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君が好き

アイドルの話でもしようず。

最終形態クルトの頃から続いているBargringoでの新春ライブ。
今年もお屠蘇気分真っ最中の正月二日「新春着物初詣ライブ」として、宇城ありささん、ローズさん、Iaraさんの去年と同じ安定の闇鍋メンバーでの開催でした。

まずはローズさん。
アイドルとしては昨年はフォティプロでの活躍もありましたが、熊本の人にとってはやはりそれよりもこしまきさんとの漫才ユニット「火の国おやこ丼」が愛されてることもあって、アイドルとしてのイベント出演に「今日はピンで登場ですか?」と客席からいじりまくられながら登場。「ソロです。アイドルです」と返すお約束はお見事。
フォティプロの「All together 限界を越えよ!」で客席にフリコピを強要しながら、楽しい盛り上がりでした。客席も、ここにいる人のほとんどが「毎年、一番最初に見るアイドルのステージはローズさんだよな」と自分たちも限界を越えていることに気づき最高でした。
こしまきさんの本気度から「火の国おやこ丼」が割とがちに活動していることもあって、アイドルされているときのローズさんも更に表現の力強さに磨きが買っているように感じました。
年齢なんて関係ない、人はいくつになっても成長を続けなければという大事なことを、新年早々教えてもらえるステージを、毎年新年最初に見せていただけてるのはいいなと感じました。

次に出てきたのは成長盛りのIaraさん。
Iaraさんは毎年、見るたびに成長していて本当に驚きです。
Iaraさんは今年17歳になられるらしく、MCで「ローズさんとありささんと同い年になるんですよ」と客席を笑わせてくれました。
数年前、福岡で何度かIaraさんを見たことあるんですが、熊本と違い、客席に黄色やピンクのサイリウムが光るステージで歌うIaraさんは遠征の地だからか、客席を引っ張るような攻める姿勢がありました。
ただ熊本に関しては地元ということもあり、Iaraさんをよく知っているファンの人も多いから、Iaraさんも割とリラックスして客席の反応を見ながら、客席と一緒にステージを作ることが多かったのです。
それがこの日は、かつて福岡で見たような攻めのステージで客席を引っ張ってました。
Iaraさんも17歳。
ゆるーい熊本の空気もいいけれど、アイドルとして今年は攻めていく姿勢を感じられてよかったです。

そして宇城ありささん。
まさに真打登場という雰囲気で、昭和のアニメソングのイントロに乗って登場。
なんだかんだ言って、客席の予想を斜め上にずらして、客席の空気を全部自分の世界にしてしまうのが相変わらずすごいなと感じました。
熊本弁の混じった軽快なMCに「Navi」と「ハチドリ」を立て続けに披露。永遠の17歳としてかわいいをなりきる姿もさすがです。
ラストは「最近、この曲をやっていないとクレームをいただいているので、今日はやります」と宇城ありさワールドのMCで自虐的に楽しませながらの「チャリできた」。ローズさんもIaraさんも楽屋から飛び出しての新年早々のお祭り騒ぎでした。

そのまま三人で、これまた客席の予想の斜め上の選曲で二曲をコラボしてフィナーレ。
とにかく客席を飽きさせない、来てくれた人を満足させる、その宇城ありささんの気持ちの伝わる楽しい時間でした。

物販のあとは恒例のようにファンとメンバー一緒に初詣。
宇城ありささん曰く毎年恒例の「ヲタク行列」で熊本城近くの稲荷神社に初詣しておみくじを引くプチオフ会。
アイドルというと本来手の届かない偶像であるべきなのですが、宇城さん、Iaraさん、ローズさんとこうして毎年初詣に行くと、不思議とこの三人とこの場にいるファンの人がみんな仲間のように感じられるのがうれしいです。
ここで新年早々感じた仲間意識が、別の場所でIaraさんや宇城さん、火の国おやこ丼やローズさんを見たときに応援したくなるきっかけにもなるのかと感じました。そしてそれを毎年仕掛けてる宇城ありさはさすがです。


