君が好き -12ページ目

君が好き

アイドルの話でもしようず。

5月6日に読んだYahooニュースのプレジデントオンラインの記事が心に残った。下にリンク張っておきます。ぜひ一読ください。

本当に偉い人間とは「人生で夢や希望をまったく叶えられなかった」のに、しぶとく生きている人である
https://news.yahoo.co.jp/articles/2a715421e9e3f24d40325b02e339c7d9dbf4476f

当たり前だが、普段生活している大人は、「夢」の形を職業とするならば、圧倒的に夢を叶えられた人よりも叶えられなかった人の方が多い。
そのため、そういう人たちにシンパシーを得られ、更にそんな大多数の普通の人たちを応援する意味をこめた記事なのだろうが、それでも「夢が破れても人は生きていくことができる。そのほうがもっと大事なことだ」と言われるとちょっと考えた。それはぼくがヲタクだからということにも多少関係がある気がする。

コピーライターでもない限り、普通に生活している大人にとって「夢」や「希望」に触れる機会は意外なほど少ない。そんなものは若気の至りの時代に忘れてきて、日々の生活を生き抜くために戦っているからだ。
しかし、アイドルヲタクはそうではない。
ヲタクたちは夢に向かって走るアイドルを支え続ける。夢に向かって努力する姿を見守り続ける。その先に何があるのか。

AKB48が登場してもう15年になる。
15年前、AKB48が登場したとき、そのコンセプトでぼくが感心したのはあくまでアイドル活動は夢への通過点というスタイルだったことだ。
どのメンバーも、夢は女優、アナウンサー、モデルなどとプロフィールに書かれていた。
そしてそれは、もちろん本人たちは本気で言っていたのだろうけど、応援するヲタクたちが夢に向かって努力する少女を応援するという図式になるような仕掛けだったのだと、個人的には思う。
それから15年。
当時の夢を叶え、女優やアナウンサーになったメンバーもいる。
ただ、やっぱり実感としては夢を叶えた人よりも、夢を叶えられなかったメンバーの方が多い。
ただしだ。
じゃあ、夢を叶えられなかったメンバーが総じて不幸になったかというとそういうわけではないはずだ。

たとえば昨年の熱海の土石流災害の時に話題になった元AKB48の若女将がいる。
この方が現役時代に語られていた夢は「バラエティタレント」だった。
しかし、この方はAKB48卒業後、引退され一般企業に就職されていたらしい。
その後、同じように夢破れた元アイドルを救いたいとお考えになったのか、アイドルのセカンドキャリアを支援する会社を起業され、今では実家である旅館の若女将をされているそうだ。
この方が災害のあと、熱海を救うためにクラウドファンティングを立ち上げられ、ネットに登場したとき、アイドル時代以上の素敵な女性になられていて驚いた。
たまたま、災害がありクラウドファンティングで募金を募るためにネットに登場されたから話題になったが、もしも熱海で災害がなかったら、この方の消息をぼくらは知ることが出来なかったかもしれない。
そしてその姿を見たとき、ネットの掲示板などでの話題になった感想は一致していた。
アイドル時代より輝いている。きれい。素敵。
ぼくも同じように思った。

このゴールデンウィークを含め、最近ロコドルもブームと呼ばれていた時代から十年ほど経過したこともあり、以前アイドルをやられていた人を見る機会が増えた気がする。
シーンからまったく消えて突然現れてレジェンドと呼ばれている方、十年前からずっと一線でアイドルを続けている方、グループを転々としながら活動を続けている方、別ジャンルで活躍してアイドルのステージに戻ってきた方、サポートメンバーとして以前のグループに参加している方。
どの方もヲタクたちと話すときには「いい年齢の取り方をしてるよね」みたいな不思議な評価をしていることが多いが、実際いわゆるアイドル全盛期の頃よりも美しくなっている方が多い。
それでこれは単純に、アイドルも十年かければ年齢を重ね、ヲタクってヲタクしてるときは精神年齢が成長しないから、その年齢差が十年分縮まって、それがアイドルとヲタクの心の距離間を縮めているから起こっているんじゃないかとぼくはずっと思っていた。
このネット記事を読むまでは。

もう一度記事を引用しよう。

「夢が破れても人は生きていくことができる。そのほうがもっと大事なことだ」

最初に話したようにこの記事は、夢や希望に触れることのない大人を元気づけようと書かれた記事だとぼくは感想を抱いている。
だからぼくはこの記事に書かれているように、夢がなくても、ただ漠然としぶとく生きる生き方がそこまで素晴らしいとは感じない。
「夢」を職業と考えるならば、ぼくは好きでもない仕事でも成果を上げようと頑張る人の方が好きだ。
たとえばこれは実際にいらっしゃる人の話だが、刑務所に入ってもただ漠然と作業をするのではなく、差し入れてもらったトヨタのカイゼンマニュアルを読んで、刑務作業を改善しようとしている方もいらっしゃるらしい。ぼくはこういう方のように、どんな状況に置かれてもベストを尽くす人の方が偉いと思う。
ただ、夢破れたあとのほうがもっと大事というのは共感できる。
そしてもっと言うならば、夢破れたあとに新しい夢を抱いている人が一番輝いているんじゃないだろうかと思ったのだ。

誰でも、子供の頃、職業としての夢を抱く。
ぼくだって子供の頃はご多分に漏れず、野球選手になりたかった。でも、ドッチボールで女子に球を余裕で受けられるほどへろへろの球しか投げられなかった。そもそも体育の授業が苦手で才能がなかった。
夢とはそうやって、現実とのギャップであきらめるものである。
だからこそ、現実を知ってから抱いた夢のほうが強いのではないだろうか。
たとえばぼくが体育の授業が苦手でスポーツはだめだと気づいたように、自分を客観視して見つけた夢のほうが、その人の才能を生かしたものに向かっているんじゃないのかと思うのだ。

