「虐待について」勉強会 | 武狼太のブログ

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大学の通信教育過程で心理学を学んでおり、教科書やスクーリングから学んだことをメインに更新しています。忙しくて書けなかった、過去の科目についても遡って更新中です。

(はじめに)

 当初は、児童虐待や親子関係を中心とした内容を紹介する予定でしたが、NHK番組サイトや虐待防止法などを調べるうち、関連する広い事案にも関心が強まり、内容量が増えました。
 資料作成を進めながら、自分自身、虐待に対して湧いてくる感情、虐待を行おうと考えない理由など、
「それは何故だろう」と自問自答をしました。自己分析がまだ浅い部分がありますが、ディスカッションを通して自己分析が深まればと思いました。



■日時:(1回) 2/23(土) 13:15~17:15

    (2回) 4/21(日) 13:15~17:15

■場所:都内会議室

■参加者:(1回) 8名

     (2回) 7名

■内容:虐待について 他

■資料:虐待について.pdf

 *資料のダウンロードはコチラ






 虐待事件

・障害者虐待防止法の契機となった事件
 刑事裁判では、知的障害者に対する暴行・傷害・強姦について、一部または全てが不起訴とされ、その罪が問われていなかった。
・滋賀サン・グループ事件
 国家賠償訴訟:原告は、従業員16人及び1遺族


 虐待と障害の関係性

・二次障害: 『反抗挑戦性障害』
 障害を持って生活している環境の中で、虐待によって二次的に生じてくる障害
・児童虐待と脳の関係
 ①幼児期の虐待 → 扁桃体が肥大化 → ストレスホルモンが過剰放出 → 脳の発育の遅れ
 ②激しい体罰 → 前頭葉が縮小 → 感情の自制力や集中力の低下、凶暴性の増大
 ③親のDVを目撃 → 視覚野が縮小 → 他人の表情を読めない、対人関係への困難さが増大
 ④暴言 → 聴覚野が変形 → コミュニケーションの困難さが増大


 性的虐待

・二次被害:“性的放縦人格”
 自分自身に価値がないことを確認するために、性的奔放な振る舞いを行う人がいる


 優しい虐待

・大学で不登校の子ども ⇒ 親子へのカウンセリング
 受容 → 親の気づき → 子の気づき …親子関係に変化が生じた
・親のトラウマや劣等感 ⇒ 自分の非を認められない親
 親の態度が環境調整に大きく影響し、問題解決の障害となることがある
・親:失敗をさせないように面倒を見たがる ⇒ 過保護・過干渉
・無条件の愛: 子どもの自己肯定感との関係が深い

◎「体罰」は法律により禁止されている。
 ※関連法規
 ①学校教育法
 第十一条
 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。
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 『体罰』には、「強く叩く」「殴る」「蹴る」といった直接的なものに限らず、「長時間正座をさせる」「罰としてランニングをさせる」といった間接的なものも含まれる。
 『懲戒』には、「注意」「叱責」「別室での指導」「宿題を増やす」「罰として掃除をさせる」などの他、停学や退学といった処分も含まれる。肉体的苦痛がない場合は、教育するための行為として扱われ、体罰には該当しない。
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 ②刑法
 (傷害)第二百四条
 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 (暴行)第二百八条
 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 ③児童虐待防止法
 (児童虐待の定義)第二条
 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
 一  児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
 (児童に対する虐待の禁止)第三条
 何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。
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児童虐待の定義
18歳に満たないものを児童とし、保護者が行う以下の行為を「児童虐待」と定義する。
(1)身体への暴行
(2)児童へのわいせつ行為と、わいせつ行為をさせること
(3)心身の正常な発達を妨げる減食・長時間の放置
(4)保護者以外の同居人による前記の行為と、その行為を保護者が放置すること
(5)著しい暴言・拒絶的対応・著しい心理的外傷を与える言動を行うこと
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◎子どもに対する一切の「体罰」を禁止している国: 54ヵ国(2019年2月現在
1979年 スウェーデン 1983年 フィンランド 1987年 ノルウェー
1989年 オーストリア 1994年 キプロス 1997年 デンマーク
1998年 ラトビア 1999年 クロアチア
2000年 ブルガリア、 ドイツ、 イスラエル
2003年 アイスランド 2004年 ウクライナ、 ルーマニア
2005年 ハンガリー 2006年 ギリシア
2007年 オランダ、 スペイン、 ベネゼーラ、 ウルグアイ、 ポルトガル、 ニュージーランド
2008年 モルドバ共和国、 コスタリカ (以上、24ヵ国)
2009年 ・・・ (以降、30ヵ国)


