2023高校入試、大阪府立高校倍率は維新の会の教育政策の最悪の結末だ | 作家・土居豊の批評 その他の文章

2023高校入試、大阪府立高校倍率は維新の会の教育政策の最悪の結末だ

2023年度高校入試、大阪府立高校倍率は維新の会の教育政策の最悪の結末だ

 

写真のように、2023年度高校入試の大阪府立高校の倍率の格差は、橋下府知事時代以来14年間の維新の会教育政策の最悪の結末を示した。

詳しくみていこう。

 

 

※前段

2023年の大阪府立高校希望調査と、私立高校希望調査をみて

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12786413545.html

 

 

筆者は昔の9学区制の頃、第2学区で高校受験を体験し、その後、高校教諭として第1学区と第2学区で10数年、勤務した。その経験から、以下、検証する。

まず普通科。

 

写真1)

 

 

写真1)のように、この北摂地区の旧2学区には、普通科で最高倍率を誇る?春日丘高校がある。公立高校の受験でこの倍率は、異常な高さなのだが、この学校は筆者の高校生だった40年前からすでに、人気校で、高い倍率だったため、あまり参考にはなりにくい。

そこで、北摂地区の1、2学区でその次に目立つ高倍率を見てみよう。

旧1学区では、桜塚高校と豊島高校が人気だ。だが、偏差値的には、桜塚高校の方がずっと高いのに、豊島高校はなぜか高倍率を保っている。これが、維新の会の教育政策の要である「3年間定員割れは統廃合」の結果なのだ。

解説すると、この旧1学区には橋下府知事時代、14年ほど前までは、偏差値的に中堅の普通科高校がもっとたくさんあり、偏差値の低い普通科も数校あった。ところが、中堅の府立高校が次々統廃合され、現在、旧1学区の中堅校は片手でおさまる。その中で最も人気が集中するのが桜塚高校だというわけだ。偏差値の低い方も、どんどん統廃合され、豊島高校が成績低位の中で安定した人気の学校になってしまっている。

そうなると、この倍率のまま、受験が行われると、どうなるか?

中堅高レベルと、偏差値低位レベルの生徒が大量に不合格になり、併願受験した私立高校に流れる。

これこそ、橋下府知事以来の維新の会のやった教育政策の成れの果てなのだ。

 

同じく、写真1)の北摂地区旧2学区にも、同様の傾向が見てとれる。

吹田東高校と山田高校の高倍率が、それだ。

 

この中堅校の高倍率のパターンは、次に

写真2)

と見比べると、もっとわかりやすい構図になる。

 

写真2)

 

 

大阪府立高校の中で偏差値トップ級の10校、それが文理学科だ。

その10校中、北野高校は別格扱いでダントツ1位なのだが、その次の座を争う数校のうち、旧2学区の茨木高校は、頭抜けて高倍率になっている。この旧2学区は、偏差値トップレベルの生徒が茨木高校に集中する傾向がここ数年見られるのだが、トップ10校の文理学科に手が届かないレベルの生徒は、その次のランクとして本来なら、普通科の偏差値トップクラスを狙いたいところだ。しかし、旧2学区の場合、その2番手に当たるのが普通科では春日丘高校で、これは最初に書いたように、異常な高倍率のため、逆に敬遠される。その次の中堅校となると、選択肢は限られてしまい、結果的に、前述のような吹田東と山田の高倍率といういびつな結果になるのだと考えられる。

旧1学区でいうと、文理学科トップの北野は別扱いで、次に豊中高校が高倍率となる。そこに手が届かない生徒は、むしろ旧2学区や大阪市内の方に流れている生徒も多いように見受けられる。そこが旧1学区の特殊な特徴で、交通の便が大阪府内で最も発達している関係で、近隣だけでなく旧学区の垣根を越えて通学しやすいところからそうなっているのではなかろうか。

 

さて、写真2)の文理学科の高倍率ぶりと、総合学科の苦戦ぶり、さらに写真3)の職業系の定員割れとを比較すると、ここにも維新の会の教育政策の失敗が如実に見られる。

 

写真3)

 

 

国公立大学への進学率を誇る文理学科10校に、府内の同年代の子どもたちのうち、偏差値的に上澄みの生徒が集中している反面、かつて大阪の教育政策の目玉商品だった総合学科は、廃れてしまっているように見える。さらに、かつて大阪の産業を支えた職業系の高校にも人気が集まらない。このまま定員割れが続けば、維新の会の教育政策に従えば、いずれ統廃合の運命が待っている。

だが、このように総合学科、つまり多様な興味関心を育む学科や職業能力を身につけさせる工業系などが廃れていき、偏差値的に頭でっかちな生徒だけが優遇されて国公立大学に進学していくような、子どもたちを二分割して格差を固定させるような教育政策は、結局は同世代間の格差拡大と対立をうみ、大阪の未来を壊していくのではなかろうか。

橋下府知事以来の競争原理による教育の、14年間の結末が、この府立高校受験倍率のいびつな偏りとなって明らかになったといえるのだ。

もう、この大失敗を大阪府と維新の会の政治家、教育行政の担当者たちは素直に認めて、教育政策の方針転換をするべきではなかろうか。大阪府民も、この結果をしっかり見て、政治の選択を間違えたことを認め、今からでも大阪府の教育政策の方向を考え直すべきではなかろうか。

 

 

※過去の関係記事

2022年大阪府立高校入試の倍率、やはり維新の会の教育改悪の結果、子どもたちは苛烈な競争に追い立てられている

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12730121136.html

 

2021年度大阪府公立高校入試の倍率、確定。高倍率と定員割れの格差を作ったのは維新の会の教育政策だ。

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12660782281.html

 

2020年大阪府立高校の入試出願の中間発表と最終発表、今年は変だ

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12580614066.html

 

2020年春の大阪府立高校の難関大学合格結果を考察した。この10年の維新の会による大阪府教育改革はこれでいいのか?

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12589793890.html

 

(まとめ)2019年の大阪府立高校入試と大学入試の結果で、維新の会教育改革失敗が証明された

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12450639923.html

 

大阪府立のハイレベル高校、大学入試の結果は維新の会教育改革の失敗を示している

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12449967911.html

 

※高校入試関連の過去の記事

近畿の高校入試と大学入試の現状について

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12438929103.html

 

大阪府の公立中学のチャレンジテスト、その後

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12427705365.html