当麻寺・護念院(ごねんいん)のブログ -4ページ目

生きる安心に繋げるために①~永代供養堂~


寒さも随分と緩み、当院北庭・枯山水庭園(江戸時代中期)の紅梅も見頃を迎えました。
先日は東京方面からお参り頂きました。お母様がご逝去され、先日来、納骨やお墓についてのご相談を頂いておりました。ご両親は、奈良のお生まれで、ご生前から當麻寺当院にお骨を納めたいとの思いを持たれていたとの事でした。現在、ご長男さまは東京近郊在住ですので、奈良でのお墓の継承は難しいとのお考えでした。そこで、ご家族・ご親族でのご相談の結果、当院永代供養堂への納骨を決められました。
これまで、お墓は「○○家」という単位で考えられ、親から子へ、子から孫へと受け繋ぐものでありました。そのため、お墓を護る後継者がいない場合、養子縁組み等をするなどし、「家」としての継承を大切に考えられてきました。しかし、現在は、生まれた地で育ち、働き、家を護っていくという生き方のみではなく、個々の人生選択も大切に考えられるようになってきました。それぞれの代で、新たな地において、新たな仏縁を繋がれるのも有り難いことです。しかし、「何れの代においてもご先祖さまと一緒の処で」といったお考えの方々については、その想いにお応えできるご供養や納骨の在り方として、当院の永代供養堂(納骨堂)があります。
何れは同じ浄土に参る我々ですが、ご先祖さまから繋がれた命を受けて、この娑婆世界を生きる皆さまの、安心に繋げて頂ければ幸いです。[

合掌

當麻寺菩薩講 春の寄り合い

所々に春の訪れを感じる當麻の里ですが、本日は、當麻寺菩薩講の皆さま方にご参集頂き、今年度の當麻寺練供養会式に向けた寄り合いを開きました

當麻寺菩薩講は、地元當麻を中心に、葛城市、香芝市、橿原市にある20余の組によって構成されています。まずは、それぞれの組の状況等の情報交流と今年度の参加体制の確認、そして、4月14日の会式に至るまでの準備日程等の再確認も行いました。

葛城市教育委員会からは、今現在進められています、国の「重要無形民俗文化財」の指定に向けた調査状況をお伝えいただきました。當麻寺練供養会式は、當麻寺の大切な法要ではありますが、當麻寺菩薩講という、地域の皆さんが運営主体となって、現在に至ります。国の「重要無形民俗文化財」の指定が、皆さん方の更なる喜びと誇りに繋がれば、これ程有難いことはありません。

本年より、當麻寺練供養会式は、4月14日に勤める事となりました。例年より1月早くなりますが、諸準備を整え、しっかりと勤められるよう、取り組みを進めてまいりたいと思います。

合掌拝

 

 

 

 

共に食し 共に生きる ~石鍋裕シェフをお迎えして~

 

フジ・テレビ系『料理の鉄人』初代洋食の鉄人・名誉鉄人として知られている石鍋裕さんにご来寺頂きました。
先日、『THE KASHIHARA』に於いて開かれた『石鍋裕の美食会』ディナーイベントの為、奈良にお越しになられており、奈良滞在中に、当院にも足をお運び頂く機会を得た次第です。
石鍋シェフは、19歳で料理人を志され、東京、横浜などのレストランで修行された後渡仏。パリを始め南仏・北仏などで6年程修行されたそうです。帰国後も修行されたのち、東京西麻布に“クイーン・アリス”をオープンされ、オーナーシェフとなられました。その後も、多方面に活躍の場を広げられ、著書も多数おありの方です。
この度は、当院にて、当院に纏わる中将姫さまや練供養会式のお話を、その後、當麻寺曼陀羅堂、金堂、講堂のご拝観を案内させて頂きました。その間、当方も石鍋シェフから貴重なお話をお聞きする事が出来ました。
先般開かれたディナーイベントでは、オープンキッチンで、食事をされる方の目の前で腕を振るわれ、作り手と食べる方が一体となった空間を創られました。作り手の思いが感じられる料理というものは、本当に有難いものだと思います。
当院でも、大切な法要の前には、お檀家の皆さまと共に精進料理を作り、一緒に食べ、お勤めに臨むということを大切にしております。同行の者が、共に食事を作り、共に食べるという事は、信仰を護る意味に於いて、とても大切なことであります。皆で作った精進料理を、皆で共に食べると、食事がよりおいしくなるだけでなく、共に娑婆世界に生まれるご縁を持つ者が、互いに結びつき、互いを受け入れ認め合い、人として幸せに生きることに繋がるからです。
様々な分野の方との出会いは、お寺を護る我々にとっても、良い勉強の機会になります。料理を通して皆様に笑顔と幸せを届けられる石鍋シェフのように、我々も皆さま方に、生きる安心をお伝えできるお寺でありたいと思います。
合掌拝
 
