==================
コンプレックス①
■はじめに■
【1】コンプレックスとは何か
■1■コンプレックスとは
■2■主体性
■3■コンプレックスの種類
■4■自我
■5■劣等感コンプレックス
■6■心の相補性
■7■自己
■8■言語連想検査
■1■コンプレックスとは
■2■主体性
■3■コンプレックスの種類
■4■自我
■5■劣等感コンプレックス
■6■心の相補性
■7■自己
■8■言語連想検査
【2】自我とコンプレックスとの関係
■1■自我がコンプレックスを認識せず影響も受けてない
■2■自我がコンプレックスを認識し影響を受けている
■3■自我とコンプレックスが完全に分離し主体性が交代する
■4■自我とコンプレックスに望ましい関係がある
■5■心理治療の従事者
→リンク:コンプレックス③ ページへ
【3】コンプレックスの解消と自己実現
■1■死の体験
■2■儀式の意味
■3■夢とコンプレックス
■4■コンプレックスと元型
■5■自己実現の過程
→リンク:コンプレックス④ ページへ
【4】文化人類学とコンプレックス
■1■男性像と女性像
■2■文化差の問題
■3■心理学研究者とコンプレックス
■参考文献■(目次)
==================
先々月、私が未購読の河合隼雄著「ユング心理学入門」の内容が紹介されたブログを見つけ、そこで「言語連想法」をセルフで行なえるシステムが公開されてました(゚Д゚)
心の無意識層にある「コンプレックス」を観察するための心理検査を、1人でも行えるようつくられたものです。(大変感謝です!)
■1■自我がコンプレックスを認識せず影響も受けてない
■2■自我がコンプレックスを認識し影響を受けている
■3■自我とコンプレックスが完全に分離し主体性が交代する
■4■自我とコンプレックスに望ましい関係がある
■5■心理治療の従事者
→リンク:コンプレックス③ ページへ
【3】コンプレックスの解消と自己実現
■1■死の体験
■2■儀式の意味
■3■夢とコンプレックス
■4■コンプレックスと元型
■5■自己実現の過程
→リンク:コンプレックス④ ページへ
【4】文化人類学とコンプレックス
■1■男性像と女性像
■2■文化差の問題
■3■心理学研究者とコンプレックス
■参考文献■(目次)
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■はじめに■
私はここ数年、河合隼雄さんの本を多く読んできました。最近は、夢分析、深層心理、死生学などを学ばせていただきました。先々月、私が未購読の河合隼雄著「ユング心理学入門」の内容が紹介されたブログを見つけ、そこで「言語連想法」をセルフで行なえるシステムが公開されてました(゚Д゚)
心の無意識層にある「コンプレックス」を観察するための心理検査を、1人でも行えるようつくられたものです。(大変感謝です!)
↓
〈説明内容〉
https://www.kyamaneko.com/entry/2016/04/23/140513
・・・
★連想では、様々なことが心に浮かんだり、思い出されます。心理的に大きな悩みを抱えてる方は、利用の際はご注意ください。その他、向き不向きもあります。
私は近年、自身の深層心理に関心があり、早速、100語版の方をやってみました。
→コンプレックスとの関連が強そうな刺激語26個、疑わしい刺激語18個。そのうちの8個について、頭に浮かぶものを思うままに文章化してみました。
・・・
★連想では、様々なことが心に浮かんだり、思い出されます。心理的に大きな悩みを抱えてる方は、利用の際はご注意ください。その他、向き不向きもあります。
私は近年、自身の深層心理に関心があり、早速、100語版の方をやってみました。
→コンプレックスとの関連が強そうな刺激語26個、疑わしい刺激語18個。そのうちの8個について、頭に浮かぶものを思うままに文章化してみました。
・・・
今までに自分が演じてきた役割、周囲に任せていた役割について考えたり。頭の中でグルグルしてたものが、胆にスーッと落ちるような感覚を覚えたり。
しかし、色々と気になることが出てきたため、こちらを読んでみました!
今までに自分が演じてきた役割、周囲に任せていた役割について考えたり。頭の中でグルグルしてたものが、胆にスーッと落ちるような感覚を覚えたり。
しかし、色々と気になることが出てきたため、こちらを読んでみました!
・・・
河合隼雄著『コンプレックス』
第1刷発行:1971/12/20
第66刷発行:2019/7/5
これまでに読んだ心理関連の本の中で、最も学びを得た内容でした!