 

2022年のクリスマスは天海での熊本クリスマススペシャルライブに行ってきました。
Re:five劇場が閉鎖となりホームを天海に移動しつつあるRe:fiveに、天海の主催アイドルイベントLIKE!でおなじみの炭坑ガールズとNYDSの三組に吉川りおさんを加えたイベントでした。
どのグループも衣装にクリスマスを感じさせる絵にかいたようなクリスマスライブでした。

まずはRe:five。
残念なことに橘かえでさんが体調不良、西園寺つきさんが学校行事と欠席でしたが、まず単純にぼくは6月に初めて天海に行った時のことを思い出していました。
2022年6月の天海LIKE!。出演メンバーは正規メンが橘かえでさんと柊わかばさん、そして研究生がつきさんとういさんの四人体制でした。その四人のステージは、橘かえでさんが曲中、終始他のメンバーを支え、MCもそのほとんどを担うというまさにリーダーここにありといった記憶がありました。間違いなく橘かえでさんのグループでした。
それが半年で橘かえでさんがいなくても(もちろん、いたほうがいいですが)、ステージが成り立ってしまうRe:fiveの底力を感じました。
中心に柊わかばさんがいて、東雲ういさんと研究生のかれんさんが両ウイングのフォーメンション。
かれんさんがソロパートをガンガンに歌う驚きを見せてくれ、東雲さんが独特の空気感でひきつけ、柊さんが卓越したパフォーマンスを見せる。
1曲だけ、柊さんと東雲さんに吉川りおさんが加わるところもありました。ここに橘さんと西園寺さんもいたらなとも思いましたが、逆にこの三人でも楽しませてくれるところに2022年、Re:fiveが培った力を感じました。2023年も楽しみです。

NYDSはフライヤーでは「YUKI YUKI YU-KI&ツヤンツヤン」と「エクねこ」の二組の出演になっていました。これはグループ内に二つユニットがあるわけではなく、基本出演者は同じだけど、コンセプトによって分かれている感じでした。LIKE!などでもこのようなユニット分けが定番化しているみたいです。
まずは「YUKI YUKI YU-KI&ツヤンツヤン」。こちらはアイドルのYUKIさんとパンダをメインにしたかわいいに寄せているステージに感じました。
基本的にアイドルのダンスしかライブで見たことのないぼくのようなヲタクからしたら、ストイックにダンスをしている方のステージは、純文学と推理小説ぐらいのすごさの差があります。そのすごいダンスを見せながらのYUKIさんのアイドルステージは迫力がありました。とはいえ、本来ストイックにダンスをされているからなのかMCなどではYUKIさんが「アイドルらしさ」に戸惑いを見せる表情が垣間見えて、そのあたりが百戦錬磨のアイドルヲタクがYUKIさんの魅力に取りつかれている原因なのかと感じました。ぼくは「アイドルとは人気者」という価値観を持っているのですが、その人気者になるためのファクターのひとつにギャップ、それもナチュラルなギャップってあると思います。それが、アイドルとしてのYUKIさんの魅力のひとつなのかと感じました。

ツヤンツヤンさんに関しましては、使われているSE、楽曲が世代じゃないのでよくわかりませんでした!
というのは冗談で、逆にそういうぼくみたいなダンスに造詣のないおじさんを楽しませるように工夫しながら本格的なダンスを見せようとしている工夫がうれしかったです。本格的なイタリアンは敷居が高いけど、立ち食いのイタリアンなら並んでも行っちゃうのと同じような、見ている人のレベルに合わせる仕組み。ダンサーさんがヲタクにまず見てもらうために寄せている感じに好感を抱きました。

そして「エクねこ」は出演メンバーが全員仮面をつけての激しいダンスでした。
途中で炭坑ガールズのメンバーも仮面をされて混ざられていたみたいでした。仮面で表情が見えないのに、表現力がすごいすごい。普段、アイドルの表情で表現を感じているヲタクの目には、このような表現は新鮮で、しかも表情がなくてもここまで人を魅了するパフォーマンスが存在することに、本格的なダンスをあまり見たことのないぼくは驚きを感じました。

