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令和の政策ピボット呼びかけ人に、高橋あさみ様(私立Z学園高等学校 1年4組 16歳)が加わって下さいました。

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[コロナショック]消費税ゼロ提言の安藤議員に直撃してみた
 
 昨年の十月に、
グローバリズムという疫病(前編) 
グローバリズムという疫病(後編) 
グローバリズムという疫病への抗体 
 といったエントリーを上げ、グローバリズムは疫病のように諸国に蔓延し、国民国家を壊していく。特に、日本はグローバリズム対する「抗体」を持っていない(要は慣れていない)ため、極端な形でグローバリズムが推進されている。

 といった話を書きましたが、まさか半年も経たないうちに、世界的な感染症のパンデミックが発生し、グローバリズム(モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動の自由を善とする主義)が終焉に向かうとは思ってもみなかった。中国の武漢を発祥地とする新型コロナウイルス感染症は、世界に広がったわけですが、個人的に「イタリア」で感染者が増え始めた時点で、
「これはヤバい!」
 と、思いました。

 理由は、イタリアがシェンゲン協定加盟国だからです。EUという「グローバリズムの国際協定」は、モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動を自由化しています。

 人については、EU憲章(マーストリヒト条約)で「労働者の移動を妨げてはならない」と規定されており、挙句にシェンゲン協定。今や、EU諸国は国境検査すらしていない。
 
 シェンゲン協定加盟国で国境を超えるとは、わたくしは埼玉県に「入る」のと同じなのです。首都高池袋線(5号)で北上し、高島平出口を過ぎ、荒川を超えると、「はい、埼玉県」。
 
 イタリアで蔓延した以上、EUのシェンゲン協定加盟国におけるアウトブレイクは避けられないと思ったのですが、予想通りでした。
 
フランス、生活必需品以外の全店休業 スペインは非常事態宣言―新型コロナ
 フランスのフィリップ首相は14日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、生活必需品を扱う店以外の国内全ての店舗を休業にする政府決定を発表した。スペインのサンチェス首相も同日、非常事態を宣言。同様の店舗休業措置を取り、住民の外出を制限すると表明した。欧州では感染者の急増に歯止めがかからず、各国は強力な措置に踏み切った。(後略)』
 
 フランスのエリザベット・ボルヌ(Elisabeth Borne)環境相は15日、新型コロナウイルスの感染拡大を制限するため、国内の長距離列車、バス、飛行機での移動を今後数日にかけて徐々に減らしていく方針を明らかにした。
 同環境相は首都パリで報道陣に対し、長距離移動を「厳密に必要な限り」にまで制限していくと述べた。(後略)』
 
ドイツ、仏・スイスなど国境封鎖へ 物流は維持
 ドイツ政府は15日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、隣接するフランス、スイス、オーストリア、ルクセンブルク、デンマークの5カ国との間で国境検問を実施すると発表した。16日午前8時(日本時間同午後4時)から始める。特別な理由のない外国人は入国できなくなり、事実上の国境封鎖となる。物流や国境を越えて通勤する市民の移動は認める。』
 
 ついに、ドイツまでもが「国境封鎖」。シェンゲン協定は終わりました。
 
【歴史音声コンテンツ 経世史論】

http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※「歴史に魅せられて、myと辿る邪馬台国への道(前編)」が視聴可能となりました。

 

 改めて、グローバリズムとは本当に「平時」のみを前提とした考え方です。国境の向こう側から「悪しきもの」が入ってくることは「ない」という、お花畑の思想に基づいていたわけです。そういう意味で、日本の戦後のいわゆる「平和主義者」の皆様と相性が良いのは分かる。


 現実には、国境の向こう側から「犯罪者」「テロリスト」「疫病」といった好ましくないものが襲来するかもしれない。
 

 あるいは、国民の安全を阻害する農産物が流入するかもしれない。そうでなくても、安価な製品の大量流入により、国内の生産者が打撃を受け、安全保障が損なわれるかもしれない。


 逆に、国内の工場が外国に移転し、国民が所得を稼ぐ場が失われるかもしれない。
 

「大丈夫。悪しきものは入ってこない。国内の生産者が職を失っても、すぐに別の職に就けばいい。安全保障? 何それ?」
 という、幼稚な考え方が世界に蔓延し、結果がこれですよ。


 ニュー・ケインジアン(※ケインズ系ではありません)、つまりは主流派経済学の代表的な人物であるグレゴリー・マンキューまでもが、
Thoughts on the Pandemic
 というブログをリリースし、
『すべての米国人に千ドルの小切手を可能な限り早急に送るべき』
『政府債務の拡大を懸念すべき時はあるが、今は違う』
 といった提言を出しています。バリバリの古典派後継者だったマンキューまでもが「国家」「政府」の力をフルに使うように主張しているわけで、これは「正しい変化」です。


 マンキューによると、トランプ大統領が提唱している給与税免税などは、「所得がある人にしか意味がなく、働けない人には恩恵がない」とのことで、ごもっともです、としか言いようがありません。


 だからこその、「消費税0%」なのですよ、麻生太郎財務大臣。
 

 消費税廃止は、給与所得者はもちろん、年金受給者などにも「可処分所得を増やす」効果があります。しかも、低所得者層に恩恵が厚く、高所得者層には薄い。
 

 まさに、現在の日本にとって「消費税廃止」こそが正しい経済政策なのです。無論、消費税廃止以外にも、休業補償、粗利補償、給付金支給(マンキュー式に言えば、小切手を送る)などなど、やるべきことは多々ありますが。


 本日、主要7か国の首脳(G7)による、新型コロナウイルス感染症の問題に関する特別TV会議が開催されます。


 情けない話ですが、もはやここまでくると、「外圧」によりPB黒字化目標が撤廃され、消費税廃止等の大規模経済対策が組まれるならば、それでもいいです。自殺者が激増するよりはマシです。


 いずれにせよ、1980年代以降、世界を席巻したグローバリズムが終わりに向かいつつあります。


 別に、鎖国しろと言いたいわけではありません。「国民を守るために、国境の高さを少し引き上げようよ」という話です。全てはバランスです。
 それにしても、グローバリズムにより「ヒト」の国境を超えた移動が自由化され、結果的に感染症のパンデミックを引き起こし、グローバリズムが終焉に向かうとは、実に皮肉な話でございます。


 とりあえず、政府は早急にPB黒字化目標を破棄し、大規模経済対策を決断せよ!

 

「PB黒字化目標を破棄せよ!」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!
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