賛否両論、いろいろあるようですが、このアルバムかなり良いと思います。

The Strokes "Angles"
$ノスタルジックなノイズたち

一番のポイントは彼らの特質である(と自分では思っている)身の軽さが戻ってきたこと。

自分にとって最初に聴いたThe Strokesは、3rdのFirst impression Of Earthでした。
これはこれでけっこう気に入って、何度も聴きましたね。

しかし、その後にファーストのIs This It?を聴いて、その突き抜け方に驚き、改めて3rdを聴くと、表現の幅を広げようとする努力がやや身の軽さを削ぐような、重く引きずった印象を持ってしまった。

その重く引きずった感が、この最新アルバムにはない。

ギターの音やコード進行など、一聴してThe Strokesだ、とわかる曲ばかり。
彼ららしくない曲が多い、という批判も多いようだけれど、むしろ3rdでやろうとしたことを彼らの良さを活かしてやりきったのがこのアルバムという印象の方が強いです。

音と音の間はスカスカなんだけど、音それ自体にエッジが立っているのでむしろスカスカ感が気持ちいい。
非常にメリハリが効いたシャープなロック。

そしてアルバム全般を通して感じる、自由な空気感。
この空気感は、どことなく Vampire Weekend に通じるものがあります。





1stが好きな人は、こういう曲が嫌いなんでしょうか。いいと思うけどなあ。


短めの曲を全10曲という潔さもいいです。

彼らも、自分たちのフィルターを通して音を鳴らす優れたロックグループだということを再認識しました。

おそらく批判派の人たちは、1stに相当の思い入れを持ってるんじゃないでしょうかね。
自分がミュージシャンに期待することと、ミュージシャンがやろうとしている方向性との食い違い。
やっぱりリスナーは自分が気に入った音楽をまた創ってほしいですからね。

彼らはThe Strokesに未来永劫、1stを求め続けるんでしょうね。
わかります、その気持ち。
自分にもそういうミュージシャン、います。

でも、好きなミュージシャンがポジティブにチャレンジしようとしていることは、とりあえず受け入れて評価したいもの。
何度も聴いて、それでも好きなれなかったら、ダメだしすればいい。

特別なファンじゃない自分にとっては、様々な方向にチャレンジしてもらうことは、新しい時代の音が鳴る可能性が拡がるということで、とても好ましい。

でもピンとこなかったアルバムを何度か聴いて好きになると、いい音楽だから好きになったのか、何度も聴いたから好きになったのか、今度はその区別が難しいんですよね~

まあ、経緯がどうであれ、自分が好きな音楽がひとつでも多く増えるのはいいことなので、それでよし。


最近、街中で疾走するロードレーサーが増えてきた気がしますね。


自転車のことです。

あの昆虫の頭のようなヘルメットかぶって、カラフルで細身のウェアに身を包み、いかにも軽くて高性能な自転車に前傾姿勢で乗っている人たち。


そばを通り抜ける瞬間、風が吹き抜けた気がします。

シャーというかすかな音とともに、ほとんど無音で通り過ぎる風のような存在。


昔、相当入れ込んだ時期がありました。


オーダーメイドで作ったロードレーサー。

上野にある横尾双輪館でオリジナルのHOLKSブランドを選択。

フレームを自分サイズに合わせ、メカもタイヤも予算に合わせすべて選んで組み立てます。


シフトメカは、その頃から出始めた、ブレーキ兼用のシフトレバーがついてるヤツを。

シフトアップ、ダウンする時には、ブレーキレバーをカチカチと左右に倒せばいいだけです。

ハンドルを握ったままブレーキ操作もシフトチェンジも思いのまま。


これに乗って、疾走しました。

ろくに体力ないのに、ツール・ド・フランスを見てその気になって、ガンガン行きました。


休日は、大井ふ頭まで出て練習です。

平日はコンテナトラックで埋まるこの場所も、休日となるとガラガラで、ひたすら広く長い直線舗装道路があるだけです。クルマもほとんど通りません。だから信号あっても止まりません。