炭坑ガールズもフライヤーはKINGとQUEENの2ユニットの出演でした。こちらも出演メンバーが体調不良などが重なり、この日は出演メンバーの全員がQUEENで出演して、その中からKINGにも出演といった印象でした。
コンセプトが明確なご当地アイドルは、逆にメンバーそれぞれの個性が際立つのがいいなといつも思います。
QUEENの一曲目でいきなり定番曲が来てヲタクの心をわしづかみにするのは素敵でした。
それぞれ別々の光を宿して輝いている個性の違うメンバーが曲をやるときにはひとつにまとまり大きな輝きを見せる壮観。
グループとしてしっかりしたコンセプトがあるから、メンバーたちは自由に個性を発揮できるご当地アイドルの真骨頂を感じました。

といった三組、計5ユニット+吉川りおさんのクリスマスイベント。
バラエティー豊かなのに、これがすべて熊本県のグループというのがまさに熊本クリスマススペシャルライブだったなと感じました。


いまから145年前の1877年2月20日。
「政府に尋問の筋これあり」として上京を目指した西郷隆盛率いる薩軍が、熊本城を攻略するために、川尻より本陣を移動したのが本荘である。
一説には薩摩軍は戦争になるなど思ってなく、熊本城に入城すれば熊本鎮台から歓待を受け、弾薬の補給などもしてもらえると考えていたという説もある。
しかし、22日明け方、本荘に陣を構えていた池上四郎率いる薩軍第五大隊は、熊本城の新政府軍から砲撃を受けた。それから6カ月に渡る日本最後の内戦、西南戦争が始まった。

そんな歴史の表舞台にも登場した本荘に昨年できたのが、熊本新アイドル劇場・Re:fiveシアターである。
てなわけで、昨日はこのRe:fiveシアターに、Re:fiveのワンマンライブを見に行った。
ワンマン、二部制、しかもワンコイン500円でドリンク付きと、とにかくお得すぎたライブ。
Re:fiveのライブは半月ほど前に天海でのLike!、そして先週は場所はRe:fiveシアターだったけど、Junior Flavor熊本主催の生誕ライブと対バンイベントだった。
もちろん対バンライブで、他のアイドルのヲタクの前で短い時間でも最高のパフォーマンスを演じる集中力と完成度にもたまらないものはあるが、ホームの劇場でリラックスしたメンバーを長時間見られるワンマンライブはやっぱり楽しい。
特に昨日は、橘かえでさんと柊わかばさんふたりのユニットだけではなく、つきさんとういさんの研究生二人のユニット、更にはつきさんひとりのソロ曲と新たなチャレンジも目白押し。
チャレンジといえば、これは前日の土曜日にすでにお披露目していたそうだが、研究生二人が「ラクガキアクセル」と「なんてんまんてん」にも参加していた。この二曲は対バンイベントでやっても十分なクオリティの高さに舌を巻いた。そして研究生も何度もステージで披露している定番の「St you…」や「朝からカツカレー」は、歌割を研究生主体に変える新しさにチャレンジしていた。
普段見られない姿を見られるレア感もうれしいが、それ以上に、今後の成長のために新しいことにチャレンジし続けるスタイルを感じられてぼくはうれしかった。

