自分が入社したてのころ、「おっさん」はまさしく「おっさん」でした。

今自分が若い世代におっさんと思われる世代になってみると、自分は未だ若い頃に想像した「おっさん」ではなく、基本的に中身はほとんど何も変わっていないというか、ほとんど進化も退化もしてない気がします。

おそらく、おっさんになったのは、見た目と体力と社会的なポジションだけ。

相変わらず聴く音楽はロックばかりだし、読む本はミステリーが中心だし、メシは腹いっぱい食べたいし。

まあ、自分の行動が周りに及ぼす影響とか多少は考えるようになったけれど。
それも、ほんとに多少だしね。

そう考えると、人の根本なんて変わりそうで一生あまり変わらないのかもしれない。
変えたくて自己研鑽に励み、自己規律を高める意識がすごく高い人を除き。

特にロックが好きな人は、自分の衝動に素直というか、素の自分が変わらずに残っていく気がします。
子供っぽい、という言い方も一理あります笑

Paul Weller も、基本的にはThe Jam をやってた頃やスタカンで一世を風靡した頃と比べ、何も変わってないんでしょうね。
しわが増えた、腹が出た、まあそんなところを除けば、髪型もファッションセンスも変わってない。

彼の最新アルバム、 "Sonik Kicks"

Sonik Kicks/Paul Weller

¥1,353
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以前から自分は若いまんまだ!という空気をぷんぷんと漂わせてる彼が、その創る音楽でも若いもんには負けてないどころが、見本になってやらなきゃ、とチャレンジしているアルバムです。

思いっきり気持ちが若いアルバム。
音も元気。意図的に跳ねまわろうとしている感じ。
ジャケットもいかにもそれ風です。





ちょっとスタカン時代の雰囲気を感じる曲。


ギターの音もけっこうギラギラさせてるし、ちょっとシンセがピコピコいい過ぎなのは気になるけど、刺激的で楽しいアルバムになっているのは確か。

新しい音楽に挑戦しようとすると、得てして表面的なつかみだけになりやすく、その手法に飽きると音楽自体も聴かなくなるけど、彼の場合はベースにある曲の良さや歌心のあるボーカルによって音楽としての魅力を維持できるので、このアルバムでの挑戦はプラスアルファとして世界を広げることに成功した気がします。

おっさんの魅力には、年齢相応のシブさが多いけど、ポール・ウェラーはいつまでもカッコ良さ、というのを求めてる。
まあ、彼だからそれが絵になるってのもありますね。

自分にはそれは無理でも、若い気持ちを年を重ねても持ち続けたいな~と思う、今日この頃です。
The Smiths

このグループに特別の想いをお持ちの方は決して少なくないはず。
モリッシーのボーカル、マーのギター、一聴してそれとわかるほど、個性的で確固たる音楽性。

繊細でいながら図太いサウンド。
ナイーブなノスタルジーとグッドメロディ。
軟弱な男の強烈な一撃。

実は彼らをリアルタイムで聴いたのは、 Queen Is Dead からです。
それまでは1980年代のNew Wave、オルタナティブムーブメントの甚大な影響下にあった自分は、当時出てきた The Smiths をなんて軟弱なヤツらなんだろうと、スルーしていました。

それでファーストもセカンドも聴かないまま。
サードアルバムが出るころには人間的に丸く(?)なって、彼らの良さに気付いた次第で。
でも、セカンド、ファーストと遡って聴いたり、未聴のアルバムを漁ったりするほどには行かなくて。
それでも、他のアルバムがずっと気になってはいました。

そんな時、何年か前に彼らの2枚組リマスターベストが出たので買いました。
このアルバム、1枚にたくさん曲が入っていてそれはそれでお買い得なんだけど、何しろ順番めちゃくちゃでたくさん入っているもんで、何がなんだかわからない。

彼らはアルバム以外のシングルのみ収録曲もたくさんありますからね~、ごった煮ベストですよ、これは。
やっぱりほんとはアルバム単位で聴きたい。

そんな中でリリースされた、彼らの全アルバムがリマスターされてパッケージされたこのボックスセット、 "Complete"

Complete/The Smiths

¥7,453
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例によって日本盤の値段は高い(実は輸入盤が安いだけで、ホントはお得なんだけどね)けど、これは実に素晴らしいボックスセットです。

ボックスセットは数あれど、これだけ買う価値のあるものはなかなかないんじゃないかと。
もちろん、彼らがきらいな人が買っても意味無いですが。

まずは音質ですね。
マーがマスタリングに立ち会ったらしいですが、とにかく楽器の音の分離や粒立ちがはっきりして、同じアルバムとも思えないくらい音質が向上したものが何枚もあります。
ファーストなんて激変らしい(オリジナルを聴いてないものであくまでも伝聞)。
空気感がキリッとして、彼ららしさがより際立ちます。

そして値段。
CDが8枚入ってます。
オリジナルアルバムが4枚以外に、すでに廃盤となってる The World Won't Listen などのシングル集、ライブ盤、コンピレーションなどが4枚。
それで値段が、日本盤ですら1万円。
輸入盤だと、ここに出てるamazonは7000円を超えてるけど、円高に合わせてタイミング良く買えれば5000円を切ることも。
ちなみに自分は4800円ほどで買いました。

てことは、1枚あたり日本盤で1200円、輸入盤に至っては600円ってこと。
これだけ優れたリマスターを施されたアルバムが1枚600円。
しかも入手しにくいアルバムも入ってる。

