こんばんは。


今回は、語学学校でのクラス分けの実例と、それが学生たちにどんな影響を与えているかを、現場を通して考えてみました。


 語学クラスでは、クラス編成の際に、成績順(またはJLPTの取得級によって)に初級、中級、中上級、上級・・と分ける事が多いように思います。


私は偶然、新設の日本語学校で働くことになったので、設立後まもなくの学校だった最初は、まだ1クラスしかなかったため、さまざまなレベルの学生が、ロ型に机を並べてアットホームな雰囲気での授業を経験できました。


レベル、年齢、国籍の異なる学生たちが一つの小さなクラスの中でまとまっていく様子が、微笑ましく思えた数ヶ月。


しかし、経営上、そんなのどかな運営のままなはずはなく・・。


数ヶ月後には学生が多数入学してきた別校舎に異動を命じられ、成績ごとに分けられた定員MAX20名クラスでの授業を担当する事になりました。


以来、現在まで、各レベルのクラスを担当していますが、モチベーションが高い学生が多いのは、中上級~上級クラスだと感じます。


なぜかな・・


その理由を改めて考えてみると、もしかして、学生の【自尊心】が影響している部分も多少あるのでは・・と思っています。


以前、中国人校長の方針で、クラス分け後の1週間は、学生からのクラス移動希望を受け付けるとした際には、初級クラスの学生たちから、


「一番下のクラスは嫌です。上のレベルに上げてください。」


との申し出が多く、驚いた経験がありました。一番下のクラスという位置づけになってしまうという評価が、嫌なんだと・・(実力が伴わなくても、上のクラスに入れてほしいとの希望者が多くなりました。)


学校では、そのような申し出に対してや定期的なクラス分け時はテストをさせて一定の基準を満たすかどうかの結果で決めるのですが、結果により、下のクラスへ下がる学生などは、モチベーションがかなり下がってしまう場合があります。


語学が得意で、いつも高得点の学生たちで成り立つ上級クラスは、モチベーションが高いのは、「優位にいる」という自尊心が学習意欲にもプラスに作用しているのかなと感じます。


それに対して、いつもいつもテスト結果、初級残留となる学生たち、今まで気づかずにいたけれど、自尊心が傷ついているようにも見えてきています。


テスト評価が絶対で、下なら、どうでもいいや・・的な態度になってきているのかな、と感じました。


中国、韓国は、教育の際に特に点数重視で、(日本もそうですが、日本以上だと感じます。)点数が良ければ人生も成功!という価値観を幼い時から教育を通して植え付けられやすい社会のようなんですね。


どんな学習環境に置かれていたかは、時々学生たちが、作文を通して雄弁に語ってくれるので、それらから分かります。


しかしこれからの教育は、得意部分を活かして、考える力や話し合える力をつけさせていく教育、アクティブラーニングなども導入されているので、意識を進めれば、レベル別にクラスを分ける必要は実はないのかな・・とも感じています。


レベル別でなければ、上下意識はなく、学生の自尊心を傷つけることも少ないですね。


テストに表れない、学生たちが持っている力、良さ、個性などがあるので、それらを踏まえてのクラス編成の方が、成績別より本来はバランスがいいように思います。


もしも、成績別クラス編成ではない語学クラスで、授業なさっている先生がいらしたら、うらやましいです✨


最初の1クラスだけだった時には、よく理解している学生が、苦手な学生の面倒を見てあげていたり、という微笑ましい姿を目にする機会がありました。


助け合おうとか、協力し合おうと思わせたり、多様性を受け入れさせたりするのも、さまざまなレベルや国籍が混合している方が、相互に意識が洗練されていくように感じます。