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僕がブログに力を入れる訳
ブログを書き始めてから少し時間がたってしまいましたし、僕がこのブログを(それなりに力を入れて)書いている理由を少しお話させて頂ければと思います。
参考過去記事:中村が伝えられる事
僕がナムコで働いてよかったと思う事の一つは色々経験させてもらえた事です。
よく、他社から来た人には「ありえない」と言われる事があったカルチャーの一つですがナムコは昔は「これがやりたい」と言えばやらせてもらえる(あるいはちゃんと聞いてもらえる)雰囲気がありました。
いや、もちろん期間や人数をかける場合には正当な理由が必要だし、そうでなくても、他の人には迷惑はかけない、みたいな暗黙のルールはあるわけですが、プロジェクトが一段落したあたりで、次が決まるまでは少なくともこれをやろう、おもしろそうだし、みたいなミニプロジェクト的なものは結構許されて変なものがいっぱい動いている時代がありました。皆が知っているもので、実際に製品化されヒットに繋がったモノもいくつもあります。
それに加えて、教育・研修的なものを受けるチャンスは沢山ありました。僕自身もいわゆるリーダー研修的なものを何度か受けましたし、マーケティングに関する研修も幾度となく受けました。
その上で、実際にプロジェクトのリーダーをやって、得た経験や知識が僕にはある訳です。
社内では、自分自身が研修を企画する事もありましたし、積極的に外部のセミナー等にもメンバーに参加してもらったり、僕自身が研修講師を行ってカリキュラム的なものを作ったり、テキストを作ったりしていました。
ずっと大きい会社にいると、それらの事が実に恵まれているという事に気がつかないかもしれません。僕自身も、外に出てみて非常に実感した事です。ゲーム業界の中小の会社では社内に研修講師がいるとか、研修、教育の機会や仕組みがある例は現実には殆どないように思います。
以前サイバーコネクト2の松山さんに呼ばれて社内講演を行いましたが、あんなふうに積極的に社内の人材育成に力をかける事は業界の中ではレアケースなのかもしれません。
現実、開発の現場では教育にかける時間を取る事は非常に難しく、また、仮に社内にそれなりの経験とノウハウを持つ人がいたとしても、その人が「教えるのがうまい」とは限らないという現実があります。
僕自身はプロジェクトのリーダーで実製品の開発に企画から開発、販売、宣伝に至るまで関わらせてもらえただけでなく、そのノウハウを社内で研修の形で伝えるという経験を数年にわたってしてきました。退職した今は、今僕が持っている知恵を広く伝える事で、現実的にはなかなか会社に入ってから教育・研修等を受けられないゲーム開発者、関係者、あるいはこれからゲーム業界を目指そうという学生の方の役に立てればと思っています。
ブログは、そんな僕のノウハウ・知恵の一部をご紹介する場です。
続きは新ブログへ。
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家族全員が納得する子供のプレゼント
ポケモンタイピングDSを例にあげて、まだ小さい子供がどうしてタイピングゲームを欲しがるのか、という考察を前回の記事でしました。
過去記事: 「おもちゃ」が満たす親の基本のニーズ
子供が誕生日プレゼントに欲しい、と言った時に妻も僕も速攻で「それね、もう買っちゃうからプレゼントは変更できないよ」と長男に言って、近所のお店で予約を受け付けているお店に行きました。
子供の誕生日やクリスマスのプレゼントは、子供が選んでいるようでいて、実は最終的には親が選んでいるという話をしましたが、まさに今回は親が選んだ、という感じでした。
過去記事: サンタのプレゼント、選ぶのは子供でない?
