健脾散(けんぴさん)は胃腸虚弱のための代表的な漢方薬です。下に詳しく書きますが、東洋医学では胃腸虚弱を極めて重大な問題ととらえています。


健脾散の【効能・効果】は次のようになっています。

「体力虚弱で、胃腸が弱く、痩せて顔色が悪く、食欲がなくて下痢が続く傾向のあるものの次の諸症:

食欲不振、慢性下痢、病後の体力低下、慢性疲労、消化不良、慢性胃腸炎」


また【成分・分量】は次のようになっています。

「本品1日量3包(5.1g)中、下記成分及び分量の生薬より製した健脾エキス4.5gを含有します。

ヨクイニン 4.8g

サンヤク・ブクリョウ・レンニク 3.2g

ニンジン・ビャクジュツ 2.4g

ヘンズ・キキョウ・シュクシャ・カンゾウ 1.6g


健脾散は消化吸収機能が衰え(脾虚)ることによって水はけが悪くなった胃腸に水分が溢れ(水氾)た状態に用います。

消化吸収機能が衰えれば、十分な栄養成分を体内に取り入れることができません。そのため、あらゆる体調不良や病気を回復させることができないので、この消化吸収機能が衰えた状態を東洋医学では極めて重大な状態としてとらえています。

冠元顆粒(かんげんかりゅう)は、中国で開発された冠心II号方(注射剤)を元とし、それを改良して顆粒剤としたものです。


冠元顆粒の【効能・効果】は

「中年以降または高血圧傾向のあるものの次の諸症:

頭痛、頭重、肩こり、めまい、動悸


また【成分・分量】は

「本品は1日量3包(7.5g)中、下記成分分量の生薬より製した冠元顆粒軟エキス8.2gを含有します。

コウカ・シャクヤク・センキュウ 2.25g 、コウブシ・モッコウ 1.125g 、タンジン 4.5g

添加物として乳糖を含有します。

とされています。


この冠元顆粒の内容を東洋医学的に見ると「血瘀証(けつおしょう)」を改善する漢方薬ということになります。

血瘀証を一言で言えば「血行障害」ということになりますが、「中医学の基礎【日中共同編集】(東洋学術出版社)」には次のような説明がありますので参考にしていただきたいと思います。

「血行が停滞するために生じる症候である。(中略)血液が瘀血となって局所に停留する結果、血行に影響して生ずるものである。(後略)」

この「瘀」という文字は「やまいだれ+於(つかえてとまる)とのことですから「血瘀=血液が滞る」「瘀血=滞った血液」のような意味になります。さらに簡単に言えば「固まった血液」や「血栓」なども含まれていると言えるでしょう。


また【効能・効果】に「中年以降または高血圧傾向のある」とあるのは、血管の弾力性が失われつつある状態を言っているのだと思われます。加齢以外に糖尿病や高脂血症などの生活習慣病のある方は血管の硬化が進みやすいので特に注意が必要です。


このような状態の改善には漢方薬だけでなく生活習慣の改善も大切です。弊店では無理なく効果の高いご指導をさせていただいておりますので、ご予約の上でお気軽にご相談ください。

 

 

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)はその名の通り「女性の宝」であり、とても人気がある漢方薬です。漢方薬としては珍しい、甘くて飲みやすいシロップ状です。

 

婦宝当帰膠の【効能・効果】は次のように記載されています。

『更年期障害による下記疾患:

冷え性、貧血、生理不順、生理痛、腹痛、腰痛、肩こり、頭痛、めまい、のぼせ、耳鳴り』

 

また【成分・分量】は次のようになります。

『本品1日量8mL中、下記成分及び分量を含有します。

婦宝当帰膠エキス・・・4.3mL

(トウキ 5.52g。オウギ・ジオウ・シャクヤク・ブクリョウ 0.36g。カンゾウ・センキュウ 0.16g。トウジン 0.36g

アキョウ 0.36g

 

【効能・効果】に「更年期障害」とあるように、「卵巣機能の低下」に伴うエストロゲン(エストラジオール)の減少状態に用いられることが想定されているのだと思われます。

 

さて、婦宝当帰膠の内容を見てみましょう。

とりわけ含有量が多いのは「トウキ」で全体の69%にもなりますので、トウキの働きが中心になることは容易に想像できると思います。

トウキの働きについて専門書で調べてみると「補血調経」(血液を補充して月経を調える)、「温中止痛」(お腹を温めて痛みを止める)などとあることからも婦人科に用いられる生薬であることがわかります。

 

婦宝当帰膠の成分をさらに詳しく見ていくと、トウキに加えてシャクヤク、センキュウ、ジオウが配合されていて、これは補血(血液を補充する)作用があることで有名な四物湯(しもつとう)と同じ構成となります。(ここまでで全量の80%を占めます)それにアキョウ(ロバの皮から抽出した変性コラーゲン質)が加わることで補血作用を強化しています。

さらにオウギ・ブクリョウ・トウジン・カンゾウは気(エネルギー)を補充することで代謝を促進して補血しやすくしています。

また全体の69%を占めるトウキが温める力が強いので、冷えやすい方に向いています。

 

先程から「補血作用」と書いていますが、これは漢方で言うところの「血虚(けっきょ)」(血液不足の意味)を改善する作用です。

 

それでは「血虚」とはどういう意味なのでしょうか?

