今回も南大東ではたいそう歓待していただいた。
「もうすぐ平さんのお誕生日でしょう?」と、なんと、マグロで作ったマグロケーキなるものまで馳走になったのである。
その日、南大東ではマグロは2本しか揚がらなかったという。そのうちの1本をワタシ用に確保し、写真のようなマグロづくしのちらし寿司を作ってくださったわけである。
さらに、カウンセリングルームの控え室には、お茶とお菓子のセットまで‥‥。
それから、今回、ワタシ専用のイベントとして、島に船が着岸するときの写真撮影会を企画していただいた。
波が荒すぎるため、南大東には桟橋がない。そのため、船が着くと人々はオリに入れられ、クレーンで吊されて上陸するのである。それを私のためだけに行い、写真撮影しようという企画だったのである。
「平さん、そういうの、お好きでしょ。ウフ」
誤解があるようですが、私、基本、そういうのはお好きではありません。
たしかに、事務所の企画として同じようなことをする機会は多いわけでありますが、じつは高いところはあまり好きではないのであります。
そんな私の事情を神様はご存じだったのであろうか。
この日は波が荒すぎて、船が着岸できなくなったおかげで、この企画はボツになった。事務所から無理やり持たされた囚人服を着ることもなく、喜ばしい結果になったのであります。
さて、前回、沖縄の温泉付きホテルの話をしたが、ここ南大東島は、近年まで、たいそう水で苦労した島だという。
島内に池が1つしかなく、その唯一の池も上のほうは真水だが下のほうは海水で、飲み水確保の苦労が絶えなかったのだそうだ。
最近でこそ、浸透膜を使って海水から真水を作り出す装置が活躍しているものの、いまだに水不足であることには変わりはない。
そのため、どの家もお風呂に湯船はなく、シャワーのみ。ホテルも同じくバスタブはなしでシャワーのみである。
つまり、湯船で思いっきり体を伸ばそうと思ったら、前泊した那覇のホテルでそうしておくしかないのである。
あくまで個人的な意見であるが、島に一つぐらい、銭湯か簡単な共同浴場があると、住民のみなさんのリラクセーションに役立つのではないかと思うのである。
さて、南大東出張の際は、朝から晩までずっとカウンセリングをしたり、なんらかのイベントを行ったりしているので、観光をすることはまずないのである。
しかし、今回は2日目の仕事前、朝7時半過ぎからバリバリ岩というところに連れていっていただいた。
このバリバリ岩は、大きな岩がまっぷたつに割れた場所である。
南大東島はフィリピンプレートの上に乗っかっており、1年に7cm、北東に移動しているらしい。そのため、岩盤の真ん中に巨大な亀裂ができたそうなのである。
9時からカウンセリングが始まるのでゆっくりとはできなかったが、南大東ならではのスポットを堪能したのである。
そして、カウンセリングの終了後は、1日2便しかない昼の便の飛行機で那覇へと戻った。
今回のこの便は、南大東島を飛び立って、北大東島に飛んでそこの空港に降り、そこから那覇に向けて飛ぶという経路であった。
この南大東島─北大東島間はあまりにも近すぎるので、南大東島を飛び立ったあとは、北大東島の上空をグルッとUターン、さらに、南大東島の上空もグルッとUターンしてから北大東島に着陸する。
日本一短い航空ルートらしい。
しかしながら、世界にはもっと短いルートがあるらしく、世界一にはなれていないらしいのである。
南大東よりさらに小さい島である北大東にはホテルが1軒もなく、公共の宿泊施設と民宿が1軒ずつあるだけだという。
一度、仕事以外でもこの島々を訪れ、ゆったりしてみたいと思わせられるのである。
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