MAG2 NEWS:「中国を売り、日本を買う」と世界は決めた。日本経済と株価の黄金時代が間もなく到来する訳2024.01.29より転載します。
 
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https://www.mag2.com/p/news/591703
 
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「中国に投資するくらいなら日本に投資したほうがいい」と考える外国人投資家や多国籍企業が急増中。中国共産党の人権軽視や統制経済を嫌ってのこの動きについて、「ようやく日本も“日本ダメだ論”から脱却すべきときがきた」と指摘するのは、台湾出身の評論家・黄文雄さんです。今回は、金融・実体経済の両面で加速するジャパンシフトの最大要因とも言える中国経済の窮状を、事例とデータで詳しく見ていきます。(メルマガ 黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」より)

外国人投資家にとって危険すぎる中国株式市場

アメリカのダウ平均株価が史上最高値を更新し、日本も日経平均株価がバブル時代の過去最高値に迫る勢いで上がっています。

その一方で、中国の株価は低迷がつづき、香港と中国を合わせた時価総額は、アメリカ株式市場の時価総額より38兆ドル(約5641兆円)も下回っているそうです。

中国株の時価総額、米国を38兆ドル下回る-構造的な投資家離れも

中国は2015年6月の上海株の暴落時、中国政府は大口株主に対して株の売却を禁止したり、空売りを仕掛ける投資家を逮捕するなど、およそ通常の自由市場では考えられない株価維持政策を行ってきました。

政権の思惑で売買に制限をかけるというその姿勢に、海外投資家は中国株のリスクの高さを認識しました。独裁国家の恣意的な介入があるなら、誰も市場の動向を読むことはできません。

また、アリババのように、経営者ジャック・マーが政権に批判的な言動をしたことで、子会社のアント・グループの上場が阻止されるといったことも起こっており、とても投資できる国ではないという理解も広がりました。

舌禍が招いたアント上場延期、ジャック・マー氏の大誤算

そのため、2015年の暴落時以来、中国株はずっと低迷を続けてきたわけです。自由経済と統制経済の、当然の帰結とも言えるでしょう。

中国の不動産バブルはすでに崩壊

そして現在の中国では、不動産バブルが崩壊し、若者の失業率は表向き20%程度ですが、実質は46%以上あると見積もられています。

中国の若年失業率、46.5%に達した可能性 研究者が指摘

 

結局、資本主義は中国には無理だったということです。中国がWTOに加盟したのが2001年、人民元がIMFの特別引出権(SDR)の構成通貨に組み入れられ国際通貨となったのが2016年。

西側諸国は中国が豊かになれば、自由主義経済、民主制度に移行していくと思って、資本主義経済の枠組みに招き入れたわけですが、それは全く見当違いでした。

むしろ豊かになればなるほど、自由主義経済から遠ざかり、国内では統制経済を、海外に対しては武力恫喝や「借金の罠」による植民地化を進めていくようになったわけです。

「中国化した香港」から逃げ出す投資家たち

とくに香港の株式市場では、ハイテクなどの革新的な企業が上場していますが、2005年の安値水準近くまで値を下げています。

中国株の下げ加速、香港市場で05年安値に迫る-米株との格差鮮明

香港では2020年に国家安全維持法が施行され、実質的に香港の一国二制度は廃止され、香港人による自治は終焉しました。ハイテク株であっても、そのような統制された社会の株式市場では、まったく魅力がないということなのでしょう。

香港国家安全維持法では、当局批判でも逮捕される可能性があり、また、海外にいる外国人にも適用されるということで、非常に危険な法律です。

「香港国家安全維持法」施行から3年 言論統制一層強まる

日本経済と中国経済は逆相関にある

中国では、不動産バブルが崩壊し、現在はデフレ危機に陥っています。かつて日本はバブル崩壊後、長年のデフレに苦しみましたが、そのデフレの一因は中国の存在がありました。

冷戦が終わり、グローバリズムが進んだことにより、前述したように西側諸国は中国を自由経済件の一員に組み入れました。

これにより、各国は労働賃金の安い中国への投資を膨らませ、中国は「世界の工場」とよばれるほど、世界の生産基地となったわけです。その一方で、日本は中国製との価格競争に巻き込まれ、デフレが加速していきました。中国へ製造拠点を移す日本企業もどんどん増えていったわけです。

いまは、その流れが逆転しているといっていいでしょう。今度は中国の不動産バブルが崩壊し、その一方で日本の株価が史上最高値を目指すレベルにまで少々したわけです。そのことからも、日本のデフレの一因として、中国があったことがわかります。

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「経済よりも自己保身」が中国共産党の本質

中国が株式の低迷にほとんど手を打たないのは、ある意味、習近平政権にとっては自身の政権維持のみが重要であって、その他の人民の財産などについては、どうでもいいからでしょう。

人民が豊かになろうが貧しくなろうが、中国共産党や習近平政権にとって、どうでもいいことなのです。

習近平政権はなぜ景気刺激策を打たないのか ─ 経済政策を巡る政権のスタンスを考察する ─

そのかわり、反乱を起こさないかを街中の監視カメラで覗いて見張っているのです。

株式は、通常半年先の経済状況を表していると言われます。

ということは、日米の経済状況はこれからますます良化していく一方で、中国は沈んでいくという未来がほぼ見えているといえるでしょう。

巨額マネーが中国から日本に大移動

実際、投資家の間では、すでに去年から中国への投資を回避する動きが活発化していました。これもひとつのデカップリング(中国切り離し)なのでしょう。

かつて資本主義の仲間に入れた中国を、いま再び切り離そうとしているわけです。

少なくとも、中国経済には未来がありませんし、投資家もそう考えています。

その一方で、これまで長い間デフレで苦しんだ日本に対しては、ポジティブな見方が多い。それが現在の投資家たちの見方なのだと思います。

要するに、中国に投資するくらいなら、日本に投資したほうがいいということであり、相対的に日本の魅力が再び見直され、期待が高まっているということでもあるのです。

ようやく日本も、「日本ダメだ論」から脱却すべきときが来たとも言えるでしょう。

貧しさのあまり“特殊部隊化”する中国人の生活

前述したように、中国経済の悪化は明らかですが、具体的に、どのような事象が起こっているのでしょうか。経済悪化を示すさまざまなニュースが取り上げられるようになっています。

