非結核性抗酸菌症を考える -2ページ目

非結核性抗酸菌症を考える

あっころと申します
2018年5月の健康診断で肺の結節影を指摘されました。
現在、非結核性抗酸菌症疑いで経過観察中です。
今後の治療や今できる健康対策など書いていきます。

抗酸菌症の疑いと言われた時、いろいろネットで調べましたが

今後どうなっていくのか?すぐ死んじゃうの?

ってすごく不安になりました。

 

そんな時勇気をもらえたのが患者さんのブログです。

特に良い情報もネガティブ情報もしっかり発信してくれる

ひろりんさんのブログはとても参考になったし

(特にクラリスロマイシンの耐性問題)

希望が持てました。(ありがとうございます)

 

そらりすさんのブログも参考になります。

かなり進行されていて厳しい現状の中にも

ペーソスとユーモアあふれる読ませるブログになっています。

現実のノウハウとしても参考になるので

ぜひ最初から読んでみられるといいです。

 

たとえばこの病気だと風邪なのかマックなのか解らなくなると良く聞きますが

https://hikekkakusei.hatenablog.com/entry/2018/11/04/130223

「咳・鼻水・咽頭痛を同時に訴える患者さんは“風邪”である」

風邪の本体はウイルス。ウイルス感染の場合、複数の臓器に症状を起こすそうです。

咳は気管支より下の部分、鼻水は鼻、咽頭痛は喉に炎症を起こす。

三か所に炎症が起きるわけか、なるほど。

昨今のコロナウイルスに罹ったかどうかということも

こういうことを知っておくと対処しやすくなりますね。

 

気管支拡張に対する去痰剤の使い方

https://hikekkakusei.hatenablog.com/entry/2018/11/06/154444

 

また抗生物質と一緒に出される胃薬や整腸剤の副作用などの話も

ためになります。

https://hikekkakusei.hatenablog.com/entry/2018/11/19/124408

 

医者は基本データベースなのでデータに反映されない症状について

咳の程度。頻度、はげしさ、

熱のこと。何度くらい、

どの程度の頻度で出ているか痰の色、量、

息切れの程度、体重の増減

これらをしつこく言わないと伝わらない。

 

などなど体験してきたからこそ解るリアルがあります。

 

病気になった後どういった戦略を立てるか決めるのは、

主治医と自分です。

 

完治が認められない病気なので自分がどういう生き方をしたいかで、

薬や手術のタイミングも変わります。

末期の辛さを先延ばしにするか

3剤の薬害の辛さのどちらを選択するか決めるのも自分、

(ただ3剤の副作用は病院の選択で克服できることもあり)

 

抗酸菌症の種類、年齢、病気の範囲、進行速度、

ガフキーの濃度、その他持病、血液検査の状況、

自分のステージを正しく判断する必要があります。

 

選ぶ治療は最終的に自分で責任を持たないといけないので、

 

エビデンスのある治療なのか、

エビデンスは無いと承知して代替療法として選ぶものなのかなど、

よくよく考えないといけないなと思ってます。

 

 

全然詳しくない素人なんですが、

私なりに漢方薬ってなにかと考えると

身体のバランスをとることだと思います。

突出した部分があればそこを鎮め、

足りない部分は補い程よい状態に保つということなのかなと。

 

バランスは人それぞれ違いますから、

漢方処方はオーダーメイドになるのが自然です。

から簡単にこの漢方が良いよって話してはいけないんです。

 

薬害は漢方でもしっかりあります。

特に良く処方される甘草は血圧をあげたり、カリウムが低くなったりする

「偽アルドステン症」という副作用があります。

(megumiさんご指摘ありがとうございます)

小柴胡湯(しょうさいことう)の副作用として間質性肺炎もあります。

また麻黄,附子も心臓系がよわい方は注意が必要な処方です。

そこを踏まえたうえで、医師の診断のもと飲むのがまず大事ですね。

 

ただリスクと利益を秤にかけて薬効を考えて

漢方薬の免疫抑制がかからない比較的穏やかな薬効と

比較的穏やかな薬害を考えると

長期的に服用するリスクが少ない薬剤と

考えられます。

 

https://www.kekkaku.gr.jp/pub/vol92%282017%29/vol92no10p603-612.pdf

 

