2020年3月中旬から始まった長いライブストリームオンリー生活をついに破るメリッサのライブが2021年8月31日、ロンドン老舗ジャズクラブ、ロニー・スコッツで行われた。(ロックダウン前、最後に観たギグはケニー・バロン・トリオでした)

「COVID-19拡大以来、初の海外アーティストです」との紹介を受けてメリッサ・アルダナ・カルテットが登場。「大勢の皆さんの前でプレイすることが叶い本当に嬉しいです」
ニューアルバムから「ビジョンズ」「アクセプタンス」、他にも「アイ・ノウ・ユー・ノウ」などを演奏した。また、第一セットでマイ・アイディアル、第二セットでアイ・ラブズ・ユー・ポーギー、とスタンダードも演奏した。メリッサは細身で長身の美人。テナーサックスが良く似合う。


やはりマンハッタン第一線で活躍しているミュージシャンたちの切れ味はすごい。ギターのラージ・ランドはメリッサの神秘的な世界を一層引き立てる幻想的な高度なプレイでサポート。パブロ・メナレスの安定したベース、シャープで力強いカッシュ・アバディのヤマハのドラムスには大変しびれた。


メリッサは倍音や滑らかなベンドなど音にいろいろな微妙な変化をつけて聴衆を魅了してくれた。お馴染みの屈伸プレイも真正面、1メートル位の距離で見ることができた。第一セットを観た私は即帰宅して第二セットのライブストリームも視聴することができた。なんとついているのであろう。


この夏はフランスやスペインでジャズフェスティバルが大々的に再開したが、皆ロンドンは素通りであった。11月のロンドン・ジャズ・フェスティバルには大量のアメリカ人ミュージシャンが戻ってきてくれることを願う。それにしても、この長いロックダウンの間、ニューヨークのスモークやブルーノート、ジャズスタンダード、スモールズ、キーストンコーナー・バルチモア、日本のブルーノート東京、エメット・コーエンや小曽根真さんの自宅中継、チック・コリア・エクササイズ(未だに信じられません。合掌…)などなど有料無料のライブストリームがどれだけジャズファンの助けになったことか。通信技術の発展にも感謝しつつ、いよいよ生のライブが楽しめる環境が本格的に還ってくることを期待したいです。