日射取得というと、あぁまたなんか意識高い系の建築士が何か言ってるな、みたいな感じではあるのですが、今年の冬は天気が良い日が多いせいか、この日射取得の重要性をとても感じている今日この頃です。つまり、南面に大きな窓を付けてカーテン開けておくと、太陽の光で家がポカポカ、というわけです。これが結構馬鹿にできなくて、天気の良い日は日が沈むまで一切暖房がいらないんですよね。東京なのでそんなに激寒ではないけど、最高気温10度くらいの普通の冬の日に、暖房を全くしなくても家の中がポカポカで下手に厚着したら暑いくらいになるんです。当然曇りの日、雨の日、そして日が沈む夕方以降は暖房が必要になりますけど、昼間は一切暖房不要です。

 

これを実現している要素はいくつかあるのですが、

 

1.まずは南側の日当たりのよい窓が必須。都内だと場所によると思いますが、大きなマンションとかビルが近くにあったり、南側すぐに家が建っている、という場合だと、日照時間が限られてしまうことはあるかもしれません。うちはたまたま南側が道路なので、というかそういう土地を選んだわけですが、朝から晩までずっと日が当たり続けます。日本人はみんな日当たりの良い家が好きですけど、日射取得を目指すなら南側が開けていることは必須!です。

 

2.そして次に必要なのが、南側でカーテンを開けられること、です。せっかく日当たりが良くても人通りが多いとかほかの家の視線が気になるからカーテン開けられない、だと日を取り入れることができません。最悪、黒いカーテンで熱を吸収して部屋を暖められる・・・のかどうかは分かりませんが、カーテンを解放できる場所を選びたいところです。うちの場合は南側の道路はそれなりに人通りもあるのですが、若干高低差があるのでうまく視線を遮ることができています。

 

3.そして窓は、日射取得型のサッシにします。最近の家はみんなlow-eガラスだと思いますが、家を検討する人はみんな知っている通り、日射取得型と日射遮蔽型の2種類があります。low-e膜の位置によって本当にそんなに変わるの?と思いますが、そればっかりはサッシメーカーを信じるしかありません。私は最初、夏の日射を遮るには南側も日射遮蔽型にすべきなのではと思っていたのですが、夏は太陽の位置が高いので、庇があれば部屋の中まで日が入ってこないんですよね。なので南側は日射取得型です。そして西側に窓があるなら、これは迷うことなく日射遮蔽型。夏の西日は低い角度から部屋の中に入り込んでくるので、しっかり遮蔽しないといけません。というか、西側の窓は無くすのがベストです。うちは西側は玄関・トイレ・洗面所の明り取り用の小さな窓があるだけで、大きめの窓は一切無くしています。

 

というわけで、ここさえ気にしていれば冬の昼間は暖房なしで室温20度が実現できます。うちは断熱は一般的なものでとりわけ高断熱とか高気密なわけでもなく、24時間換気も回しっぱなしにしていますが、無暖房で20度確保できれば十分でしょう。じゃぁこの日射取得がどれくらいの費用効果があるかという話ですが、昨年は日射など気にせず3箇所の床暖をガンガンに使ってましたが、今年は日射取得を意識して暖房の利用頻度が激減。ガスの使用量で言うと4割減くらいになりました。当然請求額もそれくらい減っています。うちはコンロも給湯もガスなので暖房分は一部にしか過ぎませんが、これだけ違うと、太陽は本当にすごいな、と感じるわけです。

 

こういうのも家を建てたりしないと気付かなかったわけですが、快適なうえに省エネも実現できるこういうノウハウはもっと知られて良いと思います。意識高い系の設計事務所に頼まなくても、一般的な家でも立地とレイアウト次第で実現できてしまうというわけです。