新訂で表記が変更になって、漢字を書き分けるようになったものです。大分前に旧ルールにのっとって「あく」or「明く」という記事を書いていますが、これで「アク」と発音する動詞は全て漢字表記になりました。「開ける」「空ける」も同様の変更が行われています。
まあ、辞書を見るとお分かりでしょうけれども、それぞれ明らかに意味は違うので、先日の「もと」の変更のように書き分けが難しいわけではないと思います。デジタル大辞泉では、「明ける/開ける/空ける」で一つの項目にまとめられていますが、以下に引用するように、三つある意味にそれぞれ対応する漢字が付されています。
1 (明ける)あるひと続きの時間・期間・状態が終わって、次の時間・期間・状態になる。
ア)朝になる。「夜が―・ける」⇔暮れる。
イ)年が改まる。「年が―・ける」⇔暮れる。
ウ)ある期間が終わる。「喪が―・ける」「梅雨 (つゆ) が―・ける」
2 (空ける)今までそこを占めていたもの、ふさいでいたものを、取り除いたり、なくしたりする。
ア)穴をつくる。「錐 (きり) で穴を―・ける」
イ)使っていた場所から他へ移り、そのまま使わないでおく。あったものを出し、新たに入れないで、からの状態にする。「一〇時までに部屋を―・けてください」
ウ)すいている空間や空白をつくる。間隔を置いたり、広げたりする。「間を―・ける」「一行―・けて書く」
エ)器の中のものを出したり、他の器や他の場所へ移したり、また、使い尽くしたりしてからにする。「水筒の水をバケツに―・ける」「大ジョッキを―・ける」
オ)ある時間を、拘束なしに使えるようにしておく。暇な時間をつくる。「その日は君のために―・けておく」
カ)留守にする。「旅行で家を―・ける」
3 (開ける)
ア)隔てや仕切りになっているものを取り除く。閉じていたものを開く。「窓を―・ける」「封を―・ける」「鍵 (かぎ) を―・ける」「目を―・ける」⇔閉める。
イ)営業を始める。営業を行う。「午前一〇時に店を―・ける」⇔閉める。
用字用例辞典の例と照らし合わせても、このとおりの書き分けでよさそうです。
ただ、1点気をつけることとして、「空く」について、日本語としては同じ漢字で書ける動詞「すく」とは書き分けが必要になったということがあります。「すく」は前のルールでも平仮名表記であったのですが、今回の改訂でも変更はありません。つまり、新訂の用字用例辞典のルールにおける記載では、「空く」と書いているものは「アく」と読む一択で、「すく」は平仮名表記になります。
何となくで覚えていると、こういう別の読みのときも一緒に表記を変えてしまいがちですが、新たな書き分けとして併せて覚えておくべきでしょう。