ロコドルブームから十年ほどが経つ。
ロコドルブームが起こった時、そのブームに参加したアイドルはもちろん、ヲタクも大きな夢を見ていたと思う。
簡単に言えば、CDが流通に乗る形のインディーズデビューしただけで、数年後には応援しているアイドルが東京のキー局のテレビに出るようになるんじゃないかと夢を抱かなかっただろうか? まして、メジャーレーベルからCDを出し、オリコンのチャートに乗ったら、もう有名なアイドルになったんじゃないかとわくわくしなかっただろうか?
それから十年。
ブームは終焉し、橋本環奈さんみたいにロコドルからスターになったアイドルはそう多くない。
そしてヲタクがその現実に気づいてしまったから、ブームにも陰りが出たのだとぼくは思う。
でも、そんななかでもしぶとく、新たな夢を見つけ、アイドルの舞台で活動し続けている方がいる。

橋本環奈にはなれなかったけど、そのぶん挫折から立ち上がって、もう一度ステージに立ってくれた人がいる。
そんな時代だからこそ、そういう方のほうが輝いているのだと、ぼくはこの記事を見て感じた。
夢は壊れた。
でも、新しい夢がある。
そこに向かって走っている人がいる。

挫折を乗り越え、強くなった人がいる。
それを見続けられるのは、無名の若い女の子がアイドルになってステージで輝きを見せるのと同じぐらい、楽しいことなんだと感じたゴールデンウィークだった。

そこにはパンドラの箱の希望がある。

 

熊本アイドル(?)ごちゃまぜフェスティバル、結局、全6回中、3回は見に行けました。
不肖・たきびはどうしても年寄りのため、午前中のほうが元気なので、両日フィナーレの三部には行けませんでしたが、それでも二日間で全6グループ、総勢15人の方のステージをリーズナブルに見せていただき、ありがたいイベントでした。
まあ、とにかく濃かった。

初日の一部、開演と同時に出演したのがホストのRefive。
吉川りおさんが朝は天草でラジオ出演されていたため、橘かえでさんと柊わかばさんの二人のステージでした。
ぼくが見たステージだと、二日目の一部はこの二人に樋口かこさんを加えた三人、二日目の二部は橘かえでさん、柊わかばさん、吉川りおさんで「朝からカツカレー」にはJunior flavor熊本のユキさんが加わるという、3ステージとも正規メンバーの橘かえでさんと柊わかばさんは中心だけど、ふたり以外はメンバー構成の違うステージでした。
初日の一部は、イベントの最初のステージということでとにかく元気。時間の配慮もあるのか、橘かえでさんの進行もスピーディーでそれに影響されたのか、曲中のダンスも疾風感あふれていました。ふたりだから踊るスペースが大きくてそう見えたのかもしれません。
思い起こせば去年のゴールデンウィークはまだ自粛ムードが街に漂っていました。
コロナ禍の中で解散したMONECCO5、その後結成されたRefiveでしたが、その活動期間はずーっとコロナ禍。
まだまだ会場でヲタクさんが大騒ぎできるほどには戻ってませんが、それでも少しずつ日常は戻っています。
そんな中で改めてRefiveがリスタートをする期待につながる、Refive正規メンバーふたりのわくわくするステージでした。
二日目の一部は、このふたりに樋口かこさんが加わってのステージ。
珍しくレアな肥満のJOKER衣装の橘さん、柊さんとは対照的にベージュのオーバーオールスカートを着た樋口さん。
二年ぶりぐらいに樋口さんの踊るところを見ましたが、ブランクを感じさせないのは身体が覚えているんだろうなと感心してしまいました。
そしてMONECCO5というアイドルのスタイルが、天草という土地のかわいい女の子を集めたというコンセプトで、つまり場所だけで人を集めていたからメンバーの個性がばらばらだったのがかえって良さになっていたというグループだったので、黒い衣装のRefiveにベージュのスカートの樋口さんが入ったステーションの統一感のなさが、逆にある意味、MONECCO5っぽいなと感じました。
2日目の2部は、Junior flavor熊本のユキさんも肥満のJOKER衣装を着て出演される、逆に統一感のあるステージ。冒頭から吉川りおさんが加わり、橘かえでさん、柊わかばさんの三人のステージは、ここ数か月のRefiveらしい、さすがの完成度でした。
今週でサポートメンバーを外れる吉川りおさん。やっぱり吉川さん、華があります。タレント活動もされているのでMCでのトークの切れもさすがだし、ヲタクを笑わせるポイントもよく把握されてるなと感心することしきりです。曲に入れば、一曲一曲、大事に曲に没頭して見せつけるステージング。ここには、かつて天草の至宝と呼ばれた凄まじいオーラにあふれていました。

今週で完全に活動終了されるのか、またどこかで踊ってくださるのかはわかりませんが、吉川りおさんをぼくはしっかりと目に焼き付けてました。素敵でした。

初日、Refiveに続いて登場したのが、ローズさんとこしまきさんの漫才コンビ「火の国おやこ丼」。
芸達者なローズさんが、東京で芸人をやっていた息子さんを巻き込んではじめた漫才コンビかと思いきや、去年のM1一次予選を通過した実力もあるコンビ。
ぼくはそのM1の予選を通過した「クリスマス」のネタ以来だったけど、新しいネタでもローズさんを知り尽くしているこしまきさんのツッコミが面白かったです。
伝統的に男女の漫才というのは夫婦漫才からスタートしてることもあり、島田洋之助・今喜多代や宮川大助・花子のような、しっかりものの奥さんがぼーっとした旦那を突っ込むというスタイルを見慣れているのが文化なので、暴走する熟女を若い男子が突っ込むというスタイルは新鮮でした。
ローズさんと同世代のぼくからしたら、年寄りに身体を張らせて若者が冷静にそれを見るんかい! と、もっと年寄りを労われ! と言いたくなるようなコンビなのがすごく好きです。
そしてそうやって激しく身体を張った漫才をしたローズさんだけがステージに残って、アラフォーアイドル輝け!プロジェクトの「All Together限界超えよ!」を披露。
なにげにヲタクってぼくも含めてアラフォー以上の人が多いから、ちょっぴり心に響く歌詞を、漫才の疲れも感じさせず歌い上げてくださいました。

