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シネマ大好き!

今まで観た映画の感想です。

★★

鑑賞No:00276
製作:1982年/日本/104分
監督:神代辰巳
出演:永島敏行/クリスチーナ・ファン・アイク


インフレによる経済悪化が進行する1923年のドイツ。男は先輩・東野の誘いでミュンヘンにやってくる。この街は、外国の金があれば好き勝手なことができるということだった。男はそこで赤い帽子をかぶった女と出会い、その魅力の虜となってしまう。そしていつしか男は赤い帽子の女と関係を結び、奇妙な生活が始まることに・・・・。


本作は芥川龍之介の作品とも噂されている同名小説の映画化。文豪が書いた(らしい)作品という触れ込みだが、イマイチ良さはよく分からなかった。ただ、元はポルノ小説なので当然映像的にはポルノ映画のごとくだが、どこか奔放な赤い帽子の女に振り回され、愛欲に溺れ、そして捨てられる男の悲哀というか、惨めさを永島敏行がよく演じていた。

★★+

鑑賞No:01801
製作:2004年/アメリカ/100分
監督:ジョナサン・グレイザー
出演:ニコール・キッドマン/キャメロン・ブライト


アナは10年前に夫のショーンを心臓発作で亡くした未亡人。それ以来、ずっと悲しみにくれていたアナだったが、最近やっと新しい恋人であるジョゼフのプロポーズを受け入れる決意ができた。そんな2人の婚約パーティの夜、一人の少年がアナを訪ねてくる。その少年は「自分は夫のショーンである」と告げ、ジョゼフとの結婚を止めるよう訴える・・・・。


死んだはずの夫が、全く見知らぬ少年に生まれ変わって尋ねてくるという、何とも神秘的で興味深い設定の映画。当然、テーマとして“輪廻”という言葉が頭をよぎる。前半の進行はまさに“輪廻”は存在するか?を問うような内容だった。それ故、後半の展開と結末には疑問と不満が残るものとなった。思えば最近の予告編等で観る映画の謳い文句や設定は非常に興味深いものが多いが、実際に見ると客寄せのための過剰広告に思えてならないものが多い。詳しく書くとネタバレになるため書けないが、これもその代表のようで、おそらく賛否両論(特に酷評)の多い作品と思われる。

★★★

鑑賞No:01802
製作:2008年/アメリカ/112分
監督:アンディ・テナント
出演:マシュー・マコノヒー/ケイト・ハドソン


トレジャーハンターのフィンは、宝探しに熱中するあまり多額の借金をしギャングに命を狙われ、妻のテスにも愛想をつかされ離婚寸前の状態。そんなある日、フィンは海に沈んだ財宝の決定的証拠を発見し、たまたま近くでバカンスを楽しんでいた大富豪ナイジェルをスポンサーにしようと乗り込んでくるが・・・・。


一言で言えば、軽いノリのアドベンチャー映画。「イントゥ・ザ・ブルー」とよく似た感じの映画で、時間がたつと区別ができなくなりそうな感じ。それもそのはず、内容は似たり寄ったりで、“カリブ海”“海に沈んだ財宝”“ギャング”・・・・などキーワードもそっくり。ノリがいい分、シリアス感には欠けるため、観ていてもさほど緊張感やサスペンス性は感じられない。ただテンポはまずまずよく、気楽に鑑賞するにはよい。ともかく映像として多く映し出されるカリブ海の美しさは素晴らしく、一度は行ってみたいと思ってしまうほど。もちろん海に恋愛はつきもので、この映画でも当然ラブストーリーも重要な柱になっている。

★★★

鑑賞No:01017
製作:1974年/日本/82分
監督:西河克己
出演:山口百恵/三浦友和/中山仁/佐藤友美


大正末、天城に向う山道で一高生の川島は旅芸人の一行5人に出会う。彼らは三味線や太鼓、唄や踊りで温泉場の客を相手に生計をたてていた。一行の中のかおると名乗る美しい少女は踊り子だったが、下田まで川島と一緒に旅ができると知って喜んでいた・・・・・。