昨日のライブ、特筆すべきは研究生のつきさん。
ソロ曲もお見事だったし、持ち前のセンスの良さでこの日のメンバーのスタイリストもやられていたらしい。
ぼくはツイッターや現場で漠然とつきさんのことを「大物」と呼んでいたけど、なんでそう感じていたのか、昨日やっとつかめた気がした。
つきさんの最大の魅力は、「自分が、こういうふうになりたい」、「こうしたい」というイメージを具体的に自分の中で描けていて、それに向かって全力で走っていることだと感じた。目標が自分の頭の中にはっきり持たれているのだ。
これ、文字で書くとなんでもないことのようだけど、アイドルでここまで明確に自分の道を信じられている人はそんなにいないように思う。ぼく個人が出会ったアイドルさんの中でも、確実にそのタイプといえるのは、キャラ的にはつきさんとは全然違うけど、exLinQで現在トキヲイキルやプロレスラーで活躍中の伊藤麻希さんぐらいだ。
どうしても、アイドルにとって結果というのは「人気」である。だから、その人気を示すツイッターのフォロワー数や物販列の長さ、場合によってはオリコンチャートなどの数字を目標にしてしまいがちだ。TIF九州予選のようなアイドル同士のコンペティションの順位もアイドルにとっては目標になりやすいと思う。
なぜなら一般的に数字というのは客観性があると言われているからだ。しかし、ぼくはこの数字は懐疑的に見ている。数字にエビデンスがないからだ。

そもそも100人しかフォロワーのいないアイドルより、フォロワー数1000人のアイドルが10倍素晴らしいという根拠がない。100メートルを10秒で走る人は9秒で走る人よりも1秒足が遅いというような確実な根拠がなければ客観的な数字とは言えない。

でも、多くのアイドルは結果として数字を気にする。そしてそれは普通の事だ。
なぜなら、アイドルなどの芸能はスポーツなどと違い客観的な評価は本来できないものだが、それがないとアイドルを選ぶ側のファンに良さが説明できないからである。
画廊で並んでいる絵画の良さを説明するには、その絵の良さを書いた説明文を用意するのではなく、その絵の相場価格という数字を貼った方が、立ち止まる人が多いのと同じ理屈である。「この絵はこういう理由で素晴らしいです」と説明するより、「この絵は5000万円します」と言ったほうが、絵を見てもらえる可能性は高い。数字にはそのような魔力がある。
だから、絵画の価格のようにわかりやすい数字を集めるためにアイドルは努力する。ぼくはそれはそれで、アイドルが成長するプロセスとしては正しいと思うし、その数字を目標にすることで結果的にアイドルのパフォーマンスが素晴らしくなるならばうれしい。数字を伸ばすためにファンの要望を取り入れるアイドルも素敵だと思う。
ただ、それが普通だからこそ、「なりたい自分」を突き通すつきさんが、ぼくにとって大物に見えるのである。
ヲタク側から言わせれば、ヲタクの評価なんてころころ変わるものである。
そんなもの気にしないでこれからもつきさんには自分を貫いてほしいと思っている。
そしてその、他のアイドルにはないスタイルが、「大物」と感じてしまうほどの強い存在感を、研究生でありながらも示しているなと感じた。


そのつきさんがバチバチに存在感を示している中、当然他のメンバーも生き生きしてるのがいまのRe:fiveだ。

橘かえでさんは、めちゃくちゃに見えても安定したリーダーシップを示していた。
「原チャリで転んだ」とMCでは笑いを誘いながらも、曲中ではやはり研究生とはものが違う圧巻のパフォーマンスを見せていた柊わかばさん。
たぶんつきさんのセットで、一部と二部で髪形を変えていたういさんは、研究生ユニットとレアな歌割でいつもよりも積極的にステージを楽しんでいる空気が伝わった。

昨日個人的に一番ほっこりしたのは、二部のMCコーナーでの企画「なぞなぞ大会」だった。
四人の空気の多幸感に圧倒されて細かい所は覚えてないのが申し訳ないが、なにかがきっかけで、橘かえでさんを、柊わかばさんとつきさんが敵対するという場面があった。なぞなぞの優勝を争うか、答えにケチをつけるか、そんな展開だったような気がする。
たまに橘かえでさんが暴走したときに、柊わかばさんが笑いながらツッコミを入れるというのは最近のRe:fiveのMCの定番になっているが、そのわかばさんのいつものテンションにつきさんが乗っかって、かえでさんをふたりでいじっているような感じだったのだ。
そしてそれを見て、ういさんがかえでさんをヨシヨシとなぐさめる。最年少が最年長をなぐさめるという構図もおもしろかったが、わかばさんとつきさんのコンビネーションもよかった。
こういうときの振る舞いで、この四人って仲良さそうだなあというのと、言いたいことも言い合える関係がグループを強くするよねえと、いまのRe:fiveの目に見えない魅力を伝えてくれている気がしてほっこりした。


歴史にも残っている本荘の地に劇場を構え、毎週のようにイベントをしているRe:five。
魅力的な四人の姿が、いま、最高に楽しい!