次に登場したのはIaraさん。
なにげに熊本で見るのは久しぶりかもでした。
事前の主催者のツイッターで「実は大ベテラン」と煽られて、2部か3部では熊本アイドルの日本書紀的な曲もやったらしいですが、一部では、Iaraさん自身も尊敬してると公言してた宇城ありささんのイベントでよく見る感じのステージでした。
なにげにRefive劇場初登場だったのかな。
以前からIaraさんを見てた人にとっては、身長が伸びたことに驚いたり、あと人見知りというキャラがネタになっていたりと、熊本らしい緩い空気のステージと相性はいいなと思いました。
その緩い空気のフロアに「ねえなんでよ!」と歌いかけるギャップが面白かった。

そのIaraさんが「これまでずっと最年少だったのに、わたしより若い子が出てきた」とMCで言われていたのがJunior flavor 熊本。
初日はアヤカさん、ユキさん、ミサキさんの三人、二日目はユキさん、ミサキさんのふたりでした。
全国展開のflavorグループの「NO.1スター」「コイマチ」「catch my star」の王道の楽曲に、熊本らしい緩い空気が微妙にずれてて、そのずれが楽しかったです。
しかしJunior flavor 熊本、実はRefive劇場では主催の一周年イベントもRefive劇場ではやるぐらいおなじみのグループで、ぼくも何回か見てるけど、見るたびにうまくなっているのは若いからこその成長力を感じました。初日はアヤカさんがいたから妹ぽかったユキさんが、二日目には頼もしくお姉さんになっているのも感心しました。
二日目の二部には橘かえでさんも参加してのかえでとfloverでコラボもしてました。
こういうレアなコラボもうれしいかったです。

そして初日の一部トリは、熊本凱旋のpopo.さん。
福岡で活動していた元アイドルとしては伝説的な方ですが、その後はもっとコアな世界で活躍されてていわゆるアイドル枠のイベントにはあまり出演されない方なので約半年ぶりに拝見しましたが、いやはや、ストイックなダンスと歌はやはりというか当然にアイドル離れしていて、さすがでした。
男のぼくが「この人と喧嘩したら勝てないぞ」と本能的に感じてしまうほどの鍛えられた身体から繰り出されるダンス、安定感のある歌唱力、どれもが一級品でめちゃくちゃかっこよかったです。
そのくせ、MCではふわふわとかわいい感じで話されててアイドル力も健在。しかも、フロアをよく見てて会場の空気を取り込んだ絶品のMC。
時折、間奏でもトークを入れてくれましたが、そのしゃべりもステージに目を引き付ける釣り針のようにしっかりとフロアの心をつかんでいました。
前回福岡で見たときも「popo.見ただけでチケ代の元は取れた」とぼくは豪語してましたが、この日もpopo.さん見られただけで素敵なゴールデンウィークだったといえるほど、本当に見ることができてよかったと感じられました。
初日、二日目とがらりと印象の違うコスプレをされていて、そのヴィジュアルも表現者としての実力を見せてくれていました。

二日目の一部と二部に出演していたのが秘密のJOKER。
秘密のJOKERの枠では、Hirokyさんの歌の生徒さんのsakiさんがまずステージで歌って、そのあと秘密のJOKERが登場するという流れでした。
生徒さんのsakiさんは初ステージだったのか、初々しく緊張されていましたが、それでも時折フロアからHirokyさんや舞音さんが声をかけてステージが進んでました。
一部では緊張しながらも、基本的にやさしいアイドルファンに受け入れられて二曲を歌われて初々しいなあと感じていたら、二部では舞音さんがsakiさんの歌を聴いて号泣するほどの成長力を見せられていました。
普段からステージに立っているアイドルは慣れているからなかなか感じられないステージに立つことの大変さが伝わり、また本番でしか得られない成長の目撃者になれたことがちょっとお得な感じがしました。
秘密のJOKERはAIMIさんが欠席だったので4人になったとき、どんな印象なのかわからないけど、この三人で見ると、舞音さんとひよりさんの個性がHirokyさんとまともにぶつかっていて、ダンスもちゃんとやってて、すごくおもしろくなってるなと感じました。
特に二部の最後は「Shake it Take it」をやっていたけど、以前の女の子が一生懸命歌ってる印象からはがらりと変わって、あまり決め事のないダンスのこの曲でもしっかり舞音さんとひよりさんがダンスでも見せる楽曲にも仕上がっていて、グループに新たな魅力が生まれているなと感じました。


ひぜんりささんも初日は二部からの出演だったので、ぼくが見たのは二日目の一部と二部でした。
デビュー直後にMONECCO5主催の天草アイドルフェスタで500人を相手に堂々としたステージを見せたこともあり、いまさら言うまでもなくその実力はRefiveのファンも知るところ。
せっかく来たんだから、絶対楽しんでとフロアの隅々まで巻き込む圧巻のステージはさすがの一言でした。
一部と二部でも衣装を変え、とにかくアクセル全開。小さい身体だからこそ、そのパワーの勢いがすごくよく伝わりました。
常にステージングが安定していて、ひぜんりさワールドともいえる世界観も充実していて、いつもひぜんりさらしい唯一無二のステージを見せてくださるひぜんさんですが、特筆すべきは二部ではカバー曲をやってくれました。
これがめちゃくちゃうまかったです。
ぼくは佐賀県民なのになぜか佐賀ではなく、他県での外イベでのひぜんさんを見ることが多いので、カバー曲をやっているところは最近あまり見てなかったんですが、昔佐賀で「好き」って言ってと歌ってた頃から感じてたポテンシャルがさらに磨かれ、カバー曲でも高いレベルを見せつけるパフォーマンス力が、オリジナル曲を歌ういまのひぜんりささんの世界のベースになっているんだなと改めて感じました。

