女性の健康と美容のために、東洋医学的にまず考えなければならないのは「血」が十分にあるかどうかです。

血は全身の組織に栄養や潤いを与える効果があるので、血の量が減れば皮膚は乾燥して色艶も悪くなりますし、卵巣や子宮の栄養状態も悪くなるため、妊娠もしにくくなってしまいます。「血」を補充するだけでも妊娠する可能性がかなり高まります。詳細は泰龍堂薬局またはお近くのパンダの漢方薬局・薬店でご相談ください。


血の不足は「血虚(けっきょ)」といいますが、所謂貧血とは違うところがあり、主に次のような症状があるものを言います。


【血虚の症状】

月経が遅れる。経血が少ない。生理痛。顔色が青白い又はくすんだ黄色をしている。爪や唇の血色が薄い。爪が柔らかい。立ちくらみ。皮膚の乾燥。動悸・不眠。しびれ。


【血を補充する食品】

米・にんじん・ほうれん草・小松菜・山いも・じゃがいも・かぼちゃ・キャベツ・カリフラワー・いんげん・豆類・干ししいたけ・落花生・ぶどう・ライチ・豚レバー・豚ハツ・豚肉・牛肉・羊肉・イカ など



心脾顆粒の【効能効果】は「貧血不眠健忘」です。

【成分分量】は「本品1日量3包(6.0g)中、下記成分及び分量の生薬より製した帰脾丸エキス8.4gを含有します。オウギサンソウニンビャクジュツブクリョウリュウガンニク 2.10g、オンジトウキ 1.05g、カンゾウモッコウ 0.525g、トウジン 4.20g」となっています。


心脾顆粒は元々思い悩みすぎて、食べられなくなったり眠れなくなったりした時に利用するために作られた処方ですので、心身の機能を高める働きに優れたトウジンを中心に、ビャクジュツブクリョウなどの消化機能を高める生薬、オウギトウキなどの貧血を改善する生薬、サンソウニンリュウガンニクオンジなどの睡眠を改善する生薬を含んでいます。


人が良い方ほど、気が弱い方ほどストレスを抱えて体調を崩しがちです。長い人生を無理なく乗り切るためには、日頃からストレスを減らす工夫が必要です。お困りの方は必ずご予約の上、ご相談ください。

健脾散(けんぴさん)は胃腸虚弱のための代表的な漢方薬です。下に詳しく書きますが、東洋医学では胃腸虚弱を極めて重大な問題ととらえています。


健脾散の【効能・効果】は次のようになっています。

「体力虚弱で、胃腸が弱く、痩せて顔色が悪く、食欲がなくて下痢が続く傾向のあるものの次の諸症:

食欲不振、慢性下痢、病後の体力低下、慢性疲労、消化不良、慢性胃腸炎」


また【成分・分量】は次のようになっています。

「本品1日量3包(5.1g)中、下記成分及び分量の生薬より製した健脾エキス4.5gを含有します。

ヨクイニン 4.8g

サンヤク・ブクリョウ・レンニク 3.2g

ニンジン・ビャクジュツ 2.4g

ヘンズ・キキョウ・シュクシャ・カンゾウ 1.6g


健脾散は消化吸収機能が衰え(脾虚)ることによって水はけが悪くなった胃腸に水分が溢れ(水氾)た状態に用います。

消化吸収機能が衰えれば、十分な栄養成分を体内に取り入れることができません。そのため、あらゆる体調不良や病気を回復させることができないので、この消化吸収機能が衰えた状態を東洋医学では極めて重大な状態としてとらえています。

冠元顆粒(かんげんかりゅう)は、中国で開発された冠心II号方(注射剤)を元とし、それを改良して顆粒剤としたものです。


冠元顆粒の【効能・効果】は

「中年以降または高血圧傾向のあるものの次の諸症:

頭痛、頭重、肩こり、めまい、動悸


また【成分・分量】は

「本品は1日量3包(7.5g)中、下記成分分量の生薬より製した冠元顆粒軟エキス8.2gを含有します。

コウカ・シャクヤク・センキュウ 2.25g 、コウブシ・モッコウ 1.125g 、タンジン 4.5g

添加物として乳糖を含有します。

とされています。


この冠元顆粒の内容を東洋医学的に見ると「血瘀証(けつおしょう)」を改善する漢方薬ということになります。

血瘀証を一言で言えば「血行障害」ということになりますが、「中医学の基礎【日中共同編集】(東洋学術出版社)」には次のような説明がありますので参考にしていただきたいと思います。