いわずと知れた川端康成原作の同名小説の映画化で、山口百恵の第一回主演映画としても有名。製作が1974年なので、山口百恵が15歳くらいの時の作品である。さすがにま幼さが残り、演技的にもどこかぎこちなく、素人っぽさが感じられるが、それが逆に汚れを知らない少女かおるにピッタリで、原作のイメージを上手く出していたのではないかと思われる。最近、邦画はどこかまったりした緩い系の映画が多く、それはそれで何か忙しない現代の一服の清涼剤となっているが、この映画はゆったりとした中にもどこか古き日本の情緒とか風景を見せてくれる、最近の邦画とはまた違った品位ある作品である。

★★

鑑賞No:01816
製作:2008年/イギリス、アメリカ/108分
監督:フィリダ・ロイド
出演:メリル・ストリープ/アマンダ・セイフライド


ギリシャの島で小さなホテルを営むドナの娘ソフィの結婚式が明日へと迫っていた。父親を知らずに育ったソフィの夢は結婚式でヴァージンロードを父と二人と歩くこと。そこで彼女はかつての母の恋人サム、ハリー、ビルのうちの誰かが自分の父親だと見当をつけ、ドナに内緒で3人を島に招待するが・・・・。


結婚式前夜のドタバタを、アバのヒットナンバーにのせて陽気につづったミュージカル映画。花嫁の本当の父が未だに誰か分からず、父親候補と思われる3人の男性が花嫁によって結婚式に招待されたことから起こるドタバタ劇がストーリーの中心だが、ともすれば深刻な問題を陽気な歌と踊り、そして真っ青な空と海がかき消してしまい、ハッピー・コメディとして仕上がっている。アバのヒットナンバーには懐かしさを感じながら観れるものの、映画そのものは特に面白いとはいえない。ただ大女優メリル・ストリープの歌と踊りは一見の価値あり。

★★★★

鑑賞No:02500
製作:2013年/アメリカ、イギリス/134分
監督:スティーブ・マックイーン
出演:キウェテル・イジョフォー/マイケル・ファスベンダー


1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていた。が、ある日、興業者に誘われワシントンでショーに出演するが、その興業者の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう・・・・。


第86回アカデミー賞で9部門にノミネートされ、作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した作品。重く、辛く、痛い映画であるが、実話ということで観る者により訴えかけてくる作品となっている。内容が内容だけに、主人公と自分をつい置き換えて観てしまうが、自分だと絶望感にうちひしがれて、どこまで耐えられるか疑問に思いながら観ていた。それに反し、主人公の絶望感に屈せず、希望を持ち続け、生き延びようとする姿は素晴らしい。身分や差別が存在するがゆえに自分を失い、本性やエゴ丸出しの人間の醜い部分を見せつけられた思いのした作品である。アカデミー会員の好きそうな作品となっており、映画テクニックの部分では少し不満が残る点もあったが、全体的な内容としてはアカデミー作品賞受賞も納得。

★★★★

鑑賞No:01797
製作:1969年/アメリカ/103分
監督:ジーン・サックス
出演:ウォルター・マッソー/イングリッド・バーグマン


独身主義のプレイボーイである歯科医・ジュリアンは、結婚していると嘘をついて年若きトニーという女性と付き合っていた。しかしトニーが自殺未遂を起こしたことから、ジュリアンはトニーと結婚する決意を固める。しかし、トニーはジュリアンの奥さんがかわいそうだと言い出し、彼女に会って話がしたと言い出す。困ったジュリアンは、看護婦のステファニーを即席の妻に仕立て上げようとするが・・・・。


粋で小気味のよい大人の会話が楽しめる映画。ストーリー自体はゆったりとしているようでも会話がテンポいいため飽きが来ない。そしてウォルター・マッソー演じるジュリアンがその場をしのごうとしてつく嘘が嘘を呼び、話がややこしくなっていくところや、上手い具合にトニーが誤解していくあたり、上品なドタバタ・コメディ映画として仕上がっていて面白い。そして何よりも驚かされたのが、イングリッド・バーグマンの出演。「カサブランカ」や「ガス燈」で強烈に印象づけられたイメージからは想像できなかったバーでのダンスシーンには驚き。一見の価値があります。

