当麻寺・護念院(ごねんいん)のブログ -3ページ目

當麻寺菩薩講練り初め-コロナウイルス感染拡大防止のため大幅に規模を縮小して勤めます-

 

明日3/29(日)に厳修する「當麻寺菩薩講の練り初め」は、大幅に規模を縮小して執り行うこととなりました。

本来は、法要後、菩薩役の配役を決め、観音菩薩役・勢至菩薩役による練り初めの披露することとなっておりました。しかし、コロナウイルス感染拡大防止のため、大変申し訳ありませんが、一般のご参拝の皆さまには、堂内等でご拝観いただくことはできません。

大変厳しい状況下ではありますが、大幅に規模を縮小しながらも、出来る範囲の中で伝統法要を繋いでいく所存です。どうぞ、ご理解の程宜しくお願い致します。

 

合掌拝

「當麻寺菩薩講の練り初め」及び「當麻寺聖衆来迎練供養会式」についてのお知らせ

 

当院枝垂れ桜の蕾みも色づきが春を感じさせてくれます。過日、當麻寺山内の和尚様方と練供養に向けた最終協議をし、非常に厳しい状況下ではありますが、今年度も練供養会式を厳修することに決まりましたことご報告申し上げます。

 

今年度は3/29(日)に厳修する「當麻寺菩薩講の練り初め」は、コロナウイルス感染防止のため、下記の点に留意し勤めることと致します。

    昼食接待の自粛

    住職のみでの法要

*     ご先祖様回向のご来山はご遠慮いただきますが、お振り込みや現金書留等でお申し込みいただいたご回向につきましては、住職が勤めさせていただきます。

    各組代表者様お一人、もしくは委任状による菩薩役の抽選

*     練り初めについては、堂内でご拝観いただくことはご遠慮いただきます。

 

今後、国等の通達により、急な変更等があるかもしれませんが、その場合は、適宜HP

http://taimadera-gonenin.or.jp/ 等でお知らせして参ります。

 

合掌拝

「はじまりの奈良 文化の力で日本を元気に」

「はじまりの奈良 文化の力で日本を元気に」をテーマに全国各地や海外の伝統芸能が一堂に会する「日本の祭りinなら・かしはら2019」(第27回地域伝統芸能全国大会「地域伝統芸能による豊かなまちづくり大会なら・かしはら」)を928日(土)・29日(日)の両日にわたり開催されました。観覧に来られた皆さま方に於かれましては、今に伝わる伝統芸能の源流をたどり、その変遷を知ることで、地域の奥深い魅力に出会われたとすれば幸いです。

 我々も「當麻寺菩薩講」を代表し、初日のメイン会場にて、憲仁親王妃久子ご高覧の元「聖衆来迎練供養会式」の一部を実演させて頂く機会を得ました。また、この度「平成菩薩面」を作成頂いた能面師・丸尾万次郎さん(奈良県)が「地域伝統芸能大賞・支援賞」を受賞されました事も、我々にとって大きな喜びで有りました。

今回改めて、わが国には豊かな自然や多様な風土に育まれた伝統芸能や祭礼があること、そして、それらが地域に誇りと愛着をもたらしていることを強く感じました。特に、古都奈良は、神様や仏様が身近に感じられる地域であります。我々の「練供養会式」も、時代の移り変わりとともに変遷しながらも、當麻寺菩薩講を中心とする多くの人々のご縁によって、今に護り伝えられています。いくつもの時代を越え、様々な時代の人々の営みに寄り添って大切に受け継がれてきたものを、未来に向けて持続していくために、今後も様々な機会を捉え、ささやかながらも我々の活動を続けて参りたいと思います。合掌拝

*写真提供:「ギャラリーらしい」川畑秀樹氏

 

今を生きる-八朔(はっさく)法要-

91日の夕刻。當麻の里二上山の麓の大池にて、八朔法要のお勤めをさせて頂きました。もとは八朔の日に営まれていたことから「八朔法要」(施餓鬼法要)とよばれています。水飢饉に苦しむ農民を救済するため大池を開いた願主の遺徳をたたえ、築造工事に尽力された先人の菩提を弔い、さらに恩恵を受ける大池の水に感謝するお勤めです。

