やっぱり年間ベストはその年にリリースされたアルバムをしっかり聴き尽くしてから選ぶものだと反省。

Julia Holter "Loud City Song" 。
Loud City Song/Hostess Entertainment

¥2,432
Amazon.co.jp

一聴して鮮烈な印象はあったものの、正体をつかむまでに時間がかかりそうだと思い、ベストアルバムの候補からはずしていました。

静かで張りつめた音空間から、軽やかなリズムセクションを伴うもの、アグレッシブなものまで、実は幅広い曲調を持っているこのアルバム。
それでもトータルな印象は、滑らかな静けさ。
サウンドスケープの創り込みが最高です。
自分的には静謐を感じさせてくれる曲がお気に入り。

聴けば聴くほど素晴らしい。
自分にとっては、明らかに前作 Ekstasis よりも上ですね。

特に、Hello Stranger 。
この曲はバーバラ・ストライサンドのカバーらしいですが、This Mortal Coil の Song For Siren に匹敵する超絶なデキの曲だと思います。


大貫妙子に雰囲気が似てる静謐さ。






なんといっても、この滑らかな極上感を持つアルバムのタイトルが、Loud City Song ですからね。

Loud な City になじむ音楽なのか、Loud な City から逃避するための音楽なのか、アルバムのトーンを逆説的に Loud と形容しているだけなのか。

この言葉のとらえ方で、その人がイメージする方向次第で、アルバムの印象すら変わってしまうこのタイトルも、このアルバムの世界観を引き立てる魅力のひとつだと思います。

都会の喧騒の中で暮らす自分にとっては、必要不可欠なアルバムです。



これ見てるだけですごい。

存在感のカタマリというか、マルチプレーヤーという言葉では小さ過ぎて、はまりません。
音の切れ味もバツグン。
強い音からやさしい音まで。
ライブで体験したいものです。









昔からオーディオにはこだわっていました。

好きな音楽はできるだけ良い音で聴きたいから。


良い音で聴くことが目的化していた時期があったかもしれない。

音楽の中身は薄くても、良い録音のレコードと言われれば買ったこともあったし、録音の良さを味わいたくてそんなに好きでもない盤を何度も聴いたこともあった。


もちろん学生の分際でできる範囲であり、居住環境が許せる範囲だったから、どうしてもヘッドホンの役割は大きくなっていたけれど。


今年、そこに大きな刺激が加わりました。


ひとつはウォークマンを買い替えたこと、そしてパソコンを買い替えたこと。

両方とも機器のトラブルによるもので、結果的に買い替えざるを得なかったのですが、パソコンの買い替えは音楽に直接関係ないように見えて、結果的にウォークマンの買い替えと密接にリンクしてくるんです。


ウォークマンは64GB、パソコンは1TBまで記憶容量が拡大しました。

つまりそこに保存できる音楽データの容量が飛躍的に拡大したということ。


今まではCDからの取り込みを44.1KHz、128kbpsのサンプリングレートで行って、ウォークマンへの転送は非可逆圧縮のATRACで行っていました。

要は、音楽をCDから取り込みMP3プレーヤーに転送して聴くための、標準的なデフォルトフォーマットを使用していたということです。

この場合、データ容量をコンパクトにするため、データは圧縮されてそれなりに音は劣化してます。


ここで記憶させられるデータ容量が拡大し機器が対応できるものになったので、CDからの取り込みからウォークマンへの転送まで可逆圧縮のFLACフォーマットを使用できることになった。


事実上、CD→パソコン→ウォークマンと、音質劣化は起きないことになります。


そして盛り上がりを見せつつあるハイレゾフォーマット。


これはCDでは記録しえない周波数の音までデータ化できるもの。

44.1KHzのCDの2倍~4倍のサンプリング周波数を持っています。

CDの2倍から4倍細かく音を分解できるので、特に高域の表現力が飛躍的に高まります。


例えばGoogleマップの航空写真で、ある地域の空撮を見たとして、ぼやけて見えていた建物が解像度が上がることによって細部がくっきり見えてくるようなイメージ。


とはいえCDの音域は人間の耳が認識できる周波数帯域にしたといわれており、それ以上の帯域まで記録しても意味ないという意見もありますが、そこよりも遥かに広い音域をもつハイレゾを聴いてみると、やっぱり空間の表現力というか、サウンドスケープの深さに差が出てきます。