當麻寺 護念院(Taimadera Gonenin) http://taimadera-gonenin.or.jp/
 
 
 

新年明けましておめでとうございます

 

新年明けましておめでとうございます。Happy New Year. 新年快乐。
皆さま方のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます
本年もどうぞよろしくお願い致します。
 
さて、本年より、『當麻寺聖衆来迎練供養会式』を、4月14日に勤めることとなりました。
中将姫様のご命日は旧暦の3月14日。嘗ては4月に執り行っていた時代もありました。
5月とは、また違った當麻の風の中で会式を執り行えることを、心より楽しみにしております。
本年4月14日は日曜日となります。皆さま方のご参拝をお待ちしております。
 
また、本年は当院が當麻寺主要堂、本堂(曼陀羅堂)・金堂(創建当初の本堂)・講堂のご拝観窓口を担当します。
団体でのご参拝等、お問い合わせは下記番号へご連絡ください。
合掌拝
TEL・FAX:0745-48-2004(當麻寺護念院)

「旅人の琴」奉納 ~しまの文化・芸術活動推進実行委員会~ 対馬の皆さまより

 

それは中将法如さまの一枚の写真からの始まりでした。
現代音楽作曲家の藤家渓子さん(東京芸術大学大学院修了)が、長崎県「旅人の琴」プロジェクトに関わる視察で奈良に滞在されている最終日のことでした。たまたま開かれた雑誌の一ページに、当院中将法如坐像のお姿が掲載されていたのです。藤家さんは、中将姫さまが「琴の名手」と云われていたことはご存知ではなかったのですが、その一枚の写真に惹かれ、当院へ来られました。その後、ご縁は更に繋がり、藤家さんを通じて、当院は遠く対馬の方々とも深く繋がるようになりました。不思議なこともあるものだと思いながらも、これは偶然ではなく、中将姫さまによる必然的な出会いだったと、今は確信しております。
この度、しまの文化・芸術活動推進実行委員会の皆さまを始め、長崎県、長崎県対馬市、山下和仁さん(ギタリスト)、藤家渓子さん(作曲家)等、多くの方々のご尽力により制作された「古代琴」を奉納頂きました。この琴に込められた皆さま方の想いと共に、当院の寺宝とし、大切にしてまいりたいと思います。
合掌拝
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~「旅人の琴」制作にあたって~
 「万葉集」には792年太宰府長官「大伴旅人」は大和朝廷の要職にあたった藤原房前に梧桐で作られた琴を贈るにあたり歌二首を添えた書状をしたためている。
書状には、琴に関して
「この梧桐製の日本琴(大和琴)は対馬の結石山(ゆひしやま)の孫枝から作られたものです。」
「・・・・良き匠に遭ひてかざりて小琴を為らる。」
「・・・・音の少なき・・・・」
「・・・・膝のへわが枕かむ。」
などの記述があり、これらのことから考えると、結石山の梧桐で作られた日本琴は現在、正倉院に保存されるような2m前後もある琴ではなく、小さく持ち運びに便利で自由に膝の上に載せて弾くことができたが、小型であるために音量が乏しかったと考えられる。
 また、「万葉集」に載せられている和琴については日本固有の楽器で、六弦琴であり、飛鳥時代から奈良時代にかけて膝の上に載せて弾いたといわれている。
 今回奉納した六弦琴は、このような記述を参考にするとともに、世界的ギタリスト「山下和仁」氏の助言、奈良県「春日大社」・「當麻寺護念院」、滋賀県「守山市埋蔵文化センター」・「栗東市博物館」など多方面の方々のご支援のもと制作することができた。
 古代対馬の琴が、今回制作したような形であったか推測の域を出ないが、琴の材料は、対馬上県町(結石山付近)の梧桐(あおぎり)、琴柱には楓を使用し、いにしえの対馬文化を取り入れた琴の完成となった。
【制作】小田忠彦実行委員会(しまの文化・芸術活動推進実行委員会)