本の紹介も兼ねて、個人的にまとめたノートを基に、コンプレックスについて書いてみます(^.^)
本は読みやすく書かれてるので、よかったら読んでみてください。
<ご注意>
・字数を抑えるため、箇条書きを多用しています
・心理はボンヤリとしたものですので、可能性としてお考えください
・他者のことよりも、まずは自分自身のことについて考えてみてください
==================
【1】コンプレックスとは何か
■1■コンプレックスとは
■2■主体性
■3■コンプレックスの種類
■4■自我
■5■劣等感コンプレックス
■6■心の相補性
■7■自己
■8■言語連想検査
==================
【1】コンプレックスとは何か
■1■コンプレックスとは
★日常的に用いられるが、その意義を理解している人は少ない
★自己実現の過程で必要不可欠なもの
▼ユング(スイスの精神科医)
・「コンプレックス」という言葉を初めて心理学に導入した
◎コンプレックスとは
・広義では、一種の劣等性を示すものだが、劣等性のみを意味するものではない
・恐らくは
→障害となるもの
→偉大な努力を刺激するもの
→新しい仕事を遂行する可能性の糸口
・下記のものが存在することを意味するのみである
①何か両立しがたい葛藤を起こすもの
②未だ同化(完全に自分のものに)されていないもの
・心的生命の焦点であり、結節点である
→これ無くしては、心の活動は静止してしまうだろう
▼河合隼雄
◎コンプレックスによってなされた行為
・それを明らかにして、物事の価値を低く見る、全てが解ったつもりになる
・上記のような考え方を知って激怒する
↑
★その物事の価値に対し、安定した確信を持てないからではないだろうか
・行為自体の善悪や価値と、コンプレックスとは無関係である
◎コンプレックスとは
・心的複合体
・感情によって色付けられた複合体
・感情によって固められたもの
・複雑なものであり、単純に把握したり、解消したりし難いもの
・ドロドロしたもの
・葛藤を引き起こし、自我(私)の主体性をおびやかすもの
・自我が一面的な成長をしている時、無意識内に形成されるもの
・自我の一面性を補償するもの
・「もう1人の私」たり得る可能性を持っているもの
・その背景で元型(生命力)とつながるもの
◎コンプレックスを形づくる強い感情
・劣等感、優越感、怒り、後悔、不安、絶望感、嫌悪感、羨望、嫉妬、愛着など
■2■主体性
★我々の主体性は、本人が思っているよりも弱い
・自分の意志とは異なる行動を取ってしまうことに、悩む人も多い
→我々の行動は、コンプレックスの影響を多く受けている
→コンプレックスの実態を把握していないことで、悩む人が多い
★コンプレックスは「主体性をおびやかすもの」として働く
<例>
○日常場面
・言い間違い:大切なところで言い間違える
・忘却:本人の前で突然名前を忘れてしまう
など
○ヒステリー
・自分の意志に反して、身体の機能が停止する
身体的に異常はないが、眼が見えなくなる、耳が聞こえなくなる等
○対人恐怖症
・自我とコンプレックスとの妥協の産物、と言える
○夢
・我々自身の心の現象であるが、自分の意志のままに夢を見ることはできない
○言語連想検査
・主体性をおびやかす特性を応用し、コンプレックスを捉える心理検査
■3■コンプレックスの種類
▼河合隼雄著「コンプレックス」に登場したもの
◎固有名詞を冠したもの
・盗人コンプレックス
・料理コンプレックス
・劣等感コンプレックス
・異性コンプレックス
・内向コンプレックス
・外向コンプレックス
・自立コンプレックス
・独占コンプレックス
・母親コンプレックス
・父親コンプレックス
・同一コンプレックス
・男性コンプレックス
・女性コンプレックス
・お金コンプレックス
◎人名を冠したもの(神話などの登場人物)
・カイン・コンプレックス
・エディプス・コンプレックス
・エレクトラ・コンプレックス
・メサイヤ・コンプレックス
・プロメテウス・コンプレックス
・ディアナ・コンプレックス
*人名の使用について
・一個の人間を理解し尽くすことは不可能
→コンプレックスも理解し尽くすことが不可能
・コンプレックスの人格化
→対話相手としてイメージすることで、理解を深められる
→人は無意識に、他者の中に、夢の中に、自身のコンプレックスを見ている
*ボンヤリとしたものに名前をつけることで、対象を限定し理解を深められる
■4■自我
★コンプレックスを理解する上で「自我」の理解が重要
▼自我とは
・「私」として意識されているもの
・経験の主体であり、意識内容の統合の中心をなすもの
▼自我の機能
◎意思決定
★非常に大きな力
→「自我」という自らの存在を否定することも出来る
◎思考機能
→合理的、論理的に思考を推し進めてゆく
→自我の体系が次第に強固となり、安定してゆく
◎運動機能の支配
⇔コンプレックスは、直接には、運動機能とは結びついていない
河合隼雄著『コンプレックス』
第1刷発行:1971/12/20
第66刷発行:2019/7/5
これまでに読んだ心理関連の本の中で、最も学びを得た内容でした!