まあ、それだけ1曲あたり、アルバム1枚あたりのデータ量も飛躍的に大きくなるんですが。

そのデータ量の差ほどの音質差はないとも言えるし、あるとも言えます。

聴く環境次第ですね、生かすも殺すも。


ロックにそこまで必要ないだろうという意見も、ある種正しいと思います。

ローファイを標榜するミュージシャンやガレージロックを高音質で聴いても、ほとんど意味ないのも確か。


とはいえやはり、音楽は良い音で、良い環境で聴くにこしたことはありません。

コンサートに行くとCD聴くのとはまったく違う喜びがあるけれど、その一因に音量があると思うんですよね。

コンサートでの音量は圧倒的に大きいですから。

音量の大小は、感動の与えられ方に直結する気がします。


音質が良ければ、大きな音量にしても不快ではありません。

音質が良いと、音量とともに、快感は確実に増えます。

好きな音楽を良い音質で聴くと、改めて多くの発見があります。


サウンドスケープにこだわり、細部まで神経の行き届いた音楽を創るミュージシャンほどその傾向は顕著。


来年は保存データのFLACへの移行をさらに進めるでしょう。

好きなCDがタイトル化されたら、ハイレゾも導入するかもしれません。

1TBと64GBでは、あっという間に容量不足に陥ってしまうかもしれないけれど。


良い音質を得るための方法論が増えるのは嬉しいことだけど、財布にそこはかとなくプレッシャーかけてくるのがちょっとね。。

今年は良作に恵まれた1年で、それらを聴く至福がたまりませんでした。

とはいえ、良い作品ばかりではなく、大いに失望させられたアルバムがあったのも確か。


良いものは良い、悪いものは悪いと、はっきり言いたくなる性格(特に音楽に関しては顕著)なので、やっぱり自分が納得できないものについては、ベストアルバムをまとめるのと同じように、まとめておきたいと思います。


毒を吐かずに良いところを褒めてるだけの方が、皆に好かれるブログになるのはわかってるんですけどね。


アルバムのデキがひどく、まったく納得できなかったのは、あの解散したグループのミュージシャンもいるけれど、基本的には自分の好き嫌いによるものなので、ここではそれ以上触れないでおこうと思います。大絶賛している人もいるし。


