75年前の昭和25(1950)年2月。打撃王!藤村選手 颯爽の名演技!−−。愛と感動の松竹巨編 栄光の道(中村登監督)の新聞広告。
主演は 鶴田浩二。元大学野球の花形選手だった鶴田が戦争から復員後、阪神タイガースに入団するというストーリーのようだ。ここで“ミスター・タイガース”と呼ばれた 藤村富美男 選手をはじめ、タイガースの選手が総出演 している模様だ。
テレビの普及前、この時代のプロ野球選手は、名前は知っていても、古いメンコや雑誌で顔を見る のがやっとで、まして映像で 動く姿などは見たこともない選手 が多い。そういった意味で、この映画は貴重な 映像遺産 なのかもしれない。
プロ球界のレジェンド・藤村富美男にしたって、「物干し竿」など数々の伝説や、星飛雄馬 に永久欠番「16」を譲った巨人の 川上哲治 に対し、阪神に入団した 花形満 に 阪神初の永久欠番「10」を譲るなどのフィクションのエピソードは知っていても、その動く姿は『新・必殺仕置人』に登場する闇組織「寅の会」の元締・虎 を演じている姿が初めてだったかもしれない。これもフィクションか…。
寡黙にして不気味なほど感情が表情に出ない虎の役柄は、いつも隣にいる側近・死神(河原崎建三)の不気味さも相まって存在感たっぷりだった。この映画こそが「寅の会」の原点 なのかも?