以下、報道を一部引用します。

そんななかで、若者を中心に流行しているものがあります。

ANN中国総局 井上桂太朗
「特殊兵式旅行は、去年はネットの流行語でランクインするぐらい、中国の方たちの中では流行った言葉」

「特殊兵式旅行」とは、一体どんなものなのでしょうか。

ユースホステル オーナー
「夜中の2時に到着し、朝6時に出発していった人もいます。少しだけ休息を取るためですね」

特殊兵式旅行とは、まるで特殊部隊のように睡眠時間を抑え、ゆっくり食事を取ることはせず、短い時間で多くの観光地を巡り、旅費を抑えるスタイルです。

特殊兵式旅行中の人
「何を食べるか、そんなに気にしない。一日3食なくても大丈夫ですね。時間を十分に使って、効率よく観光地を回ることが旅行の目的」

出典:“特殊兵式旅行”流行 睡眠我慢で節約…中国GDP成長率+5.2%も「経済悪化」

給料の未払いが続出、年金支払いもストップ


以下のような記事もあります。

中国経済「実質5.2%成長」の大ウソ…インフレに苦しむ世界経済から隔絶された「デフレ怪現象」をどう説明するのか?

例えば、昨年9月、山東省●(草かんむりに河)沢市の公立病院「第二人民医院」で、支払われていない8ヵ月分の給料を払ってくれと職員たちがデモ行進を行った。また昨年末には四川省遂寧市の漢方の専門病院で、「給料を払わないと、ビルから飛び降りるぞ」というデモンストレーションが行われた。<中略>

ゴミ清掃員の給料が止まり、清掃員のストライキで、街中に「ゴミの山」が出現したこともSNSには上がっている。また、安定した職業だと思われる電力会社の社員ですら給料の支払いが止まり、デモを行っている。

天津の国営の路線バス会社は給料を6ヵ月支払っておらず、さらに会社が医療保険料の支払いもしていないせいで、運転手たちが医療保険の適応を受けることもできなくなっている。<中略>

給料が止まって、医療保険が止まっているだけではない。なんと退職後の年金の支払いも止まるということが頻発している。<中略>

上海の課長級の公務員の年間の給料は、すでに15万元(300万円)引き下げられている。上海市はさらなる給与削減を目下検討中ということだ。また、広東省や浙江省の公務員は25%の給与削減、江蘇省や福建省の公務員は20%の給与削減となったとも伝えられている。

これらはいずれも沿岸部の裕福な地域のはずだが、そうした地域でも厳しい給与削減に動かざるをえないのだ。

出典:中国経済「実質5.2%成長」の大ウソ…インフレに苦しむ世界経済から隔絶された「デフレ怪現象」をどう説明するのか?

といった感じで、不景気な話題が多く報じられています。

猛烈な人口減少が中国にトドメを刺す

そして、中国の経済悪化の要因のひとつとされているのが人口減です。どれほど減っているかというと、以下、報道を一部引用します。

中国、止まらない少子化 出生数過去最少、雇用悪化で将来不安か

中国国家統計局は17日、2023年末の総人口が22年末比208万人減の14億967万人だったと発表した。人口減少は2年連続で、減少幅は22年(85万人)より拡大した。教育費の増加や、若者の雇用環境の悪化などを背景にした少子化に歯止めがかからず、出生数が7年連続で減少したほか、死者数も増加した。

出典:中国、止まらない少子化 出生数過去最少、雇用悪化で将来不安か

高齢化、人口減、人材不足などに加えて経済悪化のために、雇用が縮小しているのです。

高齢化社会になれば、国家財政における社会保障費が増大し、国家経済はさらに圧迫されます。報道によれば、四川省では公務員でさえたまに給与が支払われないとのことです。

人口減、雇用や経済発展に影響 転換期迎えた中国

日本もそうですが、少子化が進むのは、女性の社会進出が進むことで晩婚化も進むためです。結婚せず未婚のまま一生を終える人も増えつつあります。

また、子ども一人にかかる養育費の高騰により、経済的問題で子どもを産まないことを選択する人も多くいます。

かくして、中国の若者たちは横になる

また、高齢化社会は、若者に活気や刺激を与える要素が少ない一方で、福利厚生や介護など若者に多くの負担を強いることとなり、若者の活気をそぐことが多々あります。

少し前に中国で話題になった、若者の「横たわり主義(「●平」(●=身に尚、タンピン))」も、この厭世観からきたものでしょう。

「横たわり主義」は、2021年頃の流行語で、中国の若者が無気力になっているという意味の言葉です。

「若者たちが「結婚しない、子どもも要らない、家や車も買わない、消費しない、最低限しか働かない、質素な生活を送ること」を選択する低意欲、低欲望のライフスタイルのこと」を指します。

中国で、若者の「世捨て人」化=「タンピン主義」が大議論を巻き起こしていた…!

台湾の選挙が終わってすぐにあちこちに手を回し、台湾を世界で孤立させようとしている習近平ですが、国内の諸問題に目を向ければそんなことをしているヒマはないはずです。

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image by: Rawpixel.com / Shutterstock.com

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2024年1月25日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
 


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