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高木鉄工のブログ

NC旋盤・マシニングセンタによる機械加工、熟練職人による手仕上、産業機械の設計・組立等モノづくりのスペシャリスト集団・高木鉄工株式会社のブログです。CAD/CAMによるNC機械加工プログラムオペレーターが毎週金曜日に記事を更新

CAD/CAMデータの見直し・修正

 

先週は「CAD/CAMデータの整理と編集」というタイトルにしておりましたが、どちらかといえば今回の見直し・修正の方が実情に合っている気がします。

 

引き続き製作実績のある所謂リピート品の共用NCプログラムの中から、作成して何年も経過しているものからまずはCAD/CAMデータを編集していきます。

 

先週の記事同様、工具番号や名称を中心に修正していきます。

 

又、加工結果を踏まえて加工方法や工具を変更したこともありました。例えば下図のような座グリ加工の場合、

座グリ加工部

最初に作ったデータでは1ヶ所で約40分かかっていましたが、使用工具と手順を変更することで約20分、およそ1/2の時間短縮に成功しました。

 

このような加工後のデータ調整を類似の加工にも反映させていきます。まだまだ改善の余地はあるので今後も頑張っていきます。

 

そしてこの記事を書いている本日でCAD/CAMの見直しと修正はほぼ終わったので、次は実際に機械で使用するNCプログラムを修正していきます。目標、年内完了!

 

それではまた。次回更新は12/16(金)予定です。

 

CAD/CAMデータの整理と編集

 

過去に作成してきたCAD/CAMデータの最新版への更新を実施しました。

 

手持ちの仕事をだいぶ前倒しして少し余裕ができたので、以前から実施しようと思っていた過去データの整理と編集を少しずつ進めています。

 

弊社では過去に製作実績のあるものと同じもの、通称リピート品の受注がしばしばあります。

 

そんな時、NCプログラムは図面の変更点を確認し特に問題なければ過去データをそのまま使用できるのですが、作成して何年も経っているものは更新したいと常々思っていました。

 

現在は忙しかったのが少し落ち着いているので、旧いデータを最新の状態に編集しています。

 

具体的には主に使用工具の整理。機械オペレーターと打ち合わせを重ねていくうちに使用工具の固定化(頻繁に使用する工具の番号を固定)を行ったので、番号の振り替えと名称の付け替えを少しずつ行っています。

 

例えば、こちらの旧CAMデータであれば、

旧プログラム

 

このように修正・更新。

新プログラム

 

工具リスト(旧)→(新)

工具番号と工具名称を現在の機械設定に合わせて修正しています。

プログラム変更箇所

 

落ち着いている今のうちにできるだけ多く更新したいものです。

 

それではまた。次回更新は12/9(金)予定です。

材料を計測して素材設定

材料を計測し、CAD/CAMへの素材設定とすることで効率の良いNCデータを作成します。

 

材料は基本的に直(立)方体形状や円(ドーナツ)切で入荷することがほとんどですが、稀にある程度製品形状に近い状態になっている場合があります。

 

そういう場合は素材形状を計測してデータ作成時の素材設定とします。そうしないと工具のエアーカット(空振り)が増えて大きなタイムロスとなってしまいます。

 

CAD/CAMデータを作成する製品の材料

ちょうどこれからCAD/CAMデータを作成する製品の材料が入荷していたので、こちらの寸法を計測します。

粗加工素材

 

  1. 高さ
  2. 外径
  3. 内径
  4. 各部寸法

以上を計測します。

 

1:高さ

素材高さ

 

2:外径

素材外径

 

3:内径

素材内径

 

4:各部寸法等

素材各部寸法

 

計測した寸法でCAD図へ反映(今回の場合は旋削断面形状)し、

 

CAD/CAMの素材設定例

計測した寸法をもとに下図のように素材形状を設定します。

CAD素材

 

データ作成時の素材設定とすることでエアーカット(空振り)を最小限に抑えます。

 

CAD/CAMオペレーターの業務紹介のページに書いている通り、データ作成の工程が始まりとなるのでここでしっかり加工内容を吟味することで後工程の時間短縮となるので、打ち合わせをしながら今後も改善に努めていきます。

 

それではまた。次回更新は12/2(金)予定です。

「これ、どうなってるの?」

客先からの図面を見せられながら、そんな質問がありました。

 

下図の赤囲い部の□70がよくわからないので、図面屋の見解を教えてほしいとのこと。

元図面

客先図面をWEB上にアップするわけにはいかないので、自分で簡略化したイメージ図にしています。

(実際はほかにもごちゃごちゃと色々な線があった為、ぱっと見はわかりづらかったようです)

 

自分は学生時代も含めればもうかれこれ30年近く図面作業をしているので頭の中にすぐイメージはできましたが、それを言葉で説明するには本人の言語化能力が不足しており「百聞は一見に如かず」という言葉もあることだし、幸い手持ちの仕事で急ぎの案件がなかったのでぱぱっと三次元作図することにしました。

三次元モデル

「こうなります」「そうか!わかった、ありがとう」

一目で解決しました。やはり三次元モデリングの説得力は絶大です。

 

三次元モデルをもとに先ほどの図面を修正するならこんな感じでしょうか。

新図案

側面図の寸法指示に対して正面図の表現が食い違っていたようです。これなら大丈夫でしょう。

 

CADでの三次元モデリング、今日も有効活用できました。今後も色々と活躍させていきます。

 

それではまた。次回更新は11/25(金)予定です。

毎週金曜日は工程打合せ

毎週金曜日は朝一から工程打合せを実施しております。

 

各グループの代表が出席し、その週の進捗報告と次週の予定を発表。製作品の流れの擦り合わせを行います。

 

優先度により擦り合わせ時に多少の工程調整も行います。

 