本の紹介も兼ねて、個人的にまとめたノートを基に、コンプレックスについて書いてみます(^.^)
本は読みやすく書かれてるので、よかったら読んでみてください。
<ご注意>
・字数を抑えるため、箇条書きを多用しています
・心理はボンヤリとしたものですので、可能性としてお考えください
・他者のことよりも、まずは自分自身のことについて考えてみてください
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【1】コンプレックスとは何か
■1■コンプレックスとは
■2■主体性
■3■コンプレックスの種類
■4■自我
■5■劣等感コンプレックス
■6■心の相補性
■7■自己
■8■言語連想検査
==================
【1】コンプレックスとは何か
■1■コンプレックスとは
★日常的に用いられるが、その意義を理解している人は少ない
★自己実現の過程で必要不可欠なもの
▼ユング(スイスの精神科医)
・「コンプレックス」という言葉を初めて心理学に導入した
◎コンプレックスとは
・広義では、一種の劣等性を示すものだが、劣等性のみを意味するものではない
・恐らくは
→障害となるもの
→偉大な努力を刺激するもの
→新しい仕事を遂行する可能性の糸口
・下記のものが存在することを意味するのみである
①何か両立しがたい葛藤を起こすもの
②未だ同化(完全に自分のものに)されていないもの
・心的生命の焦点であり、結節点である
→これ無くしては、心の活動は静止してしまうだろう
▼河合隼雄
◎コンプレックスによってなされた行為
・それを明らかにして、物事の価値を低く見る、全てが解ったつもりになる
・上記のような考え方を知って激怒する
↑
★その物事の価値に対し、安定した確信を持てないからではないだろうか
・行為自体の善悪や価値と、コンプレックスとは無関係である
◎コンプレックスとは
・心的複合体
・感情によって色付けられた複合体
・感情によって固められたもの
・複雑なものであり、単純に把握したり、解消したりし難いもの
・ドロドロしたもの
・葛藤を引き起こし、自我(私)の主体性をおびやかすもの
・自我が一面的な成長をしている時、無意識内に形成されるもの
・自我の一面性を補償するもの
・「もう1人の私」たり得る可能性を持っているもの
・その背景で元型(生命力)とつながるもの
◎コンプレックスを形づくる強い感情
・劣等感、優越感、怒り、後悔、不安、絶望感、嫌悪感、羨望、嫉妬、愛着など
■2■主体性
★我々の主体性は、本人が思っているよりも弱い
・自分の意志とは異なる行動を取ってしまうことに、悩む人も多い
→我々の行動は、コンプレックスの影響を多く受けている
→コンプレックスの実態を把握していないことで、悩む人が多い
★コンプレックスは「主体性をおびやかすもの」として働く
<例>
○日常場面
・言い間違い:大切なところで言い間違える
・忘却:本人の前で突然名前を忘れてしまう
など
○ヒステリー
・自分の意志に反して、身体の機能が停止する
身体的に異常はないが、眼が見えなくなる、耳が聞こえなくなる等
○対人恐怖症
・自我とコンプレックスとの妥協の産物、と言える
○夢
・我々自身の心の現象であるが、自分の意志のままに夢を見ることはできない
○言語連想検査
・主体性をおびやかす特性を応用し、コンプレックスを捉える心理検査
■3■コンプレックスの種類
▼河合隼雄著「コンプレックス」に登場したもの
◎固有名詞を冠したもの
・盗人コンプレックス
・料理コンプレックス
・劣等感コンプレックス
・異性コンプレックス
・内向コンプレックス
・外向コンプレックス
・自立コンプレックス
・独占コンプレックス
・母親コンプレックス
・父親コンプレックス
・同一コンプレックス
・男性コンプレックス
・女性コンプレックス
・お金コンプレックス
◎人名を冠したもの(神話などの登場人物)
・カイン・コンプレックス
・エディプス・コンプレックス
・エレクトラ・コンプレックス
・メサイヤ・コンプレックス
・プロメテウス・コンプレックス
・ディアナ・コンプレックス
