低周波音の反射の例をもう少し挙げてみましょう。
低周波音は障害物にぶつかって反射を繰り返しても弱まりにくいので遠くまで
聞こえることになります。花火の音、運動会の朝にドンと鳴る雷(らい)と
呼ばれる花火、山伏が吹くホラ貝の音色…遠くまで聞こえる音が低い音なのは
偶然ではありません。
また、よく反射するということは 騒音源がどの方向にあるのかが分かりにくく
なります。いつも布団を叩く家が思っていたのと逆側にあったり、壊れた音のする
エアコンの室外機を思いもしないところで発見したりします。
〇 花の雲 鐘は上野か 浅草か 松尾芭蕉
どうやら芭蕉さんも低周波音の性質を理解していたようです。
パトカーのサイレンは高い音で直線的に伝わるため あれだけの大音量でも急に
方向を変え交差点に進入する際に衝突する事故がけっこうあります。低い音にすれば反射して 広範囲に聞こえるように出来ますが、 サイレンがどの方向で鳴っているか
分からなくなるというマイナス面もあるのです。
いつもは聞こえない音が聞こえる日があります。遠くのお寺の鐘、電車が鉄橋を
渡る音、重そうなトラックのエンジン音、ジェット機のエンジン音、町全体が
騒がしい日です。お寺も鉄橋も どちらも我が家から数Km 離れたところにあります。
天気が下り坂のときに起きる現象ですが これは寒冷前線が近づくと暖かい空気と
冷たい空気の境い目が巨大な反射面となって普段は聞こえない音や遠くの音が
反射して聞こえるようになるのだそうです。反射で弱まらない200Hz以下の低い
音だけで起きる現象です。( お天気情報のコーナーでよく紹介されるネタですw )
外にいるとあまり聞こえませんが家の中だと例によってハッキリ聞こえることに
なります。よく聞こうと思って窓を開けると逆に聞こえなくなるので 低周波騒音の
性質に気付くチャンスではあります。
タフで手ごわい低周波音への理解が深まったでしょうか