Pink Floyd 。
自分の中で、年季とともにかなり思い入れの強いミュージシャン。
でもボウイと同様、その活動期によって評価が多いに変わります。
自分はロジャー・ウォーターズ派なので、最高作は実質的に彼のソロアルバムと言っても過言ではない、 4人組のラストアルバム、 The Final Cut 。
実はもっとも人気のないアルバムでもあるんですが、熱狂的なファンもついてるアルバムです。
次いで、、、何だろう。
これは実に悩ましいんですよね。
The Wall 、 Wish You Were Here 、 Meddle あたりが来るでしょうか。
The Dark Side Of The Moon (狂気)は、正直聴き飽きました。
すでに聴いてもあまり感動がありません。
そしてまったく評価しないのが、ウォーターズの抜けた後のスタジオ盤2作。
毒気も深みもない、ただのムードプログレですね。
話が本題からずれましたが、現在リリースが続いている彼らの最新リマスター版の発売。
その目玉のひとつが、 The Wall のオマケ付きリマスター版です。
通常のアルバムのリマスターだけがついたベーシックバージョン。
アルバムにレアトラックがオマケ1枚分ついたデラックスバージョン。
あれやこれや、何がついてるのか憶えられないほどオマケがついた、マニアが泣いて喜ぶコレクターズボックス。
置く場所も予算もないので、自分はデラックスバージョンです。
Wall/Pink Floyd

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とりあえずの興味は、今回の最新リマスターで音がどれだけ変わったのか。
比較対象は、いっこ前の1994年リマスターバージョンです。
それとオリジナルのLPレコード(イギリス盤)。
そういえば、このアルバムのイギリス盤LPレコードってのはすごいんですよ。
なにしろ、針が飛びます。
インパクトの強い音がたくさん入っていて、リミッターもそれほど効かしていないんでしょうね。
レコード針が溝をトラッキングできなくて、飛びます。
特に2枚目のB面、Run Like Hell のあたり。
別に粗悪なプレーヤーとカートリッジを使ってるわけじゃありません。
その時代においてけっこう上級なシステムを使って、です。
追従性重視だと針圧が低いからですかねえ。
だからLPレコードの音も、かなりのもんです。
それらと比べて、今回のリマスターの音はどんなものか。
実は今回のリマスターシリーズは1枚も買ってませんでした。
もともと演奏がうまいグループではないし、ライブではレコードの世界観再現が求められるので、ライブの別バージョンなどに対してはほとんど興味がありません。
だからオマケの魅力よりも、音的に向上があるかどうかがポイント。
そもそも彼らのアルバムは、リマスター効果があまりないんですよね。
狂気なんて、今までどれだけのバージョンが出ただろうというくらい、リマスターバージョンは多いのだけれど、買って失望することばかり。
家には、ジャケットとリリース時期が違う同じアルバムのCDの死屍累々。。
彼らの音楽は、ある種アナログ的な曖昧さや混沌感が、その世界観をより魅力的に見せてくれるので、分解能を高めてリアルな再生をすることが向きにくいのかもしれません。
なので、この The Wall が今回のシリーズでの初めてのお買い上げですが、音質的な向上はそれほど期待してませんでした。
結論からいくと、やはり大きな改善は見られません。
1994年バージョンよりも明らかに音の粒立ちは繊細に、よりしなやかになっていますが、音の持つ強さやロックとしてのダイナミズムを表現できているのは、むしろ1994年バージョンではないか、とうい印象。
実はその更に上を行くのが、オリジナルのLPですね。
過去の聴き比べから言ってきていることですが、やはりアナログレコードの素晴らしさは低音の量感。
ベースの響き、バスドラのアタック感など、圧倒的です。
これはCDという記録フォーマットの限界だと思いますが、分解能に目をつぶれば、アナログの魅力大ですね。
ちなみに、今回試聴の対象としたのは、 "Happiest Days Of Our Lives" 。
このアルバムが好きな人でも、え?どの曲だっけ?というくらい、曲名の印象は薄いかも。
でも、この曲の音はすごい。
Another Bricks In The Wall Part2 へとつながる流れもアイデアたっぷり。
Pink Floyd の音への意識は、このアルバムから大幅に変わりました。
それがこの曲に代表されますが、静と動のコントラストがはっきりとついた、ロジャーの世界観をそのままに体現した音楽。
ドラムの音のインパクトと多様される効果音がとても刺激的です。
Pink Floyd は昔からアラン・パーソンズをエンジニアに起用したり、ホロフォニックやQ Sound という当時の最新の音響技術を取り入れたりで、自分たちの音へのこだわりやサウンドスケープのブラシアップにとても熱心でした。
だから彼らのアルバムへのリマスターというのは自ずから限界があり、特にアナログの音がもたらす混沌感やサイケ感が重要なポイントになるサウンドなので、デジタルのリマスターは功罪がはっきりと出てきます。
だからこそ、アナログのLPが実は最高の音を出すなんてこともあるわけで、昨今のデジタルリマスターの限界もはっきりと見えてきます。
デジタルリマスターに向く音楽とそうでない音楽。
60~70年代のプログレは、向かない音楽が多いようです。