と、こんな感じで二日間、たっぷりアイドルを楽しませていただきました。
久しぶりに楽しすぎて、ぼくもこの二日間、特に二日目はかなりちょろいヲタクになってました。
なにがあったかというと、

1.初日ぼくは赤いシャツを着ていたのですが、物販で橘かえでさんに「ムックみたいで懐かしい。今度ムックを着てきて」と言われ、次の日、ムックの着ぐるみを着てしまう
2.popo.さんから「初日と違うから二日目も来た方がいいよ。二部からだけど」と言われて、二日目も一部で帰る予定が二部まで残ってしまう
3.物販中、久々に会うヲタクと会話に夢中になっていたらひぜんりささんから「今日、わたしのとこ来てないよね」と言われ、「はい」と笑顔になって行ってしまう

と釣られまくってました。

あと、どうでもいいですが、KIGFは「キグフォ」と読むんですかね?

もしそうならば、佐賀インターナショナルバルーンフェスタ組織委員会のSIBF(シブフォ)みたいでかっこいいなと思いました。どうでもいいですね。
とにかく、このままコロナ禍が消え、平和になって、こうやって楽しめる休日が当たり前に戻ってきてほしいです。

いやはや、何年振りかにこんなに楽しいゴールデンウィークを過ごせました。

みなさん、アイドルさんはもちろん、お会いしたヲタさん、運営さんスタッフさんもありがとうございました。

明日からぼくは仕事です。ううっ。

 


 

1992年「ファイヤーアンドアイス」でオリコンチャート1位を獲得し、日本でも王者の地位を不動のものにしていたイングヴェイ・マルムスティーン。当時中学三年生だったぼくはその空気に飲まれてファンだった。またイングヴェイも日本での人気を強く意識して日本のバンド、ラウドネスのヴォーカル、マイク・ヴェセーラ(余談だけどいまこの方、アニメタルUSAのVoですね)を迎えて、日本のリスナーを喜ばせてくれていた。そして、いまでもぼくらの世代のインギ―フリークの中では最高傑作と言われている「セブンスサイン」が94年に発売され、オリコン2位を獲得。この頃がぼくの周りではイングヴェイ・マルムスティーンのピークだったと思う。その翌年にそれこそアルバムタイトルから最高傑作を名乗っている「マグナムオーパス」が発売されたものの、「セブンスサイン」からのマンネリ感がぬぐえず、オリコンチャートも9位と当時としては微妙な評価だった。
ただ「マグナムオーパス」はぼくにとってはすごく思い出があって、なぜかというと単にこのアルバムの発売後のツアーが、福岡(といっても小倉の九州厚生年金会館)は土曜日だったのだ。発売日に買ったアルバムに同封されていたツアースケジュールに、福岡が土曜日と知って、ぼくは浮足だった。興行主のBEAからは何の発表もなかったのに、ウド―音楽事務所に電話でいつチケット発売なのか問い合わせたほど浮かれていた。当時のぼくは高校生。コンサートには何度か行ったことはあったけど、好きなアーティストのライブほど平日の夜とかで、立場的に行けないことが多かったのだ。それが土曜日ならば大手を振って行ける。しかも従兄の知り合いで何度かギターを見せてもらった人がすごくインギーが好きで、その人に連れて行ってもらえないか頼み、従兄と、さらにぼくの同級生まで一緒に連れて行ってもらえることになった。
行きの車中、もちろんカーステレオからはイングヴェイの曲が流れていたが、ぼくより4つ年上の運転席と助手席のお兄さんたちは、後部座席のぼくとぼくの同級生のふたりに「セブンスサインもいいアルバムだけど、本当の最高傑作はトリロジーだよ」と熱弁されていた。ただ、ぼくと同級生はカーステレオから流れる「トリロジー」などのイングヴェイの初期アルバムを聴きながら「そうなんですか」と口では言っていたものの、内心では「これはジェネレーションギャップ」だよなと四歳しか年齢が違わないけれど、そこに世代間の壁があるのを感じていた。

「セブンスサイン」がぼくの世代ではピークだったけど、従兄たちにとっては「トリロジー」がピークだった。それだけの話。
これは同じような体験をぼくは吉田拓郎でしていた。
89年の東京ドームでのライブをその一年後ぐらいにビデオで見て吉田拓郎のファンになったぼくだが、当時の雑誌や親世代のファンにとってはこのライブの評価は散々なものだった。最近DVDになったが、そこのアマゾンのレビューも芳しくない。
これは単純に新規のぼくは、その当時の拓郎が好きだったのだが、周りの人たちはいわゆるフォークのプリンスの頃の吉田拓郎が好きだったわけで、そのフォークのプリンス時代とその当時のギャップが許せなかったのだろう。
そして拓郎さんも悪いことに、ほとんどファンにこびてなかった。この東京ドームのライブ、ビデオは上下巻で11曲で実際のライブではそれ以上に曲が演奏されていたのだろうが、いわゆる70年代の曲は「春だったね」の一曲だけである。いまでもやってるのかわからないが、サザンオールスターズだってこの頃はアンコールの最後の曲には「勝手にシンドバッド」をやっていたし、井上陽水だって「傘がない」や「氷の世界」をライブで歌いまくっていた。それはそれでファンを喜ばせるサービスだったと思うのだが、拓郎に関してはそれはアーティストが自らの芸術性に大衆を介入させる媚と感じていたのか、80年代に「古い歌は歌わない」と言ってみたりして東京ドームのライブでも本当に一曲しかやらなかった。当時の雑誌には「選曲に失望して途中で席を立つ人も多かった」などとも書かれていた。
それらを見ながら、東京ドームのライブビデオでファンになった当時のぼくは、拓郎はこんなにいい音楽をやっているのに、過去の幻想にとらわれたおじさんたちに不当に評価されていると真面目に思っていた。
ただし、90年後半になるとぼく自身も拓郎さんの変わり身についていけなくなりだんだんと聴かなくなり、2000年以降はアルバムも買っていない。
そしていまになると思うのだ。ぼくの吉田拓郎のピークは1990年代だったなと。