都心近くでこれだけ理想的な場所があったんです。


1周8kmの周回路を何周もします。

ロードレーサーには速度計は必需品です。

時速、平均時速、所要時間、ラップタイムだけでなく心拍計がついたものもある。


できるだけ一定のペースで、心拍数はmaxの80%くらいを維持しながら。

最高の有酸素運動です。

あのライディングフォームは、空気抵抗をなるべく抑えた機能美そのものですが、長時間保つのはけっこう腕の力と背筋力が必要なんですよね。

これでけっこう体力ついた気がします。


ロードレーサー乗ってると、道路の微妙なアップダウンや、追い風向かい風に敏感になります。

急にスピードが落ちたのは、微妙な上り勾配があるせいか。

やたらスピードが出るのは、きっとフォローの風が吹いてるんだな。


それこそ、地球と会話しながら走っている感じ。


そのうちヒルクライムの魅力に取りつかれました。

自動車で走っていても、旅行に行っても、坂があるとロードレーサーでアタックしたくなる。

この勾配はどのくらいだろうとすぐ考える。


うわ~この坂キツそ~最大斜度10%だと、などと言いながら、顔は思いっきりニヤけてます。

長い坂を、憧れの峠を登りきった時の充実感、チャレンジする時の高揚感を思い浮かべて。


もちろんMTBでもヒルクライムできるし、ある種ロードレーサーよりも向いてるかもしれません。

ギアも16段あるくせに、その可変幅は狭く、一番軽いギアにしてもMTBの一番軽いギアよりも遥かに重い。

でも、ツール・ド・フランスのアルプス越えをイメージしながら、自分が自分のロードレーサーでもがくところに、醍醐味があるんですよね。


マシンと一体になって、人力エンジンの限界に挑戦してる感じがするんです。


くそ~、久しぶりに乗りたくなってきたぞ。


自分の好きなロックの傾向として、オーソドックスなロックのボキャブラリーで勝負するタイプよりも、どこかクセがあるというか、自分たちならではの世界観を持ってサウンドスケープを創り上げるタイプに興味が行きがちです。

どこかで音の新しさ、構成の斬新さなどを求めていて、音楽と初めて出会う時にはその視点でその音楽を評価していることが多いですね。

もちろんロックの根源的な魅力やメロディの良さ、音の強さなども重要な要素ですけどね。
R.E.M.などは、新しさや斬新さが評価軸にはなりえませんから。

そんな中、このグループと出会いました。

ブルックリンを中心に活動するトリオ、 Parts & Labor
すでにアルバムを数枚リリースしている、デビューアルバムからとてつもないクオリティを示すニューヨーク勢の中にあっては、まあベテランと言っても過言ではないグループです。

彼らがDave Fridmannプロデュースで制作した最新アルバム、 "Constant Future"
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見事に自分の琴線に触れてくれました。
彼らならではの、オリジナリティ溢れるロック。

ベースとなるのはポップなメロディラインと割とストレートなロックで、新しさという意味ではそれほどではないですが、独特のフィルターを通して音が鳴ってます。
オリジナリティのある音と疾走感。

音楽への好奇心が刺激されます。

彼らのインタビューを読んだら、見事に自分のいいたいことを言ってくれていました。

「良い曲を書いて、それを普通じゃない方法で聴かせてくれる人たちが好きなんだ。」

まさしくビンゴ!!って感じです。
彼らが影響を受けたソングライターに、ブライアン・イーノの名前を挙げているのも頼もしい。

Echo Chamber


Constant Future


A Thousand Roads


最近の英国勢を聴いて、新しさを感じることがあまりありません。

オーソドックスなボキャブラリで質を追求するのもいいけれど、新しい音が鳴ってるなと思えるミュージシャンにもっと出会いたい。
それがUSインディばかりというのも寂しい。

自分が最近のイギリス勢をそんなに聴いてないせいもあるかもしれませんが、Wu Lyfくらいですかね、今期待してるのは。

新しい時代の幕開けのような音楽を聴かせて欲しいです。



年齢とともに休日の過ごし方が変わって来ました。

エネルギーたっぷりの若い頃は、あれもしたいここにも行きたいと、アクティブに跳ねまわっていることが多かったけれど、今ではリラックスしてゆったりと過ごしたいという気持ちが強いです。