 


 

昨日は天海でのLIKE! というイベントに行ってきました。


フライヤーはこんな感じ。
ぼくのお目当てはRe:fiveでしたが、フライヤーをご覧いただいてわかるようにアイドルだけではなく、ダンスグループやソロシンガーとバラエティに富んだ出演者でした。
会場に到着すると駐車場で出演者の方が打ち合わせや休憩をされていて、なんとなくお祭り会場のようなゆるい空気が漂っていました。こういう空気、嫌いじゃないです。
とはいえ、きらびやかな照明でライトアップされたステージは、そんなゆるい空気を吹き飛ばす迫力のあるもので、楽しませていただきました。

ソロシンガー、ダンサー、アイドルとちょっとジャンルを分けて感想を書かせていただきますね。
まずトップバッターで登場されたのがNagiさんというシンガーさんでした。
品のいいサロペットスカートに白いブラウスの出で立ちで、しっとり歌われていました。
ヲタク目線で申しますと、アイドルブームで女性のステージに需要ができ、同時にネット動画の普及で歌ってみたなど若い女性が歌を発表する場が増えていてうれしいです。
更に、ネットを飛び出して、実際に人前で歌を披露する方は、みんな本当にお上手。
そして、こうやって歌ってみたから一歩踏み出してステージに立つ女性が増えれば、この界隈もよくなるだろうし、そういう女性たちのお手本として、こういう歌ってみたの方々にはステージに上がって欲しいなと感じました。
Nagiさんは、ちょっぴり小節の効いた低音の響きを聞かせる素敵なシンガーさんでした。こういう方との出会いが増える機会は本当にありがたいですね。

ソロシンガーと言えば、まっつんさんは歌いたい唄を自分らしく歌う、だけじゃなくて、歌声を聴いてもらうために、この日来場が予定されているであろうヲタク層のトレンドを察知した選曲で楽しませていただきました。
どの曲も器用に歌い上げる歌唱力に、客席に寄り添った選曲。
この日見に来た人を楽しませようという気持ちが見えてよかったです。

ソロシンガー三人目は「そんなキミがスキだよ。」の咲良ひなさん。
拝見するのは二回目だったのですが、冒頭から客席を巻き込むのはさすがでした。

衣装はいつものアイドル的なのではなく、大人びたワンピースとレアでした。

しかし、他のお二方よりもアイドル色が近いため、歌は普通にうまいのですが、歌を聴かせるよりも客席と一緒になって楽しもうというスタイルが素敵でした。最後の曲の間奏では客席の写真を撮るということもされていて、この場の楽しさをみんなで共有し、楽しもうという姿勢が伝わって楽しめました。