妻は「このゲームを遊んで、小学校二年でアルファベットが分かるようになって、ローマ字がわかるようになって、さらにキーボードが打てるようになるのはいい」と思う訳です。もちろん僕もそういう期待を持ちます。
任天堂がニクいのは、このキーボードをわざわざ Bluetooth キーボードにしているという事です(Bluetoothを内蔵したDSカードを特別に作ってまで!)。あの作りがよさそうなキーボードがiPhoneやiPadでも使える、と聞いた僕は「これは子供が飽きたらキーボードは自分のモノにしてしまおう(笑)」と思う訳です。
兄弟ではありがちな事ですが、次男も「お兄ちゃんがやるなら、僕もやりたい」と思う訳です。これの何がいいかというと、買った後、お兄ちゃんがあんまり遊ばなくなっても次男が遊ぶんじゃないかという期待と、(今はちょっと早いかもしれないけど)1年後とか2年後は次男が遊んでる事が想像できるから、長く使えるだろう、という期待もできます。
パパの事情は多少偏ってるかもしれませんけど、これからスマートフォンが普及していくと考えると、あながち偏ってるニーズという訳でもないかもしれません。とにかく、「家族全員」メリットがある、子供の誕生日プレゼントなんて滅多にありません。変な話ですが、我が家にとっては「買わない理由がない」商品です。
ポケモンタイピングDSは発売からずっと品薄状態が続いているのですが、おそらく年末のクリスマス時期にも人気のプレゼントになって、かなりロングセラーになるんじゃないかと個人的には思います。
買うつもりがない人も、Amazonのレビューは読んでおくとよいと思いますよ。
余談ですが、実はちょうどお店にポケモンタイピングDSを予約しにいった時、お母さんと一緒にそのショップに来ていた小学校中学年位の女の子が、ポケモンタイピングDSを前に「これって、ローマ字の勉強にもなるし、キーボードの勉強にもなるんだよね。欲しいなー。」と、なかなかおねだり上手な事を言ってました。
(僕も小さい頃、欲しいものを色々理由つけておねだりしてました...)
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おもちゃが満たす親の基本ニーズ
うちの長男(小学校2年生)がもうすぐ誕生日な訳ですが、誕生日プレゼントは「ポケモンタイピングDS」に決まりました。
以前、子供のクリスマスプレゼントは実は親が決めている、という話をしましたが、今回もまさにそんな感じです。
過去記事:サンタのプレゼント、選ぶのは子供でない?
正直言うと、この製品の発売を知った時、子供が欲しがるとはあまり思いませんでした。
しかし、子供の反応を見て、そうか、それは欲しがるな、なるほど、と思ったのです。
前職でバンダイナムコゲームスにいた僕は、バンダイの女児向け「おもちゃ」を開発している方にお話する機会があって、「おもちゃ」が満たす基本的な親のニーズについての話を聞いた事があります。
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購入前のお試しは、買わない人にとっても価値がある
僕はいわゆるデパ地下、特に地方の物産展のようなものが好きで、見つけるとだいたい立ち寄って、グルグル回ったりします。
そういう物産展って、見たことない、聞いた事のない素材を使った食品なんかがあって、非常に興味深いです。食べ物、飲み物だと試食をさせてくれる所が殆どで、それも結構楽しみな訳です。
だいたい味が想像できるものもあれば、どんな味がするのか分からないものもあります。中には、試食してみたら想像と違ってあわない、とかお酒を飲む人にはいいんだろうけど、飲まないから買わないな、と思ったりします。というより、買うにまで至るのは実は少なかったりしますね。
さて、ここで考えてみて欲しいのは、ある好き嫌いがはっきりしてしまうような食品があったとして、試食をする事で「買わない」と思う人が多いのであれば、試食させないほうがよいと考えるべきなのかどうか、という事です。
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問題をわかっていて見過ごす心理
ある日の夜、会社での仕事が遅くなり、終電で帰宅する事になりました。
