当麻寺・護念院(ごねんいん)のブログ -6ページ目

當麻寺菩薩講秋の寄り合い-次世代への継承のために-

台風21号が日本列島に猛威を震った1週間後の今日、台風22号が来襲し、各地に非常に激しい雨と暴風をもたらしました。當麻寺では9月中旬の短時間大雨による被害から立ち直ったところでしたが、台風21号により再び境内に大きな被害を受けました。各地に於いて被災された地域に於いては一日も早い復興を願いますが、当寺においては地元の消防団・自警団・その他多くの皆様方のお力により被害を最小限に食い止めて頂いたことに深く深く感謝しております。
そのような中、本日「當麻寺菩薩講秋の寄り合い」を持たせて頂きました。當麻寺練供養会式は、昭和51年に「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択されています。その後、これまでの活動が認められ、現在国の「重要無形民俗文化財」指定に向けた調査が始まっております。今回は、葛城市教育委員会から今年度の調査状況についての報告を頂きました。会式の周辺調査として菩薩面や菩薩装束等の調査も行われていますが、やはり、肝要は、この会式の運営主体である菩薩講が、如何にして少なくとも300年以上の間継承されてきたのかというところにあります。今後は、民族専門の調査員方々に講員方々の所へ出向いて頂き、丁寧な聞き取りをして頂く予定となっています。
當麻寺菩薩構は約20の組によって組織されていますが、各組の運営はそれぞれの組に任されています。組によっては木札や帳面によって管理運営されているところもあれば、ほぼ口伝えによって繋がってきているところもあります。いずれにせよ、各組にある地域の繋がり無くしては、この菩薩講という組織は、今現在までに繋がってこなかったものと思われます。今回の調査によって、當麻寺菩薩講が、人と人の繋がりによって受け継がれ、護られてきたことが明らかにされるとともに、この法要が次の世代に受け継がれるためのよい機会となることを信じています。
合掌拝

心のふるさとコンサートvol.7 ~フルートとピアノで奏でる心のうた~

 
10月初日の日曜日。春秋の恒例となりました「心のふるさとコンサート」。今回、7回目を迎えました。フルートとピアノにより、懐かしく心に響く名曲を演奏して頂きました。誰もが知っているクラシックや日本の歌など、秋の当麻の里の景色にぴったりな音楽を楽しんでいただけたと思います。
お二人の素敵な演奏家は、これまで音楽を専門に学ばれてこられました。そして、現在も演奏家として活動を続けておられます。毎回、コンサートをするに際には、選曲から構成までお二人で考えらて創られています。ご来寺頂いた方々に、クラシックを身近に感じて頂きたい、そんな想いが随所に伝わってきます。
自分たちの信じた道を、また、自分たちが大好きなことを、より多くの人に届けたい、そんな思いは我々と共通しているところです。
当院では、様々な文化的な催しを、適時開催しております。また、このような機会を通して、どうぞ、お寺に足をお運びください。合掌拝
 
Program
フォーレ / シチリアーノ
J.S.バッハ / ポロネーズとパディネリ
グノー / アヴェマリア
サティ / ジュト・トゥ・ヴ
ピアソラ / エスクアロ
葉加瀬太郎 / 冷静と情熱のあいだ
ロータ / ロミオとジュリエット
中田喜直 / 小さい秋変奏曲
岡野貞一 / 紅葉
山田耕作 / 赤とんぼ
 
田畑裕美(フルート)
大阪府立夕陽丘高等学校音楽科を経て神戸女学院大学音楽学部卒業。その後ウィーンとドイツに留学し、多くの教授の下で研鑽を積む。第3回「長江杯」国際音楽コンクール高校の部にて優秀賞受賞。草津夏期国際音楽アカデミーにて、A.ニコレ、W.シュルツ両氏のレッスンを受講。2014年から毎年ソロリサイタルを開催。気軽にクラシック音楽を楽しめるコンサートとして田畑裕美ハートフルコンサートを主催。リー奏者として関西を中心に幅広い活動を展開している。2010年より、フルート、マリンバ、ピアノのアンサンブルグループ「nana-tone」を結成し活動を開始。その他に、ヴァイオリンとのデュオや、お琴とのアンサンブルで、お寺やカフェ、ギャラリーなどで演奏している。
フリー奏者として関西を中心に幅広い活動を展開している。東和楽器深井教室、ゲミュトリッヒミュージックアカデミー各講師。
 