★★★+

鑑賞No:01798
製作:2008年/アメリカ/102分
監督:ロバート・アラン・アッカーマン
出演:ブリタニー・マーフィー/西田敏行/余貴美子


恋人を追いかけて東京にやってきたアビー。しかし、恋人はアビーを捨てて大阪に行ってしまう。失意のどん底に落とされたアビーだったが、アパートの向かいにあるラーメン屋の赤提灯に惹かれ、店に入って食べたラーメンに感動する。そしてこのラーメン作りが自分の天職だと確信したアビーは、店の主人に弟子入りしたいと申し出るが・・・・。


最初、邦画だと思っていたらアメリカ人監督による作品なんですね。ただ主人公はアメリカ人ですが、登場人物のほとんどは日本人で、舞台も日本です。私もラーメンは大好物なので、とても興味を持って観ました。最後まで言葉が壁になっていて、どうやって意思疎通していったのか疑問でしたが、そのあたりはあまり語られていません。最後、出来上がったラーメンを食べたみんなが泣き出すシーンもちょっと理解ができず、食べ物がキーの映画にしては食欲をそそるような感じが今ひとつ画面から伝わらなかったのは残念。ちょっと中途半端な感じのするラーメン(実際は中華そば)映画だが、さすがに西田敏行のラーメン屋のオヤジ役は堂に入っていて、映画をそれらしくしていた。あと何よりもよかったのは、師匠役として山崎努が出演していたこと。伊丹十三監督の「タンポポ」が思わず思い浮かんだ。

★★★+

鑑賞No:00915
製作:1999年/アメリカ/131分
監督:ルイス・マンドーキ
出演:ケヴィン・コスナー/ロビン・ライト


離婚して間もないシングルマザーのテリーサは、休暇を過ごしにやってきた海岸で手紙の入ったボトルを拾う。それはキャサリンという女性に宛てたラブ・レターだった。その内容に胸を打たれたテリーサは勤務するシカゴ・トリビューン誌に持っていくと、オフィス内でも感動の渦となり、やがて新聞に全文掲載されてしまう。新聞掲載について何も知らなかったテリーサは激怒するが、読書の反響は大きく、何百通もの感動の手紙が新聞社に送られてくる・・・・・。


ベタなラブ・ストーリーといってしまえばそれまでですが、メッセージボトルがきっかけで恋が芽生えるというのは、何か夢があってよかった。ただし、夢のあるドラマなら最後まで夢を見させて欲しかった。ラストですごい切ない現実に戻されたようで、後味という点では必ずしも良くなかった。大人向けのラブ・ストーリーということもあり、やや地味になりがちな内容だが、今は亡きポール・ニューマンが映画全体に彩りを添える光る演技をしているのが印象に残る作品。

★★★+

鑑賞No:02472
製作:2013年/日本/96分
監督:原恵一
出演:加瀬亮/田中裕子/濱田岳/ユースケ・サンタマリア


戦時中。監督した映画『陸軍』が戦意高揚の役割を果たしていないと当局から睨まれた木下恵介は働いていた松竹に辞表を出し、脳溢血で倒れた母が療養する浜松へと向かう。母・たまは恵介を気遣うが、戦況は悪化の一途を辿り、恵介たちは母をリヤカーに乗せて疎開することを決めるが・・・・。


木下恵介監督の生誕100年記念として製作された作品。戦時中、木下監督が病気の母を疎開させるためリヤカーに乗せて山越えしたという実話の映画化。主人公の木下監督とその母、便利屋の3人が山道を越えて疎開先に向かうまでのロードムービーだが、ただそれだけのシンプルな内容。96分という短尺でシンプルな内容だけにあっという間に終わってしまって見ごたえ感は少し欠けるけど、主人公の母を思う気持ちはひしひしと伝わってくる作品。