2014.09.08
三浦 善司 (みうら・ぜんじ)氏
[リコー社長]
どの企業もリーマンショック以降、欧州危機や
震災、円高などに苦しめられてきましたが、
それだけではありません。私たちのビジネス
モデル自体に問題がありました。リコーの主力
事業は複写機ですが、だんだんコピーを取ら
なくなってきました。情報のアウトプット先は
紙でなくなり、タブレット端末などに変化して
きました。
変わらなきゃいけない。ビジネスの効率を
もっと高める必要がある。だからトランス
フォーム(変身)が必要だと口を酸っぱくして
言っています。
「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」という
創業者の市村清の言葉であるリコーの
「三愛精神」に反することをやっているんじゃ
ないかと言われたのが一番つらかった。
目標を達成できない体質になっていました。
みなさんに公表した目標が全然達成できて
いない。社内で決めたアグレッシブな数字を
目標値にしてきたのですが、公表している
以上、達成するのは当然です。
先進国ではハードウェアと、IT(情報技術)など
のサービスをセットで提供する「モノ(ハード)
+コト(サービス)」を大きく展開していきます。
一方、新興国はまだまだハードだけでも伸び
しろが大きい。アジアや中近東、中南米の売り
上げはここ数年、毎年2けた成長を続けており、
今までのビジネスモデルがある程度通用します。
ただ急激な経済成長を遂げている一部の国では、
新たなイノベーションも同時に起きています。
ですからモノ+コトの考えは、段階的に新興国
でも展開していかなければなりません。
これは市場をよく見極めて決めます。
どのカメラもリコーと傘下の「ペンタックス」の
光学技術を存分に生かした製品です。リコーの
前社名は理研工学工業ですし、もう意地ですね。
意地でもカメラはやめません。
例えば昨年発売した360度撮影できる全天球
デジタルカメラ「シータ」(下図参照 註:藤巻隆)。
死角のない360度撮影ができる点を生かして、
お年寄りやペットの見守り用途などのセキュリ
ティーサービスで活用していきたいと思います。
これからは複写機もカメラも単体だけでは売れ
ません。ハードに新しい付加価値をプラスして
提案していくつもりです。
「クオーターレボリューション(4分の1の革命)」と
社内では言っています。常に全体のビジネスの
25%を新しいビジネスに変えていく。1つのビジネス
モデルが未来永劫続くということはありません。
複写機のようなハードだけのビジネスの寿命は
やはり短くなっている。
現在、実証実験を始めているのが、遠隔医療
システムです。画像診断や画像処理、通信技術
などを使ってインドの都市部の医師が地方に住む
患者を遠隔で診断することができます。
繰り返しになりますが、先進国を中心に「モノ+
コト」の販売力が求められています。
しかし、これまで何十年もハードだけを売ってきた
社員にいきなりサービスを売れといってもそう簡単
にはいきません。そこで、今年2月に米国のITサー
ビスの会社を買収しました。
評価を上げるための方法は2つしかないと思って
います。1つは現実のビジネスで利益を出すこと。
もう1つは将来を語ってそれを着実に実行すること。
当たり前ですが、この2つに尽きますね。努力して
いますが、まだ十分ではないということなのでしょう。
1000億円規模の事業はすぐに育たなくても、常に
新しいビジネスを生み出して地道な努力で伸ばす
ことで、厳しい評価を覆していきたいと思っています。

リコー社長 三浦善司氏と360度撮影ができる「シータ」
(『日経ビジネス』 2014.09.08 P.084)
次世代の事業の柱とすべく、「3Dプリンター」市場に
参入しました。
3Dプリンター市場がこれから急拡大すると見て、
リコーが蓄積してきた複写機の技術を応用できる、
と確信したからでしょう。
さらに、参入が遅れると不利になるという判断が
働いたとも考えられます。
「3Dプリンター市場参入」の内容をご紹介しましょう。
リコーの公式サイトから引用しました。
3Dプリント関連事業に参入 ~RICOH Rapid Fabで、
3Dプリント関連事業に参入
~RICOH Rapid Fabで、ものづくりのイノベーション
を支援~
株式会社リコー(社長執行役員:三浦善司)は
この度、3Dプリンターをキーとしたアディティブ・
マニュファクチャリング事業(AM事業)に参入
します。事業の第一弾として、ものづくりイノベー
ション拠点「RICOH Rapid Fab(リコーラピッド
ファブ)」を神奈川県横浜市と厚木市に開設
します。
今年度は2つの「RICOH Rapid Fab」の運営を
通して、3Dプリンターの仕入れ販売、3Dプリン
ター出力サービス、リコーの実践事例に基づく
コンサルティング提案を展開し、今後はグロー
バルに拠点を順次拡張していきます。
なお、日本における販売はリコージャパン(株)
が行います。
<事業参入の背景>
近年、顧客ニーズの多様化に対応するため、
製造業では短期間での製品開発プロセスが
求められています。
3Dプリンターは、設計データから手軽に試作品
を造形し、時間とコストの節約に貢献できる
として、ものづくりの現場において関心が高まって
います。リコーグループでは、20年以上にわたり
設計業務で3Dプリンターを活用してきた実績に
加え、試作や金型加工などの数々の技術を有して
います。
こうした実績と技術を融合したAM事業を立ち上げる
ことでリコーは、お客様のものづくりの現場における
イノベーションを支援いたします。
ものづくりのイノベーションを支援~ から
リコーはもともと主力は複写機(コピー機)でしたから、
ノウハウは蓄積しています。
2次元から3次元への進化は、私たちの生活にどんな
変化をもたらすのでしょうか?
号砲! 3D生産競争 クルマもスマホも印刷できる (1)
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リコーについて補足説明をします。
リコーの歴史を紐解くと、小保方晴子さんが「STAP細胞」で
物議を醸した理化学研究所と関連があります。
リコー Wikipedia から
1936年2月6日 - 理化学研究所で開発された感光紙の
商品化のため、理研感光紙株式会社として設立。
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