中筋綾音(ピアノ)
相愛大学音楽部音楽学科ピアノ専攻卒業。
第15回「長江杯」国際音楽コンクールピアノ部門一般の部にて優秀賞受賞。第14回大阪国際音楽コンクールピアノ部門にて入選。これまでに中西尚子、羽田久美子、笹部陽子各氏に師事。
現在『阪南市混声合唱団』、ミュージカル劇団『劇団音芽』専属ピアニスト。また、バレエスタジオでのピアノ伴奏やピアノと電子オルガンのデュオユニット「MaxiM」で様々なホールやサロンなどでライブ活動をするなど、関西を中心に積極的に演奏活動を行っている。

2017年度 大施餓鬼会法要厳修

去る8月28日、当院大施餓鬼絵法要を無事勤めさせていただきました。

この日は早朝よりお檀家さまが集まられ大変賑やかな一日となります。

帳場や台所など、それぞれに準備を済まされ、ご参拝の方々をお迎えします。

當麻・葛城地域を中心に奈良県内のみならず、大阪、和歌山、神戸方面からもお参りに来られます。

帳場では受付と塔婆書き、台所では昼食の準備が進みます。椎茸・長いも・干ぴょう・ひろうす・絹さや等のお平や煮豆の精進料理は本当に絶品です。

11時より、永代祠堂のご回向を本堂で勤めます。

12時頃より、手作りの精進料理を頂きます。これを楽しみに来られる方もおられます。

午後の部の始まりは、横井照典上人(極楽寺)の法話です。お施餓鬼にまつわる話から、我々の日頃の心の持ちようなどを聞かせて頂きます。

そして、いよいよ14時半からの法要。當麻寺山内・法類門中の和尚さま方をお迎えし、お勤めを致します。約2時間に渡るお勤めです。毎年お塔婆に書かれたご縁方々の俗名・戒名、また各家ご先祖さま方を読み上げながら、在りし日のお姿に思いを馳せご回向を致します。これまで頂いた有難いご縁に感謝する瞬間でもあります。

法要が終わり、大方の片づけもお手伝い頂いた後、夕方の涼しい風に吹かれながら、皆さま方と共に頂く仕上げのご飯は、これもまた格別です。

多くの方にお参り頂いた事を有難く思うと共に、これからも皆さま方と共にあるお寺でありたいと思います。合掌拝

 

 

 

 

 

奈良国立博物館 千年忌特別展「源信 地獄・極楽への扉」が始まりました。

 

當麻寺聖衆来迎練供養会式。この練供養会式の起源は、恵心僧都源信が比叡山で行った法要とされています。その後、生まれ故郷の地にある當麻寺の「中将姫伝承」に深く感銘を受けた源信が、西暦1005年に當麻寺に仏面と装束を寄進したことに始まります。源信は「往生要集」を著したとして知られていますが、平安時代中期の天台宗の僧で、日本の浄土教の祖と称されています。此の度、奈良国立博物館では、千年忌特別展「源信 地獄・極楽への扉」が開催されています。當麻寺からは、「當麻曼陀羅(貞享本)」並びに「菩薩面」を、当院からは、「中将法如坐像」「中将法如化生坐像」を出陳しております。是非この機会に足をお運びください。合掌拝

 

1000年忌特別展 地獄極楽への扉 源信

平成29715日(土)~93日(日)

会場       奈良国立博物館

 

恵心僧都源信(9421017)は奈良で生まれ、比叡山で修行を積んだ平安時代の僧侶です。源信は死後阿弥陀如来の来迎を受けて、極楽浄土へ生まれることを願う、浄土信仰を広めた僧として知られます。『往生要集』などにより源信が示した具体的な死後の世界のイメージは、後世へも多大な影響を及ぼしました。

 本展では地獄絵を含む六道絵や阿弥陀来迎図といった源信の影響下で生まれた名品が一堂に会します。死後の世界へのイマジネーションを体感していただくとともに、真摯に死と向き合った名僧の足跡をご紹介いたします。(奈良国立博物館HPより)

http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2017toku/genshin/genshin_index.html

 

先立たば 送るる人を待ちやせん 花のうてなの なかば残して

撮影:山田裕清氏

 

唐の高僧善導大師は「先立たば 送るる人を待ちやせん 花のてなの なかば残して」とお詠みになっています。すなわち、「死に別れは一時のこと。先にお浄土に行って蓮台の半分空けて 待っていますよ」と残された者を励ましてくださいます。

それにはまず我々がお浄土に生まれることが肝心です。先に行かれた人との再会を信じて精進することを怠らなければ、間違いなくご縁深き人達と彼の国において再会することが出来る事と思います。

