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パソコン、インターネット、人工知能……。「生産性を向上させるイノベーション」は人間のライフスタイルを変化させる。そして、新しいツールで生産性を向上させることに成功した企業は次の巨大企業となっていき世界を掌握し、そこに賭けた投資家が儲かることになる。(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
パソコンがもたらしたのは「生産性の劇的な向上」
MicrosoftやAppleが誕生したのは1970年代だ。正確に言うと、Microsoftの創業は1975年、Appleの創業は1976年だった。
創業者はMicrosoftがビル・ゲイツ。Appleがスティーブ・ジョブズ。どちらも世界の歴史を変えた創業者として名を残している。
当時は「パソコン」などは海のものとも山のものとも分からない「マニアのおもちゃ」レベルのものであり、その可能性は誰も理解できないものだった。プログラミングの概念も一般人には理解されなかったと言える。
しかし、この「よく分からないもの」が文明をも変えてしまう超巨大なビジネスとなり、世界を君臨することになっていくのだった。
パソコンがもたらしたのは「生産性の劇的な向上」である。
当時、ビジネスの現場では会計も文書もほぼ手書きだった。しかし、パソコンでは「表計算」が動き「ワープロ」が使えた。表計算は画期的で会計の業務を劇的に向上させて、ワープロも文書作成や複製に大いに役立った。
いったん、パソコンがビジネスで使えるとわかると、社会は雪崩を打ってこのハイテクのイノベーションに飛びついた。そして、パソコンのOSを掌握していったMicrosoftが世界を制覇する超巨大企業へと成長していったのだった。
1990年代はMicrosoftの絶頂期であったとも言える。しかし、ちょうどこの時代、Microsoftとはまったく別のところで、ひとつのネットワークが勃興していた。それが「インターネット」と呼ばれるものだった。
インターネットの重要性がよく理解できなかった理由
アメリカ政府が国防のために研究開発していた分散型のネットワーク「アーパネット」が民間で使われるようになり、「インターネット」として広がるようになり、モザイクというブラウザでつながれるようになった。
このモザイクが後に「Netscape」となっていく。
しかし、一般人はあまりよくインターネットの重要性がわかっていなかった。「コンピュータとコンピュータがつながって何が面白いのか?」という認識レベルであったのだ。
一般人がインターネットの重要性がよく理解できなかったのは、いくつもの理由があった。当時は回線が遅く、しかも接続のための利用方法が複雑で料金も高かった。
当時は、主にダイヤルアップ接続が利用されていたのだが、このダイヤルアップ接続ではパソコンとインターネット回線を電話線で接続する必要があり、接続するたびに電話をかける必要があった。
接続速度も遅く、画像をすべて表示するのもひたすら時間がかかった。動画の閲覧など論外だった。
また、インターネットには現在のような豊富なコンテンツが存在せず、インターネットの重要性を認識しない企業も多かったので個人が趣味レベルで「ホームページ」を作っている程度であった。
その個人も、多くはHTMLのタグを手動で打ち込んでサイトを作っていたので、本当にコンピュータに関心のある人しか扱えなかったのである。また、この当時のインターネットは安全性も十分に確保されておらず、素人には「何が起こるのかわからない恐ろしい場所」でもあったのだ。
インターネットで最も重要だったのは「検索」だった
そんなわけで、「インターネットに大きな未来がある」というのは、一般人にはよく理解されなかった。しかし、Microsoftの創始者であったビル・ゲイツはすぐにインターネットの重要性に気づいた。
インターネットはビジネスの生産性を劇的に向上させ、これが次の時代のOSになると理解していたのだ。
そのインターネットの「入口」になるインフラはブラウザだった。
だから、Microsoftは当時やったことは、ブラウザの代名詞だったNetscapeを全力で潰しにかかることだった。ビル・ゲイツはインターネットの入口となるブラウザを押さえればインターネットを独占できると考えたのだった。
たしかにブラウザを押さえるのは重要なことであった。Netscapeを叩きつぶしてIE(Internet Explorer)でブラウザ戦争に勝利したMicrosoftの戦略は正しかったとも言える。
しかし、インターネットで最も重要だったのは「検索」だった。
広大で膨大なインターネットのコンテンツは、どんなコンテンツがどこにあるのか誰も辿り着けないほど広大だった。そのため、様々な「リンク集」が生まれたのだが、そのリンク集の最大手が「Yahoo!」だった。
しかし、Yahoo!は人力でリンクをまとめるサイトだった。そこに「コンピュータでサイトを回って、何かの言葉を検索ボックスに入力したらリストが出てくる」という発想をする会社がいくつか生まれた。
その中のひとつが「Google」だった。
「検索ボックスに文字を打ち込んでボタンを押したらリストが出てくる」というシンプルなシステムは、確かに便利なものだったが、やはり後にそれが現代文明で最も重要なシステムになると想像できていた人はほとんどいなかった。
無料で使わせて巨大化していったGoogle
もっと人々が理解できていなかったのは、システムが無料で誰でも使えるというビジネスモデルだった。当時のGoogleは赤字の企業であり、システムは無料だった。
無料で検索エンジンを使わせて広告で運営を維持するというスタイルだったが、モノやサービスは「売って利益を出す」という従来のスタイルが堅実なビジネスであると思われていたので、無料で何でも使わせるというビジネスモデルはなかなか理解されなかった。
しかし、この「よく分からないもの」が文明をも変えてしまう超巨大なビジネスとなり、世界を君臨することになっていくのだった。
検索エンジンは全世界のサイトをインデックス化し、情報を一瞬にして提示する。生産性の向上は計り知れず、もはや現代人は検索エンジンなくして生活できないほどになっている。
Next: 次のイノベーションに賭ければ勝ち組に?AI覇権をめぐるバトルが勃発
生産性を向上させる次のイノベーションは何か?
「生産性を向上させるイノベーション」は人間のライフスタイルを変化させる。そして、新しいツールで生産性を向上させることに成功した企業は次の巨大企業となっていき、世界を掌握する。
とすれば、生産性を向上させる次のイノベーションは何かをよく理解しておくと、「そこに金を賭ければ、ほどよく儲けることができる」というのが分かるはずだ。折しも今、現代文明の生産性を飛躍的に高めていくと全世界が注目しているのがAI(人工知能)の分野である。
これまでAIはもちろん「次のイノベーション」として何年も前から注目されていたのだが、2023年はChatGPTなどの生成AIが登場して一気に「世界を変えた」年となった。そして今、AIの分野でゴールドラッシュが起こっている。
AIに特化した半導体を作るNVIDIAは現在、史上最高値を更新し、いち早くAIの未来に着目したMicrosoftは素早くAIを自社製品に組み込んで怒濤のごとくAIシフトを行って次の時代の覇権をつかもうとしている。
他の企業も一気にAIにシフトしており、AIの覇権を巡って壮大なバトルがはじまっており、最終的にはどこがAI業界を独占するのか誰にもわからない。
これまでの歴史を見ると、「生産性を向上させる次のイノベーション」に賭けた投資家が報われ、そこに乗った人々が成功者となっている。とすれば、私たちは本気でAIを研究しなければ、投資にも社会にも取り残されることになる。もうすでにゴールドラッシュは始まっているのだ。ぼやぼやしている時間はない。
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