 虐待のメカニズム

◎虐待の起こりやすい環境

・閉鎖的、封建的なタテ社会、多忙で人手不足、知識や経験不足、指導力不足


【事例】乳児院:

子どものアザについて虐待を疑われて、長期間にわたって事情聴取が行われた。

 ⇒ 監視カメラの設置:浴室や休憩室などの一部を除き、オープン化。子どもと職員を守るため。


◎虐待は他人事ではない

・なぜ虐待をするのか、なぜ虐待をしないのか

・どうすれば私は虐待をするか、どうすれば私は虐待をしないのか


◎虐待を防止するためには

・「人から助けられた」という経験が、「人を助ける」という意識に繋がる



 虐待のアフターケア

・児童養護施設内にて暴力事件が発覚。2018年までの5年間で2000件。

・児童養護施設等の小規模化(2012年 厚生労働省の方針)

 職員の目が届きやすく、家庭的な雰囲気に。

 ↓

 施設不足:入院した子どもが回復後も入院を続ける事態が発生。虐待入院。


◎乳児院:他県にまたいでよそに行くのは大変

・児童相談所:群馬県には3か所

 配属される県職員には、他分野を専門としてきた未経験者もおり、専門家の教育が遅れている。


◎研修勉強会:児童養護

 乳児院の子ども:一般家庭の子どもと比較して発達が遅い

 子どもの成長力、愛情、信用、友情  ←親との分離だけでも影響が大きい

 じっくりとつき合うことの難しさ:1対1の付き合いの長さが重要

 安心とスキンシップ → 愛着形成

 子どもから話をしてくることがある。そうした“時”を逃がさない。


◎乳児院:基本方針は、子を守ること、家庭に帰すこと

 親の更生:養育能力の問題。経済面、障害者、精神疾患、ドラッグなど。


【事例】精神疾患者:

 処方薬を妊娠中に飲むことが出来ず、病状が悪化し、一時的に子どもを乳児院へ。

 その後、親元に子どもを返すことが多い。


【事例】外国人:

 感情が激しい母親。父親不明の子。非常時マニュアルで対応するケースもある。



 心理的サポート

◎「死にたい」と訴える人に対してどうするか?

・自殺未遂をした人:

 ①なぜ死のうとしたのか

 ②死ぬことをどう考えているか

 ③また死にたいと考えているか



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 【感想】

 私自身、これまでに虐待を身近なものとして考える機会がありませんでしたが、この勉強会をキッカケにそれが出来たことが大きな学びとなりました。勉強会では、ディスカッションの時間が十分に取れませんでしたが、「どうしたら私は虐待を行うか」といった内容のディスカッションが出来たらと考えていました。

 私自身は、虐待を自分自身が行うには、正気を失わないと難しいかなと考えたりしました。逆に言えば、正気を失うようなことが起これば、その危険性が増加するとも言える、そのことを心に留め置かねばならないと思いました。なぜ私は、虐待を行うことに大きく抵抗を感じるのか、その理由を考えると、子どもの頃の学び、入院経験などを通じて思考してきたことが思い当たりました。腕力や知力や権力など、力のある人が力のない人に対して横暴な振る舞いをすること、それを“悪いこと”として捉えていることが、私の倫理観の中にはあるようです。

 また、今回の資料を作成しながら、性的虐待の加害者に対して非常に強い憎悪の感情が生じたのですが、その感情が生じる要因などを考えるうちに、沸き起こる感情に変化が起こりました。気づいたことは、被害者の悲しみや苦しみ、そこへ自身が向き合うことに対する強い不安や恐怖、そこから目を逸らそうとして憎悪の感情が強まるのではないか、ということでした。最も大事なことは何なのか。これまでは憎悪の壁に阻まれて、深くは考えられなかったことでしたが、今回、高ぶる感情の背景にあるものを見出だすことで、自身への理解が深まるのだと改めて実感しました。