 当院に於いても蓮の花が咲き始めました。お参りの際には、是非ご覧ください。

 

合掌拝

 

朱雀の会の皆様方を迎えて


 

先日6/8、朱雀の会の皆様方をお迎えいたしました。昨晩からの雨が早朝まで降っており、足元が悪くなることを心配致しましたが、参拝に来られるまでにはすっかり雨も上がり、當麻の里を気持ち良く歩いて来られました。5月14日の会式を勤め、未だひと月も経っておりませんが、當麻寺聖衆来迎練供養会式や中将法如尼さまのお話に関心を持たれ、当院へお越しいただける事、有難く思います。皆様方には法話だけでなく、菩薩面や菩薩装束、映像等もご覧頂きながら、有難いご縁を繋いで頂きました。
是非ぜひ、次年度は、会式の日にお会いできることを祈念しております。合掌

當麻寺護念院 「練供養会式」特別企画

5月14日に営まれる「練供養会式(聖衆来迎練供養会式)」の前日に、當麻寺護念院にて住職による練供養のお話を含む特別法話の後、曼陀羅堂(本堂)・金堂・講堂を自由拝観していただきます。ご参加の方は、練供養会式当日(5/14)、護念院にて5/14のみ拝観できる練供養会式出発前の二十五菩薩御面をご拝観いただけます。
********當麻寺 護念院********
正式名称「當麻寺紫雲山護念院」。
境内に納骨回向所を持つ数少ない塔頭として、多くの参拝者が集う。
また、悲劇のヒロインとして有名な中将姫がお住まいになったお寺として古くから信仰を集めています。
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【1日目/5月13日(土)】
①13:50~ 受付
②14:00~ 特別法話
③曼陀羅堂(本堂)・金堂・講堂 自由拝観
④15:30頃 解散
【2日目/5月14日(日)】
⑤参加券提示で護念院拝観 
 ※9時~14時のみ拝観可能
⑥16:00~練供養会式
⑦解散
[お問合せ・お申込み〕
一般社団法人奈良県ビジターズビューロー
☎ 0742-81-8680

當麻寺菩薩講練り初め

写真 藤山好典氏
去る4月29日、当院本堂にて當麻寺菩薩講練り初めを厳修致しました。
毎年練供養会式を勤める約2週間前のこの日、當麻寺菩薩講方々が当院に参集されます。
講の皆様方は、早朝より炊き出しや帳場、その他法要の準備のため、早朝より集まってくださいます。
昼食を挟み13時から法要を勤めます。中将法如様への追善供養、並びに菩薩講員各家先祖代々方々のご回向を勤めます。
法要後には、本年の菩薩役の配役をクジにて決めます。クジで配役を決めるという習わしも古くからのやり方です。引かれたクジと引き換えに、菩薩面と菩薩装束との引き換え木札をお渡しします。
最後に、本年度の観音菩薩・勢至菩薩・普賢菩薩役の講員による、練り初めを厳修します。来迎和讃に沿った菩薩の所作は、中将法如尼が正に菩薩に救われる有様を表します。
練り初め以後は、いよいよ5月14日の会式に向け、講の皆様方と共に精進潔斎、心身を整える期間となります。今年度の会式にもしっかりと勤めてまいりたいと思います。
合掌拝