駅に降りた人はまばらで、いつものように駅から坂を下って自宅に向かっていました。その坂はカーブになって先が見えない感じになっているのですが、カーブの先の人たちがなにやら横をみつつ...でも、そのまま坂を下っていくのが見えてなんだろ?と思って坂を下っていきました。
近くまで行った時、その正体に気がつきました。
道の横に置いてあったゴミらしきものに火がついて燃えていたのです。
煙が出ていて、炎も見える感じでした。
しかし...僕以外の人は横目では見るけれど、何もせずに通り過ぎていったのです。
僕は急いで近くの深夜営業をしている弁当屋に駆け込んで、バケツに水を入れて貰い、それで消火をしました。少し手間取ったのもあったのか、戻ってきた時には少し火に勢いがあり、バケツ一杯では消せないかと思ったのですが、その後、弁当屋の方が、追加で水を持ってきてくれてなんとか消し止めました。
これは僕が実際に体験した事です。
僕は「火が怖い」と思うよりも「問題があるのが分かっているのに皆が通り過ぎる」という事に怖くなりました。
その時の通り過ぎていく人の心理はどのようなものなのでしょうか。
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プリキュアは何故「戦う」のか
僕がその存在を知ってから、不思議でしょうがなかった事の一つが、「プリキュアは何故戦うのか」という事でした。
男の子向けのヒーローものが戦う理由は疑いようもなく分かります。自分も子供の頃に仮面ライダーごっことか、ウルトラマンごっこをやっていましたし、小さい子供は本能的にああいう戦いモノが好きなのは分かるのです。
だけど、明らかに女の子向けの番組の「プリキュア」に「戦う」要素が入っている事に不思議な感じを受けていました。女の子やお母さんにしてみたら、それは余計な要素なのではないか、と思った訳です。
はじめは、「変身」するための必然性を持たせるため、「戦い」なのだと思っていました。女の子はちょっと大人に変身する、という事にはあこがれますし、変身するための「道具」がオモチャとして人気がある所を見ると、それも確かに、とは思っていたのですが、それでも「?」がついていたのです。
以前、TV番組の仮面ライダーが満たすニーズとは何か、というお話をしました。
過去記事:TV番組の仮面ライダーシリーズが応えているニーズは?
あくまで「仮説」に過ぎず、プリキュアを作っている人に聞いた訳でもありませんが、もしかしたら、「兄弟」の存在がその答えかもしれないと思っています。
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もじぴったんPS2版でのパッケージ改良(裏)
PS2版もじぴったんの発売後、パッケージに問題があり、本来は大人、特に大人の女性が楽しめる商品だったのに、それがうまく伝わっていなかった事がわかりました。
過去記事:もじぴったんPS2でのパッケージの失敗
逆に言えば、そこの伝え方をうまくすれば、まだ「もじぴったん」を買って頂けると考えていました。
過去記事:失敗の中から機会を発見する姿勢
そんな時にベスト版(廉価版)の発売の話が舞い込みます。
ほんとにこの時には色々あったのですが、今回は特にパッケージデザインの話をします。
通常、ベスト版発売時には最初に発売されたオリジナル版からデザインや表記の中身を変更する事は基本的にありませんでした。ベスト版にする時には共通のフォーマットがあって、それにあわせて修正を加えるだけ、なのが普通でした。
しかし、パッケージの問題点がはっきり分かっていた事もあり、絶対に修正が必要だと思った僕は、関係各所にかけあって、デザインには大幅に手を入れました。
ベスト版のパッケージデザインを変更しない理由は、もちろんあるのです。
過去記事: 会社の常識を疑い、うまく破る方法
ベスト版で大幅にデザインを変えて、もし過去にオリジナル版を購入したお客様が「新作」だと思って購入してしまうと、クレームになってしまうのです。ですから、変更をかけない、フォーマットで廉価版である事がはっきりわかるようにする、事が必要だった訳です。
ですから、そういう誤解を与えない範囲で、修正をする必要がありました。
ものを見て貰うのが早いので、修正後(裏面)と修正前(裏面)を見てもらおうかと思います。
以下が修正後(裏面)です。
以下が修正前(裏面)です。
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失敗の中から機会を発見する姿勢