以上、三人のソロシンガーさん。
どの方も歌唱力はもちろん、アイドルに負けないルックスもあり、アイドルヲタクのぼくでもかなり楽しめました。

ダンサーはPRODUCTとNYDSの二組でした。
先に断っておきますが、ぼくはダンスがわかりません。それこそいまの若い人たちは学校の体育でダンスが必修らしいのですが、ぼくらの世代、特に男子は、学校でやるダンスは運動会で盆踊りを踊るぐらいで、ほとんど触れていませんでした。
そのため、普段アイドルを見ているイベントでダンスグループが出てきても、「すげえな」と思うだけで実際、それ以上の感想が抱けません。
そのくせ、こいつはよくアイドルのダンスを見ては「あのダンスはいい」とか「あのダンスはちょっと」と言っているではないかと突っ込まれそうですが、個人的にはアイドルのダンスとダンスグループのダンスは、ライトノベルと純文学ぐらい差があると思っています。たとえばライトノベルは絵師と呼ばれる表紙のイラストで売り上げが変わるといわれてますが、そういう総合的にパッケージされたうえでの作品であり、アイドルのステージはそういうものだと思っています。
それに対してダンスグループは、純文学のように純粋にダンスを極めていると感じています。そのなかでもいろいろとジャンルもあるみたいですが、それでもどのダンスグループを見ても「すげえな」と小学生のような感想しか抱けだけないので、この日の二組を見ても同じように感じました。
ただ、この日の会場が、いわゆる他の演者は舞台袖から他の出演者のステージを見るのではなく、客席に降りてきてステージを見るという状態だったので感じたのですが、ぼくがお目当てで見に来ていたアイドルさんたちは、ダンスグループのステージのほうが、他の方のステージより熱心に見ているように感じました。
ライトノベルを書く作家も、純文学で小説の書き方を勉強するように、普段ダンスを踊っているアイドルだからこそ、ダンスなどほとんど踊ったことのないぼくら以上に、ダンスグループの良さを感じるものが、アイドルさんにはあるんでしょうね。
小学生並の「すげえな」の感想で、そのすごさが詳しくは理解できませんでしたが、アイドルさんがステージを熱心に見続けているのを見ると、とにかくすごいことが行われているんだと感じました。
たしかに両グループとも、身体の動きは柔らかく、メリハリがはっきりしててすごかったです。
あと、NYDSは二回出演されたのですが、1ステージ目がアイドル役のYUKIさんとパンダの着ぐるみのシャンシャンさんを表に出されたステージでした。
一般的にぼくのような素人が感じる、ダンスグループのダンスの評価はまず「すげえ」で、その次は「かっこいい」です。
ただ、だからこそ、かっこよくなってしまうダンスに、アイドルやパンダのかわいい要素を取り入れているのかなと思いました。また、パフォーマンスの途中でYUKIさんは歌を唄われいましたが、この歌唱力も素晴らしくぜいたくなステージでした。

アイドルは、炭坑ガールズ Team KINGとRe:five。
終わってみて考えるに、この二組の出演を一度に見られたのが本当に良かったです。
個人的にはかなり真逆のグループのように感じました。
ご当地アイドルの炭坑ガールズと、ローカルアイドルのRe:five。
このふたつを同時に見ると、ご当地アイドルとローカルアイドルは似て非なるものだなと感じました。
それはまるでアメリカンフットボールとラグビーぐらい違うよと。
日本ではあまりなじみがないのでちょっと説明すると、よくアメフトと略されるアメリカンフットボールは専門職の集まりです。わかりやすいのは交代が自由なので、攻撃と守備で選手が変わり、一般に選手は得意なことだけをやります。クォーターバックを守るのが仕事のオフェンスラインの選手は球技なのにボールに触ると反則になりますし、キックをするだけの選手なんかもいます。
対してラグビーは「one for all all for one」や「ワンチーム」という言葉でも知られているようにチームプレーが優先されるスポーツです。

もちろんアメフトも最終的にはチームでの勝利が目標なのですが、その勝利へ向かうプロセスが、個人の得意分野で勝負するアメフトと、チームプレーを優先するラグビーでは違います。もっと簡単なたとえをするなら、アメフトは野球に近く、ラグビーはサッカーに近い感じでイメージしていただけたらと思いますが、おわかりいただけますか?
中学三年生から小学二年生と様々な年齢構成の炭坑ガールズは、ゆいさんがグループを引っ張り、しょうこさんやゆいにゃさんがそれを支え、ことなさんやひまりさんは上級生に負けじと踊ると役割分担がはっきりしているところでアメフト的な印象を感じました。
全メンバー、もちろん一定のスキルを持ち合わせ、ひまりさんはこの日初舞台だったそうですが、それを感じさせないほどダンスをこなしていました。
ただ、世界遺産万田坑のある荒尾市のご当地アイドル、それにあやかった代表曲「黒ダイヤ」という強烈な強みがあり、その大きなアドバンテージがあるからステージが個性的に作り上げることができるなと感じました。まさに唯一無二の世界。他にマネできるグループはありません。

