ゼミや生活指導論の授業で、元プロ野球選手の桑田真澄氏の著書や発言をとりあげ、何度か紹介している。
スポーツに関する、これまでの誤った指導を否定し、すぐれた指導のあり方について発言をしているからだ。
彼の著書を卒論作成のために読んだゼミ生もいる。
その桑田氏が、体罰問題について朝日新聞のインタビューに答えている。
ひとこと、ひとことが、今回の大阪桜宮高校のバスケ部顧問教師による体罰と、それによるバスケ部主将の自殺事件について明確な批判となっている。
大阪の橋下市長も、これまでの体罰容認論を今回の事件の後から「それは誤っていた」と自己批判し否定した。そのさい、この桑田氏の文章も大きく影響していることが今朝の朝刊から伝わってきた。
すぐれたプロ野球選手や、オリンピックに出場する選手たち、バスケットボールやバレーボール、サッカー、アメフト、剣道、柔道、相撲、ゴルフ、テニス、…等々、ありとあらゆるスポーツの名のある選手やコーチたちが、桑田氏のように、体罰を明確に否定する発言をしてくれたらと強く思う。
体罰だけではない。暴言、人権や人格を否定した言い方、日常の私生活まで管理統制しようとする姿勢等、すべて批判されるべきだろう。
桑田氏は中学まで毎日のように殴られいたという。それは監督やコーチだけでなく先輩たちからも…。そして彼は言う。
「私は、体罰を受けなかった高校時代に一番成長しました」「『愛情の表れなら殴ってもよい』という人もいますが、わたし自身は体罰に愛を感じたことは一度もありません」
厳しい体罰容認論指導者への言葉もある。
「『絶対に仕返しをされない』という上下関係の構図で起きるのが体罰です。監督が采配ミスをして選手に殴られますか?スポーツで最も恥ずべきひきょうな行為です」
「指導者が怠けている証拠でもあります。暴力で脅して子どもを思い通りに動かそうとするのは、最も安易な方法」
そして、スポーツを楽しむ子どもの成長について次のように触れている。
「体罰を受けた子は、『何をしたら殴られないで済むだろう』という思考に陥ります。それでは子どもの自立心が育たず、自分でプレーの判断ができません」
「野球で三振をした子を殴って叱ると、次の打席はどうすると思いますか?何とかしてバットにボールを当てようと、スイングが縮こまります。『タイミングが合ってないよ。他の選手を見て勉強してごらん』。そんなきっかけを与えてやるのが、本当の指導です」
桑田氏の発言と記事は、将来小中学生を相手にスポーツクラブや部活道の指導をしたいなと思っている人たちに読んでもらいたい。
そしてまた、『体罰は愛のムチだ』、スポーツには少々の体罰があって当然という見方をしている保護者や大人の人たちに、読んでもらいたい。そして、子どもを本当に育てるとはどういうことか…を問い直してもらいたいと思う。
この桑田氏のインタビューをして記事をまとめた記者とそのスタッフに私は感動したした。