 

よって葛城市染野大池の東側にある傘堂。その一本柱の建築構造は極めて珍しいもので、大和郡山藩主本多正勝の家来吉弘統家(のりいえ)が、主君の菩提を弔うために延宝(1674)年に建立したと云われます。正式には「影堂」または「位牌堂」と云います。その傍らには元禄9(1696)年に建立された墓標があり、「俗名 吉弘甚左衛門之尉統家」と書かれています。墓標が建立されてから300年以上、この法要は、葛城市今在家、染野、新在家の三カ大字と、観音寺(今在家)、石光寺(染野)、明円寺(新在家)の三カ寺に連綿と護られてきました。

 

嘗ては八朔の日に営まれていましたが、いつしか新暦の91日になり、さらに多くの方が集まりやすい日曜日へと変わり現在に至ります。八朔(はっさく)とは八月朔日の略で、旧暦の81日のことをいいます。新暦では825日頃から923日頃にあたります。この頃は、早稲の穂が実るので、嘗ては農家の間で初穂を恩人などに贈る風習が古くからあったそうです。

 

現在は分水が引かれ、昔のような水の苦労は大幅に軽減されたかと思われますが、先人の遺徳に思いを馳せ、また、菩提を弔うために、今も皆さま方のお力によって法要が連綿と受け継がれていることに、また、皆さまと共にお念仏を称えさせていただくご縁に深く感謝しております。

 

合掌拝

生きる安心のために-施餓鬼大法要厳修-

 

當麻の里は、朝夕は日ごとに過ごしやすくなってまいりました。八月はお盆の棚行や施餓鬼法要など、平素よりご回向申し上げる仏さま方が特に身近に感じられるひと月でした。

過日、当院にて施餓鬼大法要を無事厳修させて頂きました。お施餓鬼法要は有縁・無縁すべての御霊を供養する法要です。お釈迦さまの弟子・阿難尊者が、「おまえは3日後に死に、餓鬼の世界に生まれる。助かりたいなら餓鬼に施しと供養をしろ。」と餓鬼から言われ、その供養の作法をお釈迦さまから授かったお話しにもとづいています。すべてのものに慈悲をお与えになるお釈迦さまの真心が込められ、次第に先祖供養の意味も付加されて今日に至っています。

護念院では毎年8月に、當麻寺山内寺院のご住職並びに、法類寺院である石光寺、専称寺のご住職をお迎えし、盛大に法要を執り行っています。朝早くからお檀家の皆さま方が集まられ、主に男性の方は帳場を、女性の方はお昼の炊き出し等、それぞれにご準備をしてくださいます。毎年の事ながら、賑やかに法要の準備が進み、お寺としても有難く嬉しい限りです。今後とも、皆さま方の生きる安心のために、皆さま方と法要を作り上げていく、法要を勤めていく事を護って参りたいと思います。

合掌拝

 

今を生きる-「二上當麻蓮曼陀羅」奉納-

令和元年五月五日(日)、柳澤多恵様(油彩画家:アトリエ葛(ふじ)http://atoriefuji.web.fc2.com/)より「二上當麻蓮曼陀羅」を奉納頂きました。

この度の尊いご縁を繋いで頂いた、田畑妙子様始め「二上當麻蓮曼陀羅奉納演奏会実行委員会」の皆さまには改めて感謝申し上げます。また、この度の奉納に際し華を添えて頂きました、クリスタルボウル演奏者の渡邉綾美(Afrodiva Ayami)様、舞を奉納頂いた井口理恵様、フルート奏者・田畑裕美様、箏演奏者・伊藤麻衣子様、各方面で活躍されている皆さまの奉納演奏にも大変感謝しております。

おかげさまをもちまして、当院本堂内に於いては、多くの方々にご参加いただき、有難いご縁を結んで頂く事が出来ました。

霊峰二上山麓に坐する當麻寺、そして蓮の糸で曼陀羅を織り上げたと云われる中将姫伝承、それらの全てが繋がった思いを感じております。蓮の華に緻密に描かれた曼陀羅の世界。今後は当院にて大切に護ってまいります。合掌拝

