CDを買う時は、ジャケ買いとか試聴してとか、ミュージシャン買いとか、いろいろあります。
やっぱり多いのが、試聴買い。

試聴といって、店頭試聴もあるし、YouTube試聴、ブログ試聴など、これもいろいろありますね。
その中でも多いのが、海外も含めた新譜紹介サイトで聴いてみて、良さそうと思ったらYouTubeで検索して他の曲も聴き、これだと思ったら注文する方法です。

流行っているから、今話題だから、人気のミュージシャンだから、という買い方などとんでもない。
自分の耳で聴いて、これいいじゃん、と思わないと買いません。

流行っているとか話題のミュージシャンとか言われると、むしろ逆バイアスがかかって、買うハードルが上がります。
本当に面白いものとか、刺激的なものは少ないし。
話題のものを買ったとか思われたくないし。

だからなのか、メジャーよりもマイナーなミュージシャン、インディ系の音楽が結果的に増えている気がします。

このミュージシャンも、昨年秋にネットで見つけて、出たら買わなきゃリストに入った人です。
もちろん名前を聴いたこともありません。

ロンドンで活動するSunny Day Sets Fire のメンバー、 Mauro Remiddi によるソロ・プロジェクトである、 Porcelain Raft

昨年の夏にEPをリリースして、これがなかなかの良作。
近々フルアルバムをリリース予定だということで、待っていたらなかなかリリースされず、忘れた頃今年に入ってからようやく発売されたのが、本作 "Strange Weekend"

Strange Weekend/Porcelain Raft

¥1,296
Amazon.co.jp


これだけ待たされると、どんな音楽だったのか、なんでいいと思ったのかすら忘れてしまい、買ってもすぐに聴く気持ちが起きなくてね。
ようやく最近になって聴き始めたということです。

ゆったりとした時間感覚と浮遊感の中で、きらめく良質のメロディとややサイケ色のあるサウンドスケープ。
さりげないノスタルジアに、どことなく陽性の Beach House といった趣もあります。

これが実に心地よい。
ちょっと中毒性のある、音空間。










もちろん輸入盤でしか聴くことはできないし、メディアはもちろんネットでもなかなか取り上げられることは少ないかもしれないけど、地道に自分で音楽を探しているとこういう出会いもあることが快感。

今年の春はなかなか気温が上がらず寒い日々が続くけど、この音楽を聴いていると気分は少し先の暖かい春になってくれそうな気がします。

もちろんヘビロテです。

音楽をちゃんと聴くために必要なことを考えてみました。




① 睡眠不足で眠くない


② 周りがうるさくない


③ 急かされていない


④ 気になって仕方がないことがない


⑤ 続きが読みたくてたまらない本がない


----


そんなわけで、最近レビューが滞りがちですみません。






2009年だったかの自分の年間ベストアルバムの1枚に選んだ、 Joe Henry

あんまり自分が良く聴くカテゴリーのミュージシャンではないけれど、ジャンルを超えた音楽としての素晴らしさと音への高いこだわりにヘビロテでした。
その時のアルバムは、 "Blood From Stars" 。
そして、それ以来のアルバム "Reverie" を昨年リリースしました。

Reverie/Joe Henry

¥1,515
Amazon.co.jp

高い完成度で自分の世界を創り込んだ感のある前作に比べて、比較的ラフでシンプルな創りのアルバムです。
録音もスタジオに入って完ぺきを期すのではなく、郊外の一軒家を借りて機材を持ち込み、基本一発録り。
窓もオープンにしての録音。
遠くに聴こえるクルマの音などの環境も、音楽とともに収録されてます。

もともとプロデューサー出身で、ソロアルバムをリリースしたら評判だったところからスタートした人なので、こういったアイデアはお手のものなんでしょうね。

そういったライブ感溢れる制作にも関わらず、その品質感はしっかりと維持しているのがさすが。

この人は声も渋く、歌もうまい。
最小限のバッキングをかぶせ、ミュージシャン自身がリアルに感じ取れる音楽になってます。



最近、人工的に創り込まれた音楽よりも、ミュージシャン個人をひりひりと感じ取れる音楽に心ひかれることが多くなってます。

対極にいるのは、だれがやっても変わらない、ミュージシャンの入れ替えが効く、ヒットさせるために作られた音楽。

世の中には、そんな音楽があふれ、街中で垂れ流されています。

聴きたい人は聴けばいいのだけれど、暮らしているだけで半ば強制的に聴かされるのが、どうにも不快です。




Pink Floyd

自分の中で、年季とともにかなり思い入れの強いミュージシャン。
でもボウイと同様、その活動期によって評価が多いに変わります。

自分はロジャー・ウォーターズ派なので、最高作は実質的に彼のソロアルバムと言っても過言ではない、 4人組のラストアルバム、 The Final Cut 。
実はもっとも人気のないアルバムでもあるんですが、熱狂的なファンもついてるアルバムです。

次いで、、、何だろう。
これは実に悩ましいんですよね。
The Wall 、 Wish You Were Here 、 Meddle あたりが来るでしょうか。

The Dark Side Of The Moon (狂気)は、正直聴き飽きました。
すでに聴いてもあまり感動がありません。

そしてまったく評価しないのが、ウォーターズの抜けた後のスタジオ盤2作。
毒気も深みもない、ただのムードプログレですね。

話が本題からずれましたが、現在リリースが続いている彼らの最新リマスター版の発売。
その目玉のひとつが、 The Wall のオマケ付きリマスター版です。

通常のアルバムのリマスターだけがついたベーシックバージョン。
アルバムにレアトラックがオマケ1枚分ついたデラックスバージョン。
あれやこれや、何がついてるのか憶えられないほどオマケがついた、マニアが泣いて喜ぶコレクターズボックス。