また、メンバーさんもそれぞれ個性的でした。言ってしまえばファンのニーズも中学三年生と小学二年生では違うわけで、それぞれのメンバーさんが自分の持っている強みを出しながら曲を完成させているからそう感じたのだと思います。

そしてそのひとりひとりが持っている個の力が集まって、大きなパワーを生み出していました。極端な話、ゆいさんとことねさんは同じ事が出来ません。ファンもこの二人に求めるものは全く違うはずです。でもその多様性が、最終的には個性的な、他にはないグループの完成につながっているように感じました。
それに比べると、もともとはご当地アイドルのルーツを持ちますが、現在ローカルアイドルのRe:fiveは、炭坑ガールズのような強い売りを持っていません。そこでグループとしてのステージをよくしようと、全体としての完成度を強く意識しているように感じました。三曲目にやっていた「St you…」という曲には「私だけ愛してほしい」という歌詞もありますが、そんな歌を唄っていても目の前のステージは自分ばっかり見ないでグループ全体を愛してというスタイルで、まさにラグビーっぽいなと感じました。
特に最近、「褒められればみんなのおかげ。失敗したら自分のせい」を地で行くようなリーダーシップを発揮している橘かえでさんは最初の二曲目ぐらいまでは後ろで踊っている研究生を気にするそぶりを見せていましたが、自己紹介込みのMCで研究生が難なくステージをこなしているのを確認すると、皮肉にも三曲目のこの「St you…」から客席をあおるほどの全開に切り替わっていました。でも変に目立つのではなく、チームの一員に徹していた印象は変わらなかったです。
売りがないと言いましたが、久しぶりの外イベントだったこともあって、ぼくがRe:fiveですごく新鮮に感じたのは実は一曲目の「君とRestart」でした。
去年、初めて見たとき、あまりのM.M.の速さにそこだけ時間の流れが違うように感じたこの曲のイントロのダンス。これを外イベントで改めてみると、すごいなと感じました。会場に流れてるオケにかぶせるようにメンバーたちの足音が響いていて、鳥肌が立ちました。「これを感じられただけでも今日のRe:fiveは最高」と思ってしまいましたが、こういう油断したヲタクをどきっとさせる仕掛けがRe:fiveの曲にはあるので、それをグループで積み重ねれば大きな売りになるとは感じました。

といった感じで、刺激有り、楽しさ有りの幸せな時間でした。
世界は広い。熊本もいろんな人がいて広い。
とこれまた小学生のように思いました。
 

橘かえでさんの魅力は、天真爛漫な明るさと物怖じしないチャレンジ精神、そしてチャレンジにつまづいてもめげないメンタルの強さだと思います。
5月にサポートメンバーとして一歩引きながらも橘さんを支えていた吉川りおさんがRe:fiveを外れタレント活動に専念されたため、完全に橘かえでさんが最年長となった新生Re:five。
研究生二人が加わった4人でのライブを昨日初めて見てきました。
最近、Re:five劇場は公演前に影アナが入るようになっています。
この日、影アナは橘さんだったのですが、いきなり一声目が「入ってますか?」。
のっけからグダグダで会場に失笑がこぼれます。
でも常連のヲタさんたちの表情からは「かえでちゃんなら仕方ないよな」という文字が読み取れます。
そしてこれこそがぼくは橘さんの最大の武器と思うのです。
なにをやっても、グダグダになっても「かえでちゃんなら仕方ない」。
そう思わせるのにはもちろん、橘さんの誰も敵を作らない性格の良さもあるんでしょうが、それ以上にステージを見れば納得できます。
いったん曲が始まると、Re:fiveらしい手脚を大きく動かすダンス、抜群の歌唱力、圧巻のステージングで魅せてくれます。
その裏付けがあるから、進行やMCで多少グダグダしても、むしろ愛らしく思えてしまうところが、橘さんの武器だと思うのです。