「血行が停滞するために生じる症候である。(中略)血液が瘀血となって局所に停留する結果、血行に影響して生ずるものである。(後略)」

この「瘀」という文字は「やまいだれ+於(つかえてとまる)とのことですから「血瘀=血液が滞る」「瘀血=滞った血液」のような意味になります。さらに簡単に言えば「固まった血液」や「血栓」なども含まれていると言えるでしょう。


また【効能・効果】に「中年以降または高血圧傾向のある」とあるのは、血管の弾力性が失われつつある状態を言っているのだと思われます。加齢以外に糖尿病や高脂血症などの生活習慣病のある方は血管の硬化が進みやすいので特に注意が必要です。


このような状態の改善には漢方薬だけでなく生活習慣の改善も大切です。弊店では無理なく効果の高いご指導をさせていただいておりますので、ご予約の上でお気軽にご相談ください。

 

 

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)はその名の通り「女性の宝」であり、とても人気がある漢方薬です。漢方薬としては珍しい、甘くて飲みやすいシロップ状です。

 

婦宝当帰膠の【効能・効果】は次のように記載されています。

『更年期障害による下記疾患:

冷え性、貧血、生理不順、生理痛、腹痛、腰痛、肩こり、頭痛、めまい、のぼせ、耳鳴り』

 

また【成分・分量】は次のようになります。

『本品1日量8mL中、下記成分及び分量を含有します。

婦宝当帰膠エキス・・・4.3mL

(トウキ 5.52g。オウギ・ジオウ・シャクヤク・ブクリョウ 0.36g。カンゾウ・センキュウ 0.16g。トウジン 0.36g

アキョウ 0.36g

 

【効能・効果】に「更年期障害」とあるように、「卵巣機能の低下」に伴うエストロゲン(エストラジオール)の減少状態に用いられることが想定されているのだと思われます。

 

さて、婦宝当帰膠の内容を見てみましょう。

とりわけ含有量が多いのは「トウキ」で全体の69%にもなりますので、トウキの働きが中心になることは容易に想像できると思います。

トウキの働きについて専門書で調べてみると「補血調経」(血液を補充して月経を調える)、「温中止痛」(お腹を温めて痛みを止める)などとあることからも婦人科に用いられる生薬であることがわかります。

 

婦宝当帰膠の成分をさらに詳しく見ていくと、トウキに加えてシャクヤク、センキュウ、ジオウが配合されていて、これは補血(血液を補充する)作用があることで有名な四物湯(しもつとう)と同じ構成となります。(ここまでで全量の80%を占めます)それにアキョウ(ロバの皮から抽出した変性コラーゲン質)が加わることで補血作用を強化しています。

さらにオウギ・ブクリョウ・トウジン・カンゾウは気(エネルギー)を補充することで代謝を促進して補血しやすくしています。

また全体の69%を占めるトウキが温める力が強いので、冷えやすい方に向いています。

 

先程から「補血作用」と書いていますが、これは漢方で言うところの「血虚(けっきょ)」(血液不足の意味)を改善する作用です。

 

それでは「血虚」とはどういう意味なのでしょうか?

血液不足と言いながら、漢方の世界ではいわゆる貧血とは少し意味合いが異なるのですが、簡単な言い方をすれば全身の栄養不足・潤い不足ということになります。

栄養不足と言っても、必ずしも食生活が悪いという意味ではありません。老化や体質虚弱などの問題によって新しい元気な細胞が作れなくなっている状態です。

 

例えば若い頃の肌はピンク色をしてツヤがありますが、年齢とともにピンク色が抜けてツヤが失われて乾燥しやすくなります。これも血虚によるものだと考えられています。白髪が増えたり、髪がパサパサになるのも同様です。

また、添付文書に記載されている生理不順、生理痛、腹痛、腰痛、肩こり、頭痛、めまい、のぼせ、耳鳴りなども血虚が関係しているものがかなり沢山あります。

 

一般に血液と言えば血液自体を想像するのが当然ですが、エストロゲンなどの女性ホルモンも関係していると考えるのは東洋医学の面白いところですし、漢方薬を効果的に利用するためにも大切な考え方のひとつです。

 

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