*人名の使用について
・一個の人間を理解し尽くすことは不可能
→コンプレックスも理解し尽くすことが不可能
・コンプレックスの人格化
→対話相手としてイメージすることで、理解を深められる
→人は無意識に、他者の中に、夢の中に、自身のコンプレックスを見ている
*ボンヤリとしたものに名前をつけることで、対象を限定し理解を深められる
■4■自我
★コンプレックスを理解する上で「自我」の理解が重要
▼自我とは
・「私」として意識されているもの
・経験の主体であり、意識内容の統合の中心をなすもの
▼自我の機能
◎意思決定
★非常に大きな力
→「自我」という自らの存在を否定することも出来る
◎思考機能
→合理的、論理的に思考を推し進めてゆく
→自我の体系が次第に強固となり、安定してゆく
◎運動機能の支配
⇔コンプレックスは、直接には、運動機能とは結びついていない
◎非常に複雑
・我々は、日常の些細な行動1つにも、多くの手続きや選択を行っている
(例:食事の場面でも、何をどう食べるか、様々なことを判断している)
・我々は、経験を言語化することで、内容を整理して記憶している
・さらに概念化することで、それを自分のものとして統合してゆく
(例:リンゴを概念化した後、我々はそれをリンゴとして無意識に判断する)
・概念化により、「体験」を限定的に解釈して、安定を図っている
(例:リンゴを見る度に、これは何だろう、と真剣に考えることはしなくなる)
▼自我の傾向
◎相反する傾向を持つ
①その存在のままを継続しようとする傾向
→自我は、自身を防衛する機能を持つ
★安定性の確保
②自らを変革しようとする傾向
→自我は、いつも「未完成の状態」にあり、常に発展を求めている
★不安定さの支持
コンプレックスの存在が「カギ」となる
▼自我意識
・自我は、自分自身をも客体として、客観的に意識することができる
◎ジャネー(フランスの心理学者)
『意識するとは、その経験を自らに語ることである』
▼自我の特性
◎ヤスバース(ドイツの精神病理学者)
・『精神病理学総論』
★自我意識の異常を考慮する際の基準となる
①能動性
「私」を主体とした意識
②単一性
自分というものは1人であるという意識(2人いるのではない)
③同一性
私の生涯を通じて、私は同一の人であるという意識
④外界や他人との対立
外界や他人に対し、自分自身をハッキリと区別する意識
▼自我の特殊性
◎ここに記載してきた自我の内容は「ある程度そうである」というもの
★絶対的なものではない
→周囲を気にし過ぎて、自分が望んでいないことをする
→心の中に、意見が異なる2人の人物がいるような気になる
→他人の行動や状態を見て、自分自身のことのように反応する
などのようなことが起こる
★自我は、ある程度の統合性を持ち、ある程度の安定をもつことが大切
→生まれてからの歴史を背負い、我々は一個の人格としてのまとまりを持つ
■5■劣等感コンプレックス
▼よくある誤解
◎何かについて劣等であること、その劣等性を認識すること
→これ自体は、劣等感コンプレックスではない
★むしろ、コンプレックスを克服した姿である
→その劣等の認識が自我の中に統合され、安定を揺さぶられることがない
→その劣等により、自身の「人格の尊厳性」が失われないと感じている
▼劣等感コンプレックスとは
・劣等感のみならず、その中に必ず優越感も含んでいる
・我々は「〇〇が出来ない」とき、言語化しづらい感情を味わう
→「いや出来る筈だ」「あんなことで喜ぶのは馬鹿な人間だ」など
→その複雑な感情をハッキリと認識することは難しい
→その結果、イライラしたり、しなくてもよいことをしたりする
<例>
*野球が下手な人
・「下手だから」と応援にまわったり、球拾いなどして楽しく過ごせる人
→劣等を認識しているが、劣等感コンプレックスを持ってはいない
・「下手なのに」投手をやりたがったり、失敗したことをブツブツ言い続ける人
→劣等を認識したがらず、劣等感コンプレックスを持っていると言える
・解消方法
→練習して上手になる、出来ないことを認める、など
<例>
*何も価値のない人間だから、と自殺未遂をした人
・少し元気になってきたとき