『換言すれば,宿主免疫系の過度な活性化に起因 した

免疫抑制が起こらない程度のマイルドな細胞性免疫 系の持続的な 

up-regulationを可能にするような薬剤が有 望であるということである。』

 

どういうことかというと、

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200310-01941432-bloom_st-bus_all

『ここに新型肺炎で重症化するのは比較的深刻な新型コロナ感染のケースでは、

体の免疫反応があまりにも強すぎて、

ウイルスに侵入された細胞だけではなく健康な組織も破壊してしまうことがある。

その結果、肺が二次的な細菌感染に対し脆弱(ぜいじゃく)になるという。』

 

マックでも細菌が侵入したときサイトカインが働いてやっつけるのですが、

その力が強すぎると身体が普通の状態に戻そうとサイトカインを抑えてしまって、

感染防御が中途半端になってしまう。

そういう過敏反応を抑える力が麻黄附子細辛湯とヨクイニンにマウスの検査で認められた。

弱いながらもある程 度の免疫補助剤としての薬効を示しているものと考えら れる。

マウスでの結果なので人では未知数ですが、

とりあえず麻黄附子細辛湯は弱った爺様に長期に処方する風邪薬でもあるので、

虚証(体力なく無理がきかないひと)の人には合った薬になります。

 

またヨクイニンはそもそもハト麦の実で食べ物なのであまり副作用がありません。

ついでにhttps://www.cosme.net/product/product_id/315118/top

アットコスメでも美容効果に好感触でお肌のために飲むだけでも良いかもです。

安いしね~

3月6日に非結核性抗酸菌症の経過観察に大学病院に行ってきました。

その1週間前にCT撮影とこの時期の病院はどうかなと思いましたが、

肺が真っ白だったらコロナかもしれないので大丈夫かどうか検査をかねて

行くことにしました。

 

前回のレントゲン撮影では結節影の部分が濃くなっていて、悪化が疑われて

いたので覚悟していたのですが、CT映像では昨年と全く変わりない状態でした。

経過観察が2018年6月からなのでほぼ2年が経過しましたが、

初回CTから見ると少し良くなっている状況なので、まあ落ち着いている

という判断なようで、次回からは半年ごとの検査になりました。

 

http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/002030182j.pdf

以前も紹介しましたが、軽度の(空洞気管支拡張なしの症例)

非結核性抗酸菌症の経過観察を見ると

 

『診断時と比 較した「悪化」例は 5 年後から増加し,8~10 年後には 66%となった.

治療された症例では,治療後 1~2 年経過時には「軽度改善」「改善」例が 55%あったが,

以後経年的に減少し,「悪化」例が多くなっていた.』

 

とのことで3年後の悪化は18例中1例(6パーセント)だそうで、

5年くらい観察(悪化率30パーセント)していかないと状況ははっきりしない

のかなと思います。ただ時間を味方につければそのうちに完治薬の恩恵に

預かれるかもしれません。

 

投薬前の自己管理として

栄養管理(私の場合血糖値が高めなので炭水化物のドカ食いをさける)

運動と買い物で(ポケモンgoで1日8000歩くらい)

睡眠

 

https://www.kekkaku.gr.jp/pub/vol92%282017%29/vol92no10p603-612.pdf

あと精神衛生上なんかやっている感がある(笑)漢方をずっと飲んでいます。

選んだ漢方は、「補中益気湯」これは補薬として体力を保つために、

「麻黄附子細辛湯」「ヨクイニン」これらは免疫補助剤を期待して

医師の処方箋ではない市販薬の容量通りで処方量は多くは無いと思いますが

これらを1年以上ずっと飲んでいます。

とにかく体力を下げない工夫と、お気楽な暮らしを心がけるのが良いかと。

 

今回、ちょっと難しいんですけどNTMの治療に

抗菌薬以外に免疫機能を調節する薬が今後考えられるかもしれない。

という話題です。

 

https://isegaoka-naika-clinic.com/archives/1405

伊勢丘内科クリニックの先生が

2019年4月の呼吸器学会の聴講内容をまとめてくださっています。

非結核性抗酸菌症の話題は最後のほうにありますので、スクロールして

探して読んでくださいね。お話は慶應義塾大病院の長谷川直樹先生です。

 