と、ものすごーくながい前置きをして4月29日はRefiveのファンプロデュース公演に行ってきました。
劇場開設のクラウドファンディングの特典でのファンプロデュース公演。
しかもこのファンというのがただものではなく、熊本のアイドル界でかつて帝王と呼ばれていた萌え豚さん。もうこの時点で楽しみなのに、受付でいきなり度肝を抜かれます。
Refiveや前身のMONECCO5の生誕祭では、そのときの主役のメンバーが準備したお菓子を受付でファンが受け取るのが恒例になっています。
「お祝いに来てくれてありがとう」というメンバーの気持ちを受け取れる粋な計らいで大変うれしいものなのですが、この日はプロデューサーの萌え豚さんもそれをやってました。
しかも自作のメッセージカード付。

もうこれだけで楽しくなってしまうじゃないですか。

ライブはいつものRefiveのOvertureではなく、MONECCO5のOvertureでスタート。
マイクを通して会場に響くメンバーの円陣の掛け声もMONECCO5のものでした。
萌え豚さんはMONECCO5のお披露目から見に行かれている方です。
ぼくがたまにMONECCO5を見に行っても、ほとんど会場におられました。
むしろいらっしゃらないときは、会社の欠席のように、「どうして今日萌えさんがいないんだ」とヲタクたちがそのいない理由を詮索するほど、いつもいらっしゃいました。
その萌え豚さんがもう一度MONECCO5を見たい。
そう考えられるのも自然なことでしょう。
そしてその気持ちはMONECCO5のファンだったぼくにしても同じで、多くの人にとっても同じだったのでしょう。
ステージに現れたメンバーの衣装は、Refiveでも継続して着ることはあるけれど、やはりMONECCO5のイメージが強い、MONECCO5のオリコンチャート5位シングル「キミを待ってる」のジャケットでも着ているネクタイ衣装。
1曲目はMONECCO5の解散ライブでもOvertureのあとの一曲目で披露された「なんてんまんてん」でした。
もう、これだけでぼくは感動していました。
ステージに立っているメンバーは、橘かえでさんと柊わかばさん、それにサポートメンバーの吉川りおさんで、最近何度も見ているRefiveのメンバーでした。
でも、そこで歌っているのは、ぼくにとってはMONECCO5の3人でした。
そしてそんな錯覚を起こすほどの幸せな時間を提供してくださった萌え豚さんに感謝しかありませんでした。
二曲目はデビュー曲の「恋~気まぐれな夏」。「This summer」もありました。
圧巻だったのはMONECCO5の中西里緒さんのキラーチューン「僕達の唄」。5月8日でサポートメンバーを外れる吉川りおさんが見事に往年の輝きを爆発させていました。
そして先ほど言いましたが初の流通CDとして発売してオリコン5位にもなった「キミを待ってる」とアンコールはデビュー曲のカップリング「Firstlove@being」。
MONECCO5が好きだったファンには大満足な幸せな時間でした。
そしてその満足感は他のヲタクさんからも伝わりました。

ファンがプロデュースするからこそ、他のファンの人も見たいものが作れたライブだったんだなと感じました。

それをもう一度見せてくれたプロデューサーの萌え豚さんと演じてくれたRefiveは本当に、MONECCO5を熱心に見続けていたものにとっては素晴らしいものでした。

ただ、帰りの車の中でそんな幸せ感に浸っているとふと大きな不安にぶつかった。
奇しくもカーステレオから、イングヴェイの「セブンスサイン」が流れていた。
アイドルでも音楽でも本でもなんでもそうだが、好きになるのにはきっかけがある。
そしてその好きになったきっかけが生まれる瞬間には、対象物にはそのものを好きになるだけの魅力があふれている。だから好きになる。当たり前だ。
ただし、脱皮しない蛇は死ぬように常に作品は変化をし続ける。これも当たり前だ。進化の過程を見ても、最後に生き残るものは、もっとも頭が良いものでも、もっとも運動能力が高いものでもなく、変化に対応できるものだからだ。むしろ同じものを繰り返すだけでは成長は生まれない。
しかしだ。その変化によって、きっかけによって魅力的に映ったものから、個人的に感じている魅力が失われたとき、人は冷めてしまう。お兄さんたちがイングヴェイの「トリロジー」を最高傑作と思ったように、ぼくだって「セブンスサイン」が最高傑作と思っている。ぼくが「セブンスサイン」以降に出た曲より「セブンスサイン」が素晴らしいと思っているのと同じように、お兄さんたちは「セブンスサイン」よりも「トリロジー」が素晴らしいと譲らなかった。
冒頭の話に戻ろう。
小倉で初めて見たイングヴェイのライブ。Voの都合上「セブンスサイン」や「マグナムオーパス」の曲を中心に、見せ場では「トリロジー」や「オデッセイ」のかつての名曲も演じられ大興奮で本編が終わってのアンコール、突如ぼくの知らない曲が始まった。周りの人たちを見ると、これまでのどの曲よりも激しく盛り上がっている。ぼくはポカーンとしてると横にいた従兄が教えてくれた。「アルカトラスだ」。「トゥーヤング、トゥーダイ、トゥードランク、トゥーライブ」というちょっとマニアックな曲だった。
アルカトラスとは、イングヴェイがシーンに登場したときに在籍していたバンドである。日本でも人気のあったレインボーのグラハム・ボネットを中心に結成され、この当時は活動していなかったがイングヴェイの後にスティーヴ・ヴァイが参加したこともあって伝説のバンドだった。初期のイングヴェイのバンドでも、アンコールの最後の曲の見せ場としてアルカトラスの「ヒロシマモナムール」がよく演奏されていた。
ぼくはこのライブをきっかけにその従兄にイングヴェイ在籍時のアルバムを借りて聴いた。といっても二枚しかアルバムが出てなくて、そのうちの一枚のアルバムはライブアルバムだった。
ただ、このライブアルバムを聴いた時に、人間は失われたものこそ、その価値を追い求めるのではないだろうかと思った。
アルカトラスのライブアルバムのラストで、ファンもコールをしてめちゃくちゃ盛り上がっている曲はレインボーの「オールナイトロング」だったのだ。
ちなみにこの頃、ぼくがビデオで見たレインボーのライブのラストの曲はディープパープルの「スモークオンザウォーター」だった。ジョー・リン・ターナーがVOのときですね。
つまりディープパープルを脱退したリッチー・ブラックモアのバンド、レインボーのキラーチューンがディープパープル、そのレインボーを脱退したグラハム・ボネットのバンド、アルカトラスのキラーチューンがレインボー、そしてそのアルカトラスを脱退したイングヴェイのキラーチューンがアルカトラスなのだ。
変化を求めて環境を変えたのに、ファンは以前の姿を求める。そこで以前の姿をちらりと見せて、ファンを熱狂させる。これがすべて行われていたのだ。
ただし、そこには溺れない。このあと、ぼくは何度かイングヴェイのライブに行ったけど、この小倉以外でアルカトラスの曲を聴いたことはなかった。

