさいゴルフ漫画ですが、その中でもこの漫画のセリフの5割はこの男の脳内解説で構成されていると言ってもいいほど、常に脳内で読者に解説を行ってくれます。

あと洞察力が人間超えてて、ミリ単位で握り方を変えたことに遠目から気付いて1ページ分くらいうんちく言い始めるの笑える。

イガイガが捨てたはずのギラギラとしたゴルフへの想いは、とんぼに託されることになるのですが、それでも胸の中にある火種は再び炎となり、この漫画のもう一つの物語となっていきます。

 

 

その他、僕が特に好きなキャラクター発表。

 

 

安谷屋つぶら

島に同じ歳の子がいないとんぼにとって、初めてできた同年代の友達であり、ライバルでもある少女です。

沖縄出身で小麦色に焼けた肌が特徴的で、語尾に「さー」と付ける。たけしかよ。多分モデルは宮里藍なんじゃないかなと思います。知らんけど。

中学生にして九州ジュニアを制した実力者。

叔母に誘われてトカラ島に遊びに来たことでとんぼと出会い、とんぼのゴルフの発想力に驚かされながらも、競技としてのゴルフがどういうものかをとんぼに伝えていきます。

つぶらとの出会いは、とんぼにゴルフで生きるという選択を与えることになります。

本来の性格はとんぼに似て天真爛漫ですが、ゴルフはプロ志向が強くロジカルな考え方。

実家は貧乏で、練習場へはいつも父親がボロボロの軽トラで送り迎え。遠征も全て一人で周りながら、億稼いで親に恩返しすることを目指し、プロを目指しています。

 

最大の特徴は、全ての番手でスリークォーターショット(ハーフスイング)を徹底する、安定型のグレートワンパターンゴルフ。

発想力で球を曲げて毎回違う攻め方で楽しむとんぼとは真逆のゴルフです。

これでも初期よりずっと可愛く描かれるようになった。

 

 これ僕的に、この漫画で最高の一打。

 

 

つぶらと柊コーチの関係性も大好きです。この人のロジカルかつ柔軟な指導すごい。この辺の話、よく取材してるんだろうなーと感じます。

 

 

 

八木小梅

 

中盤以降に出てくるキャラクターなので詳細は割愛しますが、これまた魅力的なキャラクターです。

とんぼやつぶらより一つ歳上。

ちんちくりんで語尾に『ス』を付ける子。

非力で飛距離の出ないゴルフですが、考え方一つで戦う姿勢が本当にかっこいいです。

扱いにくいアイアンよりウッドを好むゴルフスタイルであったり、『ラク』をモットーとしたイージーゴーイングな考え方を持っています。

 

この子の、『ゴルファーはわざわざゴルフを難しく考える生き物』という思考で一気にファンになりました。この漫画を読んでいると、たしかにと思わされる。こういうプレイヤーが結果を出すのが嬉しいです。

緩い性格ながら負けん気も当然ありますが、それを強さに変えられる頭の作りは、メンタルスポーツプレイヤーとして最高の頭脳だと思います。シカマルに近い魅力があるかな。

そして、自分が誰より努力していることにも気づいてない努力家というか。

 

思考、そしてプレーをシンプルにするための努力を惜しまないという点で、わりと効率を求めた作業的なことが好きな人は共感できるんじゃないでしょうか。

 

 

その他も好きなキャラクターを挙げればキリはないですが、毎度キャラクターに背景を持たせるのがうまいなと感心します。

 

 

 

 ゴルフ漫画として読みやすい

 

私は言うてライジングインパクトでルールを覚えたようなものなのでゴルフはクソにわかなんですが、難しい理屈で溢れているのに何故だか読みやすいんです。

理屈じゃなくて絵と周りのリアクションで凄さがわかる点、こまめにスコアを表示してくれて何がどうなれば誰が勝つのかを丁寧に説明してくれる点など、全くわからない人やナナメ読みをする人にも配慮された漫画だと思います。

ヒカルの碁やアイシールド21のような漫画力を感じます。

でも理論もちゃんと読むとちゃんと面白い。本当に競技漫画としてのバランスがいいです。

 

作品全体が爽やかなのもいいですよね。

常識はずれなとんぼと一緒にラウンドした選手も、良い部分に影響されて成績が上がったり、他者に影響されるネガティブ要素が少なめなのが読んでて気持ちいい気がします。

 

 

 

 理論的・哲学的

知らないスポーツではあるけど、本当に理論というか考え方がいちいち面白いんですよね。

同じ飛距離の攻め方一つでも人の数だけ正解があることを感じさせられます。

 

メンタルの整え方もいちいち哲学的でいいんですよね。自分に当て嵌めて考えた時に腑に落ちることが多く、学ばされる漫画です。

 

 

 

 悪いところ

画が古臭いとかはまあ置いといて。

 

試合の展開がスローペースです。一試合で早くて5巻分以上平気でやります。

1ホールごとのテンポはむしろいいんですが、18ホール×日数分をほぼ描くという勢い。無料でちょこちょこ読むには少し向いてない漫画であることは伝えておきます。

 

 

 

 

 

 さいごに

私はテニスを愛するものとして、メンタルスポーツの面白さは知っているつもりですが、それでもメジャースポーツの中でゴルフ以上にメンタルが影響するスポーツは無いと思っています。

 

動きを止めて自分のタイミングで打つことができるというのは、言い換えれば動きを止めて自分のタイミングで打たなければならない

これ以上、結果に言い訳ができないスポーツがあるでしょうか。

そして、前日の結果から翌日はスコアが近い人と周ることになるという点も、酷なシステムですよね。

作中のセリフでもありましたが、ルールブックは二人以上で競うことを前提に書かれているとのことです。責任は100%自分なのに、他人が介入してくる要素が多いところが、たまらなく苦しくて面白いところなんだと思います。

 

そんなゴルフというスポーツの奥深さが詰まった漫画、ぜひおすすめします。