血液不足と言いながら、漢方の世界ではいわゆる貧血とは少し意味合いが異なるのですが、簡単な言い方をすれば全身の栄養不足・潤い不足ということになります。

栄養不足と言っても、必ずしも食生活が悪いという意味ではありません。老化や体質虚弱などの問題によって新しい元気な細胞が作れなくなっている状態です。

 

例えば若い頃の肌はピンク色をしてツヤがありますが、年齢とともにピンク色が抜けてツヤが失われて乾燥しやすくなります。これも血虚によるものだと考えられています。白髪が増えたり、髪がパサパサになるのも同様です。

また、添付文書に記載されている生理不順、生理痛、腹痛、腰痛、肩こり、頭痛、めまい、のぼせ、耳鳴りなども血虚が関係しているものがかなり沢山あります。

 

一般に血液と言えば血液自体を想像するのが当然ですが、エストロゲンなどの女性ホルモンも関係していると考えるのは東洋医学の面白いところですし、漢方薬を効果的に利用するためにも大切な考え方のひとつです。

 

(禁無断転載)

生理痛があっても1ヶ月のうち1~5日間程度で、それ以外の日には何ともないため、たいした問題ではないと思いがちですが、実はたいへんな問題を抱えていることも少なくないのです。

特に「瘀血」(おけつ)と呼ばれる「血液の流れが悪くなっている~血液が溜まったり固まったりしている」ものは特に(鎮痛剤が効きにくいほど)痛みが強く、不妊の大きな原因にもなってしまいます。私はこれまでの経験から【瘀血を改善せずに子宝が授かることはほぼ不可能】と感じています。反対に瘀血がきっちり取れれば、妊娠がとてもしやすくなります。

この瘀血による生理痛が強く現れやすい代表的な疾患には次のようなものがあります。

1.子宮内膜症(20~40歳代に多い。子宮内膜様組織が子宮の内側以外に生じてしまう疾患。)

 ①卵巣に発生した「卵巣チョコレート嚢胞」

 ②直腸と子宮の癒着が起こる「ダグラス窩閉塞」

 ※腹膜の表面に起こるものもあるが、それでは生理痛が現れにくい。

2.子宮腺筋症(30歳代後半~40歳代の経産婦に多い。子宮筋層の中に子宮内膜様組織を生じて周囲に炎症を生じ、さらに痛みが強く現れる。)

3.子宮筋腫(30~40歳代に多い。子宮の内側に向けて発育するものが生理痛が強く出やすい。)

【瘀血による生理痛の特徴】

生理直前〜前半の刺すような、または締め付けられるような強い痛み。鎮痛剤は早めに飲まないと効きにくい。経血と共に大きな血の塊や内臓みたいな固形物が排泄される。舌全体が紫色。舌に紫色の点々がある。舌の裏の静脈が膨らんでいる。不正出血があることも多い。

舌の紫色というのは見慣れないとわかりにくいので、店頭でお気軽にお尋ねください。

【生理痛に対する漢方薬の効果】

お身体にあった適切な漢方薬を利用すれば、とても良い効果が引き出せるものが多いので、ご予約の上ご相談くださることをおすすめしています。

今年は季節性インフルエンザだけでなく、新型コロナウイルスの流行が危惧されていることもあって、不安に感じていらっしゃる方も多いですよね。

今回は長期戦になるかもしれないので、何よりもご自分の免疫力を高めることにも取り組んでいただくことが大切と思います。中医学的に「免疫力を高めて感染症を予防するためには「衛気(えき)」を重視しています。

 

中医学では体表の「衛気(えき)」と言われるエネルギーの働きによって外部からのウイルスや細菌、あるいはスギ花粉などのアレルゲンの侵入を防いでいると考えているので、この「衛気」を強化することがウイルスなどの感染から身を守ることに繋がります。実際に漢方薬を服用された方々から「風邪を引かなくなった」「周りにインフルエンザに罹った人がたくさんいたが、自分は大丈夫だった」「スギ花粉が飛んでいても平気になった」などとよくおっしゃっていただいています。

「衛気」はいわゆる「気」の一種なので、「黄耆(おうぎ)」「白朮(びゃくじゅつ)」「御種人参(おたねにんじん)」「大棗(たいそう=ナツメ)」「甘草(かんぞう)」などの『補気薬(ほきやく)』(気を補充する生薬)を中心に利用します。

「衛気」は「肺」(呼吸器)、「脾」(消化器)、「腎」(生命力)によって支えられているため、人によって適切なご利用方法が異なりますので、詳細は私達専門家にご相談くださることをおすすめします。