改めて The Smiths を聴き込んで、やっぱりこいつらはすごいと思いました。

最後に1曲。
なぜかあんまり評判が高くない、ラストアルバムの "Strangeways Here We Come" から、

I Won't Share You 。


ラストアルバムの最後の曲だから、実質的な The Smiths の終曲。
この切なさがたまらない。

Deerhunter のギタリスト、ロケット・パントによるプロジェクト Lotus Plaza

彼の音楽を聴く時、フォーカスされるのは Deerhunter と比べてどうなのか、ってことでしょうね。

Deerhunter といえば、自分にとっては Micro Castle が彼らのベストで、最新作である Halcyon Digest には今一歩乗り切れませんでした。
その理由が、このLotus Plaza のセカンドアルバム "Spooky Action at a Distance" を聴いてなんとなく判明した気がします。

Spooky Action At A Distance/Lotus Plaza

¥1,268
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Deerhunter には独特の浮遊感のあるシューゲイズ的ギターロックがあります。
それがMicro Castleの大きな魅力でした。
このアルバムを聴いてみると、この部分を担っていたのが実はパントだったのではないか、という気がしてきます。

単調に繰り返すアルペジオも使用したギターフレーズ。
エコーを効かせ眠たげに歌うボーカル。
それが曲の終わりに向けて徐々にペースダウンしてきて。

きらめきの中でまどろんでいるかのようなサウンドスケープ。
聴いていると、どこか自分の中がマヒして、めまいを起こしているかのような感覚におそわれます。







Deerhunter でサウンドストラクチャーの中心にいるはパントで、コックスはサイケデリカもしくは飛び道具担当?

ちなみにこの映像の1、2曲目を見ていてもそんな気がしてきます。



いいライブだなあ。
Halcyon Digest の曲もアルバムよりもいいぞ。
でもボーカルはやっぱりコックスがいいですね笑

アルバム最初の Untitled という曲。
この曲はシンセだけを使用したシンプルで短い曲ですが、この曲がとても気に入ってます。
どこか Brian Eno の名曲、 Spirits Drifting を思わせる浮遊感。
こういったところにも、プントの才能が。

Atlas Sound の音楽の振れ具合やDeerhunter からの離れ方を見ると、あれはコックスの才能の幅というよりも本来彼が創りたい音楽がそれであって、Deerhunter 自体はパントが創りたい音楽をバンドで演ってるのかもしれません。

とはいえ、 Deerhunter の魅力はその不定形さにもあるので、そこは二人のケミストリーが重要なポイントなんでしょう。

ともするとフロントマンのコックスばかりにフォーカスが集まりがちな Deerhunter だけど、実は目が離せないのはもう一人の才能、パントだということがわかりました。
最近よく聴いているミュージシャン。

Lotus Plaza, The Smiths, Kurt Vile

Lotus Plaza は Deerhunter のギタリストによるソロプロジェクト、Kurt Vile はフィラデルフィア出身のシンガーソングライター、The Smiths は言わずもがなの The Smiths 。

アルバムをリリースした時期は三者三様で、リリースしたばかりのものから1980年代のものまで幅広くありますが、共通するのはもちろんサウンド的にギターが中心ということ。
しかも、三者ともギターの存在感がなんとも言えないいい感じ。

一音一音の存在感ではなく、けっこう細かい音をつないでいくギタースタイル。

また、ゆっくりレビューしていきたいと思います。

Spooky Action At A Distance/Lotus Plaza

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Smoke Ring for My Halo/Kurt Vile

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Complete/The Smiths

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ここで何度も書いてきたけれど、女性ボーカルはけっこう好んで聴きます。

歌がうまいことはもちろん必要条件だけれども、その中でもけっこう好みの声質があって、基本的に高音のよく伸びる透明感のある歌声か、独特のニュアンスの揺れがぞくぞくっとする声、そのどちらかだと無条件に魅かれますね。

前者の代表格が Linda Ronstadt や Marissa Nadler 。
後者の代表格は Corrine Bailey Rae 。

Kate Bush などは、若い頃が高音の魅力、40代になってからは独特のニュアンスと、ボーカリストとしての魅力が変わっていきました。

その両方を兼ね備えた類まれな才能を持っているのが、坂本冬美。
この人はロック畑じゃないけどね。そして素晴らしいテクニック。

まあ、そんな女性ボーカルの好みを持ってるわけですが、最近良く聴いてる女性ボーカルは、 FeistSharon Van Etten です。

Feist は、カナダのシンガーソングライター。
Sharon Van Etten は、ニューヨークはブルックリンを拠点としてるシンガーソングライター。
知名度ではFeistが遥かに高いでしょうね。

女性ボーカルといっても、二人とも基本はガチなロック。
サウンドの作りも実にしっかりしてるどころか、ヘタなミュージシャン顔負けの硬派です。

アルバム聴き始めの音楽の表情はけっこう似てますが、聴き込むとかなり方向性が違っていることに気が付きます。

Feistはアバンギャルドの香りがします。
ドラムの音とか、パーカッションの使い方。
楽器間のバランスを意図的に崩そうとしてるあたりとか。
音的にやや過激派か。

Metals/Feist

¥961
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曲が始まるのは57秒あたりから。




Sharon Van Etten はどちらかというとギター1本タイプのミュージシャンがサウンドをロック的に強化しました、というイメージ。
特にこの最新アルバムは、The National のメンバーをプロデューサーに加えて制作されたこともあり、一部の曲はUSインディと言っても過言ではないサウンドです。

Tramp/Sharon Van Etten

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でも、アルバムを聴き進むにつれ、彼女の本質はギター1本なんだなと思わせる。







で、最初の話に戻すと、実は女性ボーカルとしては両方ともそれほど魅かれるタイプではありません笑
音楽トータルで魅せるミュージシャンとしての評価でしょうね。

どちらが好きかと言われると、、刺激的なのはFeist、歌として好きなのはSharon Van Etten 。
トータルは僅差で Sharon Van Etten です。

いずれにしても素晴らしい音楽であることには違いない。