→自分と同じように悩んでいる世界中の人を救いたい、と言うことがある
→劣等感:死ぬより仕方がない
→優越感:世界中の悩める人を救ってみせる
★強い判断のゆれが、この人を自殺という行動に追いやっている、と言える
◎劣等感コンプレックスは、誰にとっても大切な問題
・人格の対比の際、劣等な人格、劣等な部分が問題とされることが多い
・収入が低い、社会的地位が低い、知能が低い、身体的障害がある等
→これらのことを認めつつ、「人格の尊厳性」を失わないことは大変なこと
★それを援助する者にとっても重要な問題
→金や地位や名誉とは関係のない「人間存在の尊さ」を確信している必要がある
■6■心の相補性
▼心の構造
<イメージ>
・「心」を球体に見立てる時、その球体の中心が「自己」となる
・球体表面の一部分の領域が「意識」、その中心が「自我」となる
・球体表面の大部分の領域が「無意識」、その中に「コンプレックス」が含まれる
・コンプレックスは、複雑な多層構造をなす
→1つのコンプレックスの組織は、他のコンプレックスの組織と絡み合う
→自我組織とも絡み合っている
▼心の相補性
◎無意識内に形成されてくる心的内容
・自我の一面性を補う傾向を持つことが認められる
・体験を限定的に処理する「自我」は、ある一面に偏って発展する傾向がある
→心的内容(コンプレックス)は、その一面性を補う大きな役割を果たしている
◎思春期
・人格の発展傾向が強くなる時期
→様々な環境の変化、世界観の拡がりにより、自我の一面性が損なわれやすい
→安定性が損なわれやすく、多くの問題を抱えやすい
★人間の心の発展してゆく素晴らしさには、感嘆せざるを得ない
▼他者との相補関係
・心の相補性は、1人の心の内部でのみ生じるものではない
・複数の人間の間で生じることもある
→自身のコンプレックスを開発してゆく代わりに、それを補う人と結びつく
→心の相補性を手早く獲得できる
★コンプレックスの問題は、対人関係にも入り込んでくる
<例>
*離婚問題
・恋人や夫婦として、外交的な人と内向的な人が結ばれることがよくある
→外向的な人:内向コンプレックスを示す傾向が強い
→内向的な人:外交コンプレックスを示す傾向が強い
・背中合わせのように互いを省みず、共に懸命に戦っているときは最良の関係
・人生の節目などに、向かい合い対話しようすると、全く噛み合わないことがある
→互いに理解し合えないことに驚き、悲観してしまう
★各々が、自身のコンプレックスとの対決を行う必要がある
→人生の後半に向けて共に歩むためには、新しい関係を切り拓く必要がある
■7■自己
▼自己とは
・自我と全てのコンプレックスの奥深くにあり、それらを統合するもの
・自我である「私」を超える「真の私」
・自我が、より高次の統合性を志向してゆくことを支援するプロモーター
・ユングの考えた「元型」の1つ
◎自己の特殊性
・心の奥深くに存在する「自己」を明確に把握することは出来ない
→我々は、自己の「働き」を意識することは出来る
→その「働き」を通じて、自己の存在を仮定することが出来る
★自己の存在、すなわち「高次の私」を予感できる
■8■言語連想検査
◎ユング
・一連の単語に対する連想時間や連想内容の違いに着目して改良を行った
・現在、臨床現場ではあまり用いられていない
→基本的なアイデアは、投影を用いた多くの心理検査に活かされている
▼方法
・分析者と相談者の2人で実施
・分析者は測定、記録を行い、結果について相談者から話を聞く
・相談者は下記を行う
①100個の刺激語に対して、順に1つずつ、思いつく単語を1つだけ、素早く言う
②同じ100個の刺激語に対して、1回目と同じことを言う
③反応時間、反応語の内容、言い間違いの有無等の分析結果を待つ
④コンプレックス指標の集中する反応について、感想を語る
▼コンプレックス指標
①平均よりも反応時間が遅い
②反応語を思いつけない
③刺激語をそのまま繰り返して言う
④2語以上を用いて反応する
⑤刺激語への明らかな誤解(聞き間違いなど)
⑥2回目で忘却や間違いをする
⑦刺激語を外国語に訳して答える