私は失望などしない。なぜなら、どんな失敗でも次への前進の新たな一歩となるからだ。
[トーマス・エジソン(1847~1931)]
前回の記事で、「ことばのパズル もじぴったん」PS2版のパッケージがうまく出来ていなかったため、お客さまに伝わらず思い通りにならなかった事をお伝えしました。
過去記事:もぴったんPS2でのパッケージの失敗
もじぴったんの最初の家庭用商品(PS2版,GBA版)発売時に最初に想定していた購入者はゲームセンターでもじぴったんを遊んでいたお客様、でした。当時のゲームセンターの小型ビデオゲーム機が置いてあるコーナーにはほぼ男性しかいないような状態でしたから、そのお客様が最初に購入するだろう、と思っていた訳です。
確かに「もじぴったん」PS2版の初期購入者の半数程度は、アーケード版の体験者でした。
しかし、残り半分のお客様は、逆にいえばアーケード版をやった事がないか、まったく知らない人だった訳です。
具体的には、「子供の言葉の勉強にちょうどいいかも」と思ったお母さんが購入しているケースが少なからずあったのです。
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もじぴったんPS2でのパッケージの失敗
僕が担当した初めての家庭用ゲームが「ことばのパズル もじぴったん」のPS2版とGBA版でした。
以前にもお話した通り、家庭用ゲームのパッケージについては色々と疑問を持っていた事もあり、それなりに工夫はしたつもりでいました。
しかし、それらが、思っていたようにはなっていなかった事が、発売後に調査をする過程でわかります。
その一部となりますが、何が「まずかった」のかのお話をしようと思います。
表面の帯の話は過去にしたので、裏面のお話をしようかと思います。
過去記事: 自分の業界以外のアイデアを盗む
まずは実際のもじぴったんPS2版(オリジナル)のパッケージ裏面をご覧下さい。
僕らが「もじぴったん」を世の中に出す上で、最初に問題があると思っていたのは「遊ぶ前から難しすぎる」ように思われてしまうのではないかという懸念でした。
ですから、とにかく難しく見えなさそうにするという意図がパッケージのあちらこちらに反映されています。最初に訴える事が「かんたん」とか、「ひらがな」を多用する、等....
発売後、パズル好きでPS2を所有していて、「もじぴったん」を認知していない大人の方々に、このパッケージを見て頂く調査をしたところ、ほぼ全員一致で次のような事を「即座に」言いました。
「子供向け(というより幼児向け)ソフトで、すごく簡単すぎてつまらなさそう」
客観的に見れば、すぐに分かる気がします。
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買ってはいけないお客さまに買わせてはいけない
商売をしていく上で、特に売上の責任を負う立場(プロデューサー、経営者だけでなく営業の人等)になれば、もちろん担当している商品が沢山売れるほうがよい、と考えるのが普通です。
しかし、その商品を買ったら明らかに「不満になる」人にも「買ったほうがいいよ」とお勧めする事は、やってはいけない事です。
しかし悪い事に、商品を提供する側は意図的でなくても、半ば「無意識」に「買ったら不満になる人にまで勧めてしまう」事をやってしまっています。
(具体的なタイトル名は挙げませんが)、例えば、ゲームの内容は操作も複雑で反射神経も求められるゲームなのだけれど、それじゃ売れないから、と自社で売れているブランドとキャラクターを乗せて売る、みたいな事をする訳です。その乗っけた「ブランド」が、やはり操作が複雑で反射神経が求められている事が受けている要因(満足点)のブランドならいいのですが、真逆でむしろ複雑な操作や反射神経を要求しない事が、特に女性に受けているブランドだったりする訳です。
確かに、有名なブランドを乗っける事は小売店の初回受注や初期の売れ行きにはプラスに働くかもしれませんが、結果的に、それにつられて買ったお客さまが(例えば操作が難しすぎるというような基本的なレベルで)不満になり、中古に溢れ、小売店は値崩れに苦しむというケースは、見ている限りこの業界では珍しくありません。
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