連休が近づくと、さてどこに旅行しようか、と計画三昧でしたが、ゆっくりできる日が増えるなあと思うようになりました。

それだけ、「回復」が必要になっているということでしょう。

体力もスタミナも落ちてきているし、疲労からの回復力も落ちてきている。
そこへ持ってきて、仕事の量はそれほど変わらない。

立場的には、カラダを使って行うことからアタマを使うことにシフトして、質の面では変わってきてるので、肉体的疲労から精神的疲労に重心が変わってはいますが。

ジョギングやウォーキングでも、オーバーペースや無理は必ず疲労やケガとして帰ってきますし。

だから休日は、出かけるよりも、家でゆっくりと音楽を聴いて過ごしたい。
人ごみよりも、自然の中で大きな空を見ながら風に吹かれて過ごしたい。

もともと自然への憧れが強いのも影響しているかもしれませんが、以前よりも確実にその気持ちが強くなっています。

Belaさんのところで知ったこのグループ。
おお、これは暖かい春の空気感でまったりと聴きたいものだと思い、買ってからしばらく聴かずに取っておいていました。

Cotton Jones"Tall Hours In The Glowstream"
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アメリカのカンバーランドとアセンズで活動するMichael Nau、Whitney McGrawのユニット。

男女のデュオによるカントリーに、シーサイドの雰囲気とをミックスして、深いエコーと魔法をかけたような音楽。

昔は聴かなかった音楽ですね。
今の自分にとっての回復のための、癒しのための音楽。

アメリカの風土のスケールやおおらかさがもたらしてくれるこの感覚。
まさしく洗いざらしのコットンに肌触り。
の~んびりと、陽の光をあびながら聴いてると、からだの緊張が少しずつ緩んでくる気がします。







この音楽をゆったりと聴くはずだった今年の春。

しかし今年の春は、いつもの春とまったく違う春になってしまいました。

満開の桜も、瑞々しい新緑も、それらを感じる心に哀しみが混ざります。
そして、日々の仕事からくる疲労感とはまったく質の違う疲労感。

カラダの芯、ココロの芯が緊張しているから、今しばらくはこの音楽を楽しんで回復というわけにはいかないのかもしれません。



筋肉だけでできたようなロック。
ハードでシャープでムダなぜい肉がついてない。
筋肉も、ボディビルダーのような機能的じゃないムダな筋肉じゃなく、ボクサーのようなソリッドな筋肉。

もしくは硬質な鋼。

Little Barie のセカンドアルバムはそんな印象のアルバムでした。
モヤモヤした気持ちの時、体調がシャキッとしない時に聴くと、実に痛快。

かなり好きなアルバムでしたね。

その彼らが、自らのレーベルを興し、移籍して2010年にリリースしたのがこの3枚目のアルバム、
"King Of The Waves" です。
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3枚目がリリースされるまでのインターバルや、自らのレーベルを創った(創らざるを得なかった?)ことなどを考えると、その期間にバーリーがミュージシャンとして引っ張りだこだったことを差し引いても、やりたい音楽とやらされる音楽とのせめぎ合いがあったことが想像されます。

たしかに一聴すると、音の創りが明らかに違います。

セカンドでは楽器のセパレートもはっきりくっきりし、かなり硬質的な音創りです。
今回のアルバムは、ライブ感を相当意識しているようで、ラウドな空気感がたっぷり乗ってます。

音楽自体も、グルーブ感を重視したジャージーなノリですね。
ルーズとも言ってもいい曲も収録されてます。

性急なリズムのセカンドとジャージーなノリのサード。

自分は聴いていませんが、サードはファーストの感覚に戻ったという意見もあります。
プロデュースも同じ人らしい。
デビューアルバムには、そのミュージシャンのエッセンスが詰まっていることが多いので、そういう意味でも本当に彼らが創りたい音楽はこっちなのかもしれませんね。

ライブ感を意識しているせいか、自分が渋谷のタワーレコードで観たインストア・ライブに非常に印象が近いですね。インストアライブが良かったことで、逆にCDの印象が悪く聴こえてもマズいと思い、このCDを聴き始める時期をここまで遅らせたんですが、杞憂でした。
遜色ないデキで満足です。







とにかくバーリーのギターと歌が素晴らしい。
ライブで見ると、ピックを使わず指で弾いてるようでしたが、あんまりかき鳴らしてる感じはないんですよね。それなのに、なぜこんなにたくさんの音が、ギターから飛び出してくるのか、不思議でした。

セカンドとどちらが好きかと言われれば、自分はテンションの塊のようだったセカンドを選びますけど、こっちもワクワクするほどいいアルバムであるのはたしか。