置く場所も予算もないので、自分はデラックスバージョンです。
Wall/Pink Floyd

¥3,285
Amazon.co.jp

とりあえずの興味は、今回の最新リマスターで音がどれだけ変わったのか。

比較対象は、いっこ前の1994年リマスターバージョンです。
それとオリジナルのLPレコード(イギリス盤)。

そういえば、このアルバムのイギリス盤LPレコードってのはすごいんですよ。
なにしろ、針が飛びます。
インパクトの強い音がたくさん入っていて、リミッターもそれほど効かしていないんでしょうね。
レコード針が溝をトラッキングできなくて、飛びます。
特に2枚目のB面、Run Like Hell のあたり。

別に粗悪なプレーヤーとカートリッジを使ってるわけじゃありません。
その時代においてけっこう上級なシステムを使って、です。
追従性重視だと針圧が低いからですかねえ。

だからLPレコードの音も、かなりのもんです。
それらと比べて、今回のリマスターの音はどんなものか。

実は今回のリマスターシリーズは1枚も買ってませんでした。
もともと演奏がうまいグループではないし、ライブではレコードの世界観再現が求められるので、ライブの別バージョンなどに対してはほとんど興味がありません。
だからオマケの魅力よりも、音的に向上があるかどうかがポイント。

そもそも彼らのアルバムは、リマスター効果があまりないんですよね。
狂気なんて、今までどれだけのバージョンが出ただろうというくらい、リマスターバージョンは多いのだけれど、買って失望することばかり。

家には、ジャケットとリリース時期が違う同じアルバムのCDの死屍累々。。

彼らの音楽は、ある種アナログ的な曖昧さや混沌感が、その世界観をより魅力的に見せてくれるので、分解能を高めてリアルな再生をすることが向きにくいのかもしれません。

なので、この The Wall が今回のシリーズでの初めてのお買い上げですが、音質的な向上はそれほど期待してませんでした。

結論からいくと、やはり大きな改善は見られません。
1994年バージョンよりも明らかに音の粒立ちは繊細に、よりしなやかになっていますが、音の持つ強さやロックとしてのダイナミズムを表現できているのは、むしろ1994年バージョンではないか、とうい印象。

実はその更に上を行くのが、オリジナルのLPですね。
過去の聴き比べから言ってきていることですが、やはりアナログレコードの素晴らしさは低音の量感。
ベースの響き、バスドラのアタック感など、圧倒的です。
これはCDという記録フォーマットの限界だと思いますが、分解能に目をつぶれば、アナログの魅力大ですね。

ちなみに、今回試聴の対象としたのは、 "Happiest Days Of Our Lives" 。
このアルバムが好きな人でも、え?どの曲だっけ?というくらい、曲名の印象は薄いかも。
でも、この曲の音はすごい。
Another Bricks In The Wall Part2 へとつながる流れもアイデアたっぷり。



Pink Floyd の音への意識は、このアルバムから大幅に変わりました。
それがこの曲に代表されますが、静と動のコントラストがはっきりとついた、ロジャーの世界観をそのままに体現した音楽。

ドラムの音のインパクトと多様される効果音がとても刺激的です。

Pink Floyd は昔からアラン・パーソンズをエンジニアに起用したり、ホロフォニックやQ Sound という当時の最新の音響技術を取り入れたりで、自分たちの音へのこだわりやサウンドスケープのブラシアップにとても熱心でした。

だから彼らのアルバムへのリマスターというのは自ずから限界があり、特にアナログの音がもたらす混沌感やサイケ感が重要なポイントになるサウンドなので、デジタルのリマスターは功罪がはっきりと出てきます。

だからこそ、アナログのLPが実は最高の音を出すなんてこともあるわけで、昨今のデジタルリマスターの限界もはっきりと見えてきます。

デジタルリマスターに向く音楽とそうでない音楽。

60~70年代のプログレは、向かない音楽が多いようです。





今日の東京は雪が降っている。

木々や芝生の上を中心に雪が積もり、窓から見える街並みは白く、空はホワイトグレーに染まっている。
市中の音は雪が遮り、静けさにあふれる。

こんな日に、 Perfume Genius のセカンドアルバム "Put Your Back N 2 It" を聴くとたまらない。

プット・ユア・バック・イントゥ・イット/パフューム・ジーニアス

¥2,490
Amazon.co.jp

彼の創り出す音楽は、まるで傷ついた無垢が放つ叫びのよう。
その無垢が雪の白さに、静けさに響きあう。
そして、自分の神経にも響いてくる。

音楽が自分の神経に直接触れてくる。
それももっとも鋭敏でナイーブなところを。

神経からのダイレクトなパルスが脳に響く。

彼の脳神経からの信号が、直接自分の脳にインプットされてる感じ。

音楽に脳が共感する。
送り手の感情と聴き手の感情が共感しあう。

あまりにもリアルで、ナイーブで、むき出しの神経。
むき出しの個。
そこから自然に音楽があふれてくる。







どことなく、Sparklehorse を聴く時に感じる感情に近いかもしれない。

聴き込んでも、基本的には前回の速攻レビューで書いた印象と変わりません。

むしろこんな音楽には言葉は要りませんね。
感じてもらうだけ。