梅田望夫氏飯吉透氏共著「ウェブで学ぶ」を読みました。梅田さんのサバティカル明けの著書ということで非常に楽しみにしていました、最初はやや専門的な内容でとっつきにくかったですが、「ウェブで学ぶことの真っ最中」である私にとっても、非常に身近で参考になる内容でした。
印象に残っている点を、以下引用します。
1.ウェブと能動性
ウェブの本質、「ウェブと能動性」ということに関わる。誰からも強制されない、だけど知的好奇心に基づいてどんどん行く人はものすごく幸せな人で、対象が自分とシンクロしてどこまでも行ける。そういう人をサポートする道具として、ウェブはものすごい能力を発揮する。ウェブが特殊なのは、学習者が行動し自ら働きかけないと、何も答えてくれないという点である。スティーブ・ジョブズの有名な言葉がある。「テレビを見る時はみんな頭をOFFにしたい。コンピューターをつける時は、みんな頭をONにしたい。」自分の意思でウェブ上を動きまわってはじめて、必要な情報を見つけたり、学んだりすることが出来る。
2.学びと職
オバマ大統領が、就任直後の議会演説で教育について話した時、彼が非常にプラクティカルで強いメッセージを発信していて、なるほどと思いました。これからの時代、子供たちが生きるということは、すなわち、グローバル化する経済の中で職を求めて競争する、ということなのだ。教育はそのためにある。良い教育というのは、もはや機会を得るための道筋ではなくて絶対に必要な前提条件なのだという言い方であった。今後ますますグローバル化が進む世界で、人々は職を求めて競争する。その競争はますます熾烈になるが、そこを勝ち抜く武器は知識だ、その知識を身につけるためには良い教育が不可欠、という明確な論理が貫かれていた。
21世紀は間違いなく新興国、途上国における高等教育への需要が爆発的に伸びて行く時代だと思う。その爆発的需要に対して、物理的なリアルの大学をこれまでのように順次建設していくのでは、供給が全然追いつかない。そこでオープンエデュケーションの出番となる。オープン・エデュケーションの21世紀的価値、役割はここに収斂していくのではないか。
3.一番大切なことは学び続けること
いま私たちは多かれ少なかれ、世界がものすごいスピードで変化していっている現実の前で戸惑っている、というところがあると思う。「こうすればすべての問題が解決する」という処方箋など存在しない中で一番大切なことは「未来は予測不能」という前提に立って、一人ひとりが、少しでも可能性があると思える方向に向かって行動し、思考錯誤を繰り返していくしかないのだと思う。そしてそのプロセスにおいて一番大切なことが「学ぶ」ことだ。ある時点でもう「学ぶ」ことはおしまいと考えてしまうと、自らの可能性空間をぐっと狭めてしまうことになる。オープンエデュケーションは、世界中の全ての人たちに「ウェブで学ぶ」素晴らしい機会を提供することで、私たち一人ひとりの可能性を押し広げる役割を果たすものへ発展して欲しい。
引用を終わります。
私は今年1月から日本に住み仕事をしながら、ウェブで豪州大学院でMBAを学んでいます。ウェブが無ければ絶対に出来ない「学び」です。ウェブが出来る前はMBAといえば、米国を中心に企業派遣されて行く、もしくはよほど財力がある人は自費で行くしか方法がありませんでした、しかも、年齢は30歳前後でそれを逃すと一生挑戦することは出来ません。しかし、ウェブが環境を変えてくれました。また、2002年に私自身に大きなスキルと思考行動の変化をもたらしてくれたのも「問題解決必須スキルコース」というウェブでの学びでした。
なので、私自身「ウェブで学ぶ」ことの恩恵を最大限に受けている一人であると思います。別に私自身が立派でもなんでもありません。「E-Learning」という「怪しいもの」にチャレンジし、自分自身にとってその効果を実感し、行動を続けただけです。そして、その根底にあったのは「学び続けないと生き残ることが出来ない」という危機感です。それは今でも変わりません。グローバルな競争の中で生き残ることが出来ないという危機感を自分自身に向け、行動を続けているだけです。
私自身「ウェブで学ぶこと」の意義は3つあると実感しています。
1.いつでも、どこでも学ぶことが出来ること
ウェブにアクセスさえすれば、早朝でも、深夜でも、自宅でも喫茶店でも学ぶことが出来ます。また、ギガビート、IPOD等を使えば電車の中でも、歩きながらでも学ぶことが出来ます。これは忙しい21世紀のビジネスパーソンに大きな可能性が開かれたと言えます。
2.リアルでは学べない人に学ぶことが出来ること
著名な先生、経営者から直接学ぶというのは一般の人には不可能でした。また、日本に住んでいながら、海外に住んでいる人から教わるのも不可能でした。しかり、それはリアルの話しで、ウェブでは可能となりました。
3.通常のウェブからだけでも学ぶことが出来る
私はE-Learningを実際に受けています。しかし、別に費用をかけてE-Learningを受けなくても、ウェブで学ぶことが出来ます。本で紹介されているOCW等で授業を見ることも出来るのです。
私の実感は若干表現に乏しいですが、今まで、そしてこれからも「ウェブで学ぶ」ことを日記に書き続けますので、そこで価値を感じて頂けましたら幸いです。
「ウェブで学ぶ」は21世紀のビジネスパーソンに必読の一冊です。