この中で目を引いた項目ですが、

NTM感染症は肺だけではない。

リンパ節、骨、関節、播種性感染症(HIV,抗INFγ自己抗体)

皮膚、軟部組織にも認める。

特に抗INFγ自己抗体が原因で後天的に播種性感染症を起こすのが

トピックである。と書かれています。

 

「抗INFγ自己抗体が原因で後天的に播種性感染症を起こす」

とはどういうことかソースを調べてみました。

https://www.kekkaku.gr.jp/pub/vol90(2015)/vol90no6p561-564.pdf

 

「生体内に侵入した抗酸菌が組織マクロファージなどに 貪食されると

,Interleukin-12(IL-12)が分泌されTリン パ球を刺激する。

刺激をうけたTリンパ球はInterferonγ(IFN-γ)を分泌し貪食細胞を活性化させ菌体の排除 を行う。

このIFN-γ_ IL-12軸は抗酸菌をはじめとする細 胞内寄生菌に対する生体防御において

非常に重要な位置 を占めている。

これらのサイトカイン,あるいはそのレセプターの完全・部分欠損は

抗酸菌感染症における先天 的な宿主要因であり,

幼少期より重症サルモネラ感染症 や播種性抗酸菌感染症を繰り返す

メンデル遺伝型マイコ バクテリア易感染症

(Mendelian susceptibility to mycobacterial disease: MSMD)として知られている。」

 

つまりばい菌が侵入すると、マクロファージ警備員さんがこらこらとばい菌を追っ払う

ついでにセコムに連絡しておまわりさんを呼んでくれるんですが、この仕組みのどこかに

不備があると感染症を繰り返す病気になっちゃうよと言うお話し。

 

「IFN-γ_IL-12軸が抗酸菌防御に重 要な役割をヒトにおいて果たしていることが

明らかにな っているが,近年になり背景に既知の免疫不全が存在し ない

播種性NTM症例から広く抗IFN-γ中和自己抗体 (IFN-γAb)が検出されることが報告され,

新たな播種 性NTM症に対する宿主要因として注目を集めている。」

 

播種性のNTM患者から免疫機能の仕組みに不備はなかったのに、

勝手に働かなくなっちゃう(抵抗性)部署が出来ちゃていることが注目されている。

つまりNTMは感染症なんですが後天性の免疫不全を起こす

リウマチなんかと同じように自己免疫の病気という側面もあるのです。

 

今までNTM患者には抗菌薬での治療が行われていましたが、

ちっともこの治療が効かない患者で体内の免疫の警備活動が不適切な患者

(抗IFN-γ中和抗体が存在)に

抗CD20モノクロ ーナル抗体であるRituximab(白血病などの治療薬)を

用いたB細胞を標的とし た治療が効果を上げることが報告されている。

 

今後の研究次第で、NTMに対して抗菌薬以外に免疫の欠陥部分を標的とした

免疫の薬が使用される可能性もあるとのことです。

個人によって免疫機能の不備はそれぞれで、その差が病状の差に

つながっているかもしれません。

活動しすぎは鎮め、不活動は活発に。免疫をいじるのは大変そうですが

上手にコントロールできれば、患者の選択肢が増えますね。

https://www.facebook.com/NTMhikekkakusei.jp/

 

アメリカの最新情報を知らせてくださる

Toshieさんのフェイスブックからの情報です。

 

https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02968212?cond=Nontuberculous+Mycobacterium+Infection&cntry=US&draw=6

クロファジミンは古くからあるハンセン病(らい病)の治療薬です。

米国の薬局では利用できなくなった希少な抗生物質です。

ハンセン病の治療薬でしたがNTMに対して適応外使用されていました。

それを今回きちんと臨床効果と安全性を評価することになったということです。

 

今、治験の2段階です。有効性が認められれば

NTMに使える薬が一つ増えることになります。

 

特効薬のない現在、少ないカードで患者は戦わなければなりません。

抗菌剤を使い続ければ耐性菌が出てそうすればその薬は

使えなくなります。だから長期に抗菌剤を使用する患者にとって

少しでも効果がある抗菌剤はとても大切なものになります。