⑧反応後を言う前に何か言う(「はい」「うーん」など)
⑨明らかに特別な反応をする(表情が変わるなど)
⑩異なる刺激語に対し、他と同じ反応語を繰り返して言う
⑪前の刺激語に生じた観念が、次の刺激語にも生じる
(何かに関連した反応語を繰り返す:身体の部分など)
★検査後半に乱れが急増する場合は、防衛的な態度が強い可能性がある
▼不向きな人
・言語能力や理解力などに問題を抱えている人
・検査に強い抵抗がある人
・我々は、日常の些細な行動1つにも、多くの手続きや選択を行っている
(例:食事の場面でも、何をどう食べるか、様々なことを判断している)
・我々は、経験を言語化することで、内容を整理して記憶している
・さらに概念化することで、それを自分のものとして統合してゆく
(例:リンゴを概念化した後、我々はそれをリンゴとして無意識に判断する)
・概念化により、「体験」を限定的に解釈して、安定を図っている
(例:リンゴを見る度に、これは何だろう、と真剣に考えることはしなくなる)
▼自我の傾向
◎相反する傾向を持つ
①その存在のままを継続しようとする傾向
→自我は、自身を防衛する機能を持つ
★安定性の確保
②自らを変革しようとする傾向
→自我は、いつも「未完成の状態」にあり、常に発展を求めている
★不安定さの支持
コンプレックスの存在が「カギ」となる
▼自我意識
・自我は、自分自身をも客体として、客観的に意識することができる
◎ジャネー(フランスの心理学者)
『意識するとは、その経験を自らに語ることである』
▼自我の特性
◎ヤスバース(ドイツの精神病理学者)
・『精神病理学総論』
★自我意識の異常を考慮する際の基準となる
①能動性
「私」を主体とした意識
②単一性
自分というものは1人であるという意識(2人いるのではない)
③同一性
私の生涯を通じて、私は同一の人であるという意識
④外界や他人との対立
外界や他人に対し、自分自身をハッキリと区別する意識
▼自我の特殊性
◎ここに記載してきた自我の内容は「ある程度そうである」というもの
★絶対的なものではない
→周囲を気にし過ぎて、自分が望んでいないことをする
→心の中に、意見が異なる2人の人物がいるような気になる
→他人の行動や状態を見て、自分自身のことのように反応する
などのようなことが起こる
★自我は、ある程度の統合性を持ち、ある程度の安定をもつことが大切
→生まれてからの歴史を背負い、我々は一個の人格としてのまとまりを持つ
■5■劣等感コンプレックス
▼よくある誤解
◎何かについて劣等であること、その劣等性を認識すること
→これ自体は、劣等感コンプレックスではない
★むしろ、コンプレックスを克服した姿である
→その劣等の認識が自我の中に統合され、安定を揺さぶられることがない
→その劣等により、自身の「人格の尊厳性」が失われないと感じている
▼劣等感コンプレックスとは
・劣等感のみならず、その中に必ず優越感も含んでいる
・我々は「〇〇が出来ない」とき、言語化しづらい感情を味わう
→「いや出来る筈だ」「あんなことで喜ぶのは馬鹿な人間だ」など
→その複雑な感情をハッキリと認識することは難しい
→その結果、イライラしたり、しなくてもよいことをしたりする
<例>
*野球が下手な人
・「下手だから」と応援にまわったり、球拾いなどして楽しく過ごせる人
→劣等を認識しているが、劣等感コンプレックスを持ってはいない
・「下手なのに」投手をやりたがったり、失敗したことをブツブツ言い続ける人
→劣等を認識したがらず、劣等感コンプレックスを持っていると言える
・解消方法
→練習して上手になる、出来ないことを認める、など
<例>
*何も価値のない人間だから、と自殺未遂をした人
・少し元気になってきたとき
→自分と同じように悩んでいる世界中の人を救いたい、と言うことがある
→劣等感:死ぬより仕方がない
→優越感:世界中の悩める人を救ってみせる
★強い判断のゆれが、この人を自殺という行動に追いやっている、と言える
◎劣等感コンプレックスは、誰にとっても大切な問題
・人格の対比の際、劣等な人格、劣等な部分が問題とされることが多い
・収入が低い、社会的地位が低い、知能が低い、身体的障害がある等