二上當麻蓮曼陀羅奉納演奏会

令和元年(2019年)五月五日(日)午後2時~3時
奉納:「二上當麻蓮曼陀羅」柳澤多恵 作
主催:二上當麻蓮曼陀羅奉納演奏会実行委員会

奉納演奏:渡邉 綾美 Afrodiva Ayami(クリスタルボウル)
     伊藤麻衣子(箏)
     田畑裕美(フルート)
舞:井口理恵入場無料(要予約)
申込み・お問い合わせ先:musik_tickets@yahoo.co.jp(田畑)

詳細:柳澤多恵さんは藤井寺市出身、東京在住の画家さんです。平和を願い、人々の幸せを願い、その作品からは癒しとパワーが溢れています。この度、自信作の一つである「二上當麻蓮曼陀羅」を、当院當麻寺護念院に奉納されます。平成から新元号へと時代が移り変わるこの時、柳澤多恵さんの平和への祈りが届きますよう、お一人でも多くの方にご一緒いただけますよう、宜しくお願い致します。(二上當麻蓮曼陀羅奉納演奏会実行委員会)

今を生きる-當麻寺聖衆来迎練供養会式 厳修-

photo by 當麻武氏

 

去る4月14日、小雨の降る中、當麻寺聖衆来迎練供養会式を無事厳修させて頂きました。
中将姫さまのご命日は旧暦の3月14日。今年の新暦4月14日は旧暦3月10日にあたります。古来旧暦の3月14日に営まれていた会式ですが、旧暦から新暦へと移行した際に、當麻の里の祭事に合わせて5月14日に営まれるようになったと伝え聞いております。4月には山口神社で、5月には當麻寺で勤め事をし、6月の田植えに臨む、そのような暮らしが今日まで脈々と繋がってきました。しかし、當麻の里の暮らしの変化だけでなく、気候の変化にも伴い、今年度から4月に執り行うようになったことは自然の導きによるものと受け止め、今年度の会式の準備に粛々と取り組んで参りました。
 練供養会式の当日に雨が降ると、それは中将姫の涙雨であると云われてきました。しかし、それは悲しみの涙ではなく、極楽へ迎えられる歓びの涙であるということです。今年度も、中将姫さまの思いを受け、地元菩薩講當麻組の皆さんを中心に何度も寄り合いを持ち、この日に臨んできました。毎年の会式を通し、我々一人一人が成長し、信仰を自分のものとして生きる安心に繋げていくこと、このような當麻の里の人々の姿は、中将姫さまにとっても歓び以外の何物でもないかと思います。また、小雨の降る中でも、菩薩の来迎を拝もうと境内に多くの方が参られていたことも、我々の胸を熱くするものがありました。
 様々な事に思いを巡らせながら勤めた今年度の会式ですが、事故なく怪我無く、無事勤め終える事が出来たこと、そして、菩薩役という大役を勤められた皆さま方を笑顔でお見送りする事が出来たこと、中将姫さまだけでなく、私も歓びいっぱいの気持ちでありました。
 また来年度以降、より良い式を勤められるよう精進してまいりたいと思います。ご参拝の皆さま、菩薩講の皆さま、関係者の皆さま全てに改めて感謝申し上げます。
合掌拝

今を生きる-當麻寺聖衆来迎練供養会式・練り初め厳修-

(写真:川畑秀樹氏)

当院枝垂れ桜が満開を過ぎ、南庭の山桜が咲き始めた去る331日、今年度の當麻寺聖衆来迎練供養会式に向けた練り初めを厳修致しました。

 

当日は、早朝より講員方々に出仕頂き、帳場の準備から昼食の炊き出し等、賑やかに一日が始まりました。これまでより、一ヶ月早い練り初めとなりましたが、お昼には皆さんで作った精進料理を共に頂きました。大切な法要の前に、護念院が大切にしていることの一つです。法要後は、今年度の菩薩役の配役を決めます。全ての配役が定まった後、今年度の観音菩薩役、勢至菩薩役による練り初めを披露しました。今年度も多数の講員方を迎え、無事練り初めを勤めることが出来た事、本当に嬉しく思います。