最古級 金銀銅の舎利容器

写真:奈良国立博物館

 

古代寺院では全国で唯一そろって残る當麻寺の東西両塔(国宝)ですが、現在奈良県教育委員会(県文化財保存事務所)に委託し、大正2年以来1世紀ぶりの本格修理事業が進められています。

去る1114日、飛鳥時代に作られたとみられる金銀銅の三重の入れ子の舎利容器が発見されたことに関する報道発表が行われました。

奈良県教育委員会からは、昨年7月に塔を貫く「心柱」の先端部分から金属製の舎利容器が見つかったとの報告がありました。容器は3つが入れ子の状態になっており、一番外側の銅製のものが高さおよそ9センチ、内側の銀製がおよそ3センチ、最も内側の金製がおよそ1センチで、いずれも蓋のついたお椀のような形をしています。形などの特徴から飛鳥時代後期に作られたものとみられています。この時期に作られた金銀銅の舎利容器で完全に残っているのは全国でも数例しかなく、国内最古級の舎利容器である可能性があります。

これまで西塔は、平安時代に建てられた創建当初のものとされてきましたが、今回の発見により、當麻寺が創建された飛鳥時代の後期に、すでに西塔があった可能性も高まりました。正に歴史の浪漫を感じる発見です。

 この舎利容器は来年2月から奈良国立博物館で公開される予定です。機会がございましたら、是非足をお運び頂けると幸いです。

 

葛城発信アートFAIR2018 開幕!

葛城発信アートFAIR2018 ttp://katsuragi-artfair.com/より

葛城市には、国宝8点を有する當麻寺をはじめ古代から受け継いできた誇るべき歴史遺産、金剛山地の北部に位置する二上山を中心とした穏やかな自然風景、そして葛城を愛する地元のアーティスト達を育む個性的なギャラリーがあります。
歴史と自然の共存したこの街に集まった作品は展示会場と溶け合い、互いを引き立てあって、どのような表情を見せてくれるのでしょうか。

奈良県葛城市を舞台とし、葛城市の魅力を発見し発信することを目的に、アートイベント「葛城発信アートFAIR2015」を開催し、盛況を博しました。そしてこの秋、第4回目となる「葛城発信アートFAIR2018」を開催します。

 

大人の遠足 in 當麻寺 ~お念仏とご朱印帳づくり~

 

 

 

 

 

 

當麻の里は、お彼岸を迎え朝夕日毎に涼しくなって参りました。彼岸の入りには、例年の如く彼岸花が咲き始めました。

 

私たちが春秋に迎えるお彼岸は、春分、秋分の日を中日とした一週間をいいます。浄土宗で高祖と仰がれる中国の善善導大師の著書『観経疏』の「日想観」が源となっています。春分、秋分の日は、太陽が真東から昇り、真西に沈むところから、その陽の沈みゆく西方の彼方にある極楽浄土に思いを凝らすのに適していると説かれました。

 

お彼岸の一週間は信仰実践の期間とされています。当院に於いては、お彼岸の期間中、参拝者の方を迎え、ご先祖様のご回向を勤めています。

 

また今年度は、彼岸の中日に「大人の遠足」として多数の方をお迎え致しました。まずは、当院の案内にて當麻寺三堂(本堂・金堂・講堂)をご拝観頂きました。その後、当院本堂内にての法話。中将姫さまのお話や當麻寺練供養会式についてお話をさせて頂きました。法話の最後には皆さまとお念仏。本当に有難い機会を頂きました。

 

