バリー・ハリス逝く
バリー・ハリスはご高齢と分かっていたし、イタリア公演後に体調を崩したりと言う話を聞いていた。しかし、2021年12月8日*、いざ亡くなったとの知らせを聞くと、何と偉大なピアニストを失ってしまったのだろうという喪失感を覚える。ソロ作「ピアノ・イン・ザ・ダーク」に聴き入る。(*ジョン・レノン命日、真珠湾攻撃日と同じ)バリー・ハリスを最初に観たのは10年ほど前のニューヨーク老舗、ヴィレッジ・ヴァンガードであった。登場から余裕しゃくしゃくユーモアたっぷりで、大きそうな両手で弾き始めると、空気が一瞬でバップ時代に染まる!お弟子さんと思われる人が大勢来ていて、「ナシメント」の時に見事なコーラスも聴かせてくれた。2018年8月にもロンドンのピザ・エクスプレス・ジャズで88歳のハリス先生を観る機会があり、歩くのは一歩一歩しんどそうだったが、ピアノの前に座ると鮮やかな手さばきでクラブを魅了した。もちろん「ナシメント」ではみんなで合いの手を入れて楽しんだ。「LIVE FROM NEW YORK! VOL.1」をスタッフがその場で販売してくれた。大学生時代、1985年辺り、今は閉店したジャズバーVeeJay(小樽本店)の札幌店でアルバイトしていた頃、先輩がバリー・ハリスを教えてくれて、それからすっかりファンになった。ホールに自分しかいない時はLPレコードを自由に選べたので、よくターンテーブルに載せて悦に入っていた。お気に入りはなんと言っても「At the Jazz Workshop」「Breakin' ItUp」「Preminado」「Chasing' The Bird」「Plays Tadd Dameron」「Listen to Barry Harris」「Magnificent!」 ああ、やはりきりがない。とにかく、今は、バップ黄金時代を作った、いぶし銀のアートに感謝して、多くの若い後輩ピア二ストにも慕われる人柄を偲び、敬意をもってバリー・ハリスをいつまでも聴き続けたい。Critic’s Notebook: 88-year-old Bebop Master Barry Harris Visits LondonDr. Barry Harris played classic bebop piano to young fans in London on August 11. (Photo by David Friedman) Barry Harris Trio at Pizza Express, London London’s current, healthy jaz…allenmorrison.com