そう考えると、今回の萌え豚さんのプロデュース公演は時期としてはぴったりだったと感じた。
なにより、レインボーの「スモークオンザウォーター」に感動するように、かつてのMONECCO5をほうふつとさせるステージが見られたことは最高だった。
そして、5月8日で吉川りおさんがサポートメンバーを外れ、GW中には研究生のお披露目もあるという。
萌え豚さんのおかげでMONECCO5が最高だったということをぼくは確認できた。
やっぱりMONECCO5の衣装でMONECCO5の曲をやられれば震える。
でも、これからぼくらをわくわくさせてくれるのはRefiveだ。
新メンバーも入って、今までと違う進化もきっと見せてくれるはず。
おそらく、そうなるにはMONECCO5が好きになったきっかけをたくさんの人に与えたように、Refiveを好きになるきっかけを生み出す瞬間を作り出すことが必要だろうが、MONECCO5のノウハウがあるのだから、アドバンテージは大きいだろう。
かつてのMONECCO5をもう一度感じさせてくれてひたすらに楽しい時間を与えてくださった萌え豚さんには感謝しかないが、それ以上に、今後のRefiveの進化も期待したいと思った。
うだうだ書いたが、結論から言うと、こんなに久々にいろんなことを考えるほど、この日のライブは刺激的だったのです。

 

 

 

12月30日は一年前も参加してがっつり楽しかった宇城ありささんの寒中山中忘年会に行ってきた。
ところでぼくはこの日は、まだ宇城ありささんに大きな勘違いをしていた。
おそらく、同じ勘違いをしている方もいらっしゃると思うのであえて書くけど、どこかで間違った情報がインプットされていたようで、ぼくは宇城ありささんはアイドルを卒業されたのだと勝手に思っていた。
まあ、もともとセルフプロデュースのアイドルだったので、たとえば普通のアイドルが大人の作った電源で動く自動人形だとしたら、宇城さんは自らのアイデアで人形を演じるタイプのアイドルだから、たとえアイドルを辞めてもシーンで活動して姿を見せてくれる限りぼくらを楽しませてくれるだろうとは思っていて、それはそれでいいだろうとは感じていた。
ただ、その宇城さんのキャラクターのひとつとして、ピンクの似合うカリスマ的なアイドル力というのも大きな魅力だったので、それがなくなるのは寂しいなとは思った。
とはいえ、2021年初めのくまフェス@JAMの予選ステージで、ラフにパーカーを着こなして歌う姿もかっこよかったから、それもありかななんて思っていた。

まあ、しかし、結論からいうと、アイドルだろうがアイドルでなかろうが、この寒中山中忘年会ではまったく関係なかった。
そもそも生きた鶏をさばいて食べるという発想が「狩猟栄養士アイドル」というまったく新しいものであり、もっといえばアイドルなんて言葉は関係なく、宇城ありささんしか提供できない宇城ありささんの世界なのだから。
遠くに八代の夜景の見える宇城市の山の中で、お酒を飲んで焚き火を囲む。
その中心には、ステージや配信で一年間ぼくらを楽しませてくれた宇城ありさ本人がいる。
そこで流れる時間は贅沢で、2021年最後の素晴らしい思い出だった。

明けて2022年の1月2日は新年最初の熊本ライブ。会場はおなじみのBarGringo。出演者も宇城ありささんに加え、おなじみのIaraさん、ローズさん。
入口でそのローズさんの実の息子で去年はローズさんと火の国おやこ丼でM1予選にも出ていたこしまきさんが、受付をしていたのでこれはあるかなと思っていたら、予想通りステージはまずこの火の国おやこ丼の漫才からスタート。
ネタはYoutubeでも配信されている「クリスマス」。Twitterや動画で見たことあるネタを、生で見れてよかったという嬉しさもあった上に、テレビの前説みたいに会場の雰囲気を暖めるということでお笑いというのは強いなと思った。
そしてその勢いのまま、こしまきさんがはけて、漫才を終えたばかりのローズさんが「アイドル芸人」というパワーワードの勢いで「All Together限界超えよ」を熱唱。つんくプロデュースでメジャーデビューしたアラフォーアイドルの曲で、その正式メンバーであるローズさん。言ってみればオリジナルなわけで、これはこれで価値があると言えないこともないかもしれないが、そんなことはともかく、漫才の勢いそのままに楽しくローズさんは暴れてくれていた。
黙っていてもちやほやされる若いアイドルとは違い、興味がない人でも引きずり込もうというパワフルさこそがアラフォーアイドルの力であり、それを力強く披露するローズさん。素晴らしかった。