→これらのことを認めつつ、「人格の尊厳性」を失わないことは大変なこと
★それを援助する者にとっても重要な問題
→金や地位や名誉とは関係のない「人間存在の尊さ」を確信している必要がある
■6■心の相補性
▼心の構造
<イメージ>
・「心」を球体に見立てる時、その球体の中心が「自己」となる
・球体表面の一部分の領域が「意識」、その中心が「自我」となる
・球体表面の大部分の領域が「無意識」、その中に「コンプレックス」が含まれる
・コンプレックスは、複雑な多層構造をなす
→1つのコンプレックスの組織は、他のコンプレックスの組織と絡み合う
→自我組織とも絡み合っている
▼心の相補性
◎無意識内に形成されてくる心的内容
・自我の一面性を補う傾向を持つことが認められる
・体験を限定的に処理する「自我」は、ある一面に偏って発展する傾向がある
→心的内容(コンプレックス)は、その一面性を補う大きな役割を果たしている
◎思春期
・人格の発展傾向が強くなる時期
→様々な環境の変化、世界観の拡がりにより、自我の一面性が損なわれやすい
→安定性が損なわれやすく、多くの問題を抱えやすい
★人間の心の発展してゆく素晴らしさには、感嘆せざるを得ない
▼他者との相補関係
・心の相補性は、1人の心の内部でのみ生じるものではない
・複数の人間の間で生じることもある
→自身のコンプレックスを開発してゆく代わりに、それを補う人と結びつく
→心の相補性を手早く獲得できる
★コンプレックスの問題は、対人関係にも入り込んでくる
<例>
*離婚問題
・恋人や夫婦として、外交的な人と内向的な人が結ばれることがよくある
→外向的な人:内向コンプレックスを示す傾向が強い
→内向的な人:外交コンプレックスを示す傾向が強い
・背中合わせのように互いを省みず、共に懸命に戦っているときは最良の関係
・人生の節目などに、向かい合い対話しようすると、全く噛み合わないことがある
→互いに理解し合えないことに驚き、悲観してしまう
★各々が、自身のコンプレックスとの対決を行う必要がある
→人生の後半に向けて共に歩むためには、新しい関係を切り拓く必要がある
■7■自己
▼自己とは
・自我と全てのコンプレックスの奥深くにあり、それらを統合するもの
・自我である「私」を超える「真の私」
・自我が、より高次の統合性を志向してゆくことを支援するプロモーター
・ユングの考えた「元型」の1つ
◎自己の特殊性
・心の奥深くに存在する「自己」を明確に把握することは出来ない
→我々は、自己の「働き」を意識することは出来る
→その「働き」を通じて、自己の存在を仮定することが出来る
★自己の存在、すなわち「高次の私」を予感できる
■8■言語連想検査
◎ユング
・一連の単語に対する連想時間や連想内容の違いに着目して改良を行った
・現在、臨床現場ではあまり用いられていない
→基本的なアイデアは、投影を用いた多くの心理検査に活かされている
▼方法
・分析者と相談者の2人で実施
・分析者は測定、記録を行い、結果について相談者から話を聞く
・相談者は下記を行う
①100個の刺激語に対して、順に1つずつ、思いつく単語を1つだけ、素早く言う
②同じ100個の刺激語に対して、1回目と同じことを言う
③反応時間、反応語の内容、言い間違いの有無等の分析結果を待つ
④コンプレックス指標の集中する反応について、感想を語る
▼コンプレックス指標
①平均よりも反応時間が遅い
②反応語を思いつけない
③刺激語をそのまま繰り返して言う
④2語以上を用いて反応する
⑤刺激語への明らかな誤解(聞き間違いなど)
⑥2回目で忘却や間違いをする
⑦刺激語を外国語に訳して答える
⑧反応後を言う前に何か言う(「はい」「うーん」など)
⑨明らかに特別な反応をする(表情が変わるなど)
⑩異なる刺激語に対し、他と同じ反応語を繰り返して言う
⑪前の刺激語に生じた観念が、次の刺激語にも生じる
(何かに関連した反応語を繰り返す:身体の部分など)
★検査後半に乱れが急増する場合は、防衛的な態度が強い可能性がある
▼不向きな人
・言語能力や理解力などに問題を抱えている人
・検査に強い抵抗がある人