6月4日(土)BUNKAMURA ル・シネマに
ナショナル・シアター・ライブ「ハムレット」を観に行きました。
上映時間は約3時間27分 (途中休憩あり)
チケット発売開始から満席まであっという間だった。
作 : W.シェイクスピア
演出 : リンゼイ・ターナー
出演 : ベネディクト・カンバーバッチ 他
<登場人物>
ハムレットの父の亡霊
クローディアス:デンマーク国王
ガートルード:王妃、ハムレットの母
ハムレット:先王の息子、現王の甥
ポローニアス:内大臣
レアティーズ:ポローニアスの息子
オフィーリア:ポローニアスの娘
ホレイシオ:ハムレットの友人
ローゼンクランツ:ハムレットの学友、国王のスパイ
ギルデンスターン:上に同じ
フォーティンブラス:ノルウェー王子
旅役者たち:ハムレットの依頼で劇中劇を演じる
墓掘り:道化
<あらすじ>
デンマーク王が急死した後、王の弟クローディアスは王妃と結婚し、
跡を継いでデンマーク王の座に就く。父王の死と母の早い再婚とで
憂いに沈む王子ハムレットは、従臣から父の亡霊が夜な夜な
城壁に現れるという話を聞き、自らも確かめる。亡霊に会った
ハムレットは父の死はクローディアスによる毒殺だったと告げられる。
復讐を誓ったハムレットは狂気を装う。王と王妃はその変貌ぶりに
憂慮するが、宰相ポローニアスは、その原因を娘オフィーリアへの
実らぬ恋ゆえだと察する。父の命令で探りを入れるオフィーリアを、
ハムレットは無下に扱う。やがて、王が父を暗殺したという確かな証拠を
掴んだハムレットだが、母である王妃と会話しているところを隠れて
盗み聞きしていたポローニアスを、王と誤って刺殺してしまう。
オフィーリアは度重なる悲しみのあまり狂い、やがて溺死する。
ポローニアスの息子レアティーズは、父と妹の仇をとろうと怒りを燃やす。
ハムレットの存在に危険を感じた王はレアティーズと結託し、
毒剣と毒入りの酒を用意して、ハムレットを剣術試合に招き、
秘かに殺そうとする。しかし試合のさなか王妃が毒入り酒を飲んで死に
ハムレットとレアティーズ両者とも試合中に毒剣で傷を負う。
死にゆくレアティーズから真相を聞かされたハムレットは、
王を殺して復讐を果たした後、事の顛末を語り伝えてくれるよう
親友ホレイショーに言い残し、死んでいく。
役の名前はそのままで、服装も設定も現代風の「ハムレット」だった。
屋敷内のセットは、歴史を感じるような重厚さがあった。
ホレイシオが眼鏡をかけてカジュアルな姿で登場。
腕にも首にも刺青がほってあり、ハムレットのマブ達風。
笑えるシーンもかなりあって、ハムレットが狂ったふりをする
シーンでは、イギリス王室の近衛兵の恰好をして、
太鼓をたたきながら歩いたり、あるはずのない階段を
降りるふりパフォーマンスをしたりして、客席は大ウケ。
一番面白かったのは、墓堀人が、傍らで見ている王室の
スタッフに「狂ったハムレットはイギリスに送られたらしいが、
イギリスだったら目立たなくていいね。イギリスは
おかしい奴らばかりいる国だから」と言うシーン。
一幕の終わりに舞台袖から大量の茶色い紙吹雪が舞って、
まだ終わりでもないのにこんなに散らかって、二幕はどうするんだろう…
と思っていたら、二幕では屋外の設定が多く、屋敷のセットは
組んであるものの、舞台床を覆った茶色の紙吹雪を
地面に見立てての演出になっていたのが斬新だった。
狂ったオフィーリアは、頭に大きな円形脱毛症が出来ていて、
ピアノ弾き語りで歌を歌い、妙にリアル。
王妃ガートルードがオフィーリアが溺死した様子を語る台詞で、
「裳裾は大きく広がってしばらくは人魚のように川面に浮かびながら…」
云々の長く美しい描写を聞いているといつも不思議な気分になる。
人が一人死んでいるとは思えないなんとも優雅な描写だ…
父王が殺された事よりも、父を殺した弟と再婚した
母の方が許せないように見えるマザコンハムレット…
ガートルードとハムレットが言い争うシーンは迫力があった。
母親を「淫乱メス豚」呼ばわりする息子。取り乱しおろおろする母。
私も少し観劇をひかえないと、「尼寺へ行け」とか言われそう…
台詞の訳詞がダイレクトで簡潔で分かりやすかったし、
何よりカンバーバッチの演技が最高だった。