Descent of the Bodhisattva -菩薩降臨図-

写真家川畑秀樹氏が、来週4月14日(木)から4月27日(木)にかけて、ソニーイメージングギャラリー銀座に於いて作品展を開催されます。
 
Descent of the Bodhisattva
-菩薩降臨図-1000年以上の行事を伝承する男たちの物語
「ほとんど、仏教などの宗教に興味を持つことはありませんでした。しかし奈良県中西部に位置する葛城市にある當麻寺のほんの横の古民家を手に入れてから、にわかにお寺での色々な行事や風物と接することが多くなりました。その一つ、1000年以上も続いているとされる當麻寺の聖衆来迎練供養会式に撮影で関わりを持つ幸運に恵まれました。
 二十五の菩薩が極楽浄土から、當麻寺に縁の深い中将姫を蓮台に乗せ浄土へ導く、来迎引接のさまを演劇的にあらわした古い宗教行事を10年近くも撮影していると、伝承の努力をされている菩薩講と呼ばれる地元の方々に視線が移ってしまいます。
 中でも会式で重要な役割を持つのが“観音菩薩”と“勢至菩薩”役で、現在この役を担えるのはわずか4名。練習時や会式の当日、金色に輝く菩薩面を装着する瞬間のまるで菩薩さまがのり移ってしまうような瞳孔の変化、また菩薩面を取り外す一瞬の個人に戻る瞬間の緊張感の解けた表情に、多くの撮影のエネルギーを使っています。今年2017年で撮影は丁度10年となりますが、まだまだ、1000年以上も続く会式の緊張感と戦いながら、様々なシーンで写真に出来ること模索し続けたいと考えています。」
I never had much interest in Buddhism or other religions. Butwhen I bought a very old house right next to the Taimadera temple in Katsuragi, western Nara, I was suddenly in regular contact with Buddhist practices and scenes. In particular, I have had the good fortune to regularly document an annual rite that is said to be over a thousand years old, the procession known as the Descent of the Bodhisattvas.
For nearly a decade I have been photographing the ancient, theatrical ceremony portraying the descent of 25 bodhisattvas to escort Chujohime, the legendary princess whose story is deeply connected with the Taimadera temple, to the Pure Land paradise. Gradually my attention has shifted to the Bodhisattva Association, the group of local residents who painstakingly enact the event in the traditional manner.
The Kannon and Seishi bodhisattvas are the most important in the procession, and today there are only four men who play those roles. I have focused a great deal of photographic energy on the moment, during rehearsals and on the day of the ceremony, when a man puts on a glittering golden mask and his pupils are transformed to those of the bodhisattva, and the moment he takes the mask off and his face relaxes to his own visage. 2017 will be the tenth year I photograph the procession, yet I am sure there will be many more shots left for me to find amid the tension and the striving these men exhibit as they
continue a rite dating back more than a thousand years.
川畑 秀樹(かわばた ひでき)プロフィール
1949年生まれ。大阪市出身。現住所は奈良県葛城市。戦中・戦後と映画会社の宣伝部に勤務していた父の影響を受け、子供のころより映画のスチール写真を見て過ごす。その影響で職業はコマーシャルフォトグラファーに。明けても暮れても広告の依頼写真撮影と動画制作に没頭。60歳を記念して、奈良県に移り住み築190年といわれる古民家を購入し写真展示を中心としたギャラリーを運営中。以後、未だに慣れない写真作品の制作に励む毎日が続いている。写真家の集まる会でのグループ展には出展し続けているが、自分のギャラリー以外での個展は初めて。現在、同じ志を持つ奈良県の写真家数名とともに写真作品の販売も見据えた「これから」を模索中。日本写真家協会正会員(JPS)、日本広告写真家協会正会員(APA)、奈良県美術人協会会員
About the Photographer
Hideki Kawabata was born in Osaka in 1949 and lives now in Katsuragi, Nara. As a boy he was fascinated by the movie stills brought home by his father, who worked from the early 1940s in the PR department of a film production company. That led him to a career as a commercial photographer. He worked many years on advertising photo assignments and eventually turned to video production. For his 60th birthday he bought the 190-year-old house in Katsuragi where he operates a gallery, showing mainly photography. He
spends much of his time making photos of subjects he is not very familiar with. Although he has exhibited in some group shows, this is his first solo show outside his own gallery. Currently he is working with a few like-minded photographers in Nara Prefecture to find ways to market their photos. Memberships: Japan Professional Photographers Society, Japan Advertising Photographers Association, Nara Prefecture Artists Association.
Descent of the Bodhisattva
 
-菩薩降臨図-1000年以上の行事を伝承する男たちの物語
川畑秀樹 作品展 Hideki Kawabata Photo Exhibition
2017年4月14日(木)~4月27日(木) 11:00~19:00
Sony Imaging Gallery ソニーイメージングギャラリー銀座
〒104-0061 東京都中央区銀座5−8−1 銀座プレイス
電話: 03-3571-7606
https://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/?j-short=imaging/gallery/
 

中将法如尼を偲んで・・・枝垂桜樹齢三百余年

 

 

 

 

当院枝垂桜が満開を迎えています。中将法如尼を偲んで植えられたとも云われる桜です。樹齢は三百年を遥かに超えています。花は小輪、一重咲きで淡紅色。開花期は例年彼岸の終わる3月下旬です。この桜は寿命が長く、千年以上の年月を経ているもの有るといわれています。今年も多くの花をつけました。この花が咲き終わるころから、中将法如尼を極楽浄土へお迎えする當麻寺練供養会式に向けた準備が本格化します。合掌拝

写真:山田裕清氏2017.04.03撮影