精進料理の昼食を挟んだ後は、朱印帖づくりに自由散策と、それぞれに充実した時間をお過ごし頂いたことと思います。

 

合掌拝

お施餓鬼大法要厳修

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当麻の里は、朝晩は随分と秋の風が感じられるようになってきました。

 

過日、当院にて夏の大きな法要となっております、施餓鬼大法要を厳修致しました。お施餓鬼法要は有縁・無縁すべての御霊を供養する法要です。お釈迦さまの弟子・阿難尊者が、「おまえは3日後に死に、餓鬼の世界に生まれる。助かりたいなら餓鬼に施しと供養をしろ。」と餓鬼から言われ、その供養の作法をお釈迦さまから授かったお話しにもとづいています。すべてのものに慈悲をお与えになるお釈迦さまの真心が込められ、次第に先祖供養の意味も付加されて今日に至っています。現在はお盆の行事と重ね、8月に執り行われることが多いです。

 

護念院では毎年8月に當麻寺山内寺院・法類寺院を迎え法要を執り行っています。朝早くからお檀家の皆さまが参集され、主に男性の方は帳場を、女性の方はお昼の炊き出し等、それぞれにご準備をしてくださいます。皆さんで作っていただいたお昼を共に頂いてから法要を勤めます。毎年の事ながら、ご参拝の方には、このお昼ご飯を楽しみにされている方もおられ、お寺としてもうれしい限りです。皆さまと共に、法要を創り上げていく、法要を勤めていく、今後もこれらの事を大切にして参りたいと思います。

 

合掌拝

 

糸のみほとけ―国宝 綴織當麻曼荼羅と繡仏―

現在、奈良国立博物館於いて、修理完成記念特別展「糸のみほとけ」―国宝 綴織當麻曼荼羅と繡仏―《平成30714日(土)~平成30826日(日)》が開催されております。この展覧会は当山『綴織當麻曼荼羅』の修理完成を記念し、綴織と刺繡による仏の像を一堂に集められた特別展です。『綴織當麻曼荼羅』の出陳に合わせて、天寿国繡帳(国宝、奈良・中宮寺蔵)、刺繡釈迦如来説法図(国宝、奈良国立博物館蔵)の国宝が一堂に会します。仏像や絵画とも違う「糸」の仏の世界をご鑑賞いただければ幸甚です。

合掌拝

 

以下、奈良国立博物館HPより

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修理完成記念特別展

糸のみほとけ

―国宝 綴織當麻曼荼羅と繡仏―

平成30714日(土)~平成30826日(日)

国宝 綴織當麻曼荼羅(奈良・當麻寺)の修理完成を記念し、綴織と刺繡による仏の像を一堂に集める特別展です。絵画とも違う「糸」の仏の世界の魅力をご鑑賞ください

 

日本では刺繡や綴織)など「糸」で表された仏の像が数多く作られました。とりわけ、古代では大寺院の一堂の本尊とされる花形的存在でした。綴織當麻曼荼羅(国宝、奈良・當麻寺蔵)や刺繡釈迦如来説法図(国宝、奈良国立博物館蔵)は、その隆盛のさまを伝える至宝です。また、糸を縫い、織る行為は故人の追善につながり、聖徳太子が往生した世界を刺繡で表した天寿国繡帳(国宝、奈良・中宮寺蔵)が生み出されました。鎌倉時代以降、刺繡の仏は再び隆盛を迎えますが、その背景には綴織當麻曼荼羅を織ったとされる中将姫に対する信仰がありました。極楽往生を願う人々は中将姫に自身を重ね刺繡によって阿弥陀三尊来迎図や種子阿弥陀三尊図を作成しました。

この展覧会は綴織當麻曼荼羅の修理完成を記念し、綴織と刺繡による仏の像を一堂に集める特別展です。天寿国繡帳、綴織當麻曼荼羅、刺繡釈迦如来説法図の国宝3点が一堂に会する空前の企画です。本展を通して絵画とも違う「糸」の仏の世界の魅力をご鑑賞いただければ幸いです。

https://www.narahaku.go.jp/exhibition/2018toku/ito/ito_index.html