私の作業は少し落ち着いてきていましたが、本日無事に新規案件が出てきたので来週からまた忙しくなりそうです。

 

短納期により工程間の擦り合わせが重要となるので定期打合せ以外にも密に連携していきます。

 

それではまた。次回更新は11/18(金)予定です。

ツール変更による機械加工時間の短縮に成功

 

今回、アルミの加工品で無垢の材料からの削り出しの為、加工時間がかかっている品物をどうにか短縮できないものかと以前より試行錯誤しておりましたが、最初の粗削り出し加工に使用していたツールを変更することにより1時間以上の機械加工時間短縮に成功しております。

 

加工時間の長さが課題

 

対象の製品はサイズ違いで以前から実績ありましたが、前述の通り無垢材からの削り出しの為加工時間の長さが一つの課題でした。

 

加工の大きな流れとしては

  1. 粗加工
  2. 中仕上加工
  3. 仕上加工

となり、この中で特に1.粗加工が短縮効果が大きいので今回こちらをターゲットにしました。

 

粗加工ツール変更前

以前は[A]の工具を使用していた為、データ上で約2時間35分かかっておりましたが、

 

粗加工ツール変更後

今回[B]の工具を使用することでデータ上約1時間13分となり、約1時間22分の時間短縮が見込めました。

 

実際の加工でも検証しましたが、ほぼデータ通りの結果となり本製品は計12個製作する為、11個分で実に約15時間もの加工時間削減に成功しております。工程終了が1日早まるほどなので大きな成果と言えます。

 

今後も色々な視点から加工時間短縮を図り、コストダウンにつなげていきたいと思います。

 

それではまた。次回更新は11/11(金)予定です。

CAD/CAM作成データの見積への活用例をご紹介します。

 

CAD/CAMの活用例を以前にも紹介致しましたが、作成データを見積もりに活用することもあります。

 

過去に加工実績がある場合はそれを参照すればよいのですが、新規製品の場合は以前までは加工者が図面を見て類似の経験からおよその加工時間を出すことが多かったのですが、CAD/CAMの活用により見積用図面から概算の加工時間を出し、見積に反映させることも可能です。

 

見積用参考CAM

上記は最近作成したとある見積案件のマシニング加工データシミュレーション画面になります。

形状はさすがに表示できませんのであしからず。

 

実加工に近いかなり正確な加工時間を出せるため、このような見積用のCAD/CAMデータを作成することも増えてきました。

 

本日はそんなCAD/CAMの活用方法のお話でした。

 

それではまた。次回更新は11/4(金)予定です。

今日は工具カタログを見て加工改善検討をしておりました。

 

一時期の忙しさが落ち着き、自分の作成するNC加工プログラムは工程に対してだいぶ先行することができたので、かねてから考えていたNC加工プログラムの見直しのため、以前工具メーカー様から頂いていたカタログを見ながら使用する加工工具を吟味。

工具カタログ

 

既存の穴加工・ネジ切のNCプログラムを上記の加工工具に変更して簡単なテスト加工プログラムを作成。

テスト加工

 

データ上ではかなりの改善が見込める箇所もあるので、今忙しい機械工程が落ち着いたら実加工で検証したいところです。

 

今後も現状に満足せずどんどん改善していきたい所存です。

 

それではまた。次回更新は10/28(金)予定です。

 

 

CAD/CAMの活用例の一つとして、機械加工時間の事前確認ができることが挙げられます。

 

加工物の大きさや材質、使用するNC工作機械と使用工具により回転数や工具の送り速度等の切削条件を設定してCAD/CAMで加工データを作成し、シミュレーションを実行(又は簡易パス確認)するとデータ上での加工時間を算出できます。

 

これにより加工前の計画が立てやすくなります。例えば、下記のサンプルの場合……

CAMシミュレーション画面

加工時間サンプル

加工時間が長く、本サンプルの場合粗加工のため担当者が機械につきっきりになる必要がないので夜間の無人運転で加工を行うような段取りの計画ができます。

 

他にもシミュレーションで算出した加工時間は工程計画に活用できるので、場合によっては図面があれば受注後すぐに仮の加工データを作成して概算の加工時間を算出することもあります。

 

今日はそんなCAD/CAMの活用方法のお話でした。

 

それではまた。次回更新は10/21(金)予定です。

NCプログラム豆知識を今日は一つ。

 

NC旋盤でもNCフライス(マシニングセンタ含む)でも共通なのですが、NCプログラム内の数値の取り扱いについて必ず覚えておかなければならないことの一つに「座標値の整数値末尾の小数点を忘れない」ということがあります。

 

どういうことかというと、NC工作機械はX,Y,Zの座標値が整数値の末尾に小数点がない場合、単位をμ(ミクロン)=0.001mmとして取り扱います。

 

基本的に機械製図図面の長さや直径寸法等は単位をmm(ミリメートル)で統一していますが、NC工作機械に工具動作の座標値を入力する際、整数値となる場合は末尾に必ず小数点を付ける必要があります。

 

下記にその例として、

NCプログラムサンプル

AとB、一見同じプログラムに見えますが実は……

NCプログラムサンプル小数点

AのプログラムのみZ座標217の末尾に小数点があります。

このため、AのプログラムではZは217mm、BのプログラムではZは0.217mmとなり、シミュレーションソフト上で動作させると下図のようになり、全く違う高さで動作します。[上図:A]、[下図:B]

シミュレーションA

シミュレーションB

基本的にCAMソフトで出力したNCデータには自動的に末尾の小数点が付与されるため、出力後の編集時や手入力でプログラム作成した場合に注意が必要となり、怠ると工具の衝突等の危険があります。

 

以上、今回はNCプログラムの豆知識でした。

 

 

それではまた。次回更新は10/14(金)予定です。