近畿の高校入試と大学入試の現状について | 作家・土居豊の批評 その他の文章

近畿の高校入試と大学入試の現状について

近畿の高校入試と大学入試の現状について

 

 

近畿では今日から私立高校受験のところが多いですが、受験の方々にはがんばってほしいと思います。

インフルエンザが一番こわい時期に、入試が重なるのは、春学期始まりの日本の学制ゆえ仕方がないとはいえ、ただでさえプレッシャーの多い入試に、インフルエンザ予防というさらなる重圧をかけているのは間違いないでしょう。

ところで、

大阪府の場合、私立中学高校の受験は、志願状況をみると、昨年以上に関関同立付属の一人勝ちが目立っています。これは、再来年度から大学入試のセンター試験が、新テストに変わるとばっちりだといえます。つまり、新テストへの対策をどうすればいいか、いまだに全く読めないという先行きの不透明感のせいです。近畿では、国公立大学を目指す滑り止めとして関関同立あたりが選択肢に入りますが、もし国公立入試が新テストで難しくなった場合、同じレベルの大学でいいのなら、最初から関関同立の付属に入ってしまう方が確実、と考えてのこと。大学入試改革の悪影響が、中学受験、高校受験に直接及んでいるわけです。

さらに、私立中学高校の受験で関関同立付属が強いのは、残念ながら府立高校の受験が迷走状態であり、ハイレベル高校に入りにくい現状のせいです。府立では、文理学科のあるハイレベル高校に行かないと、国立大学進学がなかなか難しいのが現実です。これは、各府立高校の進学実績を見れば、その差は歴然としています。だから、もし関関同立レベルでもいいのなら、最初から付属、という選択肢が有利に思えてくるのです。

さらに、大阪府の公立中学の場合、府立高校の入試改革のせいで、中学時の内申点がきわめて読みにくい現状です。中学1年からの成績や特別活動が全て内申点に反映されるようになりました。その上、以前の相対評価の方法を絶対評価に変えた結果、学校間の学力差を補正する目安として、中学3年時のチャレンジテストで内申点が調整される仕組みになりました。つまり、せっかく3年間がんばっても、チャレンジテストの結果次第で、最後に評定が下がる可能性があるのです。そのため、ギリギリまで受験校を絞りにくくなってしまいました。大阪府の中学生は、府立のハイレベル高校を目指していても、チャレンジテストで自分の中学の平均点が低いと、自分の評定が下がる仕組みなのです。ある程度以上の成績をキープしていたら、そこそこの高校に行けた昔とは、全く違ってしまいました。大阪府の高校入試改革は、中学生を昔以上の受験地獄に追い込んでしまっています。

ただでさえ大変なのに、輪をかけて大変になってしまったのが、大学入試改革の新テストです。せっかくハイレベル高校に入っても、はたして希望する国公立大学に受かるかどうか? 完全に未知数です。事前の新テスト試行では結果は散々で、参加した高校生からは試験時間が足りないという意見が多数あったと聞きます。このように、新テストの内容が全く読めないまま、大学入試対策をしなければならない今の現役高校生たちは、あまりに気の毒です。

 

 

 

※過去のブログ記事

大阪府の公立中学のチャレンジテスト、その後

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12427705365.html