しかし、それでも納得しきれないのが、この人のこのアルバム。

明らかにフツーのデキのアルバムじゃないですか。

それが年間ベストに選ぼうという人や、雑誌がぞろぞろと。

みんな手放しでリリースを喜び、その内容を褒め称えてる。


まあ、そういうフツーのポップスロック系が好きな人もいるのはわかる。

でも、仮にも昔ボウイに入れ込んだ人が、なんでこの作品を手放しで受け入れられるのか。


ボウイがアルバムリリースするだけで、リアルタイムで歌ってくれるだけで、すべてオッケーなんでしょうか。

あの年齢になってもロックを続けて、これだけ頑張ってアルバムをリリースしたことの功労賞なのでしょうか。

明らかにパワーもクリエイティビティも落ちているのに、笑顔でそれを迎い入れるような心の広さは自分には持てない。


そして更に納得できないのが、あのリリースに合わせたプロモーション。

それはジャケットデザインやアルバムタイトル含めたトータルのプロモーションのことです。

66才の誕生日にいきなりのリリース発表という仕掛けも含めて。


  往年のロックスター + 極秘プロジェクト + こけおどしの装い = 強烈な話題性の新作  


強烈な話題性をドライバーに、いろんなバージョンを持つアルバムやEPの企画、フックの強いPVなど、これでもかという仕掛けを畳みかけた。

これはすでに、純粋に音楽を楽しみ見極められる状況じゃあありません。

特にメディアに関係している人や音楽業界に属している人はね。

これを否定したり、中心からはずしたりしたら、つまはじきにされます。


一般のリスナーも、これはすごいんじゃないかと惑わされる。


肝心の音楽については、往年のボウイのアルバムに参加したミュージシャンもいますね。

ア-ル・スリックも参加していると聞き、これも大いに期待していた。

けれど、ここで出している音はアール・スリックのギターが出している音とは思えません。

ヤングアメリカンズやステーション・トゥ・ステーションで聴けた彼の刺激的なギターの跡形もない(The Next Day を除き)。

それだけ、よりサウンドに関しては無頓着で、ほんとに凡作。


プロモーションという厚化粧でボテボテに盛り付けられた、標準的なデキのロック。

自分も期待させられただけに、その落差分、デキが悪く聴こえてしまう。

The Next Day と The Stars の2曲だけあれば十分だ。


世間を煙に巻く虚飾の厚化粧さえなければ、久しぶりのボウイの新譜だな、往年のクオリティは求めるべくもないけど、元気な様子を見せてくれてよかった、くらいは思ったでしょう。


しかしやっぱり、ボウイだけは、ロックをやってくれるだけで満足とか、アルバムリリースしてくれるだけで嬉しいなど、絶対に思えない。


The Next Day とは、音楽の本質以外の仕掛けに頼らざるをえなくなったボウイの姿のことか。





まず、今年において特筆すべきなのは、大豊作だった2010年に優れたアルバムをリリースしたミュージシャンが再び新作をリリースした年だということです。

自分が2010年のベスト10に選んだミュージシャンの実に5組が、次作を今年リリースしてくれました。


ベスト10には惜しくも入らかなったミュージシャンでも、Kanye West, The National などが今年に久々の新作を出しました。


それだけ、自分の中では期待が大きく膨らむ年でもあったわけですが、あまりにも想定通りに彼らのリリースしてくれたアルバムは素晴らしかった。


で、今年はベストアルバム選びをしてみようかとリストアップから始めてみました。

ところが、このあたりがくるかなと自分が想像していたアルバムばかりがリストに上がってくる。

まったくイメージどおりで驚きもなにもありません。


一気に行きます。


Arcade Fire :  Reflektor

James Blake :  Overgrown

Local Natives :  Hummingbird


Low :  The Invisible Way


The National :  Trouble Will Find Me

Primal Scream :  More Light



Sigur Ros :  Kveikur

The Strokes :  Comedown Machine

Vampire Weekend :  Modern Vampire Of The City



こいつらが、頭一個、抜けてました。

ミュージシャンのアルファベット順で、順位はありません。


ちなみに、Nine Inch Nails も Travis も Autechre も Kurt Vile も Volcano Choir も Cass McCombs もまだ聴けてません。時間がなくて。

それ以外にもレビュー未満の状態のアルバムも数枚あります。


全体を眺めた印象として、ソフィスティケイトされた音創りのアルバムが多いということでしょうか。


自分の年齢的にも、荒くて強いだけのロックは受け付けなくなってきているということもあると思いますが、サウンドスケープを丁寧に創り込んで、自分だけの個性的な音楽を表現してくれているミュージシャンばかりです。

それだけサウンド的に聴きごたえのあるアルバムたち。


ミュージシャンの顔の見えないロックンロールや、売れ線を狙ったロックは1枚もないはず。


この9枚の中にはもちろん強弱はあるけれど、順位はつけません。

想定通りに素晴らしかったということで、想定をはるかに超えて素晴らしい圧倒的なアルバムは存在しなかったというのも理由だけれど、来年になって聴いてみたら NIN が素晴らしくて、ああこっちが1位だったなと後悔するようなことになりたくないので。


しかし改めてラインアップみたら、インディの主力たち大御所たちの新譜ばかりから選んだような、つまらないラインアップですね。

新人もいないし。


もちろん中身は素晴らしいものだし、個性的なサウンドスケープを持つミュージシャンばかりだけれど、このリストはあまりにも発見に乏しい。

どれもレビューで既出ということも。

我ながら反省です。


それだけ自分ならではのミュージシャンやアルバムを発掘しようという意欲に乏しい1年だったとも言えます。

逆に、それをする必要もないほど、期待されたミュージシャンによる充実したアルバムが多かったとも言えますが。


でも去年はこのレベルのアルバムが2~3枚しかなかったことを考えると、文句のいいようのない年でした。

これはとても嬉しい。