 

終了後の反省会では、この伝統行事を如何にして護っていくかという点について、世代を超えた議論が生まれました。また、お寺の行事を通して、「當麻の里」に暮らす我々が、ここで暮らしていくことの意味について、また、「地域で生きる」ということについて、話はとめどなく広がりました。

 

伝統的な行事と雖も、例えそれが一千年以上に渡り護り伝えられてきたものであっても、それらを継承していくことは簡単なことではありません。我々にとっても當麻寺菩薩講の運営には厳しい一面もあります。しかし、此の様なときだからこそ、改めて菩薩講員一人一人が誇りと自覚を持ち、次世代へ継承すべく努めていくことが大切であるということ、また、その為には、菩薩講員一人一人に、その事を粘り強く訴えていくことを確認することが出来ました。菩薩講の運営に於いては、常に自分の未熟さを自覚すると共に、熱い想いを持った講員が側にいてくれることに本当に感謝をしています。

 

お寺の行事を通しての世代を超えた繋がりは、ひいては自分の住む地域を護る繋がりへと広がっていきます。また、地域で生まれ育ったものだけでなく、地域に縁が有った方も同様に、「地域で暮らす」「安心して今を生きる」ことに繋がります。そして、その繋がりが、次世代にも引き継ぐことが出来れば、これほどの喜びは有りません。

 

お寺が、世代を超えて自分の思いや考えを出し合える場であることを、これからも大切にしていきたいと思います。

合掌拝

當麻寺護念院と秘仏特別拝観 ~南都銀行石切支店交流会ご一同さまをお迎えして~

南都銀行石切支店交流会一同さまをお迎えいたしました。當麻寺三堂(国宝曼陀羅堂・金堂・講堂)をご案内の後、来月14日に執り行います「當麻寺聖衆来迎練供養会式」に纏わるお話をさせて頂きました。
中将姫さまのご命日は旧暦3月14日。『中将姫行状記』(享保15年・1730年)四巻には「・・・姫の御手箱から書き置きを見つけ出し、姫は出家して尼となるために當麻寺に行かれたということが分かりました。豊成卿はしばらく心を静めて考えておられました。そして、あのお釈迦様が出家されたとき、お釈迦様の父浄飯王も息子の出家を止めることが出来なかったことを思われ「姫もまたお釈迦様と同じであろう。その志を思いとどまらせることなどできないであろう。姫の思うままにさよう。」と思われました。それから、父子の繋がりはかえって強くなり、豊成卿は當麻寺に草庵を結ばれました。姫君は前の尼僧と一緒に豊成卿の建てた草庵に移り、ますます修行をつづけられました。この庵を紫雲庵と名付け、代々跡として残っています。それが今の當麻寺護念院です。」と書かれています。また、七巻には「この中将法如比丘尼の入寂された草庵を初めは紫雲庵と名付け、後にその名を護念院と改めました。代々比丘尼衆が曼陀羅堂で日々の供養を法事式等尼衆の勤めとしてきましたが、寛永年中に当院の勤行衆務等尼衆だけでは大変であろうと京師知恩院から専予寛山という僧を此の寺に住持させるようになりました。この時から護念院は僧院となり、中将法如の入寂された時から今に至るまで毎年法如比丘尼の正忌には法事を営み、迎接会を執り行ってきました。この迎接会または迎講というのは来迎引接がどのようなものなのかということを現したもので、現在當麻の練供養というものがこれなのです。」と書かれています。
このように、当院は中将法如の想いを正に受け継ぐお寺であります。そして、當麻曼陀羅を発願された中将法如が来迎される有り様を視覚的に表現した練供養会式を通して「この世を生きる安心」をお伝えするお寺であります。毎年、菩薩講の方と共に練供養会式を執り行うことにより、いずれ必ず参るお浄土があるからこそ我々は喜びだけではなく悲しみや苦しみも分かち合い安心して生きていくことができる、そのような信仰を自分たちのものにしていく営みをお伝え出来たとすれば幸いです。
合掌