2014.09.15
武藤 光一 (むとう・こういち)氏
[商船三井社長]
運輸省(現国土交通省)が64年、当時乱立
していた海運会社を(商船三井や日本郵船
など)大手6社に再編した「第1次海運集約」
政策から50年。これは海運業界にとどまらず、
日本の産業史から見ても大きな意義がある
と思います。
我々は浮き沈みの激しい海運市況に依存
する経営戦略を進めてきた結果、リーマン
ショック前までは好況を謳歌できた半面、
その後、運賃市況が停滞する中では大きな
痛手を受けた。今回の中計(中期経営計画
註:藤巻隆)は、そういう(短期志向の)世界
から距離を置こうと思って策定しました。
2019年度末まで当社全体の運航規模は
900隻強を維持しながらも、LNG輸送船には
集中的に投資して120隻に拡大します。
総額1兆円(発注済みを含む)の船舶投資
のうち、過半数がLNG輸送船です。
LNGは船の増強に見合う着実な輸送需要が
見込まれます。しかも我々が長期輸送契約
を結んでいるのは石油メジャー、大手商社
など極めて優良な荷主企業です。
自動車は日本から世界に向けてスポーク状に
輸出が伸びていましたが、今は現地生産の
進展で荷動きが多極化、小ロット、多頻度に
変わっています。
実際に先日、北米の機関投資家を訪問したら
大半は1~2年、長くても3年先までしか企業の
姿を見てくれない。しかし富裕層の個人資産を
預かる大手運用会社など、10年、15年という
タームで企業を評価してくれる投資家が多かっ
たのも印象的でした。
日本の荷主さんに育てていただくという構図は
変わらないでしょうけれど、これから伸びていく
お客様は海外に多くいらっしゃる。
しかし日本の船会社ですし経営の基軸はやはり
日本に置きたい。海運はサービス業ですから、
日本らしいきめ細かな対応も強みになるでしょう。
社長は結果を出すということで評価するとしたら
落第でしょう。0点です。(過去4年間で2度の
最終赤字を計上し、今期の利益計画を発表後
3カ月で引き下げるなど)業績が全てですからね。
ただ言い訳としては20~30年先まで将来の種まき
はある程度できたと思っています。

商船三井社長 武藤光一氏
(『日経ビジネス』 2014.09.15 P.112)
海運業界は、天然資源や部品、完成品の
輸出入で、クライアントにとり、重要な
ロジスティックス(物流戦略)を担っています。
ただ、日本企業の海外生産が増加したことで、
日本からの輸出は減少傾向にあります。
武藤さんは社長就任後5年間を振り返って、
自己採点は0点と語っています。
それでも「20~30年先まで将来の種まきは
ある程度できたと思っています」とも語って
います。
米国のシェールガスの埋蔵量は期待するほど
に多くはないと言われているため、市況がどう
なるかは予断を許しませんが、シェールガスの
ほか、ロシア・ヤマル半島のLNG(液化天然ガス)
の輸送に活路を見出しているように思えます。
事実、「今、約50隻のLNG輸送船を追加発注
しています」と発言しています。
世界トップ5の海運会社の中に、日本の3社
(商船三井、日本郵船、川崎汽船)が入って
いるとは、知りませんでした。
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