ローズさんの次は、今度は若さが溢れるIaraさん。
出てくるや、Iaraさんはローズさんをステージに呼んで、去年の生誕祭でもやったコラボをやる。
そのあとは宇城ありささんともコラボをやっていた。
そしてラストは。
宇城ありささんをリスペクトし、その宇城ありささんのファミリーとして活動するローズさんや宇城さんとのコラボ。
Iaraさんにとって宇城さんやローズさんはある意味憧れでもあり目標であるのだなと感じたし、そんないまがありながらも、もともとは最後の熊本アイドルプロジェクトのアイドルというルーツを持っているIaraさんの深さを見せてくれた。
実はぼくは去年、何度か福岡でのソロと「世界は僕らを待っている」でのIaraさんを拝見した。福岡で黄色いサイリウムの中で歌うIaraさんはキラキラ輝いていて、それはそれでよかったけど、熊本でのIaraさんはずいぶんリラックスして、またアットホームなGringoの空間がそうさせているのかなとも感じ、心地よく歌ってくれた。

そしていよいよ宇城ありささんの登場。
まだこのときまではアイドル卒業したのかなと不勉強なぼくは思っていたけど、チョイスした着物は可愛さ爆発のピンク。曲もバリバリのアイドル沸き曲からのスタートで、ちょっと意外だった。けど、沸き曲だから楽しい。
そして、この曲を歌う宇城さんを見るのは初めてだった。だからこそ改めてうまいなあと舌を巻いた。着物なのに小さな身体を大きく動かし、安定した歌唱力に、アットホームな会場でひとりひとりにレスを送る丁寧さ。うまい。
久しぶりに「カナタ」も聴けた。
MCで「去年はアイドルを辞めようと思ったこともあった」という発言で、ぼくは宇城さんがアイドルを辞めてなかったことにいまさらながら気づき、そしてやっぱり宇城さんのアイドル力は凄まじいからこのままやり続けてほしいと感じた。
ラストの曲は「ハチドリ」。2021年の宇城ありさを象徴する曲で、世界最小の鳥が空を飛び立つように、身長142cmのアイドルが飛ぶような素敵な歌。
宇城ありささんは狩猟栄養士アイドルというコピーからすでにいろいろな要素が混ざりあっている人で、その要素の混ざりあいが唯一無二の存在となっている魅力的な方だと思う。
もちろんそのベースには宇城さん自身の人間的魅力が土台にあり、その土台をクリスマスツリーのように飾り付けるその様々な要素のシンフォニーが、アイドル宇城ありさを輝かせているんだと改めてぼくは感じた。本当に新年初めからいいアイドルが見られたと、ヲタクであるぼくは満足していた。

ライブ後は昨年と同じように演者さんとヲタク入り交じって初詣に行った。
贅沢な時間の忘年会で年末の思い出を作り、新年満足感溢れる楽しいステージに初詣。
今年も宇城ありさのおかげでいい年末年始を過ごせた。
宇城ありささんのイベントに参加すれば、普通のアイドルとはちょっと違う体験ができる。それは宇城ありささんが、素敵なアイデアを持っている人で、しかもそのアイデアを具現化できるセルフプロデュースだから。
それも宇城ありささんのひとつの魅力だよなあと再確認した年末年始だった。




昨日は熊本で「THE NEXT ONE革命」に行ってきた。

秘密のJOKER、バーミリオン、COLORLESSというちょっと変わった傾向の出演グループ。

しかも熊本ってことで、何か面白いことが見れるかなと期待していた。

 

まずはバーミリオン。

「THE NEXT ONE革命」、つまり次の時代ってことだが、バーミリオンに次の熊本はない。

15日に解散が発表され、解散が発表されてからの初めてのライブなのだ。

しかも次のライブは解散ライブというとてつもないタイミングでの初熊本だった。

そういうわけで、メンバーにとってもファンにとってもかなりむつかしいステージになるだろうと勝手に思っていたが、始まってしまうとこれが意外なほどよかった。

ぼくが初めてバーミリオンを見たのは去年の11月23日のシーモールで、そのときは三人組だった。福浦まりかさんが最年少だった。

その後春先に何度か見たが、そのときは二人組。それからまた三人になって、四人になったかと思うと、また三人になって、そしていまの四人になった。

ぼくが最初に見た時はグループ最年少だった福浦まりかさんが、その数か月後に最年長リーダーになったことでもわかるように、このグループはかなりメンバーチェンジが激しく、また今年の秋には所属事務所も変わるという変化もあった。

たしかに、脱皮しない蛇は死ぬように、変化は成長を生むという側面はある。

しかし、あまりにも変化が多すぎた。激動だった。

その激動に揉まれていたからこそ、グループのスタイルを熟成させることができなかったことはあると思う。

それがようやくいまのメンバーで3か月以上やっているからこそ、やっと形ができてきていて、思いのほか良いステージにつながったように感じた。

バーミリオンのスタイルの特徴は、ちょっとずれているところである。

たとえば「Rady rady go」の間奏。4月に一度フロアが声出し可能なライブを見たことあるけど、このとき、コロナ禍デビューのアイドルにありがちのほぼほぼ初めての声出し可能ライブということで、フロアにいたヲタクはその間奏で可変三連のミックスを入れようとした。ところがステージ上のバーミリオンは間奏が8小節を超えたところで「おーーー、はいっ」というコールを要求した。このコールの要求は昨日のステージでも見られた。つまり、BiSの「nerve」のアウトロの日本語ミックス+コールのような沸き方を要求したのである。これを見てぼくは面白いなあと思った。