ただ、それだけじゃなく、これからのRe:fiveにとって、橘さんのこのキャラクターはかなり良く作用するんじゃないかと感じました。
途中、吉川りおさんも出演されていましたが、Re:fiveでMCをするときは、ふたりが研究生ということもあり、柊わかばさんが橘さんと話す、もしくはこれが非常に良かったのですが、橘さんの話に柊さんが突っ込みを入れるという場面がありました。
その空気が絶妙なのです。

研究生も思いっきり笑っています。こんな感じでした。

 


自由な橘さんを、しっかり者の柊さんがフォローする。そして誰も傷つかず、ひたすら明るい。
これがMONECCO5時代の橘さんのように若いメンバーの自由さならば、単なるいじられ役で終わるのですが、実力経験ナンバー1の最年長がやるからグループの雰囲気が明るくなるのだろうなと感じました。

現在、Re:fiveはリーダーというポストがあやふやなままで、MONECCO5の初代リーダーが卒業したあたりから「自称リーダー」を名乗られている橘さんですが、これからの彼女のリーダーシップには期待しかありません。
一般的にリーダー像というものは、時代とともに変わってきています。
よく言われるのが「コントローラー型リーダー」と「メンター型リーダー」です。
いわゆる体育会系の部活動などで見られる権限や恐怖で行動を促すリーダーをコントローラー型リーダーといいますが、ひと昔前はどの世界でもこのタイプがほとんどでした。
ただ、最近では上から言ってやらせるのではなく、やりたくなるようなモチベーションを抱かせ結果に結びつけるメンター型リーダーのほうが評価されています。
企業なども今年の4月からパワハラ防止法が施行されたこともあってメンター型リーダーの手法を取り入れているところが多いです。
「コントローラー型リーダー」の一番の問題点は、構成員がリーダーの顔色で物事を判断し、自発的な行動が出来なくなることです。道徳の時間で問題になる「星野君の二塁打」みたいに、リーダーの言うことは絶対、それ以外の行動をして結果を出してもリーダーの決断に反したら認められない。だから構成員から自発的なアイデアや行動は生まれない。しかし、以前はそれが正しかったのです。
それが最近では、少しずつですが世の中にメンター型リーダーの手法が浸透していっています。
そして、橘さんが最年長でRe:fiveを引っ張ることが、まさにこのメンター型リーダーの良さをグループに持ち込めるのではないかと感じたのです。

MCや物販で観察した範囲ですが、橘さんに対して柊さんは言いたいことは言えるような関係だと感じています。
研究生二人はさすがにまだ遠慮はあるでしょうが、カフェでできもしない落語をやってみたりとファンを楽しませるためには、言葉は悪いけどバカになりきれる橘さんと活動していくうちに、いじることができるようになると思います。
またそのようなことでも明るく受け入れられる寛容さとやさしさを橘かえでさんは持たれている方だと思います。
そのくせ、橘かえでさんのダンスや歌は他のメンバーの目標となるべき素晴らしいものです。それらに対しては他のメンバーは間違いなくリスペクトを抱いているでしょう。
そのような橘かえでさんが引っ張るRe:fiveは、高いスキルと自由さを兼ね備えた楽しいグループになるでしょう。

いや、昨日からその空気は存分に感じられました。

相変わらず高い身体能力で柊わかばさんはスピード感あふれるダンスを見せ、更にはそのスピードの中で真珠のような笑顔を見せていました。

研究生のつきさんは、まだステージが2回目とは思えないほどの安定感があり、まわりがよく見えていてフロアのファンとコミュニケーションを取る大物ぶりも感じさせてくれました。

研究生のういさんはストイックに他のメンバーに負けないようにダンスをこなし、その健気さにぼくは心を奪われました。

橘かえでさんを中心にそれぞれのメンバーが、自分らしさを出して明るく演じる。

そんないまのRe:fiveは本当に楽しいです。