昭和31(1956)年10月。新社屋にて営業開始――。東京駅日本橋口からすぐ、呉服橋交差点に完成した新社屋にて10月から営業を開始した 大和証券本店 の新聞広告。
この建物、東宝の 社長シリーズ や クレージー映画 などで、何度となく「会社」として外観が使用。東宝クレージー映画の第1作『ニッポン無責任時代』(昭和37年=古澤憲吾監督)でも、平均(植木等)が社長(ハナ肇)を言いくるめて入社してしまう 太平洋酒 の本社として使用されている。
そのため、今もなお「大きな会社」と耳にすると、真っ先に頭に思い浮かんでしまう建物がこの大和証券本店だったりする。山手線の外側にあるから、ついつい日本橋と同じく中央区と思いがちだが、実は ギリ千代田区 というフェイントもあるから要注意!
2007年に撮影した大和証券本店の外観
面白いことに、この建物の完成当時、毎日新聞夕刊 の名物ミニコーナー『三行往来』(芸能界などの裏話や撮影秘話などをサラリと3行のみで紹介)にて、この建物内部に完成した大和証券ホール(客席数456)の初使用が、よりにもよって 同社重役の小唄発表会 だったとの情報を発見!
毎日新聞の名物コーナー『三行往来』
同じく昭和31年にスタートした社長シリーズ同様、当時の サラリーマン社会の悲哀をグツグツと煮詰めたような ナイスエピソードである。
そんな大和証券ビルの跡地には現在、地上38階、高さ212mの 常盤橋タワー が建つ。まさに隔世の感だが、令和の世にこそ、この場所で 重役による小唄発表会 を実施してほしいものだ。
テーマ:新聞広告シリーズ