「超絶悶絶バーミリ伝説」も、昨今のアイドル曲の中では異色の、ちょっと懐かしい感じがするかわいい曲。イントロからメンバーが両手を振り、祈るように膝をついて腕を上下させる振りも、独特でしかもなんだか懐かしい感じがする。サビの歌詞は「ぱっぱかっぱぱー」である。

これも面白いとぼくは思ったが、こういう面白いものというのは、ファンに広がるのに時間がかかるものである。

その時間が、メンバーの固定もままらない彼女たちにはこれまで少なすぎて、ようやくこの3か月で熟成されてきているように感じた。

だからこれからというところで、解散というのは残念に感じたが、なんとなくどのメンバーも前向きな表情をしているように見えたので、ステージも明るくすごくよく見えたんだと思った。

このまま解散するのはもったいない気は正直した。

 

なにげに初見だった秘密のJOKER。大津ひよりさんが入ってから見たことあったっけ? なんとなく熊本との相性がいいように感じていた元福岡、元名古屋、元東京アイドルの大長光舞音さんが、最終的な勝負の場所に選んだのが熊本だったのはそれでも驚きだった。

そして一曲目からこのふたりによってグループの印象が大きく変わったと感じた。

前身のグループではDJのHirokeyさんが表にガンガン出て、その後ろで歌う女性陣がやたらと歌がうまいという印象が強かったのだが、この大津さんと舞音さんがガンガン表に出て踊りまくる。ところどころ印象的なギターサウンドが入るようになったが、90’sのシンセサイザーの似合う王道のメロディラインは変わることなく心地よく、ここに大津さんと舞音さんのの激しいダンスと、そのふたりの相乗効果でAIMIさんのパフォーマンスも以前よりも強烈に派手なものになっていて、グループ名改称からの進化を感じた。

オリジナルのクリスマスソングが一曲あり、この曲ではステージ下の階段にHirokeyさんが座って歌うというちょっと前のこのグループならば熊本のヲタクが沸くような場面が用意されていたのだが、そのような演出もかき消すほど女性陣が輝いていた。

サウンドもそうだが、オリジナル曲「秘密のJOKER」のダンスも、うまくいわゆるアラフォー世代の心をくすぐるようなものが用意されていて、若いヲタクがガチ恋してわーわーさわぐようなアイドルではないけど、大人のヲタクが楽しむパフォーマンスのツボをピンポイントで狙い撃ちしているすごさがあった。

二部では前身グループの懐かしい曲も2曲ほどやってくれ、それはそれで秘密のJOKER楽曲ほどのダンスパフォーマンスはなかったものの、アラフォー世代は懐かしいもの大好きということで懐かしく楽しませてもらった。そういうところでのヲタクの気持ちを喜ばせるツボの押さえ方もうまいと思った。

 

二部のオープニングアクトに登場したのが、その秘密のJOKERのAIMIさんがヴォーカルを務め、Hirokeyさんがキーボードを弾いてアニメソングを歌う0ステーション。

こっちは完全に初見。

お祭り歌唱ユニット、つまりお祭りのイベントステージで子供たち向けにアニメソングを歌うというコンセプトがいいなと好感を持った。

個人的にはアニメソングにはあまり詳しくないけれど、アニメソングというのは歌う人の多いレッドオーシャンで、生半可な歌唱力ではオリジナルのファンからきつく叩かれる赤い海の世界。

ただ、AIMIさんの歌唱力はその赤い海でも十分に戦える見事なもので聴きごたえがあった。

声の出せない会場だったとはいえ、お祭り歌唱ユニットらしく、フロアに手拍子を催促をしてのせるところなど、随所にステージングのうまさも光っていた。

 

そして一部、二部ともにトリはCOLORLESS。ぼくは今年の4月に見て以来の8か月ぶりだった。

ライブ直前のラジオの収録で「今年の活動に点数をつけるとしたら何点?」という質問に「100点」と答えていたが、いやはやすごかった。

惜しくも2位で涙をのんだTIF九州予選の決勝で披露された「パズル」「鬼渡し」をはじめ、楽曲、メンバーのパフォーマンスともに素晴らしいの一言。

ただ、そこまで圧倒的なパフォーマンスを見せながらもMCでは等身大の女の子。普通の女の子がマイクを持ってステージに立てば、ヲタクたちが舌を巻く圧倒的なパフォーマンスをするって本当にいいなと感じた。

遠方から来ていたCOLORLESSを初めて見たヲタさんも「すごいですねー」と何度も繰り返し、横にいた熊本のヲタクも「すげえすげえ」とはしゃいでいた。

ぼく自身も8か月ぶりに見て、凄みを増していることに圧倒されていた。

素晴らしいステージを間近で見られて感謝しかなかった。

 

以上、振り返ってみるとまさに次のシーンに革命を予感させるわくわくのあるイベントだった。

バーミリオンは解散してしまうが、それぞれのメンバーの前向きな気持ちをステージから感じる限り、もしかしたらまたシーンにバーミリオン時代を糧に戻ってくる子もいるかもしれないし、またアイドルを育てる環境が、このグループがあったことでもっと恵まれたものになるかもしれない。

秘密のJOKERは存在自体が革命的インパクトで、このグループが何か新しいものを生み出すたびに歴史を残すかもしれない。

すでにTIF九州予選であと一歩のところまで上り詰めた存在感を示しているCOLORLESSは、おそらく三度目の正直で来年のTIF九州予選に出れば本命視されるだろうし、来年はシーンの中心に君臨するグループになると感じている。

昨日は、その息吹をたっぷり感じることのできた贅沢なイベントだった。